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オメガの災難
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オメガビルに近付くにつれて、外から流れ込む異臭は強くなり、灰や塵などの細かい粒子まで車体に纏わりついてきた。狭い抜け道を走破した車は、目的地まで真っ直ぐ伸びる太い道路に合流し、そこで急ブレーキをかける。何故なら、その先の路上には何十台もの車が立ち往生して、テールランプを光らせていたからだ。
「おいおいおい、何なんだこりゃ!?どうなってる!?」
後部座席から身を乗り出し、状況を確認したグシオンが驚愕の声を発する。彼とは異なり無言だったものの、正直なところ、ムーンとネプチューンも同じ感想を抱いていた。
「渋滞なんてどころの騒ぎじゃないね……完全に止まっているみたいだ」
ムーンの呟き通り、道に停められた車はどれも一向に動く様子がない。何が起きているのか、誰も把握出来ないでいる内に、正面に聳えるクリスタル・ピラミッドから爆音が轟いた。それまでは静かに黒煙を吹き上げているだけだった建物が、突如オレンジ色の炎をちらつかせ、内側から爆発する。瓦礫やガラス片が落下する音、周囲の人々の悲鳴と叫喚が、風に乗って運ばれてきた。レジーナとの通話を終了させてからまだ十数分と経っていなかったが、その間にも断続的な爆発は繰り返し発生しているらしい。
未だ収まる予兆を示さないこの騒ぎが、車中の人々を震撼させ、パニックに陥らせる。次々と周囲の車からエンジンの唸りが止まり、ランプの光が消えたかと思うと、理性をなくした市民の塊がどっと外に溢れ出した。彼らは皆一斉に、車のドアを開け放ちビルと反対の方角を目掛けて駆けていく。やがてすぐに押し合いへし合いが始まり、怒鳴り合いに暴力、嗚咽、その他諸々が渦巻く大混乱が巻き起こった。
「行こう。ここからは車は使えない」
異常な状況にも関わらず、否だからこそ、かえって冷静さを保ったままのムーンがシートベルトを外す。
「仕方ないわネ……」
渋々と、ネプチューンも応じて鈍い動作で車を降りた。
「こんな中を歩くのか?正気じゃねぇぜ、ったく……」
グシオンのみがぶつぶつと不満をこぼしながら、脱ぎ捨てていた靴を履き、彼らの後に続く。
しかし車から出た途端に、ムーンは後悔の念に苛まれることになった。何しろ、その場に佇んでいるだけで逃げ惑う者たちに押し流され、突き飛ばされそうになるからだ。加えて上空からは、これでもかと煤煙を含んだぬるい風が吹き付けてくる。
「っ……ゴホッ」
ムーンは思わず、目の前に手をかざして咳き込んだ。今日この時ほど、眼鏡を愛用していて良かったと思うことはない。でなければ隣に立つネプチューンやグシオンと同様、飛んでくる埃を避けるために、頻繁に瞬きしなければならないところであった。
彼らのそばを、赤子を抱いた女性が足早に通り過ぎる。彼女の背後に聳えるクリスタル・ピラミッドは、想像以上に惨憺たる様相を呈していた。三角形の外壁の左側は、抉り取られたかのように陥没し、周辺に瓦礫や謎の残骸を振り撒いている。ヒビの入ったガラスの奥には、爆風で滅茶苦茶に荒らされ、あるいは炎によって焼け爛れたかつてのオフィスが広がっていた。最上階や付近の一部分のみはまだ比較的崩れずに残っていたが、火の手が回るのは時間の問題だろう。どこからか飛んできた火の粉が、小さな屋上に植えられた観葉植物に燃え移り、乾いた音を立てて爆ぜていた。
「酷ぇな……」
グシオンの独り言に、隣でビルを見上げていたネプチューンが無意識的に頷く。ムーンは彼らの脇を小突いて、すかさず急き立てた。
「急ごう。ガイアを探さなくては」
彼を先頭にして、三人は何とか前へ進もうと試みる。ふと、何かに気付いたネプチューンが、ポケットからスマートフォンを取り出して足を止めた。
「ちょっと、あんたたち!」
「あん?」
「どうした?ネプチューン」
呼び止められたグシオンとムーンは、怪訝そうに彼を振り返った。ネプチューンは彼らに近寄ると、携帯の画面を見せ手短に説明する。
「今、携帯で魔力探知のアプリを使ってみたんだケド……社長の気配がするのヨ。それも、このすぐ近くから」
ムーンたちエージェントに与えられている携帯端末には、様々な機能が搭載されていた。あらかじめ登録した人物を、魔力反応によって探し出すというアプリもその一つである。だからこそ、ネプチューンは端末を用いてガイアモンドの捜索をしたのだが、結果は驚くべきものだった。
「何だって?ガイアが?」
予想だにしていなかった事態に、ムーンは瞠目してぐるりと首を巡らす。
「でも、この近くってどこだよ?」
同じくグシオンが訝しげな声を上げた直後。どさりと何か重い物が落ちる、くぐもった音が聞こえた。反射的に振り向くと、地面に一人の男が倒れているのを発見する。彼の頭上一メートルほどの高さには、まるで極小サイズの宇宙のような、紫色をした奇妙な円が浮遊していた。
「な、何だ……?」
あまり高度な魔法に馴染みのないグシオンは、幻覚でも見ているのかと疑い、自身の瞼を擦る。だがムーンとネプチューンには、考えるまでもなく分かった。この円は、ガイアモンドが作成した転移魔法の出入り口だ。ネプチューンの携帯が探し当てたのも、ここから放たれるガイアモンドの魔力だろう。
「君、大丈夫かい?」
ムーンは小走りに駆け寄って、うつ伏せに転がった男を助け起こした。男は全身を煤で黒く染め、左の頬には火傷跡まで作っていたが、特に命に関わる怪我は負っていない。
「本社にいたんだね?どこかに閉じ込められていたのか?」
男の首に社員証を発見したムーンは、彼の肩を掴んで問い詰める。しかし、やっと窮地を脱したばかりでまだ喋る余裕のなかった男は、一言も口を効かなかった。代わりに、傍らの車に背を預けて座っていた別の男が答える。
「そうです。僕たちは最上階の会議室で、打ち合わせをしていたんです。その時爆発が起きて……」
慌てて逃げ出そうにもエレベーターは緊急停止し、非常階段も戸惑う社員たちで溢れ返っていしまった。遅々として進まない避難に苛立っている間に、やがて天井の一部が崩落し、最上階に閉じ込められることになったという。
「困っていたら、社長がやって来て、助けてくれたんです。この魔法を使えば、外に逃げられるって」
「なるほど。それで、全員無事に逃げられたのか?」
「まだです。僕たちは六人で、今出てきた彼で五人目なので」
「あと一人か」
ムーンが言い終わる寸前、絶えず模様を変えていたポータルがうねうねと蠢き、光を一層強めた。空間に穿たれた穴の奥から、緩慢な動作で若い女が這い出してくる。ムーンは彼女の腕を掴んで支えてやりつつ、勢い込んでガイアモンドの安否を尋ねた。
「社長は?君を助けたのはガイアモンドだろう?彼は今どこにいる?」
「ゲホッ、ゲホッ!は、はい、社長は、この向こうに……」
咳と共に掠れた声で返答する彼女は、先程の男と同じかそれ以上に苦しそうにしていた。いつものムーンであれば気遣ってやる局面だが、今回限りは流石に紳士的な態度を保っている暇はない。
「どうして彼は来ないんだ?何か聞いていないのか?」
彼は優しさをかなぐり捨てると、女性に容赦なく詰め寄る。彼女は血の滲んだ指で自らの喉をさすり、拙い調子で説明した。
「まだ……やることがあるって」
「何?」
彼女の言葉を耳にして、ムーンはぽつりと疑問をこぼす。彼にはガイアモンドの真意が何か、全く理解することが出来なかった。一体どういうつもりなのかと狼狽して視線を彷徨わせると、唐突にポータルの放つ光が弱くなっていることに気が付く。魔力が足りず、魔法が消滅しかかっている証だろう。
