8 / 85
ガイアモンドの秘密
しおりを挟む
電子音と共に、エレベーターのドアが開く。ムーンの長身は、同乗していたその他大勢に押されて、ホールへと吐き出された。始業時間を過ぎてからまだ三十分も経っていないというのに、既にフロア内は喧騒に満ち、忙しく立ち働く社員で溢れている。フルフレックス制の上、自宅での業務を中心に設定する者も多い職場で、これほど活気付いた様子が見られるのはかなり稀な光景だ。今まではどんなに肝入りの新作商品を発売する際であっても、マイペースな空気が乱れることはなかったから、尚更衝撃は強い。何故こんなに騒がしいのか、通りすがりの誰かに尋ねたくとも、それさえ拒絶する雰囲気が社内全体に漂っていた。
ムーンは訝しげに首を捻り、後頭部を掻きながら、上層階直通のシャトルエレベーターに乗り換える。行き先を指定してボタンを押すと、扉が音を立ててゆっくりと閉まった。ふと横を向くと、銀に輝く壁面に、額に白い絆創膏を貼った己の顔が映る。それが何だか間抜けに思えて、彼は後ろで組んでいた手を解くと、パッドの部分を上からつついた。すぐにわずかな痛みが走って、彼は小さく吐息を漏らす。
昨日、ガイアモンドを攫った男たちは、ほぼ全員死体となって発見された。ムーンが射殺した三人と、爆発に巻き込まれて失神し、車の中で溺死した一人。残る一人は、生死すらも定かではない。同じく死亡して川を流れてしまったのか、生き延びて逃亡を続けているのか。どちらにせよ、彼らが誰から命を受けて動いていたのか、調べる機会は失われてしまった。
そんなことを考えつつ、社長室の前に辿り着いた彼は、咳払いを一つしドアをノックもせずに開ける。
「ッ!……いや、何でもない。あぁ、それで進めてくれ……分かった」
現れた彼を見て、社長のガイアモンドはわずかに瞠目した。だが、すぐに冷静さを取り戻すと、電話越しの相手に何やら指示を与え続ける。彼らのやり取りは数十秒で終わり、通話を切ったガイアモンドは、疲れの滲んだ深い溜め息をこぼしていた。
「ふぅ~……」
「お疲れのようだね、社長?顔色が悪い。熱でもあるんじゃないか?」
ムーンはのんびりと歩み寄り、革張りのチェアに身を沈めている彼を覗き込む。その無遠慮な態度が癪に触ったのか、ガイアモンドは酷く苛立たしげな目付きで、ギロリとムーンを睨め上げた。年齢と共に衰えるどころか、ますます増していく美貌が彼の表情に迫力を加える。
「ノックをしろと言ったはずだが?」
「あぁ、これは失礼」
ところが、ムーンは肌を焼くような怒りの眼差しにも、まるで動揺する素振りを見せなかった。彼は平然と笑ったまま、無意味に踵を上げ下げし退屈を紛らわせている。
「何の用だ、ムーン」
ガイアモンドは気怠げに彼を一瞥し、抑揚のない声色で淡々と問いかけた。ムーンも彼に調子を合わせて、小首を傾げ静かに返す。
「さぁ、何だと思う?」
「僕が知るか。暇潰しのお喋りなら、誰か他を当たってくれ」
少しばかりふざけただけだというのに、ガイアモンドは即座に腹を立て、形のいい眉をきつく寄せた。意図的にしかつめらしい顔をする彼を、ムーンは細めた瞼の奥から繁々と観察する。
「別にそんなつもりはないさ。君に一つ、聞きたいことがあったんだよ」
「ならさっさと言え。僕は忙しいんだ。見て分からないか?」
ガイアモンドはにべもなく言い放つと、おもむろに立ち上がり、ムーンを避けるようにして壁際のチェストに近付いた。隅に置かれた冷蔵庫から、水のペットボトルを取り出し、グラスに半分ほど注ぐ。
一連の動作を眺めながら、ムーンは何故か漠然とした違和感を覚えて、かすかに瞳を瞬かせた。己の疑念を解消すべく、彼は慎重に視線を巡らして室内を見渡す。二人掛けソファにかけられた、ベージュのブランケットにふと目が留まった。
「もしかして、ここで一夜を明かしたのか?見知らぬ奴らに拉致されて、冷水にまで浸かって、その後病院にも行かずに?」
それはいくら何でも、無謀が過ぎるというものだろう。体調を崩して、風邪などに罹ってもおかしくはない。ガイアモンドらしからぬ行為に、ムーンは純粋な意外性を感じた。
「仕方ないだろう。仕事が膨大で、帰る時間も惜しかったんだ」
指摘されたガイアモンドは、イライラとした口調で言い訳を紡ぐ。その態度は明らかに、自分でも理屈の通らないことを述べていると自覚のある様子だった。ムーンは思わず嘆息して、彼の不合理な行動を責める。
「君がそんなことを言うとは思わなかったよ、ガイア。ビジネスにおける成功のためには、体調管理が第一だと君は以前から」
「口を出すなムーン!君には関係ない!!」
突然、ガイアモンドは火が付いたかのように、苛烈な大声を迸らせた。
「君の仕事は何だ?僕を守ることだろ?僕の邪魔をする者が現れた時、それを排除するのが君の役目だ。違うか?」
彼は神経質そうに歩き回りながら、ムーンに向かって指を突き付け、勢いよく捲し立てる。いきなり激情を爆発させた彼に、ムーンはしばし呆気に取られていたが、やがて再び口を開いた。
「違わないね。だが、いくら僕でも、自殺志願者は対象外だ」
「は……?」
緩慢な動作で首を振ってから、無慈悲な赤い瞳でガイアモンドを射抜く。彼はかろうじて疑問の声を挟んだが、ムーンはすかさず畳み掛けた。
「惚けても無駄だ。君を拉致した連中の中に、女が混じっていたことは僕にも分かっている。そして君は、彼女を守るような真似をしたね?おかげで、後少しでもタイミングがズレていたら、生死の境を彷徨うところだった……何故、あんなことをした?下らない騎士道精神か?それとも女性擁護?あえて危機一髪を楽しむ、アドレナリン中毒にでもなったか……違うだろう。君は僕に、何かを隠している。そうだね?」
彼が切り出すのは、昨日の出来事の中でも最も不可解な部分。顔を隠し巧妙に性別を隠していた女を、ガイアモンドが助けようとしたことについてだった。
とはいえ別に、女を贔屓したと咎めているのではない。あの手の商売に携わる女は一定数いるし、男社会で生き延びるため、変装することも珍しくはない。ヘリオス・ラムダだって、女性の特級エージェントを抱えているくらいだ。だから、その程度のことで、ガイアモンドが動揺するはずがなかった。どちらかと言うと、彼はまるで偶然に知り合いと遭遇してしまった時のような、衝撃と驚愕を覚えていた風だった。しかし仮にそれが事実なら、何故正直に打ち明けないのだろう。こちらは命をかけて彼を守っているというのに、秘密を持たれては、信用されていないのと同義になる。ムーンの心境はまさに、他のどんなことでも上書き出来ない、究極の裏切りをされた気分であった。
「き、君に話すことはないっ!」
しかし、彼の冷徹な眼差しを受けてなお、ガイアモンドは強がっていた。彼は強引にムーンから顔を背け、上等な革靴を履いた足でじりじりと後退する。
一方、ムーンもまた彼が下がる以上の距離を進み、二人の間を詰めていった。彼を窺うガイアモンドの瞳には、どうにかして追及から逃れられないものかという、淡い期待が宿っている。そしてそれとは対照的に、いっそのこと何もかもを話してしまいたいという衝動との戦いも垣間見えた。相反する感情が脳内でぶつかり合ったのか、ガイアモンドはかすかに呻いて、指の先をこめかみ付近に当てる。
彼の揺らぎを感じたムーンは、更に一歩接近して、追撃を叩き込む。
「ならばもう、僕はお払い箱だな。君からの信頼は得られず、保護も必要ないのであれば……解雇でも、退職推奨でも、好きにするがいい」
必要最低限の情報すら共有しない彼を、一体誰が、どうやって守れるというのだろう。命が幾つあっても足りはしないと、ムーンははっきりと言い放ち、踵を返すと足早に社長室を去ろうとする。
「待てっ!!」
この最後の脅しは、抜群の効果を発揮した。ドアを開ける直前、ムーンの背中にガイアモンドからの制止が投げかけられる。
「分からないのか?ムーン……はぁっ、今、君に辞められたら……僕は」
叫びを発した反動か、彼はやけに息を切らして、具合の悪そうな表情を浮かべていた。色白の頬が更に蒼白に変わり、戦慄く唇から段々と血の気が失せていく。やがて、彼の体からがくりと力が抜けて、ガイアモンドはその場に崩れ落ちた。
ムーンは訝しげに首を捻り、後頭部を掻きながら、上層階直通のシャトルエレベーターに乗り換える。行き先を指定してボタンを押すと、扉が音を立ててゆっくりと閉まった。ふと横を向くと、銀に輝く壁面に、額に白い絆創膏を貼った己の顔が映る。それが何だか間抜けに思えて、彼は後ろで組んでいた手を解くと、パッドの部分を上からつついた。すぐにわずかな痛みが走って、彼は小さく吐息を漏らす。
昨日、ガイアモンドを攫った男たちは、ほぼ全員死体となって発見された。ムーンが射殺した三人と、爆発に巻き込まれて失神し、車の中で溺死した一人。残る一人は、生死すらも定かではない。同じく死亡して川を流れてしまったのか、生き延びて逃亡を続けているのか。どちらにせよ、彼らが誰から命を受けて動いていたのか、調べる機会は失われてしまった。
そんなことを考えつつ、社長室の前に辿り着いた彼は、咳払いを一つしドアをノックもせずに開ける。
「ッ!……いや、何でもない。あぁ、それで進めてくれ……分かった」
現れた彼を見て、社長のガイアモンドはわずかに瞠目した。だが、すぐに冷静さを取り戻すと、電話越しの相手に何やら指示を与え続ける。彼らのやり取りは数十秒で終わり、通話を切ったガイアモンドは、疲れの滲んだ深い溜め息をこぼしていた。
「ふぅ~……」
「お疲れのようだね、社長?顔色が悪い。熱でもあるんじゃないか?」
ムーンはのんびりと歩み寄り、革張りのチェアに身を沈めている彼を覗き込む。その無遠慮な態度が癪に触ったのか、ガイアモンドは酷く苛立たしげな目付きで、ギロリとムーンを睨め上げた。年齢と共に衰えるどころか、ますます増していく美貌が彼の表情に迫力を加える。
「ノックをしろと言ったはずだが?」
「あぁ、これは失礼」
ところが、ムーンは肌を焼くような怒りの眼差しにも、まるで動揺する素振りを見せなかった。彼は平然と笑ったまま、無意味に踵を上げ下げし退屈を紛らわせている。
「何の用だ、ムーン」
ガイアモンドは気怠げに彼を一瞥し、抑揚のない声色で淡々と問いかけた。ムーンも彼に調子を合わせて、小首を傾げ静かに返す。
「さぁ、何だと思う?」
「僕が知るか。暇潰しのお喋りなら、誰か他を当たってくれ」
少しばかりふざけただけだというのに、ガイアモンドは即座に腹を立て、形のいい眉をきつく寄せた。意図的にしかつめらしい顔をする彼を、ムーンは細めた瞼の奥から繁々と観察する。
「別にそんなつもりはないさ。君に一つ、聞きたいことがあったんだよ」
「ならさっさと言え。僕は忙しいんだ。見て分からないか?」
ガイアモンドはにべもなく言い放つと、おもむろに立ち上がり、ムーンを避けるようにして壁際のチェストに近付いた。隅に置かれた冷蔵庫から、水のペットボトルを取り出し、グラスに半分ほど注ぐ。
一連の動作を眺めながら、ムーンは何故か漠然とした違和感を覚えて、かすかに瞳を瞬かせた。己の疑念を解消すべく、彼は慎重に視線を巡らして室内を見渡す。二人掛けソファにかけられた、ベージュのブランケットにふと目が留まった。
「もしかして、ここで一夜を明かしたのか?見知らぬ奴らに拉致されて、冷水にまで浸かって、その後病院にも行かずに?」
それはいくら何でも、無謀が過ぎるというものだろう。体調を崩して、風邪などに罹ってもおかしくはない。ガイアモンドらしからぬ行為に、ムーンは純粋な意外性を感じた。
「仕方ないだろう。仕事が膨大で、帰る時間も惜しかったんだ」
指摘されたガイアモンドは、イライラとした口調で言い訳を紡ぐ。その態度は明らかに、自分でも理屈の通らないことを述べていると自覚のある様子だった。ムーンは思わず嘆息して、彼の不合理な行動を責める。
「君がそんなことを言うとは思わなかったよ、ガイア。ビジネスにおける成功のためには、体調管理が第一だと君は以前から」
「口を出すなムーン!君には関係ない!!」
突然、ガイアモンドは火が付いたかのように、苛烈な大声を迸らせた。
「君の仕事は何だ?僕を守ることだろ?僕の邪魔をする者が現れた時、それを排除するのが君の役目だ。違うか?」
彼は神経質そうに歩き回りながら、ムーンに向かって指を突き付け、勢いよく捲し立てる。いきなり激情を爆発させた彼に、ムーンはしばし呆気に取られていたが、やがて再び口を開いた。
「違わないね。だが、いくら僕でも、自殺志願者は対象外だ」
「は……?」
緩慢な動作で首を振ってから、無慈悲な赤い瞳でガイアモンドを射抜く。彼はかろうじて疑問の声を挟んだが、ムーンはすかさず畳み掛けた。
「惚けても無駄だ。君を拉致した連中の中に、女が混じっていたことは僕にも分かっている。そして君は、彼女を守るような真似をしたね?おかげで、後少しでもタイミングがズレていたら、生死の境を彷徨うところだった……何故、あんなことをした?下らない騎士道精神か?それとも女性擁護?あえて危機一髪を楽しむ、アドレナリン中毒にでもなったか……違うだろう。君は僕に、何かを隠している。そうだね?」
彼が切り出すのは、昨日の出来事の中でも最も不可解な部分。顔を隠し巧妙に性別を隠していた女を、ガイアモンドが助けようとしたことについてだった。
とはいえ別に、女を贔屓したと咎めているのではない。あの手の商売に携わる女は一定数いるし、男社会で生き延びるため、変装することも珍しくはない。ヘリオス・ラムダだって、女性の特級エージェントを抱えているくらいだ。だから、その程度のことで、ガイアモンドが動揺するはずがなかった。どちらかと言うと、彼はまるで偶然に知り合いと遭遇してしまった時のような、衝撃と驚愕を覚えていた風だった。しかし仮にそれが事実なら、何故正直に打ち明けないのだろう。こちらは命をかけて彼を守っているというのに、秘密を持たれては、信用されていないのと同義になる。ムーンの心境はまさに、他のどんなことでも上書き出来ない、究極の裏切りをされた気分であった。
「き、君に話すことはないっ!」
しかし、彼の冷徹な眼差しを受けてなお、ガイアモンドは強がっていた。彼は強引にムーンから顔を背け、上等な革靴を履いた足でじりじりと後退する。
一方、ムーンもまた彼が下がる以上の距離を進み、二人の間を詰めていった。彼を窺うガイアモンドの瞳には、どうにかして追及から逃れられないものかという、淡い期待が宿っている。そしてそれとは対照的に、いっそのこと何もかもを話してしまいたいという衝動との戦いも垣間見えた。相反する感情が脳内でぶつかり合ったのか、ガイアモンドはかすかに呻いて、指の先をこめかみ付近に当てる。
彼の揺らぎを感じたムーンは、更に一歩接近して、追撃を叩き込む。
「ならばもう、僕はお払い箱だな。君からの信頼は得られず、保護も必要ないのであれば……解雇でも、退職推奨でも、好きにするがいい」
必要最低限の情報すら共有しない彼を、一体誰が、どうやって守れるというのだろう。命が幾つあっても足りはしないと、ムーンははっきりと言い放ち、踵を返すと足早に社長室を去ろうとする。
「待てっ!!」
この最後の脅しは、抜群の効果を発揮した。ドアを開ける直前、ムーンの背中にガイアモンドからの制止が投げかけられる。
「分からないのか?ムーン……はぁっ、今、君に辞められたら……僕は」
