【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します

hikari

文字の大きさ
5 / 11

俺様万歳 ※アンドリューside

暖炉では火が豪快に燃え盛っている。

暖かい。


アンドリューはソファーの上でイザベラと抱き合っている。

人の熱気とはこんなに温かいものなのかと思っている。

部屋の外には鉛色の空が広がっている。


部屋には本が散乱。見るも無惨な汚部屋。

さらに、葉巻の匂いが鼻につく。


「本当に私で良かったの?」

「ああ。イザベラ。お前を護りたい。悪魔のようなアトキンス男爵からな」

イザベラの腕は傷だらけだ。

それも全てアトキンス男爵から受けた暴力によるもの。

「お母さんが死んでから、お父さんが暴力ふるうようになって。きっと女が欲しいのよ」

「そうだな。父子家庭でよく耐えてきたな」

「執事もメイドもみんなお父さんの味方だった。私には頼れる人がいなかったの」


何と可哀想に。

きょうだいがいればまた違ったのだろうけども、イザベラは一人っ子。

「イザベラ。俺はイザベラの味方だ。俺は次期一国の主になる。そうだ。俺が国王になったら、必ずアトキンス男爵を国から追放してやるからな!」

「頼もしいわ、アンドリュー様」

イザベラが身体を押し付けてきた。

イザベラは胸が小さい。まるでまな板だ。

しかし、アンドリューはそれで良かった。


骨と皮しかない位痩せているイザベラ。

きっとアトキンス男爵に食べさせて貰えなかったのだろう。


「大丈夫だ。イザベラ。ここへ来れば好きなものが好きなだけ食べられる。少しは太れるだろうな」


イザベラはいつも言っている。


「また痩せちゃった」と。

アンドリューは痩せ型の女性が好きだった。

キャサリンは胸はあるが、若干ふくよかだ。


俺はおっぱい星人なんかじゃねぇ!!


世の中にはおっぱいフェチが多い。

三男のアレックスは大のおっぱいフェチ。

アンドリューはそんなアレックスの気持ちが理解できなかった。


胸の大きい奴は大概デブが多いんだよな。

俺はデブが大嫌いだ。


「胸なんかなくても、乳揉みはできるからよ。なあ、イザベラ」

「はい。アンドリュー王太子殿下」


「俺は哀れだ。生まれた時から既に婚約者が決められていたんだ。ナターシャやアレックスやクレインは婚約者が決められてない! なぜ俺だけが貧乏くじ引かなきゃならないんだ?」

