13 / 17
王宮へ
しおりを挟む
ステファニーは王宮へ行く事になった。
王宮にはジェラールがいた。
「ようこそ。ステファニー・アルバラードさん」
ジェラールは手を差し出した。
ステファニーも手を差し出した。
「では、応接間へ来て下さい」
ステファニーはジェラールについて行った。
広い宮殿の中。
ジェラールから離れてしまったら、迷子になってしまう。
ジェラールにぴたりとくっつき、歩く。
足音が辺りに響き渡る。
廊下には彫刻が並べられている。
「ここだよ」
ジェラールは部屋のドアを抑えた。
「失礼します」
ステファニーは応接間の中へ入った。
「今日は僕と二人きりさ」
ジェラールは笑ってみせた。
「王太子殿下。お招き頂いてありがとうございます」
「こちらこそ、お忙しい中来てくれてありがとう」
ジェラールの穏やかなバリトンの声に癒やされる。
「手紙には驚きました。わたくしの歌に感動された……とか」
「そうだよ。きみの歌声に惚れたんだ。歌が上手いね」
「わたくし、歌しか取り柄ないんです。八重歯があって歯並びガタガタですし、それに、たらこ唇ですし」
「そこが気に入ったんだよ。歯並び悪いだなんて、僕としては八重歯は可愛いよ。それに、厚い唇はセクシーで好きだ」
「そうなんですか」
「うん、そうだよ」
この唇が良いだなんて言ってくれたのはジェラールが初めて。
ハンスからはからかわれていた。
「きみはハンスと婚約破棄したんだよね?」
「はい、そうですが」
ハンスとステファニーが婚約していたのは国中の王侯貴族が知っていた。
「ハンスはきみの妹、ジュリエットと結婚したね。でも、そのジュリエットも婚約者がいたみたいじゃないか」
「そうです。ジュリエットはアトラス伯爵の令息、チャーリーと婚約していました」
「酷い話だね。ジュリエットはきみだけでなく、チャーリーの事も裏切ったのだから」
本当にそう思う。
「チャーリーも気の毒です」
「そうだよね。でも、安心して。チャーリーは新たに男爵令嬢と婚約したみたいだから」
ステファニーが市井に出てからというもの、アヴィーコ王国の王侯貴族の話は全くわからなくなっていた。
「良かったですわ。チャーリー」
「きみにも新しい婚約相手が必要みたいだね」
(もう結婚なんてウンザリ。このまま一生独身でも悔いないわ)
「そう……ですか? でも、わたくしは独身でも十分過ぎるほどしあわせですので……その……婚約者なんていなくても間に合っていますので」
「そんな事言わないで!!」
ピシャリと言われた。
「失礼しました。王太子殿下がお望みなら、わたくしはどなたでもお見合い致しますわ」
笑顔を繕った。
「きみの新しい婚約者。それはね……僕……じゃ駄目かな?」
王宮にはジェラールがいた。
「ようこそ。ステファニー・アルバラードさん」
ジェラールは手を差し出した。
ステファニーも手を差し出した。
「では、応接間へ来て下さい」
ステファニーはジェラールについて行った。
広い宮殿の中。
ジェラールから離れてしまったら、迷子になってしまう。
ジェラールにぴたりとくっつき、歩く。
足音が辺りに響き渡る。
廊下には彫刻が並べられている。
「ここだよ」
ジェラールは部屋のドアを抑えた。
「失礼します」
ステファニーは応接間の中へ入った。
「今日は僕と二人きりさ」
ジェラールは笑ってみせた。
「王太子殿下。お招き頂いてありがとうございます」
「こちらこそ、お忙しい中来てくれてありがとう」
ジェラールの穏やかなバリトンの声に癒やされる。
「手紙には驚きました。わたくしの歌に感動された……とか」
「そうだよ。きみの歌声に惚れたんだ。歌が上手いね」
「わたくし、歌しか取り柄ないんです。八重歯があって歯並びガタガタですし、それに、たらこ唇ですし」
「そこが気に入ったんだよ。歯並び悪いだなんて、僕としては八重歯は可愛いよ。それに、厚い唇はセクシーで好きだ」
「そうなんですか」
「うん、そうだよ」
この唇が良いだなんて言ってくれたのはジェラールが初めて。
ハンスからはからかわれていた。
「きみはハンスと婚約破棄したんだよね?」
「はい、そうですが」
ハンスとステファニーが婚約していたのは国中の王侯貴族が知っていた。
「ハンスはきみの妹、ジュリエットと結婚したね。でも、そのジュリエットも婚約者がいたみたいじゃないか」
「そうです。ジュリエットはアトラス伯爵の令息、チャーリーと婚約していました」
「酷い話だね。ジュリエットはきみだけでなく、チャーリーの事も裏切ったのだから」
本当にそう思う。
「チャーリーも気の毒です」
「そうだよね。でも、安心して。チャーリーは新たに男爵令嬢と婚約したみたいだから」
ステファニーが市井に出てからというもの、アヴィーコ王国の王侯貴族の話は全くわからなくなっていた。
「良かったですわ。チャーリー」
「きみにも新しい婚約相手が必要みたいだね」
(もう結婚なんてウンザリ。このまま一生独身でも悔いないわ)
「そう……ですか? でも、わたくしは独身でも十分過ぎるほどしあわせですので……その……婚約者なんていなくても間に合っていますので」
「そんな事言わないで!!」
ピシャリと言われた。
「失礼しました。王太子殿下がお望みなら、わたくしはどなたでもお見合い致しますわ」
笑顔を繕った。
「きみの新しい婚約者。それはね……僕……じゃ駄目かな?」
1
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!
みかぼう。
恋愛
地方を救おうとして『反逆者』に仕立て上げられ、断頭台で散ったエリアナ・ヴァルドレイン。
彼女の失敗は、有能すぎるがゆえに「独りで背負いすぎたこと」だった。
ループから始まった二周目。
彼女はこれまで周囲との間に引いていた「線」を、踏み越えることを決意した。
「お父様、私に『線を引け』と教えた貴方に、処刑台から見た真実をお話しします」
「殿下、私が貴方の『目』となります。王国に張り巡らされた謀略の糸を、共に断ち切りましょう」
淑女の仮面を脱ぎ捨て、父と王太子を「共闘者」へと変貌させる政争の道。
未来知識という『目』を使い、一歩ずつ確実に、破滅への先手を取っていく。
これは、独りで戦い、独りで死んだ令嬢が、信頼と連帯によって王国の未来を塗り替える――緻密かつ大胆なリベンジ政争劇。
「私を神輿にするのなら、覚悟してくださいませ。……その行き先は、貴方の破滅ですわ」
(※カクヨムにも掲載中です。)
「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜
鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アリシア・ルナミアは、幼い頃から「癒しの聖女」として育てられ、オルティア王国の王太子ヴァレンティンの婚約者でした。
しかし、王太子は平民出身の才女フィオナを「真の聖女」と勘違いし、アリシアを「偽りの聖女」「無能」と罵倒して公衆の面前で婚約破棄。
王命により、彼女は辺境の荒廃したルミナス領へ追放されてしまいます。
絶望の淵で、アリシアは静かに真実を思い出す。
彼女の本当の能力は「呪い解き」——呪いを吸い取り、無効化する最強の力だったのです。
誰も信じてくれなかったその力を、追放された土地で発揮し始めます。
荒廃した領地を次々と浄化し、領民から「本物の聖女」として慕われるようになるアリシア。
一方、王都ではフィオナの「癒し」が効かず、魔物被害が急増。
王太子ヴァレンティンは、ついに自分の誤りを悟り、土下座して助けを求めにやってきます。
しかし、アリシアは冷たく拒否。
「私はもう、あなたの聖女ではありません」
そんな中、隣国レイヴン帝国の冷徹皇太子シルヴァン・レイヴンが現れ、幼馴染としてアリシアを激しく溺愛。
「俺がお前を守る。永遠に離さない」
勘違い王子の土下座、偽聖女の末路、国民の暴動……
追放された聖女が逆転し、究極の溺愛を得る、痛快スカッと恋愛ファンタジー!
魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
【完結済】冷血公爵様の家で働くことになりまして~婚約破棄された侯爵令嬢ですが公爵様の侍女として働いています。なぜか溺愛され離してくれません~
北城らんまる
恋愛
**HOTランキング11位入り! ありがとうございます!**
「薄気味悪い魔女め。おまえの悪行をここにて読み上げ、断罪する」
侯爵令嬢であるレティシア・ランドハルスは、ある日、婚約者の男から魔女と断罪され、婚約破棄を言い渡される。父に勘当されたレティシアだったが、それは娘の幸せを考えて、あえてしたことだった。父の手紙に書かれていた住所に向かうと、そこはなんと冷血と知られるルヴォンヒルテ次期公爵のジルクスが一人で住んでいる別荘だった。
「あなたの侍女になります」
「本気か?」
匿ってもらうだけの女になりたくない。
レティシアはルヴォンヒルテ次期公爵の見習い侍女として、第二の人生を歩み始めた。
一方その頃、レティシアを魔女と断罪した元婚約者には、不穏な影が忍び寄っていた。
レティシアが作っていたお守りが、実は元婚約者の身を魔物から守っていたのだ。そんなことも知らない元婚約者には、どんどん不幸なことが起こり始め……。
※ざまぁ要素あり(主人公が何かをするわけではありません)
※設定はゆるふわ。
※3万文字で終わります
※全話投稿済です
婚約破棄されましたが、辺境で最強の旦那様に溺愛されています
鷹 綾
恋愛
婚約者である王太子ユリウスに、
「完璧すぎて可愛げがない」という理不尽な理由で婚約破棄を告げられた
公爵令嬢アイシス・フローレス。
――しかし本人は、内心大喜びしていた。
「これで、自由な生活ができますわ!」
ところが王都を離れた彼女を待っていたのは、
“冷酷”と噂される辺境伯ライナルトとの 契約結婚 だった。
ところがこの旦那様、噂とは真逆で——
誰より不器用で、誰よりまっすぐ、そして圧倒的に強い男で……?
静かな辺境で始まったふたりの共同生活は、
やがて互いの心を少しずつ近づけていく。
そんな中、王太子が突然辺境へ乱入。
「君こそ私の真実の愛だ!」と勝手な宣言をし、
平民少女エミーラまで巻き込み、事態は大混乱に。
しかしアイシスは毅然と言い放つ。
「殿下、わたくしはもう“あなたの舞台装置”ではございません」
――婚約破棄のざまぁはここからが本番。
王都から逃げる王太子、
彼を裁く新王、
そして辺境で絆を深めるアイシスとライナルト。
契約から始まった関係は、
やがて“本物の夫婦”へと変わっていく――。
婚約破棄から始まる、
辺境スローライフ×最強旦那様の溺愛ラブストーリー!
酔っぱらい令嬢の英雄譚 ~チョコレートを食べていたら、いつの間にか第三王子を救っていたようです!~
ゆずこしょう
恋愛
婚約者と共に参加するはずだった、
夜会当日──
婚約者は「馬車の予約ができなかった」という理由で、
迎えに来ることはなかった。
そして王宮で彼女が目にしたのは、
婚約者と、見知らぬ女性が寄り添う姿。
領地存続のために婿が必要だったエヴァンジェリンは、
感情に流されることもなく、
淡々と婚約破棄の算段を立て始める。
目の前にあった美味しいチョコレートをつまみながら、
頭の中で、今後の算段を考えていると
別の修羅場が始まって──!?
その夜、ほんの少しお酒を口にしたことで、
エヴァンジェリンの評価と人生は、
思いもよらぬ方向へ転がり始める──
2月11日 第一章完結
2月15日 第二章スタート予定
実家を追放された地味令嬢、呪われた『氷の騎士』様の元へ身代わり婚。枯れた庭を癒やしていたら、旦那様の呪いも解いてしまい溺愛ルート突入です!
黒崎隼人
恋愛
「貴方の庭を、救わせてください」
実家で空気のように扱われてきた地味な伯爵令嬢リゼット。
彼女は、妹の身代わりとして「氷の騎士」と恐れられる呪われた侯爵、ギルバートの元へ厄介払いされる。
待っていたのは、荒れ果てた屋敷と、死に絶えた庭園。
そして、呪いに蝕まれ、心を閉ざした孤独な騎士だった。
しかし、リゼットには秘密があった。
触れるだけで植物を蘇らせる「癒やしの力」。
彼女がこっそりと庭を再生させていくうちに、頑なだったギルバートの心も次第に溶かされていき――?
「リゼット、君は俺の誇りだ」
これは、虐げられた令嬢が荒野を緑の楽園に変え、最強の騎士に溺愛される、再生と幸福の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる