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「それで?これがその招待状か」
夕闇の兆し始めた街に臨む、ファーストフード店の一角。窓際の席でハンバーガーを頬張りながら、マティーニが興味深げに唸った。彼は片手でシャツの襟を触りながら、反対の指先で、白いカードをひらひらと弄んでいる。
「書かれてるのは日時と場所だけ。質素なものだね」
コーヒーを片手にやってきたムーンが、向かい側に座った。ジャケットが汚れぬよう留意しつつ、マティーニの前に置かれたトレイから、数本のポテトを勝手に摘む。
「でも、運が良かったな。まさか昨日の今日で、ゴールに辿り着けるなんて」
「悪運が強いとも言えるね。結局、僕らでやらなきゃいけなくなった」
ムーンは苦笑して、受け取ったカードの端で歯をコツコツと叩いた。
この”招待状”を手に入れたのは、つい昨日の出来事だ。ある”親切”な男から、”好意”で”譲り受けた”ものである。実際の状況からすると、銃で脅して奪い取ったと言った方が適切だったが。
店内の片隅にあるテレビには、昨日ムーンが忍び込んだあの会社が映っている。駆け付けた警察によって、彼らの悪どい所業が全て暴かれたためだった。その影で暗躍したムーンは、現在新たな問題にぶち当たっていた。肝心のカードに記されていた日付は、驚くべきことにその翌日、つまり今日を指していたのである。急なことだが、チャンスを逃すよりはマシだと、ガイアモンドは早速新たな命を下した。
そうして、ムーン、マティーニの二人はろくに準備もしないまま、社長の鶴の一声で現地へと派遣されたのだ。怪しげなパーティーとやらが本当に後ろ暗いことのある集まりなのか、一連の事件に関与しているのか、直接赴いて調べてこいと仰せつかった。
「おかげで配信の予定が吹っ飛んだよ。新作の発売日だったのに……」
「まだ続けてるのか?ゲームのプレイ配信、だっけ?」
「実況配信ね」
着慣れない服が気にかかるのか、彼の指は何度も胸元のタイに伸びている。質問に訂正を入れるムーンの胸にも、同じブラックタイが飾られていた。
職業柄、こき使われることには慣れているものの、予定を崩されて何も思わないわけはない。笑顔のまま頬杖をつくムーンを、マティーニはコーラを啜りながら垣間見た。
警備員であり諜報員の彼には、もう一つ裏の顔がある。某動画サイトを中心に活動する、ゲームの実況プレイの配信。一般にストリーマーと呼ばれる活動だ。彼の場合は、難易度の高いホラーゲームや、シューティングゲームを主に配信していた。恐怖心を煽るような演出に遭遇しても、表情一つ変えず淡々と”処理”していく姿が爽快だと話題らしい。尤も、この手の話に疎いマティーニには、ストリーマーもホラーゲームも、まるで興味が湧かないのだけれど。
「ふーん……そういえば、盗まれたアレは?どうなった?」
話題を変えるために、というよりはただ思い付いた疑問を、無造作に口にする。アレというのは、昨日何者かに掏り取られたピッキングツールのことだ。わざわざ特注で作らせた品を、ムーンは簡単に盗まれ、紛失していた。それも、まだ報告さえしてない。故にマティーニは、必要以上に声を潜めて問うた。
「戻ってきたりは……してないよなぁ」
「かなりの凄腕みたいだったからね。物が物だけに警察にも届けられないし、当分は無理そうだ」
ぼやく途中で、ムーンが首を横に振る。金色のさらりとした前髪が、動きに合わせて左右に揺れた。彼の言い分も理解出来るが、そうは言ってもやはり呆れを抑えきれない。
「また社長にどやされるぞ。パトリックにも」
あんな、いかにも金と時間の注ぎ込まれていそうな物品をあっさり失くしたとあらば、社長からどんな雷が落ちるかも分からない。作った当人である、心優しき引きこもりパトリックも傷付くだろう。
「今日は会ってないよ。忙しいとさ」
溜め息を吐くマティーニに、ムーンはテーブルの上で両手を広げ、簡潔に答えた。
「レジーナもそう言ってたな。今夜は予定があるから、何があっても連絡するなと」
「”何があっても”?」
平然と応じるマティーニに、彼は訝しげに聞き返す。眉を顰めながら、人差し指で眼鏡のブリッジを押し上げた。
「緊急でもか?」
「みたいだ。何でも、大事な用があるらしい。俺たちだけで、どうにかするしかないってことだな」
混み始めた店内の喧騒に負けぬよう、マティーニはやや声を張って返す。それは今朝、ムーンの代わりに電話で報告を入れた時に、受け取った伝言だった。聞き終えたムーンは、コーヒーを飲み干し、思案げに息を吐いてから、カードを仕舞って立ち上がる。
「ふぅん……ま、いいか。いつものことだ」
「それもそうだ」
マティーニも、食べ終えたバーガーの包みを丸めて、彼に続いた。ゴミを片付け、ひっきりなしに行き交う客たちの合間を縫って、どうにか外に出る。
話し込んでいる内に、街はすっかり暗くなり、道は仕事を切り上げたサラリーマンやOLで混雑を極めていた。駅へと向かう人々の群れに逆らおうとしても、簡単に流されてしまう。彼らの流入によって、周囲の店々は俄かに活気付いていた。扉の前には開店を告げる板が下げられ、看板にはネオンが灯っている。もう少し経てば、輝きは更に増し、辺りは一層賑やかになることだろう。次々と停車する車から、煌びやかな服を着た男女が現れ、流行のダンスミュージックに誘われて扉を潜っていく。
ここは富裕層向けの歓楽街、ラピスラ地区。昼間は閑静なオフィス街だが、夜はバーやクラブが栄える華やかな遊び場へと変貌する、派手な地区だ。駅から少し離れ坂を上れば、芸能人や経営者の住む、飛び抜けて豪奢な高級住宅も広がっている。
中でも特に目立つ、一軒の家があった。堅牢な鉄製の門の前に、大勢の人々が詰めかけている。道の両側には、いかにも高級そうなセダンやサルーン、リムジンなどが、居場所を争うように停車していた。どこからか漏れ出した音楽が、風に乗って人々の頭上を通り過ぎる。アップテンポのリズムに促されて、彼らは一層気持ちを逸らせ、歩みを早めていた。黒服を着たガードマンがそれを押し留め、屈強な体を折り曲げて、丁寧に招待状の提示を求める。
話し声、笑い声、囁き、ざわめきが満たす道の真ん中に、新たな車が颯爽を現れた。ピカピカの黒い車体、音もなく開いたドアから、一人の男が降り立つ。セピア色の髪を小粋にセットし、ダークブラウンのスーツを黒い蝶ネクタイで飾った、小柄な男だ。彼の後ろから、もう一人も姿を覗かせる。彼は革靴を履いた長い足で地面を踏み締め、慣れた仕草でジャケットの裾を払った。
途端に、それまでは何の興味も示していなかった通行人たちが、一気に好奇の眼差しを向けてくる。まぁ仕方がないかと、マティーニは苦笑を堪えた。
元々長身な上に、温和そうな顔立ちも相俟って人目を引きやすい彼だ。いつもはシンプルな黒のスーツで誤魔化しているが、蝶ネクタイにタキシードというフォーマルな装いに身を包めば、注目を集めやすくなるのは当然だった。尤も、普段の地味な服装であっても、所作や身のこなしから只者ならぬ気配が溢れてはいるのだが。
生きた広告塔の隣にいるせいで、マティーニは若干気まずい思いを抱えてしまう。ムーンも分かっているのか、困惑げな微笑みを浮かべて、眼鏡をかける。しかしそれですら、シックな佇まいを引き立てる要素にしかならなかった。容貌を隠すような黒のフレームも、無粋ではなく、精一杯の誠意という風に思える。
「大変だな、君も」
違和感なく場に馴染むための変装だったが、これでは溶け込むどころか、かえって浮いてしまうだろう。見た目が良いということにも苦労があるものだと、マティーニはつくづく実感した。
「背が高いからね。仕方ないよ」
ところが本人は、全く気が付いていないらしい。あるいは、気付いていても拘泥していないのか。すたすたと歩き出す彼の後を、マティーニは慌てて追いかけた。
夕闇の兆し始めた街に臨む、ファーストフード店の一角。窓際の席でハンバーガーを頬張りながら、マティーニが興味深げに唸った。彼は片手でシャツの襟を触りながら、反対の指先で、白いカードをひらひらと弄んでいる。
「書かれてるのは日時と場所だけ。質素なものだね」
コーヒーを片手にやってきたムーンが、向かい側に座った。ジャケットが汚れぬよう留意しつつ、マティーニの前に置かれたトレイから、数本のポテトを勝手に摘む。
「でも、運が良かったな。まさか昨日の今日で、ゴールに辿り着けるなんて」
「悪運が強いとも言えるね。結局、僕らでやらなきゃいけなくなった」
ムーンは苦笑して、受け取ったカードの端で歯をコツコツと叩いた。
この”招待状”を手に入れたのは、つい昨日の出来事だ。ある”親切”な男から、”好意”で”譲り受けた”ものである。実際の状況からすると、銃で脅して奪い取ったと言った方が適切だったが。
店内の片隅にあるテレビには、昨日ムーンが忍び込んだあの会社が映っている。駆け付けた警察によって、彼らの悪どい所業が全て暴かれたためだった。その影で暗躍したムーンは、現在新たな問題にぶち当たっていた。肝心のカードに記されていた日付は、驚くべきことにその翌日、つまり今日を指していたのである。急なことだが、チャンスを逃すよりはマシだと、ガイアモンドは早速新たな命を下した。
そうして、ムーン、マティーニの二人はろくに準備もしないまま、社長の鶴の一声で現地へと派遣されたのだ。怪しげなパーティーとやらが本当に後ろ暗いことのある集まりなのか、一連の事件に関与しているのか、直接赴いて調べてこいと仰せつかった。
「おかげで配信の予定が吹っ飛んだよ。新作の発売日だったのに……」
「まだ続けてるのか?ゲームのプレイ配信、だっけ?」
「実況配信ね」
着慣れない服が気にかかるのか、彼の指は何度も胸元のタイに伸びている。質問に訂正を入れるムーンの胸にも、同じブラックタイが飾られていた。
職業柄、こき使われることには慣れているものの、予定を崩されて何も思わないわけはない。笑顔のまま頬杖をつくムーンを、マティーニはコーラを啜りながら垣間見た。
警備員であり諜報員の彼には、もう一つ裏の顔がある。某動画サイトを中心に活動する、ゲームの実況プレイの配信。一般にストリーマーと呼ばれる活動だ。彼の場合は、難易度の高いホラーゲームや、シューティングゲームを主に配信していた。恐怖心を煽るような演出に遭遇しても、表情一つ変えず淡々と”処理”していく姿が爽快だと話題らしい。尤も、この手の話に疎いマティーニには、ストリーマーもホラーゲームも、まるで興味が湧かないのだけれど。
「ふーん……そういえば、盗まれたアレは?どうなった?」
話題を変えるために、というよりはただ思い付いた疑問を、無造作に口にする。アレというのは、昨日何者かに掏り取られたピッキングツールのことだ。わざわざ特注で作らせた品を、ムーンは簡単に盗まれ、紛失していた。それも、まだ報告さえしてない。故にマティーニは、必要以上に声を潜めて問うた。
「戻ってきたりは……してないよなぁ」
「かなりの凄腕みたいだったからね。物が物だけに警察にも届けられないし、当分は無理そうだ」
ぼやく途中で、ムーンが首を横に振る。金色のさらりとした前髪が、動きに合わせて左右に揺れた。彼の言い分も理解出来るが、そうは言ってもやはり呆れを抑えきれない。
「また社長にどやされるぞ。パトリックにも」
あんな、いかにも金と時間の注ぎ込まれていそうな物品をあっさり失くしたとあらば、社長からどんな雷が落ちるかも分からない。作った当人である、心優しき引きこもりパトリックも傷付くだろう。
「今日は会ってないよ。忙しいとさ」
溜め息を吐くマティーニに、ムーンはテーブルの上で両手を広げ、簡潔に答えた。
「レジーナもそう言ってたな。今夜は予定があるから、何があっても連絡するなと」
「”何があっても”?」
平然と応じるマティーニに、彼は訝しげに聞き返す。眉を顰めながら、人差し指で眼鏡のブリッジを押し上げた。
「緊急でもか?」
「みたいだ。何でも、大事な用があるらしい。俺たちだけで、どうにかするしかないってことだな」
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「ふぅん……ま、いいか。いつものことだ」
「それもそうだ」
マティーニも、食べ終えたバーガーの包みを丸めて、彼に続いた。ゴミを片付け、ひっきりなしに行き交う客たちの合間を縫って、どうにか外に出る。
話し込んでいる内に、街はすっかり暗くなり、道は仕事を切り上げたサラリーマンやOLで混雑を極めていた。駅へと向かう人々の群れに逆らおうとしても、簡単に流されてしまう。彼らの流入によって、周囲の店々は俄かに活気付いていた。扉の前には開店を告げる板が下げられ、看板にはネオンが灯っている。もう少し経てば、輝きは更に増し、辺りは一層賑やかになることだろう。次々と停車する車から、煌びやかな服を着た男女が現れ、流行のダンスミュージックに誘われて扉を潜っていく。
ここは富裕層向けの歓楽街、ラピスラ地区。昼間は閑静なオフィス街だが、夜はバーやクラブが栄える華やかな遊び場へと変貌する、派手な地区だ。駅から少し離れ坂を上れば、芸能人や経営者の住む、飛び抜けて豪奢な高級住宅も広がっている。
中でも特に目立つ、一軒の家があった。堅牢な鉄製の門の前に、大勢の人々が詰めかけている。道の両側には、いかにも高級そうなセダンやサルーン、リムジンなどが、居場所を争うように停車していた。どこからか漏れ出した音楽が、風に乗って人々の頭上を通り過ぎる。アップテンポのリズムに促されて、彼らは一層気持ちを逸らせ、歩みを早めていた。黒服を着たガードマンがそれを押し留め、屈強な体を折り曲げて、丁寧に招待状の提示を求める。
話し声、笑い声、囁き、ざわめきが満たす道の真ん中に、新たな車が颯爽を現れた。ピカピカの黒い車体、音もなく開いたドアから、一人の男が降り立つ。セピア色の髪を小粋にセットし、ダークブラウンのスーツを黒い蝶ネクタイで飾った、小柄な男だ。彼の後ろから、もう一人も姿を覗かせる。彼は革靴を履いた長い足で地面を踏み締め、慣れた仕草でジャケットの裾を払った。
途端に、それまでは何の興味も示していなかった通行人たちが、一気に好奇の眼差しを向けてくる。まぁ仕方がないかと、マティーニは苦笑を堪えた。
元々長身な上に、温和そうな顔立ちも相俟って人目を引きやすい彼だ。いつもはシンプルな黒のスーツで誤魔化しているが、蝶ネクタイにタキシードというフォーマルな装いに身を包めば、注目を集めやすくなるのは当然だった。尤も、普段の地味な服装であっても、所作や身のこなしから只者ならぬ気配が溢れてはいるのだが。
生きた広告塔の隣にいるせいで、マティーニは若干気まずい思いを抱えてしまう。ムーンも分かっているのか、困惑げな微笑みを浮かべて、眼鏡をかける。しかしそれですら、シックな佇まいを引き立てる要素にしかならなかった。容貌を隠すような黒のフレームも、無粋ではなく、精一杯の誠意という風に思える。
「大変だな、君も」
違和感なく場に馴染むための変装だったが、これでは溶け込むどころか、かえって浮いてしまうだろう。見た目が良いということにも苦労があるものだと、マティーニはつくづく実感した。
「背が高いからね。仕方ないよ」
ところが本人は、全く気が付いていないらしい。あるいは、気付いていても拘泥していないのか。すたすたと歩き出す彼の後を、マティーニは慌てて追いかけた。
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