【完結】気づいたら異世界に転生。読んでいた小説の脇役令嬢に。原作通りの人生は歩まないと決めたら隣国の王子様に愛されました

hikari

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闇魔法の授業

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闇魔法の時間。

闇魔法の授業は移動教室で行われる。

それは魔物を誤って呼び出してしまっても、被害が最小限で済むためだ。

闇魔法は原作の中では片思いしていたバイロン先生が教鞭を執っている。

アトポス対策も闇魔法の授業で行われる。



ウエーブした赤髪のロン毛。牛乳瓶の底のような分厚いメガネの奥にはスカイブルーの瞳。



(ここで闇魔法をできないフリをしちゃダメ。本当に闇魔法ができないチャールズと3人の補習になるから。あ~。それにしても、原作のアレクサンドラはなぜ嫌いなチャールズと並んで補習受けていたんだろう……)

チャールズとは絶対に親しくならないと決意したアレクサンドラは闇魔法を本気で勉強しようとしている。

そして、できないふりをしない。

アレクサンドラはバイロン先生目当てに補習を受ける事を希望した。


(冗談じゃないわ! バイロン先生目当てにチャールズと仲良く補習なんて受け入れられるわけないじゃないの!!)


チャールズは机に頬杖をつきながら、相変わらずこちらを見ている。

チャールズの視線が気になって仕方がない。


ディアドラは相変わらず八重歯を弄っている。


「あんまり気にしない方がいいわよ、アレクサンドラ」

隣にいるのは友人のサマンサ。

「ありがとう、サマンサ」

「チャールズ。いつもこちらを見てきて嫌ね」

チャールズはやはり、一人。


「では、これから闇魔法の授業を始める」

バイロン先生のテノールの声が教室中響き渡る。


チャールズはいつも、最初の方はいる。

しかし、コソコソと抜け出し、パイプを吸っているのだ。


ちなみに、パイプはもらいもの。



この学園はおごったり、奢られたりする事が禁止されている。

もし、見つかれば停学は免れない。


にも関わらず、チャールズは奢られまくっているのだ。


飴など小さなものは大丈夫なようだが、それをいいことに、チャールズは飴をたかる。


女子のグループが飴を配っていたら、「僕にもちょうだい」と言って飴を鷲掴みにしてしまうという。

婚約者のいる女性に対してはしないのに、婚約者のいない女性にはやりたい放題。

かなりの問題児にもかかわらず、なぜか教職員からは放置されている。


そして、パイプは先輩から強引に奪ったもの。

平民がパイプなど買えるわけがない。


チャールズは今は大人しくしているが、次第に時間が経つと貧乏ゆすりを始める。

ディアドラはやはり八重歯を弄っている。


八重歯を弄るという行為は八重歯がある事を自慢したいのか?

教室内は静まり返っている。


と、そこにドアを開ける音が聞こえた。

バイロン先生だ。


「では、授業をはじめる」




「「「「「「「おねがいしまーす」」」」」」」




ディアドラはその間も八重歯を弄っているのだ。


「では、チャールズ。前回までの話をして下さい」


「前回は相手を人形にする魔法でした」

「そうだね。よく覚えていたね」


闇魔法とは主にエレメント魔法や光魔法に対しての魔法だ。


いわゆる、攻撃魔法の1つ。

相手を人形にしたり、呪いをかけたり、石化したり……を学ぶ。

逆に、人形を解いたり、呪いを解いたりもする。


とはいえ、それらの仕事は聖女の仕事なのだが。


「今日はアトポスについて……だ。アトポスならわかるよね、チャールズ」

「はい。わかります。だって僕、アトポスに呪われましたから」

痒みを意識しだしたのか、チャールズは腕を掻き始めた。


「アトポスについて……だから今日は最後まで教室にいないとダメですよ。授業終わったら点呼取りますからね」

チャールズの場合、いつも帰ってくるのが点呼とり終わってから。

そして、「僕呼ばれましたよね?」と、何度もしつこく言うのだ。

「はい、今日こそ最後までいます」

言っている傍から貧乏ゆすりをしている。


(今回も抜け出すね)

そう思った。



そして、逆にいつも遅れてくるのがフリードリヒだった。


フリードリヒはなぜか葉っぱを持って教室に入ってきた事があった。


それからというもの、彼は「葉っぱの人」という異名がついた。

フリードリヒは今は教室にいない。


「アトポスの呪いについてですが……」

「ハイ」とリリーナが手を上げた。

「はい、リリーナ嬢」

「痒みを発生させる恐ろしい魔物です」

「その通りです。ね? チャールズ」


「あ……はい」

チャールズは机に頭を伏せていた。

「居眠りはダメですよ、チャールズ」 

チャールズは居眠りをする素振りを見せながら、やはり貧乏ゆすりをしている。

「では、もしアトポスに遭遇したら?」

「ハイ」とディアドラが手を上げた。

「はい、ディアドラ嬢」

「アトポスに遭遇したら、目を合わせない。耳を塞ぐ……です」

「その通り」


授業は淡々と進んで行く。


そこに、ドアを開ける音が聞こえた。

フリードリヒだった。

「フリードリヒ! お前来るときはいつも11時33分だよな?」


フリードリヒはニヤニヤ笑っている。

入れ替わるように、チャールズが教室を出た。


やはり、パイプを吸いに行くのだ。


「チャールズ……チャールズ……いない。ま、彼は単位落としたいのだろうから、放っておく。自業自得だ」

(できないフリなんかしない。チャールズと顔を合わせるのも嫌。同じ空気を吸うのも嫌)

ディアドラは相変わらず八重歯を弄っている。
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