【完結】気づいたら異世界に転生。読んでいた小説の脇役令嬢に。原作通りの人生は歩まないと決めたら隣国の王子様に愛されました

hikari

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アッシュとの恋

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アレクサンドラはアッシュの事がずっと気になっていた。

何かにつけてこちらを見ている。

そう、アレクサンドラが一人になるのを虎視眈々と待っているのだ。


(チャールズと一緒になんかなりたくない。冗談じゃないわ、あんな平民男。それに、好奇心で森に入ってアトポスに襲われるほどの間抜けさ。あんなのお断りに決まっているわ)


「ねぇサマンサ」

「どうしたの? アレクサンドラ」

「サマンサって好きな人いる?」

「えー!? 私はいないわ」

サマンサは婚約者がいなかった。

伯爵令嬢だから、王侯貴族との結婚を望んでいるのでしょうが。

「でもさ、やっぱり結婚するなら王侯貴族が良いよね?」

「そうね。できる限り王侯貴族が良いわ」

アレクサンドラ自身も、王侯貴族との結婚を望んでいた。


この学園にはアッシュを除いて目移りする平民はいない。

チャールズなど言語道断だ。

そこへ、チャールズがやってきた。


「僕の事タイヤって言うのやめてくれませんか?」

全く以て意味不明。

チャールズの事タイヤなどと呼んだ事がない。


とにかく、アレクサンドラに接近できればどんなこじつけた言葉を言っても構わないのだろう。


いかにもチャールズらしい。

そこへ、カイン先生が駆けつけてきて、両手を広げた。

そして、カイン先生に連れられるまま、職員室へ行った。

「何かと思ったわ」

一人でいなくても、大人しい性格のサマンサと一緒にいれば話しかけても大丈夫だと睨んだのだろう。

つくづく図々しい男だ。

「アレクサンドラとのきっかけが欲しいのね」

「全く迷惑だわ。あんな男に言い寄られるなんて。王太子殿下に婚約破棄され、あんな平民ダメンズに言い寄られるのだから、私の値も落ちたようなものだわ」

「最初、まさかチャールズが絡んでくるなんて思わなかったわ」

「私もよ。直感ではチャールズは絡みの無い一般人だと思ったけど、その直感は見事に外したわ」

直感がしっかりしていれば、チャールズから身を守れたのに……。


そこへ、声がした。


「似合っていたのにー。この際チャールズとくっついちゃいなさいよ」

と、ディアドラが聞えよがしに言った。

「そうね。王太子殿下がダメなら、平民のチャールズが一番お似合いよ」

と、リリーナ。

「そうだよね。やっぱりチャールズが来るって事はそれなりに魅力があるからなんでしょ?」

ディアドラが意地悪く言う。

ディアドラは王太子と交際している。

そんなディアドラから言われるのだから、非常に腹立たしい。


アレクサンドラは両手の拳を握りしめた。

(絶対にチャールズなんかと一緒にはならないわ。確かに原作の中でもディアドラとヒロインのリリーナとリリーナの恋人ジェフはそうやって嫌味を言ってきた。でも、私は原作通りにはさせないわ)

「気にしないのよ、アレクサンドラ。王太子殿下より素敵な人が必ず見つかるわ! そして浮気したディアドラには必ず罰が当たるわ」

ディアドラという名前の時だけ小さく言った。

本当に王太子とディアドラが罰が当たれば良いと思っていた。


「あんなパチモンは堕ちた貴族令嬢にぴったりね」

嫌味は止まない。しまいにはチャールズをパチモン呼ばわりをしている。

ま、確かにチャールズは貴族令息を真似ている事自体パチモンだが。

そこへジェフも合流した。

「ねぇ、ジェフ。チャールズと誰かさんってお似合いだと思うわよね」

相変わらず意地が悪いディアドラ。しかも堕ちた貴族令嬢とは何を根拠に言っているのだろうか。

「そうだな。確かに似合っているね」

ジェフは無理矢理言わされている感じがある。

「意地悪ね。あの3人」

サマンサは激励してくれる。


アレクサンドラはサマンサに申し訳なく思った。

「いいのよ、サマンサ。サマンサの言うとおり、罰が当たると信じているから。神様は全てお見通しだからね」

「そうね。天は全てを知っているわ。ディアドラ自身も、心の奥底で悪いことしているとわかっているはずだから」

だが、ディアドラが反省するようにも思えなかった。

「私、ちょっとお手洗い行ってくるわね。チャールズはいなくなったら、一人で大丈夫でしょ?」

「うん、サマンサ。行っておいで」

サマンサは踵を返した。

ディアドラは右手を口に添えてリリーナとひそひそ話をしている。

アレクサンドラは気にしないことにした。


所詮はポジションは脇役令嬢。



アレクサンドラは読書をしているアッシュに話しかけた。


「アッシュ」

「はい? 何ですか? アレクサンドラさん」

「あのぉ」

勇気を振り絞ろう。

そう。男性と仲良くしていればチャールズは寄ってこられないと睨んだからだ。

「何でしょうか?」

「もし宜しければ、一緒に読書させてもらえますか?」

「構いませんが……」

思わぬ返答にアレクサンドラは嬉しかった。

しかも、チャールズ自身も外見からしてアッシュには勝てないと思っているはずだ。


「それにね、実は私」

「どうしたんでしょうか?」

「チャールズに追われているんです。もう行くとこ行くとこついてくるんです」

「気持ち悪いですね」

「んで、アッシュさんと一緒にいればチャールズの入ってくる余地は無いとおもいましてね」

「そうだね。男の人と一緒なら来られないだろうね」

流石に図々しいチャールズでも、男性と一緒にいれば入ってこられないだろう。

チャールズはそれほどに図々しいし、自己中心的。


「今度は何を読んでいるんですか?」

「これは」

と言って本のタイトルを見せてくれた。

『アトポスについて』

アッシュがアトポスについて知識を身に着けようとしていたとは!?

「アトポス!!」

「そうです。アトポスは怖い魔物。色々と遠くへ行くからアトポスには気をつけないとね」

なんとかアッシュとのきっかけが掴めた。


そうだ。

今後はアッシュと一緒にいれば良いのだ。


アッシュなら護ってくれる。

そう思った。
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