34 / 41
第七章 インサイド
33.華は舞う
しおりを挟む
「ど、どうしてここに!?」
この誰もが気負けするような迫力ある圧を出せるひとはただ1人。
僕の目の前に来たのはお姉さまだった。
「チカが誘ったんじゃないのよぉ!」
「僕が!?」
「ほらっ!私以外にも学園中の生徒達を無差別に呼び寄せちゃってるじゃない。」
お姉さまが指し示した先には見知った顔が数人見えた。しかもなかには先生もいる。
「えっ!?どうして皆まで…。」
「あなたは今回初めてエゴに来たんだから力をコントロールできなくて当然でしょお!!」
(ヒィィ!)
久々に見た。怒り狂い般若のような姿になる怖すぎるお姉さま。
「メガイラ様のエゴから出ることだけを考えてて、周りの人たちも巻き込むとは思ってませんでした…。」
「まったく、勝手に私から離れた上に勝手にエゴに閉じ込められて勝手に力を解放して勝手に皆を巻き込むんだからぁ!」
(勝手にって何回言ったんだろ…。)
「話聞きなさいよぉ!!」
「ごっ、ごめんなさいっ。」
こうなったら平謝りしかない。
本当に脱出する以外何も考えてなかったのだから。
「セレナ、私が悪いのだからチカさんを責めないで。」
「メガイラ様…!」
「メガイラお姉さま!」
お姉さまの後ろからメガイラ様もやってきた。
「セレナの安い売り言葉に乗ってしまったわたしの責任よ。」
「そうよぉ!メガイラがあんなちゃちな脅しをするからよ?」
ピシッ
また二人の間に異様な空気が流れる。
一緒に過ごしてきた友達とは到底思えない。むしろ腐れ縁じゃないのか?
「お姉さま、セレナ様、落ち着いてくださいっ。」
「小娘は黙ってなさいよぉ。」
「私の妹に失礼な態度とらないでくれる?」
(ああ…。とにかくこの状況をどうにかしないと。)
お姉さまとメガイラ様はいつかと同じように火花が散らす。二人の剣幕に挟まれて震えてるローズは、まるで狼に挟まれて怯える子羊のようだ。
「お、お姉さま?とりあえずここから出ましょう?」
「なら、チカが早く出させなさいよ。」
(…あ、僕どうやって自分のエゴから出るかも知らないんだった。)
「…お姉さま…。」
僕がなにを言いたいかお姉さまはすぐに察したらしい。
ため息をついて僕を見下ろした。
「そんなことだろうと思ったわよ。」
「すみません…。」
「いいわ。どうやって現実に戻るか教えてあげる。」
お姉さまは僕の後ろに立ち、肩に手をそえた。
そして耳元で落ち着く声で話し始めた。
「この景色をよく見るの。それから目を閉じて、もといた教室を思い浮かべて。」
「…はい。」
「この空間にいる自分がだんだん大きくなるイメージで、景色のなかに溶けて一体化していくのを感じるの。」
「…はい?」
「まぁ難しく考えないで。あなたはここで溶けて教室で元に戻る。それだけを心に描きなさい。」
溶けて、戻る?
抽象的すぎてよくわからないが、難しく考えてしまうとエゴから出られないことを何となく理解した。
(この空間に来たときもそう。僕は必死で考えてなかった。ただ願っただけ…。)
お姉さまのエゴから出たときは波に飲まれたんだっけ。
それなら、僕は無限に広がる花畑に飲まれて外に戻ろう。
ーーザァッ
風が吹き、花が一斉に揺れる音が聞こえてきた。
風が僕らを包み込み、花の香りを濃くさせてゆく。
しばらくして、髪をなびかせていた風も、鼻をくすぐる香りも次第に薄れていった。
(風が…止んだ?)