「そうですよね。アンドリュー様。婚約者は自分の意志で決めたいですよね」


「まぁ、親父も政略結婚だったみたいだけどな」


「なぜ、クレイン王子殿下とアレックス王子殿下、ナターシャ王女殿下には婚約者はいらっしゃらないのです?」

「ああ。いない。ナターシャは女だから。それに俺は第一王子だから……らしい。何だこの兄弟間のヒエラルキーはよ!」

アンドリューはテーブルを勢いよく蹴った。

「あー、腹立つ!!」

葉巻を取り出し、火をつけた。


「王太子殿下。私には婚約者はいませんでした。生涯独身だと思っていましたわ。果ては天涯孤独に」


貴族で天涯孤独とは聞いた事が無い。

「イザベラ。お前は親戚も頼れなったんだな」

「はい。父方は絶縁関係、お母さん方の叔母は病弱でどうしようもできなくて」

「そうか。お父さん方は絶縁関係だったか……」


絶縁関係など貴族にしては珍しい。


「そんな私はトラウマがあるんですの」

「何だい?」

「マルシアババアがお母さんの髪の毛を掴んで部屋中引きずり回していたんです」


「マルシアババアって?」

「お父さんのお母さん」

「それは酷いな」


「そんなマルシアババアも娘に馬車で山の中に捨てられたんですの」


「だろうな」



「私…」

「どうしたんだい、イザベラ」


「お母さん方の親戚は侯爵なんです」


「ああ。知っているよ。アトラス侯爵だろ?」

「お母さん。死ぬ前に私に1,000万ソトくれようとしたけれど、お父さんに取り上げられたの」


「気の毒に。でも、大丈夫さ。俺と結婚したら、ドレスも宝石も好きなようにしていいんだからな」


「ありがとうございますわ、王太子殿下」


「食べ物も好きなものを沢山食べると良いぞ!」


ああ。そうさ。

このお金はこの国の税金なんだからな。

でも、それでもまだ税収は少ない。

俺が国王になったら、税金をおもいっきり上げて弱者切り捨ての国政をしよう。

福祉。笑止千万。そんなものは必要無い。


俺とイザベラだけが贅沢できればそれで良いのだ。


城も他国に比べて狭い。

もっと広くしたい。


そして、色々な国を旅行し、装飾品ももっと派手に。

美味しいものも沢山食べる。




「なあ、イザベラ」

「はい? なんでしょうか?」


「俺が国王になったら、もっともっと税金を上げる。そうしたら、お前をもっとしあわせにしてあげる事ができる」

「まあ、ありがとうございますわ」


「イザベラ。お前が好きなのは細身というところだけじゃあないよ。お前の天然なところも好きだ」

「ありがとうございます」


「それから……イザベラいつも同じ服を着ているけれど、金が無いのかい?」


「いえ……お気に入りってだけで」


「そうか。髪はいつも自分で切っているのか?」


「はい」


「やっぱりお金が無いのか。でも、大丈夫だ。王室に来ればお金に困る事はないからな。それに税金は不労所得だからな。わはははは」

アンドリューはイザベラの顎を持ち上げ、唇にキスをした。

あなたにおすすめの小説

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

[完結]裏切りの果てに……

青空一夏
恋愛
王都に本邸を構える大商会、アルマード男爵家の一人娘リリアは、父の勧めで王立近衛騎士団から引き抜かれた青年カイルと婚約する。 彼は公爵家の分家筋の出身で、政争で没落したものの、誇り高く優秀な騎士だった。 穏やかで誠実な彼に惹かれていくリリア。 だが、学園の同級生レオンのささやいた一言が、彼女の心を揺らす。 「カイルは優しい人なんだろ? 君が望めば、何でもしてくれるはずさ。 でも、それは――仕事だからだよ。結婚も仕事のうちさ。 だって、雇い主の命令に逆らえないでしょ? 君に好意がなくても、義務でそうするんだ」 その言葉が頭から離れないリリアは、カイルの同僚たちに聞き込み、彼に病気の家族がいると知った。「治療費のために自分と結婚するの?」 そう思い込んだリリアに、父母がそろって事故死するという不幸が襲う。 レオンはリリアを惑わし、孤立させ、莫大な持参金を持って自分の元へ嫁ぐように仕向けるのだった。 だが、待っていたのは愛ではなく、孤独と裏切り。 日差しの差さない部屋に閉じ込められ、心身を衰弱させていくリリア。 「……カイル、助けて……」 そう呟いたとき。動き出したのは、かつて彼女を守ると誓った男――カイル・グランベルだった。そしてリリアも自らここを抜けだし、レオンを懲らしめてやろうと決意するようになり…… 今、失われた愛と誇りを取り戻す物語が始まる。

「仕方ない」には疲れました ~三年続いた白い結婚を終わらせたら、辺境公爵の溺愛が待っていました~

ゆぷしろん
恋愛
 「仕方ない」と白い結婚に耐え続けていた伯爵夫人エリス。  彼女の誕生日、夫は幼なじみのセシリアを屋敷に連れ帰り、エリスが大切にしてきた猫を彼女に見せろと言う。冷めた晩餐の前で心が折れたエリスは、ついに離縁を宣言し実家へ戻った。  彼女の薬草知識と領地経営の才は、北方を守る公爵ディートリヒが目を留める。流行り病に苦しむ公爵領を救うため奮闘するエリスは、初めて努力を認められ、大切に扱われる喜びを知っていく。一方で彼女を失った元夫の伯爵家は傾き、身勝手な幼なじみの嘘も暴かれて――。  我慢をやめた傷心令嬢が、辺境公爵に溺愛され、自分らしい幸せを選び直す逆転愛されファンタジー。

私を欠陥品と呼ぶ執事長が鬱陶しいので、侯爵夫人として排除することにしました

菖蒲月(あやめづき)
ファンタジー
「欠陥品に払う敬意など無い」 結婚後もそう言って嫌がらせを続けるのは、侯爵家の執事長。 どうやら私は、幼少期の病が原因で、未だに“子を産めない欠陥品”扱いされているらしい。 ……でも。 正式に侯爵夫人となった今、その態度は見過ごせませんわね。 証拠も揃ったことですし、そろそろ排除を始めましょうか。 静かに怒る有能侯爵夫人による、理性的ざまぁ短編。 ________________________________ こちらの作品は「小説家になろう」にも投稿しています。

【完結】婚約破棄したのに殿下が何かと絡んでくる

冬月光輝
恋愛
「お前とは婚約破棄したけど友達でいたい」 第三王子のカールと五歳の頃から婚約していた公爵令嬢のシーラ。 しかし、カールは妖艶で美しいと評判の子爵家の次女マリーナに夢中になり強引に婚約破棄して、彼女を新たな婚約者にした。 カールとシーラは幼いときより交流があるので気心の知れた関係でカールは彼女に何でも相談していた。 カールは婚約破棄した後も当然のようにシーラを相談があると毎日のように訪ねる。

あなたと別れて、この子を生みました

キムラましゅろう
恋愛
約二年前、ジュリアは恋人だったクリスと別れた後、たった一人で息子のリューイを生んで育てていた。 クリスとは二度と会わないように生まれ育った王都を捨て地方でドリア屋を営んでいたジュリアだが、偶然にも最愛の息子リューイの父親であるクリスと再会してしまう。 自分にそっくりのリューイを見て、自分の息子ではないかというクリスにジュリアは言い放つ。 この子は私一人で生んだ私一人の子だと。 ジュリアとクリスの過去に何があったのか。 子は鎹となり得るのか。 完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。 ⚠️ご注意⚠️ 作者は元サヤハピエン主義です。 え?コイツと元サヤ……?と思われた方は回れ右をよろしくお願い申し上げます。 誤字脱字、最初に謝っておきます。 申し訳ございませぬ< (_"_) >ペコリ 小説家になろうさんにも時差投稿します。

あの子を好きな旦那様

はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」  目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。 ※小説家になろうサイト様に掲載してあります。