【完結】義理の妹のために婚約破棄になりましたが、なぜか王太子に愛されました。

hikari

文字の大きさ
6 / 17

到着

しおりを挟む
街並みはバテス領に到着。

馬車は東へ東へ。


そして、修道院らしき荘厳な造りの建物が目に入った。

「お嬢様。修道院へ到着しましたよ」

「ありがとう、ハンス」


何の偶然なのだろう、御者の名前もハンスという。

しかし、御者のハンスは良い人。

悪人のハンスはヴェルナルド公爵の令息のハンス。

大違い。


ステファニーは馬車を降りた。


そこに立っていたのは背が高く太った中年の女性だった。

修道女の一人かもしれない。


礼儀正しくしなくては!!

「えと……初めまして。ステファニー・アルバラードです。宜しくお願い致しますわ」

「よろしく。私の名前はサリサ。ここの修道女の長を務めてるわ。では参りましょう、ステファニー」

どっしりとしたアルトの声を出し、案内を始めた。

いきなり呼び捨て……。

ステファニーはたじろいでしまった。


「さあ、来て」

サリサに促されるまま、修道院の中に入る。


修道院の中は厳かな空気に包まれていた。

しかし、それとはうらはらにこの修道院は先輩後輩の関係が顕著だ。


(先輩の怒りを買わないようにしないと) 

内心震えていた。


サリサは後ろを振り返った。

「あなたが貴族の令嬢だということはわかるわ。しかしね、この修道院には掟があるの。私の言うことには絶対に服従よ。わかったわね」

「は、はい」

「は、はいじゃない!」

「はい」

「声が小さい」

「はい」

返事一つまで細かい修道院。


貴族令嬢のステファニーとしてはこのような厳しい先輩後輩の関係は学園以来だ。


修道院の奥には何人かの修道女がいた。

サリサはひたすら奥へ奥へと歩く。


「皆さん」

サリサは手を2回叩いた。

修道女たちがこちらを振り向く。

皆、目つきのきつい人たちだった。


ステファニーはますます萎縮してしまった。


「紹介するわね。新入りよ。さあ、自己紹介しなさい」

サリサが肘でつついてきた。


「初めまして。新しくこちらの修道院に着任しましたステファニー・アルバラードと申します。宜しくお願い致します」

声が震えている。


すると、先輩に当たる修道女たちがクスクスと笑いだした。

(何がおかしいの?)

「初めまして。ここの修道院の修道女、ナリー」

「私はティサ」

「私はクレア」

「私はミト」

「私はカリナ」

5人の修道女が挨拶をした。

皆、毅然とした態度だった。


その態度がまた恐怖を煽る。


先輩後輩の関係が顕著という事は当然いじめもある。

先輩がかわいがってくれる……そんな事は期待しない方が良い。


ステファニーは学園時代に先輩からいびられていた事を思い出した。

恐らく、ここもそう。


ステファニーは覚悟を決めた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

【完結】追放の花嫁は溺愛に不慣れです!

白雨 音
恋愛
「彼女が住む処、必ず亡びが訪れるでしょう!」 結婚式当日、神のお告げにより、王太子アンドレと公爵令嬢ヴァレリーの結婚は 取り止めとなった。王太子妃どころか、一転、追放の身となったヴァレリー。 追放先として送られたのは、地図でも見落とす程の小国、ヴァンボエム王国。 そこでは何故か歓迎を受けて…?? 異世界恋愛、短編、全14話☆《完結しました》

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

役立たずのお飾り令嬢だと婚約破棄されましたが、田舎で幼馴染領主様を支えて幸せに暮らします

水都 ミナト
恋愛
 伯爵令嬢であるクリスティーナは、婚約者であるフィリップに「役立たずなお飾り令嬢」と蔑まれ、婚約破棄されてしまう。  事業が波に乗り調子付いていたフィリップにうんざりしていたクリスティーヌは快く婚約解消を受け入れ、幼い頃に頻繁に遊びに行っていた田舎のリアス領を訪れることにする。  かつては緑溢れ、自然豊かなリアスの地は、土地が乾いてすっかり寂れた様子だった。  そこで再会したのは幼馴染のアルベルト。彼はリアスの領主となり、リアスのために奔走していた。  クリスティーナは、彼の力になるべくリアスの地に残ることにするのだが… ★全7話★ ※なろう様、カクヨム様でも公開中です。

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

実家を追放された地味令嬢、呪われた『氷の騎士』様の元へ身代わり婚。枯れた庭を癒やしていたら、旦那様の呪いも解いてしまい溺愛ルート突入です!

黒崎隼人
恋愛
「貴方の庭を、救わせてください」 実家で空気のように扱われてきた地味な伯爵令嬢リゼット。 彼女は、妹の身代わりとして「氷の騎士」と恐れられる呪われた侯爵、ギルバートの元へ厄介払いされる。 待っていたのは、荒れ果てた屋敷と、死に絶えた庭園。 そして、呪いに蝕まれ、心を閉ざした孤独な騎士だった。 しかし、リゼットには秘密があった。 触れるだけで植物を蘇らせる「癒やしの力」。 彼女がこっそりと庭を再生させていくうちに、頑なだったギルバートの心も次第に溶かされていき――? 「リゼット、君は俺の誇りだ」 これは、虐げられた令嬢が荒野を緑の楽園に変え、最強の騎士に溺愛される、再生と幸福の物語。

「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう

ムラサメ
恋愛
​漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。 死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。 しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。 向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。 一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?

処理中です...