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謎の転校生アッシュ
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教室は晩秋の空気に包まれている。
蟬が去りゆく夏を惜しむかのように勢いよく鳴いている。
教室の中は相変わらず蒸し風呂状態。
「おはよう、アレクサンドラ。今日、転校生が来るみたいよ」
「おはようサマンサ。転校生……どんな人だろう?」
教室の中は転校生の話で持ち切り。
朝の会が始まると、肩までかかる金髪にスカイブルーの瞳、高い鼻、長身の男子生徒が入ってきた。
「えへん。今日は転校生の紹介をしたいと思う」
と、担任のヨハン。
ヨハンは続けた。
「では、アッシュくん、自己紹介してくれ」
「はい。初めまして。アッシュと申します。平民なんで姓がありません。アッシュと呼んで下さい。宜しくお願いします」
アッシュは一礼をした。
(転校生が来るのも原作通り。しかも平民。しかし、平民なのに、随分派手な外見)
アレクサンドラはアッシュの外見に驚いている。
「では……アレクサンドラ。隣の席に座らせてあげて下さい」
「は……はい」
この学園は平民がコンプレックスを抱かないよう配慮して、ファーストネームで呼ぶのが原則。
「宜しくお願いしますわ」
アレクサンドラは頭を下げた。
すると、アッシュも再び頭を下げた。
(同じ平民でもチャールズとは大違い!)
かくして朝の会は終わった。
休み時間……。
「ねぇ、誰かさんの隣にアッシュは勿体ないわよね」
ディアドラが八重歯を弄りながら聞えよがしに言う。
誰かさんとは勿論、アレクサンドラの事だ。
「そうね。アレクサンドラの隣はチャールズの指定席がお似合いよね」
「「ぎゃはははははは」」
ディアドラとリリーナは馬鹿笑いをしている。
「気にしなくて良いのよ」
サマンサが背中を撫でてきた。
「ありがとう」
「それにしても、アッシュってばイケメンよねぇ。とても平民には思えないわ。輝いている」
やはり、イケメンと思ったのはアレクサンドラだけでは無かった。
チャールズは教室にはいなかった。
恐らくパイプを吸いに行ったのだろう。
アッシュは本を読んでいた。
「アッシュ、何の本読んでいるのかしら?」
と、サマンサ。
「本当ね。何の本読んでいるんだろう?」
「聞いてみたら? 何か良い本紹介してもらえるかもしれないわよ」
「本当ね」
アレクサンドラは読書が趣味だった。
それは一宮悠菜だった時から。
「あの~」
アレクサンドラはおずおずとアッシュに話しかけた。
「アッシュさん」
「はい、何でしょうか」
「隣の席のアレクサンドラ・アンドレア・グラタナというんだけど、何の本読んでいるんですか?」
「あー、これ」
アッシュは本を指さした。
「これはね、この国の歴史の本だよ」
(え!? オヴァーン国民なら、歴史の授業で勉強するのに……なぜ本をわざわざ買って読むんだろう? アッシュって本当に謎の人物よね)
そこへ、思わぬ話が飛び込んできた。
「ねぇ、知っている? エルディーヌ王国が内乱を起こしていて、エルディーヌ王国の現国王支持派と王弟支持派が分かれて争いあっているの」
「知っている。それで、国王は幽閉され、サミュエル王子が殺害されたんでしょ?」
え!?
と思った。
隣国情勢の話を一言一句逃さず耳が全てを拾った。
「サミュエル王子、亡くなったの?」
「そうよ。うちらと同年代。かわいそうよね」
「今の話、聞いた?」
と、サマンサ。
「聞いたわ。エルディーヌ王国が大変な事になっているのね」
ついに、王弟軍が宣戦布告したか……と思った。
そして、殺されてしまったサミュエル王子。
アレクサンドラはサミュエル王子と直接は会ったことがなかったが、非常に聡明で紳士的な人だとは聞いていた。
「平和な国で有名なエルディーヌ王国でまさかよね」
サマンサは頭を抱えてしまった。
それを聞いていたのか、アッシュが言った。
「エルディーヌ王国で!? 僕、そんな事があったなんて全然知りませんでした。そうか……。やっぱり、僕、平民だから、そういう情報に疎くてね」
なぜアッシュは平民である事を強く主張するのか? それに、本を読むほどの勉強家がなぜ隣国情勢に疎いのか?
アレクサンドラにはますます彼がわからなくなってきた。
「あ、そうだったんだ。隣国情勢を知らない人もいるんだね」
とりあえずその一言をかけておいた。
「でも、噂によると、現国王陛下と王弟陛下の仲は最悪で、どうやら王弟陛下の意中の女性を国王陛下がとっただとかそんなくだらない事で揉めているんだとさ。男の嫉妬って醜いね」
とアッシュ。
「アッシュ、意外と詳しいのね」
「風の噂で聞いたからさ」
そうだったのか……となぜか俯瞰してしまう。
再びサマンサの方に向き直った。
「サミュエル王子って本当に亡くなったのかしら?」
「うん。どうやら、魔法で攻撃されて灰にされたって話よ」
「灰? それじゃあ遺体はでてこないよね?」
「そういうことになるわね」
サミュエル王子は本当に亡くなったのか?
それに、本当に国王と王弟がつまらない理由で紛争を起こしているのか?
よくわからなくなってきた。
隣国の情勢も気になるけれど、やはり、何よりも目の前にいるアッシュの事が気になる。
アッシュ。もしかして隠し事しているのでは!?