だが、ガイアモンド本人がまだ取り残されているというのに、魔法がなくなってしまうのは非常にまずいことだった。このまま黙って、呑気に傍観しているわけにはいかない。アメジストの街と会社にとって、彼の命は不可欠なのだから。
「ネプチューン、後は頼む!」
「は!?ちょっと、ムーン!?」
同僚の制止にも構わず、ムーンは強く地面を蹴り、衝動的に壊れかけの転移魔法の中へと身を投じた。
「おいおいおい、何なんだこりゃ!?どうなってる!?」
後部座席から身を乗り出し、状況を確認したグシオンが驚愕の声を発する。彼とは異なり無言だったものの、正直なところ、ムーンとネプチューンも同じ感想を抱いていた。
「渋滞なんてどころの騒ぎじゃないね……完全に止まっているみたいだ」
ムーンの呟き通り、道に停められた車はどれも一向に動く様子がない。何が起きているのか、誰も把握出来ないでいる内に、正面に聳えるクリスタル・ピラミッドから爆音が轟いた。それまでは静かに黒煙を吹き上げているだけだった建物が、突如オレンジ色の炎をちらつかせ、内側から爆発する。瓦礫やガラス片が落下する音、周囲の人々の悲鳴と叫喚が、風に乗って運ばれてきた。レジーナとの通話を終了させてからまだ十数分と経っていなかったが、その間にも断続的な爆発は繰り返し発生しているらしい。
未だ収まる予兆を示さないこの騒ぎが、車中の人々を震撼させ、パニックに陥らせる。次々と周囲の車からエンジンの唸りが止まり、ランプの光が消えたかと思うと、理性をなくした市民の塊がどっと外に溢れ出した。彼らは皆一斉に、車のドアを開け放ちビルと反対の方角を目掛けて駆けていく。やがてすぐに押し合いへし合いが始まり、怒鳴り合いに暴力、嗚咽、その他諸々が渦巻く大混乱が巻き起こった。
「行こう。ここからは車は使えない」
異常な状況にも関わらず、否だからこそ、かえって冷静さを保ったままのムーンがシートベルトを外す。
「仕方ないわネ……」
渋々と、ネプチューンも応じて鈍い動作で車を降りた。
「こんな中を歩くのか?正気じゃねぇぜ、ったく……」
グシオンのみがぶつぶつと不満をこぼしながら、脱ぎ捨てていた靴を履き、彼らの後に続く。
しかし車から出た途端に、ムーンは後悔の念に苛まれることになった。何しろ、その場に佇んでいるだけで逃げ惑う者たちに押し流され、突き飛ばされそうになるからだ。加えて上空からは、これでもかと煤煙を含んだぬるい風が吹き付けてくる。
「っ……ゴホッ」
ムーンは思わず、目の前に手をかざして咳き込んだ。今日この時ほど、眼鏡を愛用していて良かったと思うことはない。でなければ隣に立つネプチューンやグシオンと同様、飛んでくる埃を避けるために、頻繁に瞬きしなければならないところであった。
彼らのそばを、赤子を抱いた女性が足早に通り過ぎる。彼女の背後に聳えるクリスタル・ピラミッドは、想像以上に惨憺たる様相を呈していた。三角形の外壁の左側は、抉り取られたかのように陥没し、周辺に瓦礫や謎の残骸を振り撒いている。ヒビの入ったガラスの奥には、爆風で滅茶苦茶に荒らされ、あるいは炎によって焼け爛れたかつてのオフィスが広がっていた。最上階や付近の一部分のみはまだ比較的崩れずに残っていたが、火の手が回るのは時間の問題だろう。どこからか飛んできた火の粉が、小さな屋上に植えられた観葉植物に燃え移り、乾いた音を立てて爆ぜていた。
「酷ぇな……」
グシオンの独り言に、隣でビルを見上げていたネプチューンが無意識的に頷く。ムーンは彼らの脇を小突いて、すかさず急き立てた。
「急ごう。ガイアを探さなくては」
彼を先頭にして、三人は何とか前へ進もうと試みる。ふと、何かに気付いたネプチューンが、ポケットからスマートフォンを取り出して足を止めた。
「ちょっと、あんたたち!」
「あん?」
「どうした?ネプチューン」
呼び止められたグシオンとムーンは、怪訝そうに彼を振り返った。ネプチューンは彼らに近寄ると、携帯の画面を見せ手短に説明する。
