4 / 14
新しい家
しおりを挟む
漁師町イマロームはせわしなく漁師たちが行き交っていました。
傾きかけた日差しがわたくしたちを照らします。
降ろされた場所は栄えた町でした。
パーシヴァルさんの家は木造の平屋建ての家でした。
木造の平屋建てはわたくしにとっては本当に珍しい。
ゲルソン邸は鉄筋でできていたからです。
「事情はルイスから伺いました。大変でしたね。はい。初めまして。私がパーシヴァルです」
大柄で茶髪。頭がもじゃもじゃな男性が自己紹介をしました。
「そして、こちらが妻のポリー」
同じく茶髪で焦げ茶色のショートヘア、ぽっちゃりした女性が頭を下げました。
「そしてこちらが息子のクリスだ」
輝くような金髪、スカイブルーの瞳、長身で細身、鼻筋が通っていて、厚い唇が特徴の男性が頭を下げました。
クリスと名乗る男性はなぜ金髪なのだろう? と一瞬私は思いました。
両親は茶髪でぽっちゃりしているというのに、両親に似ない人もいるんだなーとわたくしは感じました。
「我々は漁師です。漁で生計を立てています。早朝になったら、俺とクリスは漁にでかける。朝はポリーと共に朝食を食べると良いでしょう」
パーシヴァルはもじゃもじゃな頭を掻きながらそう言いました。
「初めまして。わたくしはゲルソン伯爵令嬢のリンダと申します。宜しくお願い致しますわ」
わたくしは深々とおじぎをしました。
「よろしくね、リンダ様」
突如、クリスさんがわたくしに手を差し出してきました。
え!?
握って良いの?
突然の出来事にわたくしはたじろいでしまいました。
「は……はい。クリス様」
わたくしは思わず様をつけてしまっいました。
服装はいかにも漁師らしい、いかつい格好をしていたものの、外見はどこかの王侯貴族のような風貌。
それでも彼はやはり漁師であり、平民なのです。
わたくしはクリスの手を握りました。
何だか……緊張しました。
異性の手を握るなんて…………。
身体中が熱くなるのを感じました。
「私はリンダ様の侍女のシンシアと申します。宜しくお願いします」
シンシアもまた一礼をしました。
「さあ、今日は長旅で疲れたことでしょう。ゆっくりしていくがよい」
「そうですわね。みな様。夕飯にしましょう」
そう言えばお腹がすいた。
気づけば夕刻。
今朝から何も食べていませんでした。
「さあ、中に入った入った!」
パーシヴァルさんが威勢よく言いました。
元気の良さはいかにも漁師らしい。
「あのー、パーシヴァルさん、ポリーさん、クリスさん」
「なんですか? リンダお嬢様」
「わたくしのことは『リンダ』と呼んでくださいませんか? それと、敬語もいりません」
「でも……それはできませんよ」
と、ポリーさん。
「わたくしはもうゲルソン伯爵家の人間ではありません。身分は既に剥奪されました。わたくしは平民です。平民に『様』も敬語も必要ありません」
「そうか……。リンダ様、いや、リンダがそれを望むならそうしよう」
「ありがとうございます!!」
わたくしはもう平民。
平民として生きる事に決めたのです。
「そして、明日は捕れた魚を市場に売りに行って欲しいんだ。クリスと一緒にな」
「「はい!!」」
これから漁師としての生活が始まります。
漁師として生きるのは新鮮味があります。
「夕食はこれから作りますわ」
「わたくしもお手伝いいたしますわ」
「私もです」
「ありがとう!!二人共」
わたくしは料理を作るのを手伝いました。
「はい、これを刻んで」
わたくしは不慣れな手で野菜を刻みました。
貴族令嬢。料理を作るのはいつも使用人たちの仕事でした。
シンシアは慣れた手付きで魚を切っていました。
「ここにミルクを入れてちょうだい」
わたくしは鍋にミルクを入れました。
――料理って楽しい!!
わたくしは料理に楽しさを感じました。
今後は平民と結婚して、平民として生きるのだから、料理を覚えないと!!
「ありがとう。できたわ!!」
食べ物は湯気を上げて美味しそうでした。
「さあ、テーブルに並べて!」
テーブルはゲルソン邸にあるテーブルよりも半分以上小さい。
(これが平民の生活なんだ)
わたくしはシンシアと共に食べ物をテーブルの上に並べました。
「さあ、席について」
わたくしは促されるまま、椅子に座りました。
「では、いただきます」
わたくしはスープを口に含みました。
美味しい!!
自分で作った料理がこんなに美味しいだなんて。
わたくしは感動しました。
「とっても美味しいですわ」
「ありがとう。貴族令嬢に家庭料理が気に入ってもらえて良かったよ」
平民の家庭料理にわたくしは心から感動しました。
わたくしは次に魚のフライを口にしました。
美味しっ!!
「ポリーさん、とても美味しいです」
すると、向かい側でクリスさんが笑いました。
クリスさんの笑顔、素敵……。
えくぼが特徴的だった。
やっぱり王子様みたい。
平民であるのが勿体無い!!