転校してきた理由も何かしら裏がある。
アレクサンドラはアッシュが何か秘密めかしているのではないか? と思っている。
蟬が去りゆく夏を惜しむかのように勢いよく鳴いている。
教室の中は相変わらず蒸し風呂状態。
「おはよう、アレクサンドラ。今日、転校生が来るみたいよ」
「おはようサマンサ。転校生……どんな人だろう?」
教室の中は転校生の話で持ち切り。
朝の会が始まると、肩までかかる金髪にスカイブルーの瞳、高い鼻、長身の男子生徒が入ってきた。
「えへん。今日は転校生の紹介をしたいと思う」
と、担任のヨハン。
ヨハンは続けた。
「では、アッシュくん、自己紹介してくれ」
「はい。初めまして。アッシュと申します。平民なんで姓がありません。アッシュと呼んで下さい。宜しくお願いします」
アッシュは一礼をした。
(転校生が来るのも原作通り。しかも平民。しかし、平民なのに、随分派手な外見)
アレクサンドラはアッシュの外見に驚いている。
「では……アレクサンドラ。隣の席に座らせてあげて下さい」
「は……はい」
この学園は平民がコンプレックスを抱かないよう配慮して、ファーストネームで呼ぶのが原則。
「宜しくお願いしますわ」
アレクサンドラは頭を下げた。
すると、アッシュも再び頭を下げた。
(同じ平民でもチャールズとは大違い!)
かくして朝の会は終わった。
休み時間……。
「ねぇ、誰かさんの隣にアッシュは勿体ないわよね」
ディアドラが八重歯を弄りながら聞えよがしに言う。
誰かさんとは勿論、アレクサンドラの事だ。
「そうね。アレクサンドラの隣はチャールズの指定席がお似合いよね」
「「ぎゃはははははは」」
ディアドラとリリーナは馬鹿笑いをしている。
「気にしなくて良いのよ」
サマンサが背中を撫でてきた。
「ありがとう」
「それにしても、アッシュってばイケメンよねぇ。とても平民には思えないわ。輝いている」
やはり、イケメンと思ったのはアレクサンドラだけでは無かった。
チャールズは教室にはいなかった。
恐らくパイプを吸いに行ったのだろう。
アッシュは本を読んでいた。
「アッシュ、何の本読んでいるのかしら?」
と、サマンサ。
「本当ね。何の本読んでいるんだろう?」
「聞いてみたら? 何か良い本紹介してもらえるかもしれないわよ」
「本当ね」
アレクサンドラは読書が趣味だった。
それは一宮悠菜だった時から。
「あの~」
アレクサンドラはおずおずとアッシュに話しかけた。
「アッシュさん」
「はい、何でしょうか」
「隣の席のアレクサンドラ・アンドレア・グラタナというんだけど、何の本読んでいるんですか?」
「あー、これ」
アッシュは本を指さした。
「これはね、この国の歴史の本だよ」
(え!? オヴァーン国民なら、歴史の授業で勉強するのに……なぜ本をわざわざ買って読むんだろう? アッシュって本当に謎の人物よね)
そこへ、思わぬ話が飛び込んできた。
「ねぇ、知っている? エルディーヌ王国が内乱を起こしていて、エルディーヌ王国の現国王支持派と王弟支持派が分かれて争いあっているの」
「知っている。それで、国王は幽閉され、サミュエル王子が殺害されたんでしょ?」
え!?
と思った。
隣国情勢の話を一言一句逃さず耳が全てを拾った。
「サミュエル王子、亡くなったの?」
「そうよ。うちらと同年代。かわいそうよね」
「今の話、聞いた?」
と、サマンサ。
「聞いたわ。エルディーヌ王国が大変な事になっているのね」
ついに、王弟軍が宣戦布告したか……と思った。
そして、殺されてしまったサミュエル王子。
アレクサンドラはサミュエル王子と直接は会ったことがなかったが、非常に聡明で紳士的な人だとは聞いていた。
「平和な国で有名なエルディーヌ王国でまさかよね」
サマンサは頭を抱えてしまった。
それを聞いていたのか、アッシュが言った。
「エルディーヌ王国で!? 僕、そんな事があったなんて全然知りませんでした。そうか……。やっぱり、僕、平民だから、そういう情報に疎くてね」
なぜアッシュは平民である事を強く主張するのか? それに、本を読むほどの勉強家がなぜ隣国情勢に疎いのか?
アレクサンドラにはますます彼がわからなくなってきた。
「あ、そうだったんだ。隣国情勢を知らない人もいるんだね」
とりあえずその一言をかけておいた。
「でも、噂によると、現国王陛下と王弟陛下の仲は最悪で、どうやら王弟陛下の意中の女性を国王陛下がとっただとかそんなくだらない事で揉めているんだとさ。男の嫉妬って醜いね」
とアッシュ。
「アッシュ、意外と詳しいのね」
「風の噂で聞いたからさ」
そうだったのか……となぜか俯瞰してしまう。
再びサマンサの方に向き直った。
「サミュエル王子って本当に亡くなったのかしら?」
「うん。どうやら、魔法で攻撃されて灰にされたって話よ」
「灰? それじゃあ遺体はでてこないよね?」
「そういうことになるわね」
サミュエル王子は本当に亡くなったのか?
それに、本当に国王と王弟がつまらない理由で紛争を起こしているのか?
よくわからなくなってきた。
隣国の情勢も気になるけれど、やはり、何よりも目の前にいるアッシュの事が気になる。
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2024年12月追記
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