「今、携帯で魔力探知のアプリを使ってみたんだケド……社長の気配がするのヨ。それも、このすぐ近くから」
ムーンたちエージェントに与えられている携帯端末には、様々な機能が搭載されていた。あらかじめ登録した人物を、魔力反応によって探し出すというアプリもその一つである。だからこそ、ネプチューンは端末を用いてガイアモンドの捜索をしたのだが、結果は驚くべきものだった。
「何だって?ガイアが?」
予想だにしていなかった事態に、ムーンは瞠目してぐるりと首を巡らす。
「でも、この近くってどこだよ?」
同じくグシオンが訝しげな声を上げた直後。どさりと何か重い物が落ちる、くぐもった音が聞こえた。反射的に振り向くと、地面に一人の男が倒れているのを発見する。彼の頭上一メートルほどの高さには、まるで極小サイズの宇宙のような、紫色をした奇妙な円が浮遊していた。
「な、何だ……?」
あまり高度な魔法に馴染みのないグシオンは、幻覚でも見ているのかと疑い、自身の瞼を擦る。だがムーンとネプチューンには、考えるまでもなく分かった。この円は、ガイアモンドが作成した転移魔法の出入り口だ。ネプチューンの携帯が探し当てたのも、ここから放たれるガイアモンドの魔力だろう。
「君、大丈夫かい?」
ムーンは小走りに駆け寄って、うつ伏せに転がった男を助け起こした。男は全身を煤で黒く染め、左の頬には火傷跡まで作っていたが、特に命に関わる怪我は負っていない。
「本社にいたんだね?どこかに閉じ込められていたのか?」
男の首に社員証を発見したムーンは、彼の肩を掴んで問い詰める。しかし、やっと窮地を脱したばかりでまだ喋る余裕のなかった男は、一言も口を効かなかった。代わりに、傍らの車に背を預けて座っていた別の男が答える。
「そうです。僕たちは最上階の会議室で、打ち合わせをしていたんです。その時爆発が起きて……」
慌てて逃げ出そうにもエレベーターは緊急停止し、非常階段も戸惑う社員たちで溢れ返っていしまった。遅々として進まない避難に苛立っている間に、やがて天井の一部が崩落し、最上階に閉じ込められることになったという。
「困っていたら、社長がやって来て、助けてくれたんです。この魔法を使えば、外に逃げられるって」
「なるほど。それで、全員無事に逃げられたのか?」
「まだです。僕たちは六人で、今出てきた彼で五人目なので」
「あと一人か」
ムーンが言い終わる寸前、絶えず模様を変えていたポータルがうねうねと蠢き、光を一層強めた。空間に穿たれた穴の奥から、緩慢な動作で若い女が這い出してくる。ムーンは彼女の腕を掴んで支えてやりつつ、勢い込んでガイアモンドの安否を尋ねた。
「社長は?君を助けたのはガイアモンドだろう?彼は今どこにいる?」
「ゲホッ、ゲホッ!は、はい、社長は、この向こうに……」
咳と共に掠れた声で返答する彼女は、先程の男と同じかそれ以上に苦しそうにしていた。いつものムーンであれば気遣ってやる局面だが、今回限りは流石に紳士的な態度を保っている暇はない。
「どうして彼は来ないんだ?何か聞いていないのか?」
彼は優しさをかなぐり捨てると、女性に容赦なく詰め寄る。彼女は血の滲んだ指で自らの喉をさすり、拙い調子で説明した。
「まだ……やることがあるって」
「何?」
彼女の言葉を耳にして、ムーンはぽつりと疑問をこぼす。彼にはガイアモンドの真意が何か、全く理解することが出来なかった。一体どういうつもりなのかと狼狽して視線を彷徨わせると、唐突にポータルの放つ光が弱くなっていることに気が付く。魔力が足りず、魔法が消滅しかかっている証だろう。
だが、ガイアモンド本人がまだ取り残されているというのに、魔法がなくなってしまうのは非常にまずいことだった。このまま黙って、呑気に傍観しているわけにはいかない。アメジストの街と会社にとって、彼の命は不可欠なのだから。
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