叫びを発した反動か、彼はやけに息を切らして、具合の悪そうな表情を浮かべていた。色白の頬が更に蒼白に変わり、戦慄く唇から段々と血の気が失せていく。やがて、彼の体からがくりと力が抜けて、ガイアモンドはその場に崩れ落ちた。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く
液体猫
キャラ文芸
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞受賞しました(^_^)/
香を操り、死者の想いを知る一族がいる。そう囁かれたのは、ずっと昔の話だった。今ではその一族の生き残りすら見ず、誰もが彼ら、彼女たちの存在を忘れてしまっていた。
ある日のこと、一人の侍女が急死した。原因は不明で、解決されないまま月日が流れていき……
その事件を解決するために一人の青年が動き出す。その過程で出会った少女──香 麗然《コウ レイラン》──は、忘れ去られた一族の者だったと知った。
香 麗然《コウ レイラン》が後宮に現れた瞬間、事態は動いていく。
彼女は香りに秘められた事件を解決。ついでに、ぶっきらぼうな青年兵、幼い妃など。数多の人々を無自覚に誑かしていった。
テンパると田舎娘丸出しになる香 麗然《コウ レイラン》と謎だらけの青年兵がダッグを組み、数々の事件に挑んでいく。
後宮の闇、そして人々の想いを描く、後宮恋愛ミステリーです。
シリアス成分が少し多めとなっています。
明治かんなぎ少女の冥契 五百年の時を超えて、あなたに愛を
花籠しずく
キャラ文芸
――ですが、わたくしは生まれました。あなたに会うために。
月のものが来るようになってから、琥珀は不思議な夢を見る。誰かに探されている夢。きっと大切な人だったことは分かるのに、目が覚めると朧気で何も思い出せない。婚約者である志貴の言いなりの人形になる生活をし、生家とは会うと脅され、心が疲弊していたある日、家からひとり抜け出すと、妖魔のようなものに出会う。呪術師である志貴に、一時祓ってもらいはしたが、不思議と心が痛む。夢に美しい男が現れ、声に導かれるようにして、ある山のふもとの、廃れた神社の中に入ると、そこには苦しそうに蹲るあの妖魔がいた。琥珀はそれが夢に現れた、蘿月という男だと直感する。全身が黒い靄で包まれた彼の、靄を払う方法を、どうしてか琥珀は知っていた。口づけをし、息を吹き込むように、生きて、と願った。
帰ってすぐに志貴に殴られ、月のものがはじまっていたことが志貴にばれる。琥珀を穢そうとする志貴の様子に恐ろしさを覚えて、助けてと叫んだその瞬間、闇を裂くようにして、蘿月が現れた。
「琥珀は、俺が五百年待ち望んだ花嫁だ」
これは、時を超えて紡がれる愛の物語。そして虐げられた少女が、愛を知り、愛のために生きる自由を選ぶ物語。
※R-15っぽいゆるい性描写があります。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
炎華繚乱 ~偽妃は後宮に咲く~
悠井すみれ
キャラ文芸
昊耀国は、天より賜った《力》を持つ者たちが統べる国。後宮である天遊林では名家から選りすぐった姫たちが競い合い、皇子に選ばれるのを待っている。
強い《遠見》の力を持つ朱華は、とある家の姫の身代わりとして天遊林に入る。そしてめでたく第四皇子・炎俊の妃に選ばれるが、皇子は彼女が偽物だと見抜いていた。しかし炎俊は咎めることなく、自身の秘密を打ち明けてきた。「皇子」を名乗って帝位を狙う「彼」は、実は「女」なのだと。
お互いに秘密を握り合う仮初の「夫婦」は、次第に信頼を深めながら陰謀渦巻く後宮を生き抜いていく。
表紙は同人誌表紙メーカーで作成しました。
第6回キャラ文芸大賞応募作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる