夫が不倫をしているようなので、離婚します。もう勝手にすれば?いつか罰が当たるから

hikari

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欲望のままに ※ラニーニャ視点

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家族会議が終わり、二人はカルロスの書斎にいる。

ラニーニャはソファーに寝そべり、パイプを吸っている。

書斎はラニーニャの希望でローズの香りがする。

外は相変わらずどんより。

春はまだまだ遠い。


ラニーニャは一足早い春を味わった気分だった。



「ラニーニャ! ナイス突っ込みだったな」

「何がです?」

「シャルロッテが子供を産む気が無いという嘘に対して」


「あははは。その事でしたのね? そう見えませんこと?」

「嘘も方便というけど、言ってみるもんだな」

「本当に奥様……シャルロッテは子供を望んでいなかったの?」


「というかね、なかなか子作りに協力してくれなかったさ」


「どのように?」

煙を思い切り吐いた。

「それがね、『今はまだ』って言うんだ。俺とベッド一緒に入っても服を脱ごうとしない。強引に入れても良かったんだけど、暴れられると困るからな」

「そういう事」


「その分、ラニーニャは元娼婦だろ? やることやらなければ子供ができない事くらい知っているだろ?」

「そうね」


ラニーニャは立ち上がり、化粧直しをした。


「やっぱり、ラニーニャの方が女だよな~」

「あら、どうして?」

「ラニーニャは女子力がある。それに引き換えシャルロッテは地味だったよ」

「たしかにあの人は地味だったわね」

「きみみたいにメイクに力を入れていなかったからね」

「あーら。お化粧は女の大切な身だしなみ。それができない人が次期公爵夫人だなんてね」


鏡が話しかけてくる。


「ラニーニャ。あなたは美人だね」


「ねぇ、カルロス様」

「どうしたんだい?」

「この鏡はしあわせよ。このわたくしの美貌に惚れたみたいなんですの。わたくしに使ってもらえて幸せみたい」

「そうか。鏡がそんな事を言っていたのか」


そう。

この美貌を映せるこの鏡はしあわせよ。


「きみにその鏡を買ってあげて良かったよ」


「ありがとうございますわ。カルロス様」


「それとな、アトポスの件だけど」


「アトポスの皮が手に入りそうなの!?」

「そうなんだ」


ラニーニャは胸が踊った。

アトポスを退治したのがストーム家の手柄。

加えてアトポスの高価で貴重な皮が手に入る!!


一石二鳥じゃない!!

わたくしってばやっぱり凄いわ!!


「アトポスの皮で今、職人がカバンを作ってくれている」

「あら、本当に?」

ラニーニャは舞い上がりそうになった。


アトポスの皮が欲しい。

念願だった。


「ラニーニャ、それとな」

カルロスが小さな手乗りサイズの箱を取り出した。


「何ですか? それは」

「君に渡したいものなんだ」

カルロスは箱を開けた。


中にはラニーニャの誕生石が嵌め込まれた指輪があった。


「この石、稀少なんだよね」

そう言うと、ラニーニャの左手を取り、指輪をはめた。


「婚約指輪だよ」

「そうなの?」

「ラニーニャ。きみのためなら何でもする。何でも欲しいものあげるよ」

「本当に!?」


ラニーニャは勢いよく、カルロスの懐に飛び込んだ。

「ねぇ、カルロス様」

「どうしたんだい、ラニーニャ」

「アトポス退治ってかなりお金かかったんじゃありませんこと?」


「ああ、かかったよ。でもな、大丈夫だ。大したことはないよ。それも大事なラニーニャのためだからな」

カルロスは髭を手ぐしでとかしている。

ラニーニャはふと頭を掻いた。


「ありがとうございますわ、カルロス様」

「今まで交際した男の中でここまでしてくれた人はいなかっただろ?」

「いませんわ。カルロス様。あなたしかいません!!」


本当だった。

淫売していた時にも確かに色々貢いでくれた人はいた。

しかし、カルロスのようにアトポスを退治するという行動力は無かった。


「ねぇ、カルロス様」

「どうしたの?」

「アトポスを退治に行ってみんな無事だったの?」

「ああ、お陰様でな」


ラニーニャには兵隊の無事などどうでも良かった。

アトポスの皮が手に入ればそれで良いのだから。


と、そこへ。


コンコン。


「はい」


「カルロス様、わたくしです」

執事のトーマスだった。

「トーマス、どうした?」


「実はアトポスの件で」


「何かあったのか?」


「職人が痒みを訴えています。どうしますか?」


「ああ。金ならいくらでも払う。だから、とりあえず完成させるように伝えてくれ」

「わかりました。では」

トーマスは踵を返した。


「アトポスで痒くなった!?」

「本当なんですの?」

「大丈夫だ。必ず完成させるからな」

「ありがとうございますわ、カルロス様」


アトポスは痒みをもたらす魔物でもあった。


「そうだ、ラニーニャ!!」

「なんですの?」

「欲しいかい? 金銀財宝のアクセサリー、そしてドレス」

「欲しいですわ」

「新しい妻はラニーニャ、きみなんだ。何でも買ってあげるよ。貪欲なところもまた魅力的だよね」

ラニーニャは右側の八重歯を弄りながら

「嬉しいわ」

と言った。


カルロスはやはり髭を手ぐしでとかしている。

対してラニーニャは八重歯を弄っている。


最初は八重歯を抜きたいと思っていた。

なぜなら、歯並びが悪く見える上に食べ物が重なっている歯との間に挟まるから。

見た目はまるでヴァンパイア。


しかし、カルロスがこの八重歯を「素敵だ」と言ってくれてから、八重歯を抜くのをやめた。


八重歯を触る癖は八重歯を弄れば八重歯が抜けると思ったから。

しかし、八重歯は永久歯で手強い。

触ったくらいではビクともしない。



「あ、お前また八重歯弄っているな」

カルロスは見ていた。

「やっぱりね、その八重歯が可愛いんだよ」


「で。でも見た目はヴァンパイアみたいではありませんこと?」

「ヴァンパイアまでいうかな。それが可愛いんだよ」

カルロスはラニーニャの顎に手を触れ、口づけをした。
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