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妻との再会
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「おっと!」
ムーンは慌てふためいて踏み込み、彼が転倒する前にかろうじて肘を掴むことに成功した。だが流石に、大の男一人を完全に支えることは難しい。意識の抜けた体はぐんにゃりと脱力して、棚の上に仰々しく飾られた、ガラスの花瓶に頭から突っ込みそうになった。
間一髪、ムーンは急いで手を伸ばし、花瓶を棚から取り上げる。同時にガイアモンドの足を軽く引っ掛けると、彼はガクッと膝を折り、音もなく床にへたり込んだ。衝撃でムーンも多少よろめきつつ、安堵の息を吐いて、花瓶を元の位置に戻そうとする。
その瞬間、ガチャリとドアが開いた。タブレットを小脇に抱えたレジーナが、社長室に踏み入り、辺りを見回す。彼女はすぐに、チェストに背を預けて座り込んでいるガイアモンドと、彼の前で立ち尽くしているムーンとを発見した。特に、花瓶という鈍器を持って佇んでいる後者を、彼女の目はバッチリと捉える。
「あの~、レジーナ?」
驚愕と嫌疑の表情を浮かべて固まっている彼女に、ムーンは恐る恐る声をかける。彼の背筋を、嫌な予感が駆け抜けた。何しろ、状況が悪過ぎる。これでは、まるでムーンがガイアモンドを撲殺したなどという、外聞の悪い誤解を招きかねないではないか。
彼は一筋の冷や汗を浮かべ、レジーナの抱いている思い違いを、どうにか解消しようと努める。
「レジーナ、違うんだ、これは」
「失礼しまぁす……キャァーーーッ!!!」
直後、彼女の後に続いてもう一人の秘書が、段ボールの乗った台車を押して現れた。秘書課で最も可愛いと噂の彼女は、レジーナと全く同じ光景を目にし、彼女と全く同じ結論に達したらしい。たちまちフロア全体を突き抜けるほどの、絹を裂く悲鳴が響き渡った。
* * *
濃紺のソファのアームに、ガイアモンドの長い足が投げ出されている。青いくまを濃く作った彼は、いつもの活力に溢れた姿から一転、魂でも抜けたようにぼんやりと身を投げ出していた。かろうじて瞼は開いているものの、喋る元気もないのか、沈黙を貫いたままでいる。時折寒そうに震えている彼に、ムーンは丁重に毛布をかけてやった。
「まさか、本当に熱を出しているとはね」
「今、医者を呼んだわ」
思わず独り言ちると、間髪を容れずにレジーナの声が飛び込んできた。
あの後、無事に誤解の解けた彼女は、すぐに状況に応じた的確な対処をしてくれた。未だに殺人現場に遭遇したと思って、取り乱していた後輩を宥めたり、悲鳴を聞いて駆け付けた社員を追い返したり。次に、ムーンと協力して、ガイアモンドをソファまで運んだ。尤も、スレンダーになっても尚怪力を発揮出来る彼女なら、ほとんど独力でもやってのけられたかも知れないが。
「社長、ここのところ本当に忙しかったから、体調を崩しても不思議はないわね」
仕立て直した緑のパンツにスマホを仕舞って、彼女は平然と宣う。ムーンは後ろめたさに耐えかねて、首の裏を掻いた。
「そうと知っていれば、もう少しストレスをかけないやり方が出来たんだけど」
「あら、珍しいわね、ムーン。よりによってあんたが反省?意外だわ。明日は隕石が降るかも」
ところが、彼の言い訳めいた告白にも、レジーナは全く耳を貸さない。無論、これまでのムーンの言動を鑑みれば、その反応も当然のものと分かる。しかし、長年一緒に働いてきたよしみとして、興味を持つふりくらいはしてくれてもいいのではないだろうか。あまりに呆気なくあしらわれたことに、彼は少々気分を害し補足しようとした。
「そうだ!」
突然、レジーナがハッと顔を上げて、彼の方を振り向く。機先を制されたムーンは、多少面食らって彼女を見た。
「この騒ぎで、すっかり忘れてたわ。ムーン、あなたに来客よ。奥様がいらしてるの」
「えっ?」
レジーナから告げられたのは、ムーンにとって完全に予想外の内容であった。瞠目して反問する彼に、レジーナは一つ頷いて付け加える。
「今すぐ話したいことがあるからって。第三会議室でお待ちよ」
「すぐに行く」
「社長は私に任せて、あなたはご家族と」
最後まで聞き終える前に、ムーンは駆け出し社長室を後にした。エレベーターのボタンを押すと、二つある内の片方が到着して、自動扉を開ける。乗り込む際に大きな革の鞄を持った何者かとすれ違い、箱の中に踏み入ってから、恐らくあれが医者だったのだろうと気付いた。だが、そんな考えも即座に心配と疑問の渦に押し流され、どこかへと消えてしまう。
妻のミヤが会社を訪れるなど、今までにないことだった。彼女はムーンの本名も、本当はどんな仕事をしているのかも知っている。だからこそ、家族を危険に晒したくないという彼の思いを汲んで、家の外では他人行儀な距離を保っていた。にも関わらず、それを破って直接会いにくるとは、一体何が起こったのだろう。一刻も早く話を聞きたくて、ムーンは下降の遅いエレベーターに苛立ちを抱く。
到着の音が鳴った。開きかけのドアの隙間を潜り抜けて、彼は第三会議室へと向かう。あまり行ったことのない場所だったが、分かりやすい案内表示のおかげで迷わず辿り着けた。
「ミヤさん!」
「マディー!」
ノックもせずに扉を開けると、椅子に腰掛けていた妻が慌てて立ち上がる。
「会ってくれると思わなかったわ。仕事が忙しいのかと……」
「君がここまで来るなんて、只事じゃないと思ったからね」
嬉しそうに近寄ってくる彼女に、ムーンは優しく微笑み返した。そして、彼女をエスコートし、元の椅子に座らせる。
彼女と顔を合わせるのは久しぶりだ。ここ数週間は仕事が立て込んでおり、隠れ家に寝泊まりする必要があったからである。
だが、そんなことにも慣れているミヤは、夫の不在にも平然とした様子を保ち続けている。というか考えてみれば、入籍する以前から、彼女が外的な要因で変化を遂げたところを目撃した経験がなかった。
ミヤは、あらゆる意味でムーンとは正反対の人物であった。身長は150センチにも満たず、代わりというわけでもないが、ふくふくした丸みのある体型をしている。生来の癖っ毛は、プラチナに近いグレージュで、洗練されたボブに切り揃えられていた。身に付けているのは、上品なピンクのフレアスカートに、コットン生地の白いブラウス。桜色のショールをふんわりと羽織って、頭にはフェルトの花があしらわれた、紫のクロッシェを被っている。同系色で揃えたヒールのないパンプスと、円形のかごバッグが、何とも言えずファンシーな雰囲気を醸していた。
良家の一人娘である彼女は、幼少期からふんだんに与えられた教育により、文句のつけようのない令嬢として青春時代を過ごした。あらゆる習い事、学術的知識、テーブルマナーを身に付け、一流の風格を纏った彼女の品行方正な言動は、ムーンと電撃的な結婚をしてからも、変わることなく魅力として輝き続けている。彼女の放つオーラは、魔法によって老化を防止し年齢不詳な容貌を実現しても尚、不自然に思わせない力を持っていた。
「ごめんなさいね、わざわざ……こんなところにまで通してもらっちゃって。後でレジーナさんにお礼を言わなくちゃ」
彼女は夫との唯一の共通点である、糸目を開いてラヴェンダー色の瞳を覗かせる。
「僕が伝えておくよ。というか、僕も初めて見たな、こんな部屋」
ムーンも向かいの椅子につきながら、ゆっくりと周囲を見回し、室内を隅々まで観察した。グレーのラグに漆喰風の壁紙という内装は、いかにも洒脱な会議室という印象だ。卓上にちんまりと並んだフェイクグリーンを、ムーンは何の気なしに弄ぶ。
「それで、何があった?」
「あのね、実は……って、あら?どうしたの?あなた、怪我したの?」
本題を切り出すと、ミヤはすぐに口を開いた。だが、寸前でムーンの額の絆創膏に気付いた彼女は、不審そうに眉を顰める。
「あぁ、いや、これは、大したことじゃないさ」
ムーンは急いで言い訳を紡ごうとしたが、中々上手い誤魔化しが思い付かなかった。何しろいきなりだった上に、彼女に問われるまで、怪我をしたことすら失念していたからである。
「ちょっと、頭から突っ込まされたっていうか、ドリブルされたっていうか」
「ど、ドリブル!?バスケの?」
「いや、別にもう平気だから……話を続けてくれ」
適当に説明すると、やや天然なところのあるミヤは意味不明な箇所で反応を示した。ムーンは強引にはぐらかしつつ、半ば無理矢理話の軌道を修正する。幸い、彼女も早く相談したい気分だったらしく、即座に意識を切り替えてくれた。
「実はね……アスカの様子が、おかしいの」
ムーンは慌てふためいて踏み込み、彼が転倒する前にかろうじて肘を掴むことに成功した。だが流石に、大の男一人を完全に支えることは難しい。意識の抜けた体はぐんにゃりと脱力して、棚の上に仰々しく飾られた、ガラスの花瓶に頭から突っ込みそうになった。
間一髪、ムーンは急いで手を伸ばし、花瓶を棚から取り上げる。同時にガイアモンドの足を軽く引っ掛けると、彼はガクッと膝を折り、音もなく床にへたり込んだ。衝撃でムーンも多少よろめきつつ、安堵の息を吐いて、花瓶を元の位置に戻そうとする。
その瞬間、ガチャリとドアが開いた。タブレットを小脇に抱えたレジーナが、社長室に踏み入り、辺りを見回す。彼女はすぐに、チェストに背を預けて座り込んでいるガイアモンドと、彼の前で立ち尽くしているムーンとを発見した。特に、花瓶という鈍器を持って佇んでいる後者を、彼女の目はバッチリと捉える。
「あの~、レジーナ?」
驚愕と嫌疑の表情を浮かべて固まっている彼女に、ムーンは恐る恐る声をかける。彼の背筋を、嫌な予感が駆け抜けた。何しろ、状況が悪過ぎる。これでは、まるでムーンがガイアモンドを撲殺したなどという、外聞の悪い誤解を招きかねないではないか。
彼は一筋の冷や汗を浮かべ、レジーナの抱いている思い違いを、どうにか解消しようと努める。
「レジーナ、違うんだ、これは」
「失礼しまぁす……キャァーーーッ!!!」
直後、彼女の後に続いてもう一人の秘書が、段ボールの乗った台車を押して現れた。秘書課で最も可愛いと噂の彼女は、レジーナと全く同じ光景を目にし、彼女と全く同じ結論に達したらしい。たちまちフロア全体を突き抜けるほどの、絹を裂く悲鳴が響き渡った。
* * *
濃紺のソファのアームに、ガイアモンドの長い足が投げ出されている。青いくまを濃く作った彼は、いつもの活力に溢れた姿から一転、魂でも抜けたようにぼんやりと身を投げ出していた。かろうじて瞼は開いているものの、喋る元気もないのか、沈黙を貫いたままでいる。時折寒そうに震えている彼に、ムーンは丁重に毛布をかけてやった。
「まさか、本当に熱を出しているとはね」
「今、医者を呼んだわ」
思わず独り言ちると、間髪を容れずにレジーナの声が飛び込んできた。
あの後、無事に誤解の解けた彼女は、すぐに状況に応じた的確な対処をしてくれた。未だに殺人現場に遭遇したと思って、取り乱していた後輩を宥めたり、悲鳴を聞いて駆け付けた社員を追い返したり。次に、ムーンと協力して、ガイアモンドをソファまで運んだ。尤も、スレンダーになっても尚怪力を発揮出来る彼女なら、ほとんど独力でもやってのけられたかも知れないが。
「社長、ここのところ本当に忙しかったから、体調を崩しても不思議はないわね」
仕立て直した緑のパンツにスマホを仕舞って、彼女は平然と宣う。ムーンは後ろめたさに耐えかねて、首の裏を掻いた。
「そうと知っていれば、もう少しストレスをかけないやり方が出来たんだけど」
「あら、珍しいわね、ムーン。よりによってあんたが反省?意外だわ。明日は隕石が降るかも」
ところが、彼の言い訳めいた告白にも、レジーナは全く耳を貸さない。無論、これまでのムーンの言動を鑑みれば、その反応も当然のものと分かる。しかし、長年一緒に働いてきたよしみとして、興味を持つふりくらいはしてくれてもいいのではないだろうか。あまりに呆気なくあしらわれたことに、彼は少々気分を害し補足しようとした。
「そうだ!」
突然、レジーナがハッと顔を上げて、彼の方を振り向く。機先を制されたムーンは、多少面食らって彼女を見た。
「この騒ぎで、すっかり忘れてたわ。ムーン、あなたに来客よ。奥様がいらしてるの」
「えっ?」
レジーナから告げられたのは、ムーンにとって完全に予想外の内容であった。瞠目して反問する彼に、レジーナは一つ頷いて付け加える。
「今すぐ話したいことがあるからって。第三会議室でお待ちよ」
「すぐに行く」
「社長は私に任せて、あなたはご家族と」
最後まで聞き終える前に、ムーンは駆け出し社長室を後にした。エレベーターのボタンを押すと、二つある内の片方が到着して、自動扉を開ける。乗り込む際に大きな革の鞄を持った何者かとすれ違い、箱の中に踏み入ってから、恐らくあれが医者だったのだろうと気付いた。だが、そんな考えも即座に心配と疑問の渦に押し流され、どこかへと消えてしまう。