そっと目を開けると、僕は教室のなかに立っていた。
「戻れた…?」
「やったじゃないチカ!」
呆然と立つ僕に、お姉さまは思いっきり抱きついてくる。
見回すと生徒も先生もいて、元の授業中の教室に戻ってきていた。
目の前には、ローズとメガイラ様も。
「ローズ…!」
「チカぁっ!良かった!」
みんな一緒にエゴを出られたことに安堵した。僕に駆け寄るローズの目には涙が浮かんでいる。
「ローズが助けてくれたおかげだよ。ありがとう。」
「何の話よぉ?」
「メガイラ様のエゴでちょっと危なかった時があって。その時ローズが助けてくれたんです。」
「そうだったの。」
あそこで体験したことを詳しく話すのはやめておこう。あれはメガイラ様の心のなかでもあるのだから。
お姉さまはローズに向き合った。
「ローズ、妹の力になってくれたこと感謝するわ。……ありがとう。」
「…セレナ様!」
(お姉さまがローズに感謝した!!)
「チカさん、本当にごめんなさいね…。」
メガイラ様は申し訳なさそうに僕に頭を下げる。僕は慌てて制止した。
「そんなことしないでください、全然大丈夫ですから!」
「けれど…。私はどう償ったらいいのかしら。」
「…メガイラ様。僕はメガイラ様とたまにお話しできたらいいなって思うんですけど、それでどうでしょう?」
「話?」
メガイラ様はきょとんと拍子抜けした表情で僕を見る。
「そんなことでいいの?」
「はい。それがいいんです。」
「チカはほんとぬるいわねぇ。そこはメガイラと似てるから話合うかもしれないわね。」
お姉さまは笑って僕とメガイラ様を見る。
メガイラ様がぬるいとかお姉さまの基準はどうなってるんだ。
「いいの?セレナ。」
「本人がそうしたいなら私は何も言わないわぁ。誰と話そうと私の妹であることは変わりないんだから!」
メガイラ様は一応許可をとろうとしてくれたが、お姉さまはそんな事気にせず堂々と答えた。
「な、なんか私の時と対応違くない?」
散々お姉さまの目の敵にされてきたローズは、自分の時との反応の違いに納得いかないよう。
(お姉さまはどれだけ口喧嘩しようと、なんだかんだメガイラ様を信用してるんだな。)
「君たち、エゴのコントロールがまだまだだよ。周りも巻き込むなんて言語道断、もっと練習したほうがいいね。」
先生が僕達によたよたと近づいてきた。
そしてお姉さまとメガイラ様に厳しい表情を向ける。
「妹達も一緒にエゴに行かせたのは、君たちの力を信頼してたからだよ?つまらないことで彼女らを危険にさらしたこと、よぉーく反省するんじゃな。」
「「……。」」
さすがのお姉さまも言い返すことはできず、メガイラ様と共に苦い表情を浮かべた。
「まぁ事故的にとはいえ、妹達が自身の力を引き出せたようだしの。そこは評価するよ。」
「ありがとうございます。」
「ふんっ。」
しゃんとするメガイラ様に対して、お姉さまはなんてふてぶてしいんだ。
「さぁさぁ、まだ授業は終わってないよ。次は傲慢なお嬢さんがエゴに誘う番だろう?今度はしっかりね。」
先生はそう言って、笑いながら僕達から離れていった。
お姉さまのこめかみには怒りマークが浮かんでいる。
「傲慢なお嬢さんですってぇ…!?なめるんじゃないわよ。
見てなさい!私の力の凄さを!!」
ふっと強めに息を吐いたと思ったら、辺りは一気に大荒れの海へと変わった。
空に浮かぶ大きな月が荒れ狂う波を照らしている。
僕達が立つ砂浜にも大波がやってきて、今にも飲み込まれそうになった。
「セレナっ!さっき先生にコントロールしろって言われたばかりじゃない。」
「あなたと違ってちゃんと力は加減できてるわよぉ。ちゃんと見てみなさいよ。」
押し寄せた波は僕達を避けて流れていった。
よく見ると僕達の周りだけ砂が乾いている。
「…さっきの仕返しってわけね?」
「これくらいいいでしょお?」
この女神様達の高度な喧嘩を前に、先程必死に力を使ったばかりの僕とローズは顔を見合わせた。
「なんか、私達とスケールが違うね。」
「ほんとに…。」
僕は遠くのほうを見た。
お姉さまのこの空間へ来るのは2回目だ。
以前は何がなんだかわからないうちに現実に引き戻されたが、今回は少し落ち着いて辺りを見渡せる。
(……あれは?)
