36 / 66
忌まわしき過去と今
しおりを挟む
暗闇の中に、幽かな旋律が響いている。脳の片隅にわずかに残存した記憶の断片が、夢という媒体を通して、男の琴線に働きかけているのだった。
あの頃は、ただ、楽しかった。母の弾くピアノに合わせて、適当に鍵盤を押すだけのお遊び。実際は母の方が、彼の鳴らす音を巧みに演奏に取り入れて、調和させていたに過ぎない。けれど、子供の彼にとっては、その後の一生を左右するほどに決定的で、かけがえのない体験だった。幼さ故に、己が享受している幸福を幸福とも認識出来ず、ずっとこの日々が続くと訳もなく信じていた。いつか失う時が来るだなんて、考えもしなかった。
だが、それはたったの数年で破綻を告げた。原因は、父の不貞。高級官僚の嫡男だった父は、家庭を持っても行いを改めることなく、数々の火遊びに興じていた。地元の小学校の音楽教師で、心の底から優しかった母は、伴侶の裏切りに耐えられなかったのだ。尤も、一人息子たる彼が事情を全て知ったのは、もっと後になってからのことなのだけれど。
覚えているのは、黒髪を長く伸ばした母が、スーツケース一つで玄関ドアの向こうに消えていく光景だけ。真冬なのにそんな薄いコートで大丈夫かと、子供心に心配した。きっと寒くてすぐに戻ってくるだろうと、ココアの用意をして待っていた。しかし、何時間経っても母は帰って来ず、ココアはすっかり冷え切った。彼が一人でポツンとリビングに座っているのを、やがて帰宅した父が見つけた。その時何と言われたのかは、記憶にない。ただ、数週間もしない内に、新しいママとやらが上がり込んできたことは、脳裏に焼き付いている。金髪を派手にカールさせて、いつも胸のムカつくような、甘ったるい匂いを纏わり付かせていた。
彼女は、息子となった少年にピアノの才があると分かると、即座に父を説得し、有名な師のところへレッスンに通わせた。今にも昇天してしまいそうなほどひなびた老師は、実母のおかげで見目ばかり麗しく育った子供を、一目見るなり大層お気に召された。そして時には厳しく、時には寄り添いながら、彼という才能が開花するのを導いてくれた。少年がコンクールで優勝し、トロフィーを持ち帰った日の夕刻には、彼を自宅に招き入れ、祝いの席を設けてもくれた。それから、睡眠薬入りの紅茶を飲まされて、ベッドに運ばれ……
「!!」
いつもそこで目が覚める。
彼は跳ね起きて、汗に濡れた額を押さえた。乱れた黒髪を手櫛で整え、ぞんざいにベッドから抜け出す。
隣では、髪を緑色に染めた女が、死んだように眠っていた。昨夜適当にバーで拾った、どこかの誰かだ。もう名前も覚えていない。声の質や音域を散々確かめた結果、不適格と分かったのだから当然だった。
やはり、一人一人探していては効率が悪過ぎる。もっと多くの候補者を揃えて、一度にテストすることが出来れば。例えばあのパーティーのように。ピアニストとしての特異な聴力を用いれば、騒がしい場でも適した声音を見つけられる。後は使い慣れた技術で、生きる傀儡を作るだけだ。
母から受け継いだ甘いマスクと、父に似た深みのあるバリトンボイス。遺伝的な要因に加えて、幼少期からの複雑な環境が、他者の心理を看破し、行動を最適化する能力を与えた。極め付けに、音楽とそれで勝ち得た栄光の数々とを振り翳せば、まず拒絶されることはない。実際のところ、どの程度魔法の力を借りているのか、自分でも分からないほどだ。ピアノを弾き、相手の望む言葉を紡いでいれば、いつの間にか洗脳は完了している。出会った瞬間から、直感的に心を弄び支配する術が脳裏に浮かんでいるのだ。
良心の呵責?そんなもの、生まれてこの方感じたことがない。母と呼べる人物を失ったあの日から、彼の精神は決定的に壊れてしまっている。それから歩み始めたピアニストとしての道も、彼にとっては荊の敷き詰められた拷問にしか思えなかった。
