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第一章 転生と始まり
6 それは神様と出会うこと
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『黙れ女』
急に現れたアルバートに、フロリア、ラナ、カレーナは驚きつつも安堵していた。それはこの3名が各々助っ人が現れたと思ったからだが、彼の口から発せられる彼とは似ても似つかない、聞くだけで萎縮してしまう様なその声に、3名はその場から身動きが取れなくなった。
『我がフェリラーデよ。恐るる事は何もない、さぁ我が元へ』
誰に言っているんだろう?私って事は無いよね……だってアルバートさんだよ?私を間違ってもそんな眼差しで見たりはしない。だったらラナさん?これはカリーナさんに対しての言葉では無いだろうし……触れるなって言ってたって事はやっぱり私?まさか、ね?
『フェリラーデ』
愛しい人を呼ぶ様に、誘い出す様に手を差し伸べるその姿。あり得ない。いつものあの人は、人斬り以蔵みたいにいつだって、何処だって殺ってやるぜっ!ってオーラ全開なんだから。それがまるで迷子の様に縋り付く様で……あの目が私は怖い。
『フェリラーデ』
私はラナさんとカレーナさんの顔を見上げて、どう言う事?そう目で訴えたけど、2人も良く分からないのだろう。かなり狼狽している様だ。
「ラナさん ふぇりらーで どういういみ?」
「女神の……名です。3神5形威の1柱……愛と結の神フェリラーデ……カナムに教わったかと思うのですが」
「あぁ!かみさまの さんかくかんけーに、いかりと かなしみとあいの5つのまりょく!」
「えぇっ⁉︎……ま、間違ってはいませんけれど、そう言った関係だけでは無いのです」
そうは言っても、私がカナムさんに教わった神の話は簡単にまとめるとこうだった。
1 、始まりの神、トルトレスは孤独を拗らせすぎて、終わりの神クローヴェルを生み出した。
2、2人は最初こそ仲が良かったけど、2人きりがいいクローヴェルと、仲間を増やしたい本来陽キャのトルトレスが喧嘩した。
3、1人だけならと妥協したクローヴェルが魂を、トルトレスが神体を作って愛の神フェリラーデを生み出した。
4、超絶美人な彼女を巡って争いが起き、彼女は2人を見放しその力を人間に与えた。それでも争う彼等の力から5柱の神が生まれた。
だったよね?5柱の神は、2人の相手が面倒になってフェリラーデ側に付いた火、水、土、風、雷、氷を司る神。女神に振られ、慌てて神の役割を思い出したアホ神がこの世界に舞い降りて、教会の崇める主神として人間界に力を貸す時は手を取りあうと約束した。だから、私の言った事は間違ってはいない筈だよね?
「アル!貴方のフェリラーデは私ですわ!」
まだ、その姿に囚われアルバートとは別の物が、彼の口を使い怒りを、願望を吐露している事を認めないカレーナ。ラナとフロリアは、アルバートの姿をしている何かに縋りつこうとするカレーナの腕を掴み首を振る。
「離しなさい!私はアルの側に行かなくては!」
馬鹿なのこの人!どう見たってあの人はアルバートさんの姿をした別者じゃん!ちょっとぉ、恋は盲目って言うけれどさ、あんな化け物みたいなドス黒いオーラ身に纏ってても構わず特攻出来るの⁉︎いや、無理でしょ!
「バルバル!あれ あるまーとさん ちがう!こわいやつ!」
「っ⁉︎何を言っているの?あれはアルよ!」
「カレーナ様!フロリア様の言う通りでございます!あの声はアルバート様のお声ではありませんよ!」
「もぅっ!離しなさい!アルが私を呼んでいますでしょう⁉︎」
ずっとドス黒いオーラをばら撒きながら、アルバートさんは『フェリラーデ』と女神の名を呼び続けている。でも、どう考えてもあのアルバートさんがこんな事をすると思えないし、私達を見ている様で見てない気がする。
「あるまーとさん おしごとは?」
恐る恐る私はアルバートさんに声を掛けた。何と返事をするのかは分からないけれど、壊れたロボットみたいに『フェリラーデ』一辺倒な答え以外の言葉が聞けたなら、会話が出来るなら、本当のアルバートさんを呼び起こせるかもしれない。
『フェリラーデ、さぁこちらへ』
「っ!ふぇ、ふぇりあーでって だれ?」
『フェリラーデ』
駄目だこりゃ。ぶっ壊れてるよ。どうしたもんかな。ここから動いたら攻撃されそうだし……。早く、早く誰かここに来てよ!護衛や執事さん達何してるの⁉︎
「アルバート様、フェ、フェリラーデ様はアルケシュナーの季節からお出になる事はございません。それは……ハカナームト神の光と影に囚われぬ為……ご存知でございましょう?」
むむっ⁉︎習ったぞ!アルケシュナーは氷の神様!冬の事だっけ……それにハカナームト!トルトレスとクローヴェルが人の前に現れる時に合体した神様の姿だった筈!言わばトルトレスとクローヴェル2人の事を指す名前だ!