わたくしはそう思いました。
「私もこの魚のフライ美味しいと思いますわ」
シンシアも笑顔です。
「実は明日は僕が料理当番なんだ」
へぇー。
男の人でも料理するのね。
あー!!
わかった!!
漁師飯だ!!
わたくしはますます平民の暮らしが楽しく感じてきました。
「明日の朝は早い。今日はもう寝ると良い」
そうパーシヴァルさんが促してくれました。
わたくしは夕食のあと、寝ることにしました。
傾きかけた日差しがわたくしたちを照らします。
降ろされた場所は栄えた町でした。
パーシヴァルさんの家は木造の平屋建ての家でした。
木造の平屋建てはわたくしにとっては本当に珍しい。
ゲルソン邸は鉄筋でできていたからです。
「事情はルイスから伺いました。大変でしたね。はい。初めまして。私がパーシヴァルです」
大柄で茶髪。頭がもじゃもじゃな男性が自己紹介をしました。
「そして、こちらが妻のポリー」
同じく茶髪で焦げ茶色のショートヘア、ぽっちゃりした女性が頭を下げました。
「そしてこちらが息子のクリスだ」
輝くような金髪、スカイブルーの瞳、長身で細身、鼻筋が通っていて、厚い唇が特徴の男性が頭を下げました。
クリスと名乗る男性はなぜ金髪なのだろう? と一瞬私は思いました。
両親は茶髪でぽっちゃりしているというのに、両親に似ない人もいるんだなーとわたくしは感じました。
「我々は漁師です。漁で生計を立てています。早朝になったら、俺とクリスは漁にでかける。朝はポリーと共に朝食を食べると良いでしょう」
パーシヴァルはもじゃもじゃな頭を掻きながらそう言いました。
「初めまして。わたくしはゲルソン伯爵令嬢のリンダと申します。宜しくお願い致しますわ」
わたくしは深々とおじぎをしました。
「よろしくね、リンダ様」
突如、クリスさんがわたくしに手を差し出してきました。
え!?
握って良いの?
突然の出来事にわたくしはたじろいでしまいました。
「は……はい。クリス様」
わたくしは思わず様をつけてしまっいました。
服装はいかにも漁師らしい、いかつい格好をしていたものの、外見はどこかの王侯貴族のような風貌。
それでも彼はやはり漁師であり、平民なのです。
わたくしはクリスの手を握りました。
何だか……緊張しました。
異性の手を握るなんて…………。
身体中が熱くなるのを感じました。
「私はリンダ様の侍女のシンシアと申します。宜しくお願いします」
シンシアもまた一礼をしました。
「さあ、今日は長旅で疲れたことでしょう。ゆっくりしていくがよい」
「そうですわね。みな様。夕飯にしましょう」
そう言えばお腹がすいた。
気づけば夕刻。
今朝から何も食べていませんでした。
「さあ、中に入った入った!」
パーシヴァルさんが威勢よく言いました。
元気の良さはいかにも漁師らしい。
「あのー、パーシヴァルさん、ポリーさん、クリスさん」
「なんですか? リンダお嬢様」
「わたくしのことは『リンダ』と呼んでくださいませんか? それと、敬語もいりません」
「でも……それはできませんよ」
と、ポリーさん。
「わたくしはもうゲルソン伯爵家の人間ではありません。身分は既に剥奪されました。わたくしは平民です。平民に『様』も敬語も必要ありません」
「そうか……。リンダ様、いや、リンダがそれを望むならそうしよう」
「ありがとうございます!!」
わたくしはもう平民。
平民として生きる事に決めたのです。
「そして、明日は捕れた魚を市場に売りに行って欲しいんだ。クリスと一緒にな」
「「はい!!」」
これから漁師としての生活が始まります。
漁師として生きるのは新鮮味があります。
「夕食はこれから作りますわ」
「わたくしもお手伝いいたしますわ」
「私もです」
「ありがとう!!二人共」
わたくしは料理を作るのを手伝いました。
「はい、これを刻んで」
わたくしは不慣れな手で野菜を刻みました。
貴族令嬢。料理を作るのはいつも使用人たちの仕事でした。
シンシアは慣れた手付きで魚を切っていました。
「ここにミルクを入れてちょうだい」
わたくしは鍋にミルクを入れました。
――料理って楽しい!!
わたくしは料理に楽しさを感じました。
今後は平民と結婚して、平民として生きるのだから、料理を覚えないと!!
「ありがとう。できたわ!!」
食べ物は湯気を上げて美味しそうでした。
「さあ、テーブルに並べて!」
テーブルはゲルソン邸にあるテーブルよりも半分以上小さい。
(これが平民の生活なんだ)
わたくしはシンシアと共に食べ物をテーブルの上に並べました。
「さあ、席について」
わたくしは促されるまま、椅子に座りました。
「では、いただきます」
わたくしはスープを口に含みました。
美味しい!!
自分で作った料理がこんなに美味しいだなんて。
わたくしは感動しました。
「とっても美味しいですわ」
「ありがとう。貴族令嬢に家庭料理が気に入ってもらえて良かったよ」
平民の家庭料理にわたくしは心から感動しました。
わたくしは次に魚のフライを口にしました。
美味しっ!!
「ポリーさん、とても美味しいです」
すると、向かい側でクリスさんが笑いました。
クリスさんの笑顔、素敵……。
えくぼが特徴的だった。
やっぱり王子様みたい。
平民であるのが勿体無い!!
わたくしはそう思いました。
「私もこの魚のフライ美味しいと思いますわ」
シンシアも笑顔です。
「実は明日は僕が料理当番なんだ」
へぇー。
男の人でも料理するのね。
あー!!
わかった!!
漁師飯だ!!
わたくしはますます平民の暮らしが楽しく感じてきました。
「明日の朝は早い。今日はもう寝ると良い」
そうパーシヴァルさんが促してくれました。
わたくしは夕食のあと、寝ることにしました。
17
あなたにおすすめの小説
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
公爵令嬢の一度きりの魔法
夜桜
恋愛
領地を譲渡してくれるという条件で、皇帝アストラと婚約を交わした公爵令嬢・フィセル。しかし、実際に領地へ赴き現場を見て見ればそこはただの荒地だった。
騙されたフィセルは追及するけれど婚約破棄される。
一度だけ魔法が使えるフィセルは、魔法を使って人生最大の選択をする。
【完結】婚約破棄は誰が為に?
春野オカリナ
恋愛
レイティア・クラレンス辺境伯爵令嬢は、第二王子マテウスと婚約していた。
いずれ結婚して辺境伯爵家を継ぐはずだったのだが、兄の王太子殿下が不貞を働き、婚約破棄になった。
しかも王太子の座を追われる事になり、マテウスが王太子になったのだが、レイティアでは、王太子妃としてやれないだろうと婚約を解消された。
新たに婚約者になったのは、元王太子の婚約者だったオフィーリア・ルクセンブルグ公爵令嬢だった。
この婚約解消は一体誰が何の目的て仕組んだ事なのか?
王宮で開かれた新王太子の婚約披露パーティーで真実が明らかにされる。
【完結】華麗に婚約破棄されましょう。~卒業式典の出来事が小さな国の価値観を変えました~
ゆうぎり
恋愛
幼い頃姉の卒業式典で見た婚約破棄。
「かしこまりました」
と綺麗なカーテシーを披露して去って行った女性。
その出来事は私だけではなくこの小さな国の価値観を変えた。
※ゆるゆる設定です。
※頭空っぽにして、軽い感じで読み流して下さい。
※Wヒロイン、オムニバス風
婚約破棄ですか? 無理ですよ?2
星宮歌
恋愛
『リィナ・マーシャル! 今度こそ、婚約破棄だ!』
今日も懲りずに、第二王子殿下のその言葉が響き渡り、誰も、それに見向きすることはなかった……。
前作『婚約破棄ですか? 無理ですよ?』の続編です。
前作を読んでいなくとも楽しめるように書いています。
わりと人気なので、前作を長編にしたものを書くか、続編を書くかで悩みましたが、続編を書くことに。
息抜き投稿で、7話完結です。
さぁ、それでは、お楽しみください。
婚約破棄ですね、わかりました。
織田智子
恋愛
婚約という名の搾取。
やっと逃れられますね。
定番婚約破棄ものです。
初めて書くもので、結構雑なところがあるかと思いますが、
ご了承ください。
9/4
変な終わり方のまま完結にしてしまっていたため、
一話追加して完結にしました。
後の出来事は、
ご想像にお任せします(笑)
読んでいただき、ありがとうございました。
【完結】さよなら、馬鹿な王太子殿下
花草青依
恋愛
ビーチェは恋人であるランベルト王太子の傍らで、彼の“婚約破棄宣言”を聞いていた。ランベルトの婚約者であるニナはあっさりと受け入れて去って行った。それを見て、上手く行ったと満足するビーチェ。しかし、彼女の目的はそれだけに留まらず、王宮の平和を大きく乱すのだった。 ■主人公は、いわゆる「悪役令嬢もの」のヒロインのポジションの人です ■画像は生成AI (ChatGPT)
その婚約破棄喜んで
空月 若葉
恋愛
婚約者のエスコートなしに卒業パーティーにいる私は不思議がられていた。けれどなんとなく気がついている人もこの中に何人かは居るだろう。
そして、私も知っている。これから私がどうなるのか。私の婚約者がどこにいるのか。知っているのはそれだけじゃないわ。私、知っているの。この世界の秘密を、ね。
注意…主人公がちょっと怖いかも(笑)
4話で完結します。短いです。の割に詰め込んだので、かなりめちゃくちゃで読みにくいかもしれません。もし改善できるところを見つけてくださった方がいれば、教えていただけると嬉しいです。
完結後、番外編を付け足しました。
カクヨムにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる