婚約破棄ですか? 理由は魔法のできない義妹の方が素直で可愛いから♡だそうです。

hikari

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隣国情勢

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隣国、ヴェルグランド王国が現在内乱にある事が専ら有名です。

革命軍と王室支持派の争い。

王室は障がい者や高齢者、また、貧困にある人たちに積極的に手を差し述べてきました。

それを快く思わない富裕層が反乱を起こしたのです。


そして、王族は殺害され、反乱軍優勢になってしまった……。


わたくしはこの隣国情勢を常に意識していました。


「ヴェルグランドから入ってきた情報だ。どうやら、不利だと言われていた王室支持派がどうやら勝利したみたいだ」

新聞を手にパーシヴァルさんが言いました。


「本当ですか?」

わたくしはやはり勝敗の行方には興味ありました。

「ああ」

「だけど、王族は皆殺害されてしまったんですよね?」

「そうだが……」


「では、王室支持派は誰を国王として擁立するんですか?」


「それだ。王室支持派の中から国王を選出するらしい」


「そうなんですか……」


「それにしても、気の毒な話だ。国王の一人息子、アレクサンダー王子は若干22歳の若さで殺害されたんだからな」


アレクサンダー王子はイケメンで聡明で優しいで有名。

そのアレクサンダー王子が亡くなっただなんて……。


「でも……私が聞いた中ではアレクサンダー王子の遺体が未だに見つからないとか」

横からポリーさんが入ってきました。

「いや、魔法で溶かされたって話だ」

「そんな!」

ポリーさんの顔が一瞬引きつりました。

「そんな魔法を使える人が革命軍にいたのですか?」

「ああ。王弟が革命軍についたみたいだからな。王弟の側近かなんかが魔法を使ったのだろう」

「そうですか……」


アレクサンダー王子の性格なら、弱者救済をしているはずです。


ああ、アレクサンダー王子……。


「今日は僕が料理当番なんだ」

そう言えばクリスさんが今日の料理当番だった。


「漁師のプライドをかけて腕を振るうよ」

クリスさんはウインクをして、厨房に入っていきました。


「クリスが作る魚料理はうまい。漁師の跡継ぎとしては文句無しだよ」


料理ができる!!


わたくしはクリスさんに惚れてしまいました。


平民でもいいわ。


わたくしの将来は漁師の嫁ね。


なーんて妄想をしていました。



「それにしても、隣国の内乱は収束に向かっているのね」

「ああ。王室支持軍が結局勝利を収めそうだよ」

「良かったわ。革命軍は『弱者は生かす必要ない』と言っていたからね」


そうらしい。

弱者を片っ端から強制収容所に閉じ込めようと考えていたのだから。

そんな革命軍が勝利しなくて良かったわ。


社会的弱者だって生きる権利はあるのだから。


「アレクサンダー王子は炊き出しなんかしていたからねぇ。真っ先に命を狙われるわねぇ」

アレクサンダー王子。

「国王陛下もいつも真っ先に弱者の事を思いやった」

「そうなんですね」

「ああ。王妃様も人格者だったよ」


わたくしはそんな王室が滅ぼされた事を遺憾に思いました。


「でも、王室支持派が勝ったんだから、弱者たちは守られるわ」

隣でただ頷いているだけだったシンシアが口を開きました。

「本当ね。革命軍も残酷だわ。障がい者に避妊を促すようにしていたのだから」


わたくしは障がい者が身近な存在でした。


学園時代に目の不自由な人が同じ学年にいました。


彼は障害があるというだけで隔離されていました。


しかも、彼は子爵家の長男。

本来ならば子爵家の次期当主になるはずが、障害があるというだけで子爵家の後継者から外されてしまいました。


しかし、ヴェルグランド王国にはそれがありません。

障がい者も一人の人間として尊重されているのです。


だから、障がい者と健常者が同じクラスで勉強をするというのも珍しい話では無いのです。


また、障害が余りにも酷い場合を除いて、王侯貴族の後継者となる事ができるのです。


障がい者に対する法整備がされているのです。


障害を理由に差別した場合、罰金刑が存在するのです。

そして、福祉も整っている国で障がい者は手厚く保護されています。


なんという温かい国。




その国をレイシストたちが支配しようとしていたのです。

  



弱者切り捨て





それを彼らは望んでいたのです。


そのきっかけは「我々の税金を弱者のために使うな」という考え。

弱者に税金が行けば、当然面白くないのが富裕層たち。


しかし、ヴェルグランドは富裕層への還元もしていました。


富裕層の人たちが災害などで被災した場合は勿論貧富に関わらず国の援助を受ける事ができました。


ヴェルグランド王国は火山大国。


火山が噴火した場合、誰もが恩恵を受ける事ができたのです。



ヴェルグランドはそれゆえ、富裕層を除いて幸福度も高い国でした。


その国で革命なのだから、わたくしは驚きました。


「ご飯、できましたよー」


クリスさんが料理を運んできました。


わたくしたちは食卓につきました。




いい匂いがする……。



魚とエビのフライに舌鼓をしました。


美味しい……。


クリスさんは料理が上手!!


わたくしはクリスさんに惚れてしまいました。


平民でもいいわ!

クリスさんの美味しい料理が食べられるのだから。



と、その時。

来客が来ました。


パーシヴァルさんが応対すると、鎧を身に纏った男性が3人立っていました。


「ヴェルグランド王国の者です」


わたくしは驚いてしまいました。

なぜヴェルグランド王国の兵士がこんな漁師町に?
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