え″っ⁉︎ってことはアルバートさんの中に居るのってハカナームトなの⁉︎
『……ならば、其方は誰だ。フェリラーデの瞳を、身体を持つ者よ』
その言葉に、ラナとカリーナさんが私を見下ろす。やめてよ!やめてーー!そんな目で私を見ないでぇ!
「この方は当家の客人……フロリア嬢です。フェリラーデ様では……ございません」
ぎゅっとフロリアをラナは抱き締めると、そのまま抱き上げ一歩後退した。フロリアはラナの顔を見上げたが、その険しい表情を見て、顔をその胸に押し付けた。
『それは私の物だ……すぐこちらに寄越せ。下賤なる者よ、我が神罰を受けたくなくば』
「……ラナさん、わたし おはなし してみる」
「フロリア様⁉︎な、なりません‼︎」
「だって わたし ふぇりあーで ちがう。 おはなし したら わかること」
いや、マジ無いわ。もしかしてもしかしてだけど、聖女ってフェリラーデの肉体を持つ者って事だったりしないよね⁉︎この目、フェリラーデの魔力が篭ってるもの、なんて事無いよね⁉︎
はぁ。確かめるには直接話すしか無いよ。
私はラナさんの腕から飛び降りると、アルバートさんに近づいた。流石に怖いから2メートル位離れた所までしか近付けなかったけど。
「あぁっ……フロリア様っ」
オロオロと、ラナは手を胸元で手を組みながらフロリアのその小さな背中を見つめている。カレーナは納得いかない、だが恐怖を感じてもいる様な顔をしていた。
「あるまーとさん」
『何故、私をアルマートと呼ぶ。トルトレスと何故呼んではくれぬのか』
音が重なる。やはりアルバートさんの身体に2柱の神が入り込んで居るのだろうか?
「わたし ふぇりあーで ちがうよ」
その言葉に、ハカナームトはゆっくりと側に近付いてくる。
ズモモモモッ!そんなオトマトペが見えそうな程黒いオーラを振り撒きながら近付かないでーー!怖いよー!
「うっ だっ だってその からだ あるまーとさんのだよ? あるまーとさんにしか みえない」
『ふむ』
少し、何かを考え込む様な姿を見せるハカナームトにフロリアは、このままアルバートの肉体から離れてくれたなら、意識を取り戻したアルバートが何とかしてくれるのでは?そう思った。
「はかなーむと なの?」
『フェリラーデ、やめてくれ。それは私の名では無いだろう?さぁ、その美しい声で私の名を呼んでくれ』
えっ……どっち呼べば良いの?トルトレス?クローヴェル?あぁっ!これって危険じゃん!どっち呼んでも怒られるやつじゃん!
「うぅっ その からだのなかだと どっちか わかんないよ」
『何故だ、其方が愛する我が名を呼ぶのに姿は関係無いであろう』
ありますぅ!大アリですぅぅ‼︎
わっかんないんだって!名前しか私知らないし、教会にも行った事無いから神の像も見た事無いし!
「うぅっ」
どうしようかと、フロリアが唸っていると背後からカリーナが声を上げた。
「フロー……今はトルトレス神の加護強き光の間……分かりますわね?この意味が」
えっ‼︎わ、分かんない!
でも、トルトレス神って事よね⁉︎
「と、とりゅとりぇしゅ さん?」
『フェリラーデ、いつもの様にトールと呼んでおくれ?……ふぐっ!うぅっ、我はトルトレスでは無いっ‼︎』
ひゃっ!ちょっと!ど、どう言う事よ‼︎違うって言ってますけど⁉︎
私は振り返り、カレーナさんを見たけれど、カレーナさんもラナさんも困惑していてオロオロと互いの顔を見ていた。マジかよーー!どうしよう。トルトレスと呼べばクローヴェルが怒り、クローヴェルと呼べばきっとトルトレスが怒るんだろうな。
「ほんとの すがた みせたほう よぶよ?いま あるまーとさん」
どっちでもいいから出て来て!取り敢えずそこから出といでぇ!
私は必死に問いかけた。恐怖を飲み込みながら縋る様にハカナームトに手を伸ばしてみた。
「「フェリラーデ」」
アルバートの左手が私を呼ぶ様に手招きし、右手は私の手を掴む様に伸ばされた。怖い、怖すぎて足が震える。
「どっち わたしのそば くる?わたし こわくて あるけない だっこしてくれるの どっち?」
その言葉に、我先にと金色のモヤとグリッターを散らした様な黒いモヤがアルバートの身体から離れ出て来た。
「「我が」」
本当は仲良いでしょ……2人とも。ドサリとその場に崩れ落ちたアルバートさんの身体を、ラナさんとカレーナさんが駆け寄り助け起こした。気を失っているのか、普段は大木の様にがっしりとして、嵐にも倒れる様な事の無さそうな彼がぐったりと倒れている姿になんだか不安になる。
「「フェリラーデ」」
「……うざっ」
おっとぅ。本音がチラリだよ。ダメダメ!今ここで神様が激怒とかしようものならラナさん達に何が起きるか分からない。素直に両方の手を取ろうじゃないか!
「もやもや きもい おかおみせて」
「「きもい とは何だ?どう言う意味だフェリラーデ」」
「……わすれていーよ。そのもや おてて つなげないよ?おてて つないで ごはんたべにいこう?」
すっと姿を変えたモヤは、金髪のロン毛に金眼、白のロングジャケットの様な、聖職者が着ていそうな服を着たトルトレスと、真っ黒なこれまたロン毛に、黒のオパールの様な目をして、トルトレスの黒バージョンの服を着ていた。
「「フェリラーデ、我が手を」」
「……」
はいはい。手を繋げば良いんでしょ?繋げば!さて、これからどうした物か。これじゃまるでグレイだよ私。何処に行こうってのさ!
「フェリラーデ、さぁ我と共に帰ろう」
「とるとれしゅさん どこ かえる?」
「神の城に我と帰ろう」
「くろーゔぃるしゃん かみのしろ どこ?」
「「天上界だ」」
聞いた私が馬鹿だったよ。天上界って!死後の世界じゃ無いですか!死ねと?私生まれ変わったばっかなんですけども⁉︎やだよ!また死ぬなんて!……折角、私を大切にしてくれている人達に慣れて、私も彼等と同じ様に大切にしたいと思える様になったのに。
ハリィさん、もし私が居なくなったら悲しむよね?だって、大きくなったらお嫁さんになるって……約束したんだもん。あ、実際そうしたいなんて思ってないけど。でも、子供の振りをしてたって……彼の優しさは本物だって思ったから、傷付けたくないんだよ。
「アルバート様‼︎」
「アルッ!目を開けて!息をしてくださいまし!」
「あぁっ!何故アルバート様がこんな事に⁉︎」
「誰かっ!誰かぁ!助けて!アルを今すぐ助けて!」
「カレーナ様!癒しの魔法を!」
「っ!そ、そうね!」
呼吸が止まっているのか、バタバタと2人はアルバートを助けようと必死に心臓マッサージや魔法を使う。すると、小さく「はっ」という音がして、アルバートの浅く乱れた呼吸音が聞こえた。
あぁ、これはヤバそうだ。
私ってば何がきっかけかは分からないけれど、この馬鹿神に目をつけられた結果……アルバートさんを殺しかけた。こんな自己嫌悪に陥る状況でも、自分の事を考るなんて。身勝手で浅慮、何一つ自分では出来ないくせに、この転生というビッグチャンスに、何か出来ると勝手に思ってた。出来るどころか彼等を傷付け悩ませる事しかしてないじゃん。
自惚れたりはしないけど、みんなが優しいのは、この神様達が執着しているのは皆城聖じゃなく、この身体とフロリアの魂なんだって事。そして、私の存在はここでは迷惑でしか無い。
「ハァ……やっぱり ここでも しょーもーひん」
「「フェリラーデ、何を悲しんでいる」」
「わたし ふぇりあーで ちがう。だからかな」
何の温もりも感じない彼等の手が熱いと感じるのは、私の体温が高いせいなのだろうか。出会った人々に与えられた優しさや、温もりは、単に私がそう望んでいたからで、彼等にとっては腫れ物に触る様な対応だったのかもしれない。それを単純で浅はかな私は、私に向けられた優しさだと感じていただけなのかな。
神々に手を取られている私は、私を見ず、アルバートさんに必死に声を掛け、叫ぶラナさんやカレーナさん、そして彼女達の叫び声にやっと現れた執事や側仕え、護衛達がアルバートさんの側に駆け寄り心配している姿に、アルバートさんの心配もせずに勝手にショックを受けている。無性に……誰かの一番になりたいと思う私は最低だ。
「「其方には我々がついているではないか」」
あぁ、顔に出てたかな。
「わたしの なか ふろーのたましい ある。ふろーおきたら わたし どうなる?」
そう。あんた達神様にとっても、ハリィさんやアルバートさんにとっても私はフェリラーデじゃ無いし、フロリアじゃない。いつか目覚めるこの身体の本当の魂を、今程羨んだ事はないよ。
贅沢な悩みだよね?この身体に入り込んだ事を素直に喜んで、幸せを甘受すれば良いのだろうけれど、どうしても私は私をフロリアだと認められない。そして悲しくもある……皆城聖じゃなくても良いんだろうという気付きに。
「「其方は分かっておらぬのだな」」
「ん?」
「「フェリラーデが次のフェリラーデに聖を選んだのだ」」
「……⁉︎はっ?」
え?な、何⁉︎フェリラーデって人名ってか神様の名前じゃ無いの?立場的な名前?それに指名制なんですか⁉︎そもそも指名された覚えも無いけれど!
確か、女神フェリラーデは力を人の世の為に使いたいと、神の力を使える、ある意味その権利を特定の人間に与えたと言う。権利を与えられた者が男なら聖人、女なら聖女として世界の為にその力を使わなくてはならない。だけど、次代の聖人、聖女が誕生するきっかけや法則はまだ解明されていないと聞いた気がする。なら、何で私?いつ、誰が選んだの?
「でも このからだに フローのたましい あるよ?たぶん」
「「それはその身体に残る記憶に過ぎぬ。魂では無い。何故か教えてやろう。フェリラーデの肉体が朽ちる事は無い。魂の役割が終わる時、新たな魂がこの肉体に呼ばれ、その魂にあった肉体となり二つは結ばれるのだ」」
「わたし このからだに よばれたの?」
「「そうだ」」
なら、やっぱり私はフェリラーデじゃ無いんじゃない。貴方達が愛したフェリラーデは、この身体には最初から居ないって事なのに、何故彼女に固執するの?未だ何処かに眠る彼女を探せばいいのに。
「なら やっぱり かみさま もとめる ふぇりあーで わたし ちがう」
「「この肉体がフェリラーデであり、そのフェリラーデが愛した魂に我々は惹かれて止まぬのだ」」
何それ。誰でも良いんじゃん。節操無さすぎでしょ。
「わかた」
「「さぁ、共に還ろうぞ」」
それも良い。結局、ここに居てもアルバートさんやハリィさん、この屋敷の人達に迷惑が掛かるだけだもん。王様も、教会の偉い人もみんなこの肉体の存在を否定して、消えて欲しいと願っている。なら、今はまだこの肉体やフェリラーデの残した物に執着している彼等と共に行った方が……いいよね?
「ん」
少し心が悲しくなって、やっぱりそうそう物語の様なハッピーエンドにはならない事を思い知らされた。本当は今すぐハリィさんが迎えに来てくれたら、そんな事を頭の片隅に居るフロリアの魂と思っていた肉体の記憶が、私の本音が呟いていた。
「ねー、うさぎの ぬいぐるみ もっていきたい」
「「……良いだろう。人間界の物は彼方には持っては行けぬが、それ位ならなんとかしよう」」
「あーと」
短い間だったけど、アルバートさん、ハリィさん、みんな。お世話になりました。ごめんね、ちゃんとお礼言えなくて、駆け寄って助ける手伝いも出来なくて……ごめん。
フロリアとトルトレス、クローヴェル等はアルバート達に背を向けて廊下を歩き出した。
急に現れたアルバートに、フロリア、ラナ、カレーナは驚きつつも安堵していた。それはこの3名が各々助っ人が現れたと思ったからだが、彼の口から発せられる彼とは似ても似つかない、聞くだけで萎縮してしまう様なその声に、3名はその場から身動きが取れなくなった。
『我がフェリラーデよ。恐るる事は何もない、さぁ我が元へ』
誰に言っているんだろう?私って事は無いよね……だってアルバートさんだよ?私を間違ってもそんな眼差しで見たりはしない。だったらラナさん?これはカリーナさんに対しての言葉では無いだろうし……触れるなって言ってたって事はやっぱり私?まさか、ね?