人は、誰しもパンのみでは生きられない。なれど、サーカスを生み出す者は、いつの時代も苦労するものだ。皆を楽しませる力、芸術を解する心は、万人に備わるわけではない。優れた才として評価されながらも、金を産む卵として搾取される場合もある。讃えるべき個性と認められる一方で、集団に馴染まぬ異物として、排除されることもある。彼はいつだって、自身の才能や美貌を狙う者共に、苦しめられてきた。彼は人々の奴隷だった。将来の金蔓、あるいは現在の小遣い稼ぎのために、変態のもとへ弟子入りさせ、ポルノ写真を撮影していた継母。実母譲りの美しい顔と無垢な肢体を愛で、気色の悪い願望をぶつけてきた老師。傍目には恵まれている境遇を、嫉妬して意地悪をするクラスメイトや担任教師。そんな環境から生まれた心の闇を、ふんだんに詰め込んだ演奏スタイルは、センセーショナルが過ぎると謗られ、中々受け入れられなかった。心身に異常を来すのも、納得のいく人生だろう。今更、修復など出来ようもない。
この世界は、屑ばかりだ。ごく一部のカリスマに自身の夢や希望、願いをありったけ投影して、一方的に期待を押し付ける能無し。ありもしない成果に縋って、他者にエゴと欲望とを吐き捨てるしか出来ないゴミ。自力での解決は微塵も試みようとせず、どこかの誰かがいつか必ず人生を変えてくれると、根拠もなく信じている。そして己の意に背く者が現れたら、ヒステリックに泣き叫び武器を振るってくるのだ。そんな連中ばかりが跋扈する、下らない世界。破壊して何が悪い?殺してはならぬ理由があるか?むしろ、受け入れるべきだろう。これがテロだの犯罪だのと誹られるのなら、構わない。好きに呼べばいい。どうせ彼らもすぐに死に絶え、価値観は一変するのだから。
彼は服を着替えてリビングに向かう。テーブルの上には、無数の楽譜が散乱していた。本番は、今日の正午から。リハーサルなんて、やらなくても十分だ。とすれば、まだ十分余裕はある。
コーヒーを淹れて、机に向かった。楽譜にはびっしりと音符が書き込まれ、非常に難解かつ複雑な曲を作り出している。長く苦しい研究を重ねて、ようやく生み出した珠玉の旋律だ。無限に存在する音程、長短、強弱、その他の組み合わせを、気が遠くなるほど試して辿り着いた完成系。後は手直しをするだけなのだが、今すぐここで弾いてみたいという衝動に駆られる。だが、安易に奏でれば大事故が起きかねない。これは”滅び”と違って、作り上げさえすれば誰にでも紡ぐことが出来る。一方で、周囲に破壊的な力をもたらす恐ろしい音楽なのであった。尤も、カルマの歌がなければ、その真価を引き出すことも叶わないのだが。
そう、カルマ。あの日雨の中で、ずぶ濡れで蹲っていた小汚い少女。拾っておいて正解だったと、かつての自分に拍手を送りたい。彼女だけが、彼の夢を実現し理想を叶えるのに、必要な資質を持っていた。だから、一刻も早く彼女が必要だというのに、携帯の通知画面は沈黙を保つばかりだった。
苛立たしい。腹が立つ。どうして誰も、彼女を目撃していないのだろう。あの時、金髪の眼鏡の男と、その手下らしき人物に攫われて、以降の足取りは掴めていない。スポンサーにかけ合って三億という大金を用意したにも関わらず、未だに報告は一つも上がっていなかった。ヘリオス・ラムダも、ガイアモンドとの繋がりも、調べてはいるが目ぼしい情報はない。有力な手がかりは、皆無であった。
こうなったらもういっそのこと、全てを公表してしまおうか。カルマの存在も、実在も怪しい組織との対立も、大企業の敏腕社長の正体も。
朧げな思い付きは、次第にはっきりとした輪郭を持って、固まり始めた。
そうだ、どうして今まで考え付かなかったのか。何もかもを秘密裏に進める必要性は、もはやない。いずれ世界は滅亡し、新たなものに生まれ変わるだろう。曲が完成間近の今、躊躇う理由はどこにもなかった。
「そうだ……それがいい!!」
薄暗い部屋で、彼は狂気的な声を発する。机上の携帯端末を操作し、すぐにでも呼び出せそうな”道具”を探した。
「緊急招集だ、レディーたち。君らの取るに足らない命、最期くらい私の役に立てて、華々しく散れ。美しく、儚く……そして未来永劫、世界を変える礎となるのだ!!」
瑠璃の瞳を邪悪な殺意に歪め、メレフは一人哄笑を響かせていた。
あの頃は、ただ、楽しかった。母の弾くピアノに合わせて、適当に鍵盤を押すだけのお遊び。実際は母の方が、彼の鳴らす音を巧みに演奏に取り入れて、調和させていたに過ぎない。けれど、子供の彼にとっては、その後の一生を左右するほどに決定的で、かけがえのない体験だった。幼さ故に、己が享受している幸福を幸福とも認識出来ず、ずっとこの日々が続くと訳もなく信じていた。いつか失う時が来るだなんて、考えもしなかった。
だが、それはたったの数年で破綻を告げた。原因は、父の不貞。高級官僚の嫡男だった父は、家庭を持っても行いを改めることなく、数々の火遊びに興じていた。地元の小学校の音楽教師で、心の底から優しかった母は、伴侶の裏切りに耐えられなかったのだ。尤も、一人息子たる彼が事情を全て知ったのは、もっと後になってからのことなのだけれど。
覚えているのは、黒髪を長く伸ばした母が、スーツケース一つで玄関ドアの向こうに消えていく光景だけ。真冬なのにそんな薄いコートで大丈夫かと、子供心に心配した。きっと寒くてすぐに戻ってくるだろうと、ココアの用意をして待っていた。しかし、何時間経っても母は帰って来ず、ココアはすっかり冷え切った。彼が一人でポツンとリビングに座っているのを、やがて帰宅した父が見つけた。その時何と言われたのかは、記憶にない。ただ、数週間もしない内に、新しいママとやらが上がり込んできたことは、脳裏に焼き付いている。金髪を派手にカールさせて、いつも胸のムカつくような、甘ったるい匂いを纏わり付かせていた。
彼女は、息子となった少年にピアノの才があると分かると、即座に父を説得し、有名な師のところへレッスンに通わせた。今にも昇天してしまいそうなほどひなびた老師は、実母のおかげで見目ばかり麗しく育った子供を、一目見るなり大層お気に召された。そして時には厳しく、時には寄り添いながら、彼という才能が開花するのを導いてくれた。少年がコンクールで優勝し、トロフィーを持ち帰った日の夕刻には、彼を自宅に招き入れ、祝いの席を設けてもくれた。それから、睡眠薬入りの紅茶を飲まされて、ベッドに運ばれ……
「!!」
いつもそこで目が覚める。
彼は跳ね起きて、汗に濡れた額を押さえた。乱れた黒髪を手櫛で整え、ぞんざいにベッドから抜け出す。
隣では、髪を緑色に染めた女が、死んだように眠っていた。昨夜適当にバーで拾った、どこかの誰かだ。もう名前も覚えていない。声の質や音域を散々確かめた結果、不適格と分かったのだから当然だった。
やはり、一人一人探していては効率が悪過ぎる。もっと多くの候補者を揃えて、一度にテストすることが出来れば。例えばあのパーティーのように。ピアニストとしての特異な聴力を用いれば、騒がしい場でも適した声音を見つけられる。後は使い慣れた技術で、生きる傀儡を作るだけだ。
母から受け継いだ甘いマスクと、父に似た深みのあるバリトンボイス。遺伝的な要因に加えて、幼少期からの複雑な環境が、他者の心理を看破し、行動を最適化する能力を与えた。極め付けに、音楽とそれで勝ち得た栄光の数々とを振り翳せば、まず拒絶されることはない。実際のところ、どの程度魔法の力を借りているのか、自分でも分からないほどだ。ピアノを弾き、相手の望む言葉を紡いでいれば、いつの間にか洗脳は完了している。出会った瞬間から、直感的に心を弄び支配する術が脳裏に浮かんでいるのだ。
良心の呵責?そんなもの、生まれてこの方感じたことがない。母と呼べる人物を失ったあの日から、彼の精神は決定的に壊れてしまっている。それから歩み始めたピアニストとしての道も、彼にとっては荊の敷き詰められた拷問にしか思えなかった。
人は、誰しもパンのみでは生きられない。なれど、サーカスを生み出す者は、いつの時代も苦労するものだ。皆を楽しませる力、芸術を解する心は、万人に備わるわけではない。優れた才として評価されながらも、金を産む卵として搾取される場合もある。讃えるべき個性と認められる一方で、集団に馴染まぬ異物として、排除されることもある。彼はいつだって、自身の才能や美貌を狙う者共に、苦しめられてきた。彼は人々の奴隷だった。将来の金蔓、あるいは現在の小遣い稼ぎのために、変態のもとへ弟子入りさせ、ポルノ写真を撮影していた継母。実母譲りの美しい顔と無垢な肢体を愛で、気色の悪い願望をぶつけてきた老師。傍目には恵まれている境遇を、嫉妬して意地悪をするクラスメイトや担任教師。そんな環境から生まれた心の闇を、ふんだんに詰め込んだ演奏スタイルは、センセーショナルが過ぎると謗られ、中々受け入れられなかった。心身に異常を来すのも、納得のいく人生だろう。今更、修復など出来ようもない。
この世界は、屑ばかりだ。ごく一部のカリスマに自身の夢や希望、願いをありったけ投影して、一方的に期待を押し付ける能無し。ありもしない成果に縋って、他者にエゴと欲望とを吐き捨てるしか出来ないゴミ。自力での解決は微塵も試みようとせず、どこかの誰かがいつか必ず人生を変えてくれると、根拠もなく信じている。そして己の意に背く者が現れたら、ヒステリックに泣き叫び武器を振るってくるのだ。そんな連中ばかりが跋扈する、下らない世界。破壊して何が悪い?殺してはならぬ理由があるか?むしろ、受け入れるべきだろう。これがテロだの犯罪だのと誹られるのなら、構わない。好きに呼べばいい。どうせ彼らもすぐに死に絶え、価値観は一変するのだから。
彼は服を着替えてリビングに向かう。テーブルの上には、無数の楽譜が散乱していた。本番は、今日の正午から。リハーサルなんて、やらなくても十分だ。とすれば、まだ十分余裕はある。
コーヒーを淹れて、机に向かった。楽譜にはびっしりと音符が書き込まれ、非常に難解かつ複雑な曲を作り出している。長く苦しい研究を重ねて、ようやく生み出した珠玉の旋律だ。無限に存在する音程、長短、強弱、その他の組み合わせを、気が遠くなるほど試して辿り着いた完成系。後は手直しをするだけなのだが、今すぐここで弾いてみたいという衝動に駆られる。だが、安易に奏でれば大事故が起きかねない。これは”滅び”と違って、作り上げさえすれば誰にでも紡ぐことが出来る。一方で、周囲に破壊的な力をもたらす恐ろしい音楽なのであった。尤も、カルマの歌がなければ、その真価を引き出すことも叶わないのだが。
そう、カルマ。あの日雨の中で、ずぶ濡れで蹲っていた小汚い少女。拾っておいて正解だったと、かつての自分に拍手を送りたい。彼女だけが、彼の夢を実現し理想を叶えるのに、必要な資質を持っていた。だから、一刻も早く彼女が必要だというのに、携帯の通知画面は沈黙を保つばかりだった。
苛立たしい。腹が立つ。どうして誰も、彼女を目撃していないのだろう。あの時、金髪の眼鏡の男と、その手下らしき人物に攫われて、以降の足取りは掴めていない。スポンサーにかけ合って三億という大金を用意したにも関わらず、未だに報告は一つも上がっていなかった。ヘリオス・ラムダも、ガイアモンドとの繋がりも、調べてはいるが目ぼしい情報はない。有力な手がかりは、皆無であった。
こうなったらもういっそのこと、全てを公表してしまおうか。カルマの存在も、実在も怪しい組織との対立も、大企業の敏腕社長の正体も。
朧げな思い付きは、次第にはっきりとした輪郭を持って、固まり始めた。
そうだ、どうして今まで考え付かなかったのか。何もかもを秘密裏に進める必要性は、もはやない。いずれ世界は滅亡し、新たなものに生まれ変わるだろう。曲が完成間近の今、躊躇う理由はどこにもなかった。
「そうだ……それがいい!!」
薄暗い部屋で、彼は狂気的な声を発する。机上の携帯端末を操作し、すぐにでも呼び出せそうな”道具”を探した。
「緊急招集だ、レディーたち。君らの取るに足らない命、最期くらい私の役に立てて、華々しく散れ。美しく、儚く……そして未来永劫、世界を変える礎となるのだ!!」
瑠璃の瞳を邪悪な殺意に歪め、メレフは一人哄笑を響かせていた。
0
あなたにおすすめの小説
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる