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第二章 恋せよ女神
8.課題の発表
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「生徒会長、アリアドネ。
その可愛らしい見た目からは想像つかないほどの秀才により、類を見ない早さで上級生に。学園の生徒達のなかで最も"本当の"女神に近いと言われています。
しかし、アリアドネ様…通称アリア様はとっても謙虚な姿勢で高貴な美しさを物語って…」
「りょーちゃん、うるさい。」
「ハッ!私としたことが…!失礼しました。」
ありちゃんのことを丁寧に説明し始めたその女性、りょーちゃんさんは、ありちゃんに注意され狼狽えながら眼鏡を直した。
(前にりょーちゃんって言ってたのはありちゃんの妹のことだったんだ。)
すらりとした無駄のない佇まい、きっちりとまとめた黒髪。ありちゃんの甘い服装とは違う、シンプルなタイトワンピース姿の大人な女性。
ありちゃんと並ぶと、彼女のほうがお姉さまに見える。
「ちょうどいいや、皆に紹介するね。さっき私の名を呼んだその子は学園の新しい仲間だよ!」
また僕に注目が集まる。なんだか居心地悪く、僕は苦笑いで手を振った。
「アリア様が今紹介されたのは、下級生である見習い女神セレナの妹、千華。通称ちーちゃん。」
りょーちゃんさんは何故通称まで発表するんだ。
ていうか、お姉さまって下級生だったんだ。
「ちーちゃん!」
「は、はいっ!」
ありちゃんに突然呼ばれ、僕は思わず敬語になった。
あの時のありちゃんとは違う。話し方も会ったときと比べて少し子供っぽさが少ないし、どこか落ち着いた雰囲気もある。今は生徒会長のアリア様なのだ。
「ちーちゃんなら、きっとすぐに見習い女神の下級生に昇級するよ!頑張ってね!」
(見習い女神に昇級!?)
そんなこと初めて聞いた。お姉さまのほうを見ると、先程の蛇の目はどこへ行ったのか、口を尖らせてとぼけた顔をしている。
「お姉さまっ!?」
「…。セレナお姉さま、でしょぉ?」
(誤魔化したっ!?)
「ふふ、仲良しさんだね!私も仲良しなの好きなんだ~。」
ありちゃ…いや、アリア様は、僕たちの様子を見て楽しそうに笑っているけど、お姉さまがアリア様に向ける目はどこか冷ややかだ。
「ということで!私は今学期の第1回目の課題をお伝えします!」
ということでって、どういうことで?
話の繋がりが全然わからないが、"課題"という言葉に反応して、皆がアリア様の声に耳を傾けた。
「1回目の課題は…『恋』!!!」
「さすがアリア様、素晴らしい…。」
…いや、いやいや。
全くもって何がなんだかわからないんだが。
りょーちゃんさんの読解力すごくないか?なんで涙まで拭っているんだ。
「りょーちゃん、私は学園が決めた課題を伝えているだけだよ。伝書鳩さんなんだよー?」
あ、そうなんだ。
確かに講堂には教師と思われるような人は見当たらない。僕が知ってる教師像とここの教師が同じとは限らないが…。この集まりには来ていないようだ。
(学園のシステム、まだ全然わからないや。)
「アリア様がお仕事を立派にこなすお姿が素晴らしいのです…!」
りょーちゃんさんは、ハンカチを口元に当てながら未だ目尻に涙を光らせている。
「相変わらず意味不明な課題を出すわぁ。」
お姉さまもよくわかっていないみたいで少しホッとした。
女神にわからないなら誰にもわかるまい。
(!!)
シュルシュルと音をたて、魔法のように何もつけてなかったはずの小指に何か現れた。
白いリボンが巻き付けられている。
動揺してるのは僕だけで、周りはいきなり現れたこれが何のことかわかっているようだ。
「さぁ、みんな。いつも通り今日から1週間の間に、課題の意味を理解して行動できたらそのリボンはほどけるよ!早くリボンが取れるほど評価は高いからねー!」
このリボンはそのためなんだ…。
でもこれ、何もしなくても引っ掛かったりしてすぐに取れちゃいそうだけど。
「簡単には取れないわよぉ。アリアの魔法は強力だもの。」
確かに試しに軽く引っ張ってもびくともしない。
(秀才というのは伊達じゃないってことか。)
「セレナお姉さまは、今まで何回か課題をやったことあるんですよね?」
「えぇ。」
「いつもコレなんですか?」
僕は自分の小指を見せて聞いた。
「違うわよ。その時課題を伝えた生徒会の上級生それぞれの魔法で印がつけられるのぉ。」
お姉さまによると、この学園は教師はめったに表に出てこず、上級生が下級生に指導をするというシステムらしい。
その上級生のなかで学園に選ばれたメンバーで構成された生徒会が、主体的に動くのだとか。
そして今回のように、生徒会は定期的に学園が決めた課題を伝える役目を負っている。
「姉も妹も関係なく、未来の女神であるならばいち早く課題の意味に気づけるはずだよ!」
姉も妹も関係なく…。
妹も未来の女神とやらに含まれるのは、さっきアリア様が僕に言った『見習い女神に昇級』という言葉でなんとなく察しがついた。
しかし、これは後でお姉さまにきっちりと説明してもらわなければ。
「今日の集会はこれで終わり!さぁ!恋せよ女神達!」
アリア様のかけ声で周りは一斉に動き出した。でも僕は座ったまま。まだ動こうとする気はない。
とぼけるお姉さまを逃がさないよう、腕を掴んだ。
「セレナお姉さま、説明してくれますよね?」
その可愛らしい見た目からは想像つかないほどの秀才により、類を見ない早さで上級生に。学園の生徒達のなかで最も"本当の"女神に近いと言われています。
しかし、アリアドネ様…通称アリア様はとっても謙虚な姿勢で高貴な美しさを物語って…」
「りょーちゃん、うるさい。」
「ハッ!私としたことが…!失礼しました。」
ありちゃんのことを丁寧に説明し始めたその女性、りょーちゃんさんは、ありちゃんに注意され狼狽えながら眼鏡を直した。
(前にりょーちゃんって言ってたのはありちゃんの妹のことだったんだ。)
すらりとした無駄のない佇まい、きっちりとまとめた黒髪。ありちゃんの甘い服装とは違う、シンプルなタイトワンピース姿の大人な女性。
ありちゃんと並ぶと、彼女のほうがお姉さまに見える。
「ちょうどいいや、皆に紹介するね。さっき私の名を呼んだその子は学園の新しい仲間だよ!」
また僕に注目が集まる。なんだか居心地悪く、僕は苦笑いで手を振った。
「アリア様が今紹介されたのは、下級生である見習い女神セレナの妹、千華。通称ちーちゃん。」
りょーちゃんさんは何故通称まで発表するんだ。
ていうか、お姉さまって下級生だったんだ。
「ちーちゃん!」
「は、はいっ!」
ありちゃんに突然呼ばれ、僕は思わず敬語になった。
あの時のありちゃんとは違う。話し方も会ったときと比べて少し子供っぽさが少ないし、どこか落ち着いた雰囲気もある。今は生徒会長のアリア様なのだ。
「ちーちゃんなら、きっとすぐに見習い女神の下級生に昇級するよ!頑張ってね!」
(見習い女神に昇級!?)
そんなこと初めて聞いた。お姉さまのほうを見ると、先程の蛇の目はどこへ行ったのか、口を尖らせてとぼけた顔をしている。
「お姉さまっ!?」
「…。セレナお姉さま、でしょぉ?」
(誤魔化したっ!?)
「ふふ、仲良しさんだね!私も仲良しなの好きなんだ~。」
ありちゃ…いや、アリア様は、僕たちの様子を見て楽しそうに笑っているけど、お姉さまがアリア様に向ける目はどこか冷ややかだ。
「ということで!私は今学期の第1回目の課題をお伝えします!」
ということでって、どういうことで?
話の繋がりが全然わからないが、"課題"という言葉に反応して、皆がアリア様の声に耳を傾けた。
「1回目の課題は…『恋』!!!」
「さすがアリア様、素晴らしい…。」
…いや、いやいや。
全くもって何がなんだかわからないんだが。
りょーちゃんさんの読解力すごくないか?なんで涙まで拭っているんだ。
「りょーちゃん、私は学園が決めた課題を伝えているだけだよ。伝書鳩さんなんだよー?」
あ、そうなんだ。
確かに講堂には教師と思われるような人は見当たらない。僕が知ってる教師像とここの教師が同じとは限らないが…。この集まりには来ていないようだ。
(学園のシステム、まだ全然わからないや。)
「アリア様がお仕事を立派にこなすお姿が素晴らしいのです…!」
りょーちゃんさんは、ハンカチを口元に当てながら未だ目尻に涙を光らせている。
「相変わらず意味不明な課題を出すわぁ。」
お姉さまもよくわかっていないみたいで少しホッとした。
女神にわからないなら誰にもわかるまい。
(!!)
シュルシュルと音をたて、魔法のように何もつけてなかったはずの小指に何か現れた。
白いリボンが巻き付けられている。
動揺してるのは僕だけで、周りはいきなり現れたこれが何のことかわかっているようだ。
「さぁ、みんな。いつも通り今日から1週間の間に、課題の意味を理解して行動できたらそのリボンはほどけるよ!早くリボンが取れるほど評価は高いからねー!」
このリボンはそのためなんだ…。
でもこれ、何もしなくても引っ掛かったりしてすぐに取れちゃいそうだけど。
「簡単には取れないわよぉ。アリアの魔法は強力だもの。」
確かに試しに軽く引っ張ってもびくともしない。
(秀才というのは伊達じゃないってことか。)
「セレナお姉さまは、今まで何回か課題をやったことあるんですよね?」
「えぇ。」
「いつもコレなんですか?」
僕は自分の小指を見せて聞いた。
「違うわよ。その時課題を伝えた生徒会の上級生それぞれの魔法で印がつけられるのぉ。」
お姉さまによると、この学園は教師はめったに表に出てこず、上級生が下級生に指導をするというシステムらしい。
その上級生のなかで学園に選ばれたメンバーで構成された生徒会が、主体的に動くのだとか。
そして今回のように、生徒会は定期的に学園が決めた課題を伝える役目を負っている。
「姉も妹も関係なく、未来の女神であるならばいち早く課題の意味に気づけるはずだよ!」
姉も妹も関係なく…。
妹も未来の女神とやらに含まれるのは、さっきアリア様が僕に言った『見習い女神に昇級』という言葉でなんとなく察しがついた。
しかし、これは後でお姉さまにきっちりと説明してもらわなければ。
「今日の集会はこれで終わり!さぁ!恋せよ女神達!」
アリア様のかけ声で周りは一斉に動き出した。でも僕は座ったまま。まだ動こうとする気はない。
とぼけるお姉さまを逃がさないよう、腕を掴んだ。
「セレナお姉さま、説明してくれますよね?」
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