『フェリラーデ』
愛しい人を呼ぶ様に、誘い出す様に手を差し伸べるその姿。あり得ない。いつものあの人は、人斬り以蔵みたいにいつだって、何処だって殺ってやるぜっ!ってオーラ全開なんだから。それがまるで迷子の様に縋り付く様で……あの目が私は怖い。
『フェリラーデ』
私はラナさんとカレーナさんの顔を見上げて、どう言う事?そう目で訴えたけど、2人も良く分からないのだろう。かなり狼狽している様だ。
「ラナさん ふぇりらーで どういういみ?」
「女神の……名です。3神5形威の1柱……愛と結の神フェリラーデ……カナムに教わったかと思うのですが」
「あぁ!かみさまの さんかくかんけーに、いかりと かなしみとあいの5つのまりょく!」
「えぇっ⁉︎……ま、間違ってはいませんけれど、そう言った関係だけでは無いのです」
そうは言っても、私がカナムさんに教わった神の話は簡単にまとめるとこうだった。
1 、始まりの神、トルトレスは孤独を拗らせすぎて、終わりの神クローヴェルを生み出した。
2、2人は最初こそ仲が良かったけど、2人きりがいいクローヴェルと、仲間を増やしたい本来陽キャのトルトレスが喧嘩した。
3、1人だけならと妥協したクローヴェルが魂を、トルトレスが神体を作って愛の神フェリラーデを生み出した。
4、超絶美人な彼女を巡って争いが起き、彼女は2人を見放しその力を人間に与えた。それでも争う彼等の力から5柱の神が生まれた。
だったよね?5柱の神は、2人の相手が面倒になってフェリラーデ側に付いた火、水、土、風、雷、氷を司る神。女神に振られ、慌てて神の役割を思い出したアホ神がこの世界に舞い降りて、教会の崇める主神として人間界に力を貸す時は手を取りあうと約束した。だから、私の言った事は間違ってはいない筈だよね?
「アル!貴方のフェリラーデは私ですわ!」
まだ、その姿に囚われアルバートとは別の物が、彼の口を使い怒りを、願望を吐露している事を認めないカレーナ。ラナとフロリアは、アルバートの姿をしている何かに縋りつこうとするカレーナの腕を掴み首を振る。
「離しなさい!私はアルの側に行かなくては!」
馬鹿なのこの人!どう見たってあの人はアルバートさんの姿をした別者じゃん!ちょっとぉ、恋は盲目って言うけれどさ、あんな化け物みたいなドス黒いオーラ身に纏ってても構わず特攻出来るの⁉︎いや、無理でしょ!
「バルバル!あれ あるまーとさん ちがう!こわいやつ!」
「っ⁉︎何を言っているの?あれはアルよ!」
「カレーナ様!フロリア様の言う通りでございます!あの声はアルバート様のお声ではありませんよ!」
「もぅっ!離しなさい!アルが私を呼んでいますでしょう⁉︎」
ずっとドス黒いオーラをばら撒きながら、アルバートさんは『フェリラーデ』と女神の名を呼び続けている。でも、どう考えてもあのアルバートさんがこんな事をすると思えないし、私達を見ている様で見てない気がする。
「あるまーとさん おしごとは?」
恐る恐る私はアルバートさんに声を掛けた。何と返事をするのかは分からないけれど、壊れたロボットみたいに『フェリラーデ』一辺倒な答え以外の言葉が聞けたなら、会話が出来るなら、本当のアルバートさんを呼び起こせるかもしれない。
『フェリラーデ、さぁこちらへ』
「っ!ふぇ、ふぇりあーでって だれ?」
『フェリラーデ』
駄目だこりゃ。ぶっ壊れてるよ。どうしたもんかな。ここから動いたら攻撃されそうだし……。早く、早く誰かここに来てよ!護衛や執事さん達何してるの⁉︎
「アルバート様、フェ、フェリラーデ様はアルケシュナーの季節からお出になる事はございません。それは……ハカナームト神の光と影に囚われぬ為……ご存知でございましょう?」
むむっ⁉︎習ったぞ!アルケシュナーは氷の神様!冬の事だっけ……それにハカナームト!トルトレスとクローヴェルが人の前に現れる時に合体した神様の姿だった筈!言わばトルトレスとクローヴェル2人の事を指す名前だ!
