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アナスタシアと共に

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秋空は今日は泣いている。

一粒一粒が地面を叩きつける。

秋の長雨とはよく言ったものだ。


この日はアナスタシアと会うことになっている。

生憎の雨。でも、ヴァレンティーナはピンクの傘を気に入っていた。


街に繰り出すのだ。

行商人たちが店を構えるのだ。


ヴァレンティーナは赤レンガの建物の前で待っている。

すると、アナスタシアがやってきた。


「お待たせ!!」

アナスタシアは今日は髪型を変えている。

ポニーテールしているのだ。

「アナスタシア」

「なあに?」

「今日の髪型、素敵よ」

「あはは。イメチェンしたの」

アナスタシアはお洒落に気を使う。


「今日はね、わたくしは美味しいものを探しに来たの」

ヴァレンティーナはグルメ通。

美味しいものは何でも知っている。

「今日は何を食べるの?」

「今日はホロホロのお肉よ」

ホロホロはヴァレンティーナの大好物。


「実はね、アナスタシア」

レオニード王子に気に入られた事を告白することにした。

「どうしたの?」

「わたくし……レオニード王子殿下とこの前デートしたの」

「え!? 本当に?」

「王子殿下、婚約者いたんですよね?」

「ええ、隣国の王女と聞いていたわ」

「それが、私がその王女様に似ているから……という理由で気に入られてしまったの」

「そうなんだ。うん、確かに似ているかもしれないわ」

「そうなの? アナスタシアはその王女様に会ったことあるの?」

「あるわ!」


「ねえ、その王女様ってわたくしみたいに鼻の穴が大きいの?」

「その通り!」


鼻の穴が大きいことはコンプレックスだ。

そのコンプレックスを愛してくれるだなんて……。


「でも、わたくしはわたくし、ジュリアン王女殿下では無いですわ」

「そうね。でも、面影を感じていて愛されたのだから、それはそれで良いのではないの?」

「そう……ね」


次第に雨は和らいできた。

「もう、傘、いらなそうね」

「そうだね」

二人は傘をすぼめた。


二人は街中を歩く。

曲がり角を曲がったところに丁度肉屋があった。


「あ! お肉屋さんよ!!」

アナスタシアが指さした。

「じゃあ、行こうか」

「うん」

二人はお肉屋さんに向かった。

「すみません。ホロホロ焼き2つ下さい」

「あいよ!! 600ソトだ」

「ここはわたくしが奢るわ」

ヴァレンティーナは600ソトを差し出した。

「毎度あり!」



「ねえ、今後どうするの? ヴァレンティーナ」

「そうねえ。また王宮に行くことになっているけれど、やはりレオニード王子殿下の誘いは断れないわ!」

「じゃあ、また二人で王宮に行きましょう!」

ヴァレンティーナはアナスタシアと王宮に行く約束をした。
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