妻のミヤが会社を訪れるなど、今までにないことだった。彼女はムーンの本名も、本当はどんな仕事をしているのかも知っている。だからこそ、家族を危険に晒したくないという彼の思いを汲んで、家の外では他人行儀な距離を保っていた。にも関わらず、それを破って直接会いにくるとは、一体何が起こったのだろう。一刻も早く話を聞きたくて、ムーンは下降の遅いエレベーターに苛立ちを抱く。
到着の音が鳴った。開きかけのドアの隙間を潜り抜けて、彼は第三会議室へと向かう。あまり行ったことのない場所だったが、分かりやすい案内表示のおかげで迷わず辿り着けた。
「ミヤさん!」
「マディー!」
ノックもせずに扉を開けると、椅子に腰掛けていた妻が慌てて立ち上がる。
「会ってくれると思わなかったわ。仕事が忙しいのかと……」
「君がここまで来るなんて、只事じゃないと思ったからね」
嬉しそうに近寄ってくる彼女に、ムーンは優しく微笑み返した。そして、彼女をエスコートし、元の椅子に座らせる。
彼女と顔を合わせるのは久しぶりだ。ここ数週間は仕事が立て込んでおり、隠れ家に寝泊まりする必要があったからである。
だが、そんなことにも慣れているミヤは、夫の不在にも平然とした様子を保ち続けている。というか考えてみれば、入籍する以前から、彼女が外的な要因で変化を遂げたところを目撃した経験がなかった。
ミヤは、あらゆる意味でムーンとは正反対の人物であった。身長は150センチにも満たず、代わりというわけでもないが、ふくふくした丸みのある体型をしている。生来の癖っ毛は、プラチナに近いグレージュで、洗練されたボブに切り揃えられていた。身に付けているのは、上品なピンクのフレアスカートに、コットン生地の白いブラウス。桜色のショールをふんわりと羽織って、頭にはフェルトの花があしらわれた、紫のクロッシェを被っている。同系色で揃えたヒールのないパンプスと、円形のかごバッグが、何とも言えずファンシーな雰囲気を醸していた。
良家の一人娘である彼女は、幼少期からふんだんに与えられた教育により、文句のつけようのない令嬢として青春時代を過ごした。あらゆる習い事、学術的知識、テーブルマナーを身に付け、一流の風格を纏った彼女の品行方正な言動は、ムーンと電撃的な結婚をしてからも、変わることなく魅力として輝き続けている。彼女の放つオーラは、魔法によって老化を防止し年齢不詳な容貌を実現しても尚、不自然に思わせない力を持っていた。
「ごめんなさいね、わざわざ……こんなところにまで通してもらっちゃって。後でレジーナさんにお礼を言わなくちゃ」
彼女は夫との唯一の共通点である、糸目を開いてラヴェンダー色の瞳を覗かせる。
「僕が伝えておくよ。というか、僕も初めて見たな、こんな部屋」
ムーンも向かいの椅子につきながら、ゆっくりと周囲を見回し、室内を隅々まで観察した。グレーのラグに漆喰風の壁紙という内装は、いかにも洒脱な会議室という印象だ。卓上にちんまりと並んだフェイクグリーンを、ムーンは何の気なしに弄ぶ。
「それで、何があった?」
「あのね、実は……って、あら?どうしたの?あなた、怪我したの?」
本題を切り出すと、ミヤはすぐに口を開いた。だが、寸前でムーンの額の絆創膏に気付いた彼女は、不審そうに眉を顰める。
「あぁ、いや、これは、大したことじゃないさ」
ムーンは急いで言い訳を紡ごうとしたが、中々上手い誤魔化しが思い付かなかった。何しろいきなりだった上に、彼女に問われるまで、怪我をしたことすら失念していたからである。
「ちょっと、頭から突っ込まされたっていうか、ドリブルされたっていうか」
「ど、ドリブル!?バスケの?」
「いや、別にもう平気だから……話を続けてくれ」
適当に説明すると、やや天然なところのあるミヤは意味不明な箇所で反応を示した。ムーンは強引にはぐらかしつつ、半ば無理矢理話の軌道を修正する。幸い、彼女も早く相談したい気分だったらしく、即座に意識を切り替えてくれた。
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