え″っ⁉︎ってことはアルバートさんの中に居るのってハカナームトなの⁉︎
『……ならば、其方は誰だ。フェリラーデの瞳を、身体を持つ者よ』
その言葉に、ラナとカリーナさんが私を見下ろす。やめてよ!やめてーー!そんな目で私を見ないでぇ!
「この方は当家の客人……フロリア嬢です。フェリラーデ様では……ございません」
ぎゅっとフロリアをラナは抱き締めると、そのまま抱き上げ一歩後退した。フロリアはラナの顔を見上げたが、その険しい表情を見て、顔をその胸に押し付けた。
『それは私の物だ……すぐこちらに寄越せ。下賤なる者よ、我が神罰を受けたくなくば』
「……ラナさん、わたし おはなし してみる」
「フロリア様⁉︎な、なりません‼︎」
「だって わたし ふぇりあーで ちがう。 おはなし したら わかること」
いや、マジ無いわ。もしかしてもしかしてだけど、聖女ってフェリラーデの肉体を持つ者って事だったりしないよね⁉︎この目、フェリラーデの魔力が篭ってるもの、なんて事無いよね⁉︎
はぁ。確かめるには直接話すしか無いよ。
私はラナさんの腕から飛び降りると、アルバートさんに近づいた。流石に怖いから2メートル位離れた所までしか近付けなかったけど。
「あぁっ……フロリア様っ」
オロオロと、ラナは手を胸元で手を組みながらフロリアのその小さな背中を見つめている。カレーナは納得いかない、だが恐怖を感じてもいる様な顔をしていた。
「あるまーとさん」
『何故、私をアルマートと呼ぶ。トルトレスと何故呼んではくれぬのか』
音が重なる。やはりアルバートさんの身体に2柱の神が入り込んで居るのだろうか?
「わたし ふぇりあーで ちがうよ」
その言葉に、ハカナームトはゆっくりと側に近付いてくる。
ズモモモモッ!そんなオトマトペが見えそうな程黒いオーラを振り撒きながら近付かないでーー!怖いよー!
「うっ だっ だってその からだ あるまーとさんのだよ? あるまーとさんにしか みえない」
『ふむ』
少し、何かを考え込む様な姿を見せるハカナームトにフロリアは、このままアルバートの肉体から離れてくれたなら、意識を取り戻したアルバートが何とかしてくれるのでは?そう思った。
「はかなーむと なの?」
『フェリラーデ、やめてくれ。それは私の名では無いだろう?さぁ、その美しい声で私の名を呼んでくれ』
えっ……どっち呼べば良いの?トルトレス?クローヴェル?あぁっ!これって危険じゃん!どっち呼んでも怒られるやつじゃん!
「うぅっ その からだのなかだと どっちか わかんないよ」
『何故だ、其方が愛する我が名を呼ぶのに姿は関係無いであろう』
ありますぅ!大アリですぅぅ‼︎
わっかんないんだって!名前しか私知らないし、教会にも行った事無いから神の像も見た事無いし!
「うぅっ」
どうしようかと、フロリアが唸っていると背後からカリーナが声を上げた。
「フロー……今はトルトレス神の加護強き光の間……分かりますわね?この意味が」
えっ‼︎わ、分かんない!
でも、トルトレス神って事よね⁉︎
「と、とりゅとりぇしゅ さん?」
『フェリラーデ、いつもの様にトールと呼んでおくれ?……ふぐっ!うぅっ、我はトルトレスでは無いっ‼︎』
ひゃっ!ちょっと!ど、どう言う事よ‼︎違うって言ってますけど⁉︎
私は振り返り、カレーナさんを見たけれど、カレーナさんもラナさんも困惑していてオロオロと互いの顔を見ていた。マジかよーー!どうしよう。トルトレスと呼べばクローヴェルが怒り、クローヴェルと呼べばきっとトルトレスが怒るんだろうな。
「ほんとの すがた みせたほう よぶよ?いま あるまーとさん」
どっちでもいいから出て来て!取り敢えずそこから出といでぇ!
私は必死に問いかけた。恐怖を飲み込みながら縋る様にハカナームトに手を伸ばしてみた。
「「フェリラーデ」」
アルバートの左手が私を呼ぶ様に手招きし、右手は私の手を掴む様に伸ばされた。怖い、怖すぎて足が震える。
「どっち わたしのそば くる?わたし こわくて あるけない だっこしてくれるの どっち?」
その言葉に、我先にと金色のモヤとグリッターを散らした様な黒いモヤがアルバートの身体から離れ出て来た。
「「我が」」
本当は仲良いでしょ……2人とも。ドサリとその場に崩れ落ちたアルバートさんの身体を、ラナさんとカレーナさんが駆け寄り助け起こした。気を失っているのか、普段は大木の様にがっしりとして、嵐にも倒れる様な事の無さそうな彼がぐったりと倒れている姿になんだか不安になる。
「「フェリラーデ」」
「……うざっ」
おっとぅ。本音がチラリだよ。ダメダメ!今ここで神様が激怒とかしようものならラナさん達に何が起きるか分からない。素直に両方の手を取ろうじゃないか!
「もやもや きもい おかおみせて」
「「きもい とは何だ?どう言う意味だフェリラーデ」」
「……わすれていーよ。そのもや おてて つなげないよ?おてて つないで ごはんたべにいこう?」
すっと姿を変えたモヤは、金髪のロン毛に金眼、白のロングジャケットの様な、聖職者が着ていそうな服を着たトルトレスと、真っ黒なこれまたロン毛に、黒のオパールの様な目をして、トルトレスの黒バージョンの服を着ていた。
「「フェリラーデ、我が手を」」
「……」
はいはい。手を繋げば良いんでしょ?繋げば!さて、これからどうした物か。これじゃまるでグレイだよ私。何処に行こうってのさ!
「フェリラーデ、さぁ我と共に帰ろう」
「とるとれしゅさん どこ かえる?」
「神の城に我と帰ろう」
「くろーゔぃるしゃん かみのしろ どこ?」
「「天上界だ」」
聞いた私が馬鹿だったよ。天上界って!死後の世界じゃ無いですか!死ねと?私生まれ変わったばっかなんですけども⁉︎やだよ!また死ぬなんて!……折角、私を大切にしてくれている人達に慣れて、私も彼等と同じ様に大切にしたいと思える様になったのに。
ハリィさん、もし私が居なくなったら悲しむよね?だって、大きくなったらお嫁さんになるって……約束したんだもん。あ、実際そうしたいなんて思ってないけど。でも、子供の振りをしてたって……彼の優しさは本物だって思ったから、傷付けたくないんだよ。
「アルバート様‼︎」
「アルッ!目を開けて!息をしてくださいまし!」
「あぁっ!何故アルバート様がこんな事に⁉︎」
「誰かっ!誰かぁ!助けて!アルを今すぐ助けて!」
「カレーナ様!癒しの魔法を!」
「っ!そ、そうね!」
呼吸が止まっているのか、バタバタと2人はアルバートを助けようと必死に心臓マッサージや魔法を使う。すると、小さく「はっ」という音がして、アルバートの浅く乱れた呼吸音が聞こえた。
あぁ、これはヤバそうだ。
私ってば何がきっかけかは分からないけれど、この馬鹿神に目をつけられた結果……アルバートさんを殺しかけた。こんな自己嫌悪に陥る状況でも、自分の事を考るなんて。身勝手で浅慮、何一つ自分では出来ないくせに、この転生というビッグチャンスに、何か出来ると勝手に思ってた。出来るどころか彼等を傷付け悩ませる事しかしてないじゃん。
自惚れたりはしないけど、みんなが優しいのは、この神様達が執着しているのは皆城聖じゃなく、この身体とフロリアの魂なんだって事。そして、私の存在はここでは迷惑でしか無い。
「ハァ……やっぱり ここでも しょーもーひん」
「「フェリラーデ、何を悲しんでいる」」
「わたし ふぇりあーで ちがう。だからかな」
何の温もりも感じない彼等の手が熱いと感じるのは、私の体温が高いせいなのだろうか。出会った人々に与えられた優しさや、温もりは、単に私がそう望んでいたからで、彼等にとっては腫れ物に触る様な対応だったのかもしれない。それを単純で浅はかな私は、私に向けられた優しさだと感じていただけなのかな。
神々に手を取られている私は、私を見ず、アルバートさんに必死に声を掛け、叫ぶラナさんやカレーナさん、そして彼女達の叫び声にやっと現れた執事や側仕え、護衛達がアルバートさんの側に駆け寄り心配している姿に、アルバートさんの心配もせずに勝手にショックを受けている。無性に……誰かの一番になりたいと思う私は最低だ。
「「其方には我々がついているではないか」」
あぁ、顔に出てたかな。
「わたしの なか ふろーのたましい ある。ふろーおきたら わたし どうなる?」
そう。あんた達神様にとっても、ハリィさんやアルバートさんにとっても私はフェリラーデじゃ無いし、フロリアじゃない。いつか目覚めるこの身体の本当の魂を、今程羨んだ事はないよ。
贅沢な悩みだよね?この身体に入り込んだ事を素直に喜んで、幸せを甘受すれば良いのだろうけれど、どうしても私は私をフロリアだと認められない。そして悲しくもある……皆城聖じゃなくても良いんだろうという気付きに。
「「其方は分かっておらぬのだな」」
「ん?」
「「フェリラーデが次のフェリラーデに聖を選んだのだ」」
「……⁉︎はっ?」
え?な、何⁉︎フェリラーデって人名ってか神様の名前じゃ無いの?立場的な名前?それに指名制なんですか⁉︎そもそも指名された覚えも無いけれど!
確か、女神フェリラーデは力を人の世の為に使いたいと、神の力を使える、ある意味その権利を特定の人間に与えたと言う。権利を与えられた者が男なら聖人、女なら聖女として世界の為にその力を使わなくてはならない。だけど、次代の聖人、聖女が誕生するきっかけや法則はまだ解明されていないと聞いた気がする。なら、何で私?いつ、誰が選んだの?
「でも このからだに フローのたましい あるよ?たぶん」
「「それはその身体に残る記憶に過ぎぬ。魂では無い。何故か教えてやろう。フェリラーデの肉体が朽ちる事は無い。魂の役割が終わる時、新たな魂がこの肉体に呼ばれ、その魂にあった肉体となり二つは結ばれるのだ」」
「わたし このからだに よばれたの?」
「「そうだ」」
なら、やっぱり私はフェリラーデじゃ無いんじゃない。貴方達が愛したフェリラーデは、この身体には最初から居ないって事なのに、何故彼女に固執するの?未だ何処かに眠る彼女を探せばいいのに。
「なら やっぱり かみさま もとめる ふぇりあーで わたし ちがう」
「「この肉体がフェリラーデであり、そのフェリラーデが愛した魂に我々は惹かれて止まぬのだ」」
何それ。誰でも良いんじゃん。節操無さすぎでしょ。
「わかた」
「「さぁ、共に還ろうぞ」」
それも良い。結局、ここに居てもアルバートさんやハリィさん、この屋敷の人達に迷惑が掛かるだけだもん。王様も、教会の偉い人もみんなこの肉体の存在を否定して、消えて欲しいと願っている。なら、今はまだこの肉体やフェリラーデの残した物に執着している彼等と共に行った方が……いいよね?
「ん」
少し心が悲しくなって、やっぱりそうそう物語の様なハッピーエンドにはならない事を思い知らされた。本当は今すぐハリィさんが迎えに来てくれたら、そんな事を頭の片隅に居るフロリアの魂と思っていた肉体の記憶が、私の本音が呟いていた。
「ねー、うさぎの ぬいぐるみ もっていきたい」
「「……良いだろう。人間界の物は彼方には持っては行けぬが、それ位ならなんとかしよう」」
「あーと」
短い間だったけど、アルバートさん、ハリィさん、みんな。お世話になりました。ごめんね、ちゃんとお礼言えなくて、駆け寄って助ける手伝いも出来なくて……ごめん。
フロリアとトルトレス、クローヴェル等はアルバート達に背を向けて廊下を歩き出した。
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