遠くのほうに見えるのは崖の上に建つ大きな館。
お姉さまの気が晴れたところでエゴは消えてしまい、ちょうどチャイムも鳴って授業の終わりを告げた。
この誰もが気負けするような迫力ある圧を出せるひとはただ1人。
僕の目の前に来たのはお姉さまだった。
「チカが誘ったんじゃないのよぉ!」
「僕が!?」
「ほらっ!私以外にも学園中の生徒達を無差別に呼び寄せちゃってるじゃない。」
お姉さまが指し示した先には見知った顔が数人見えた。しかもなかには先生もいる。
「えっ!?どうして皆まで…。」
「あなたは今回初めてエゴに来たんだから力をコントロールできなくて当然でしょお!!」
(ヒィィ!)
久々に見た。怒り狂い般若のような姿になる怖すぎるお姉さま。
「メガイラ様のエゴから出ることだけを考えてて、周りの人たちも巻き込むとは思ってませんでした…。」
「まったく、勝手に私から離れた上に勝手にエゴに閉じ込められて勝手に力を解放して勝手に皆を巻き込むんだからぁ!」
(勝手にって何回言ったんだろ…。)
「話聞きなさいよぉ!!」
「ごっ、ごめんなさいっ。」
こうなったら平謝りしかない。
本当に脱出する以外何も考えてなかったのだから。
「セレナ、私が悪いのだからチカさんを責めないで。」
「メガイラ様…!」
「メガイラお姉さま!」
お姉さまの後ろからメガイラ様もやってきた。
「セレナの安い売り言葉に乗ってしまったわたしの責任よ。」
「そうよぉ!メガイラがあんなちゃちな脅しをするからよ?」
ピシッ
また二人の間に異様な空気が流れる。
一緒に過ごしてきた友達とは到底思えない。むしろ腐れ縁じゃないのか?
「お姉さま、セレナ様、落ち着いてくださいっ。」
「小娘は黙ってなさいよぉ。」
「私の妹に失礼な態度とらないでくれる?」
(ああ…。とにかくこの状況をどうにかしないと。)
お姉さまとメガイラ様はいつかと同じように火花が散らす。二人の剣幕に挟まれて震えてるローズは、まるで狼に挟まれて怯える子羊のようだ。
「お、お姉さま?とりあえずここから出ましょう?」
「なら、チカが早く出させなさいよ。」
(…あ、僕どうやって自分のエゴから出るかも知らないんだった。)
「…お姉さま…。」
僕がなにを言いたいかお姉さまはすぐに察したらしい。
ため息をついて僕を見下ろした。
「そんなことだろうと思ったわよ。」
「すみません…。」
「いいわ。どうやって現実に戻るか教えてあげる。」
お姉さまは僕の後ろに立ち、肩に手をそえた。
そして耳元で落ち着く声で話し始めた。
「この景色をよく見るの。それから目を閉じて、もといた教室を思い浮かべて。」
「…はい。」
「この空間にいる自分がだんだん大きくなるイメージで、景色のなかに溶けて一体化していくのを感じるの。」
「…はい?」
「まぁ難しく考えないで。あなたはここで溶けて教室で元に戻る。それだけを心に描きなさい。」
溶けて、戻る?
抽象的すぎてよくわからないが、難しく考えてしまうとエゴから出られないことを何となく理解した。
(この空間に来たときもそう。僕は必死で考えてなかった。ただ願っただけ…。)
お姉さまのエゴから出たときは波に飲まれたんだっけ。
それなら、僕は無限に広がる花畑に飲まれて外に戻ろう。
ーーザァッ
風が吹き、花が一斉に揺れる音が聞こえてきた。
風が僕らを包み込み、花の香りを濃くさせてゆく。
しばらくして、髪をなびかせていた風も、鼻をくすぐる香りも次第に薄れていった。
(風が…止んだ?)
そっと目を開けると、僕は教室のなかに立っていた。
「戻れた…?」
「やったじゃないチカ!」
呆然と立つ僕に、お姉さまは思いっきり抱きついてくる。
見回すと生徒も先生もいて、元の授業中の教室に戻ってきていた。
目の前には、ローズとメガイラ様も。
「ローズ…!」
「チカぁっ!良かった!」
みんな一緒にエゴを出られたことに安堵した。僕に駆け寄るローズの目には涙が浮かんでいる。
「ローズが助けてくれたおかげだよ。ありがとう。」
「何の話よぉ?」
「メガイラ様のエゴでちょっと危なかった時があって。その時ローズが助けてくれたんです。」
「そうだったの。」
あそこで体験したことを詳しく話すのはやめておこう。あれはメガイラ様の心のなかでもあるのだから。
お姉さまはローズに向き合った。
「ローズ、妹の力になってくれたこと感謝するわ。……ありがとう。」
「…セレナ様!」
(お姉さまがローズに感謝した!!)
「チカさん、本当にごめんなさいね…。」
メガイラ様は申し訳なさそうに僕に頭を下げる。僕は慌てて制止した。
「そんなことしないでください、全然大丈夫ですから!」
「けれど…。私はどう償ったらいいのかしら。」
「…メガイラ様。僕はメガイラ様とたまにお話しできたらいいなって思うんですけど、それでどうでしょう?」
「話?」
メガイラ様はきょとんと拍子抜けした表情で僕を見る。
「そんなことでいいの?」
「はい。それがいいんです。」
「チカはほんとぬるいわねぇ。そこはメガイラと似てるから話合うかもしれないわね。」
お姉さまは笑って僕とメガイラ様を見る。
メガイラ様がぬるいとかお姉さまの基準はどうなってるんだ。
「いいの?セレナ。」
「本人がそうしたいなら私は何も言わないわぁ。誰と話そうと私の妹であることは変わりないんだから!」
メガイラ様は一応許可をとろうとしてくれたが、お姉さまはそんな事気にせず堂々と答えた。
「な、なんか私の時と対応違くない?」
散々お姉さまの目の敵にされてきたローズは、自分の時との反応の違いに納得いかないよう。
(お姉さまはどれだけ口喧嘩しようと、なんだかんだメガイラ様を信用してるんだな。)
「君たち、エゴのコントロールがまだまだだよ。周りも巻き込むなんて言語道断、もっと練習したほうがいいね。」
先生が僕達によたよたと近づいてきた。
そしてお姉さまとメガイラ様に厳しい表情を向ける。
「妹達も一緒にエゴに行かせたのは、君たちの力を信頼してたからだよ?つまらないことで彼女らを危険にさらしたこと、よぉーく反省するんじゃな。」
「「……。」」
さすがのお姉さまも言い返すことはできず、メガイラ様と共に苦い表情を浮かべた。
「まぁ事故的にとはいえ、妹達が自身の力を引き出せたようだしの。そこは評価するよ。」
「ありがとうございます。」
「ふんっ。」
しゃんとするメガイラ様に対して、お姉さまはなんてふてぶてしいんだ。
「さぁさぁ、まだ授業は終わってないよ。次は傲慢なお嬢さんがエゴに誘う番だろう?今度はしっかりね。」
先生はそう言って、笑いながら僕達から離れていった。
お姉さまのこめかみには怒りマークが浮かんでいる。
「傲慢なお嬢さんですってぇ…!?なめるんじゃないわよ。
見てなさい!私の力の凄さを!!」
ふっと強めに息を吐いたと思ったら、辺りは一気に大荒れの海へと変わった。
空に浮かぶ大きな月が荒れ狂う波を照らしている。
僕達が立つ砂浜にも大波がやってきて、今にも飲み込まれそうになった。
「セレナっ!さっき先生にコントロールしろって言われたばかりじゃない。」
「あなたと違ってちゃんと力は加減できてるわよぉ。ちゃんと見てみなさいよ。」
押し寄せた波は僕達を避けて流れていった。
よく見ると僕達の周りだけ砂が乾いている。
「…さっきの仕返しってわけね?」
「これくらいいいでしょお?」
この女神様達の高度な喧嘩を前に、先程必死に力を使ったばかりの僕とローズは顔を見合わせた。
「なんか、私達とスケールが違うね。」
「ほんとに…。」
僕は遠くのほうを見た。
お姉さまのこの空間へ来るのは2回目だ。
以前は何がなんだかわからないうちに現実に引き戻されたが、今回は少し落ち着いて辺りを見渡せる。
(……あれは?)
遠くのほうに見えるのは崖の上に建つ大きな館。
お姉さまの気が晴れたところでエゴは消えてしまい、ちょうどチャイムも鳴って授業の終わりを告げた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる