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聖騎士団と聖女
5 それは聖騎士団と仲良くなること
しおりを挟む「カミル、お前の聖剣をお見せしろ」
聖騎士団の団員は各部隊に分かれつつ、フロリアを抱くカノンの周囲に集まった。そして各部隊の役割毎に聖魔力を見せる事となり、先遣隊で囮として正面に立つ第1部隊所属のカミルがフロリア達の前に立つと祝詞を唱えた。
「最高神たるトルトレス神の剣たる我が身に魔を屠る力を顕現させ賜え。聖剣」
トルトレス神の神色である金色を帯びた光がカミルの手の平の内側から真っ直ぐに伸びて、それがみるみる内に剣となり、フロリアは「おぉぉぉ!」と声を上げた。
「ギザヤ、聖盾を」
「はっ!」
防衛部隊で、第1部隊とセットになって行動する第2部隊の副隊長のギザヤが呼ばれて前に出た。そしてカミル同様に祝詞を上げて聖盾を出すと構えた。
「攻撃用意!」
カノンの合図でカミルは剣を構えると攻撃体制を取って合図を待った。早速実演をするのか?そんな驚きの顔でフロリアはカノンを見上げたが、カノンはニコリと笑うと声を張った。
「撃てぇぇーーー!」
ヒュンッ キーーーーーン
青白い光線が放たれて、それを追いかける様に耳を劈く音がフロリアを襲う。衝撃波が髪を巻き上げそのぷにぷにとした頬をブルブルと震わせた。その攻撃はギザヤの盾にぶつかり彼を壁際まで押し出し、地面には一直線に伸びた彼の足跡が残されている。
「ふぁっ⁉︎」
「フロリア様、これが聖魔力でございます」
カタカタカタカタカタカタッ。
あかん、あかんやつやコレ。宇宙戦艦系アニメとかでよく見る何とか砲やん!怖っ、こんなんぶつけられたら死ぬって!
「ほっ、ほっ、」
「……ほ?」
「ほんき?」
「え?」
「本気でこんなのぶつけるつもり⁉︎」
「?」
「死んじゃうじゃんこんなの」
「ま、まぁ……その為の攻撃魔法ですから」
「フロー怖いかも」
私が出来る攻撃魔法とは全然違うっ!私のがデコピン程度ならこれはプロボクサーの放つマジパンチだっ!怖っ!っていうか、こんな力じゃ無いと魔獣って倒せないの?
「大丈夫でございますよ、この程度では魔獣を倒せませんから」
「は?嘘でしょ?」
「魔は人間の出す汚染魔力の塊です。そして憎しみ、呪い、人間の負の感情を吸収して魔獣となり、魔獣に襲われた者は魔人となります。この程度の攻撃ではそれらを払う事は出来ません」
「ならどの程度なら倒せるの?」
カノンはフロリアを床に下ろすと自分の聖剣を出してザギヤに鋒を向け頷いた。まさか、とフロリアは慌てて隣に立っていたゼファーの足元にしがみついて震えていて、ゼファーはその姿に口元を緩めつつ、そっとその大きな手で背中を撫でた。そして頃合いを見て合図を出した。
「攻撃用意、撃てーー!」
ピカッ‼︎
シュンッ‼︎
キーーーーン………ドォォォォォォンッ!
先程とは比べ物にならぬ程集約された聖魔力は針先程の細さで剣から放たれると、ギザヤの盾にぶつかり目が潰れそうな程の強い光と共に爆発した。盾を持つギザヤは、盾とは別に聖魔力の膜の様な物を内側に張ってその衝撃から身を守っていたが、先程よりも遠い壁に背を付けていた。
「あうっ、あうっ」
フロリアはゼファーの足をよじ登るとその背中に身を隠しつつ、驚いた猫の様にまん丸にした目をカノンに向けていた。
「大丈夫でございますか?フロリア様」
「ぜふぁしゃん……ごめんなさい」
「え?如何なさったのですか?」
「無理かも。フロー、魔獣たおせないっ!悪に塗れた世界でいいかも!」
こんなんぶつけられたら死ぬし、味方の攻撃だったとしてもこれ見るくらいなら魔獣飼い慣らした方が精神衛生的には良い。多分、いや絶対魔獣は粉微塵になってビチャビチャになるんだろうなぁ……あ、ヤバい吐きそう。
「フロリア様、相手は魔獣ですのでこれ程爆発が起きるわけではありません。聖魔力をぶつけられた魔獣は光の粒になり浄化されますから」
「でもっ、カミルさんのじゃ倒せないって」
「そうですね。カミルの攻撃ですと聖魔力が広範囲に分散され過ぎていて浄化する為の聖魔力の濃度が下がるんです。ですが、先程の物はフロリア様にお見せする為に出力を下げた物ですから実際はカミルもちゃんと魔獣討伐できます。ご安心を」
いや、カミルさんの心配っていうか。魔獣の心配しちゃったよ!これ私も出すの?もっとやり方があるはず。あんな怖いやり方じゃ無くてさっ、こう、ふわーって力出してふわーって昇天させる、みたいな!
「ゼファーさん、フローも聖魔力出せる?」
「魔力核を拝見しても宜しいですか?」
「いーよ」
私は隊服のボタンをプチプチプチプチっと外して上着を脱ぐと、真ん中に小さなリボンの付いた下着になって腕を横に伸ばした。魔力核って確か心臓のちょい右上だったよね?
「‼︎」
「?」
「フロリア様っ!ルグシャルフ卿!何て事をっ!」
慌ててロアが駆け寄って来て、フロリアを抱き上げるとマントでその身を隠してしまった。ゼファーも、まさか上着を全て脱ぎ捨てるとは思わずアタフタしていて、他の隊員は背を向けていた。
「も、申し訳ないっ!いやっ、ただ上から魔力核を拝見したかっただけです!脱いでいただく必要はなかったのですがっ」
あちゃちゃ。お家の健康診断みたいにするんだと思ってたよ。
「ロアさんっ、大丈夫。フローまだおむね無い。ペタンコ!別に問題ないよ?」
「フ、フロリア様っ!そう言う問題ではございません、公爵家の令嬢であり次期当主。何よりフェリラーデ神の愛し子であるそのお体を見せるなどあってはなりませんよ!」
あれ程淑女教育を施しても、彼女には聖の既成概念がその精神の根幹にある所為か、それらがちょこちょことフロリアに突飛な行動をさせていた。そんなフロリアにロアやラナは、どうしてこうも我がお嬢様は一向に令嬢としての作法が身に付かないのかと頭を悩ませていた。
「だって子供の体に変な事したい大人はここにはいないでしょ?」
「そういう問題ではなく、はしたないと申し上げているのです!」
「あっ、あぁっ、そのロア殿その辺で」
ゼファーの焦りを無視してロアはマントでフロリアをぐるぐる巻きにしようと体を押さえつけた。しかし、フロリアはそれから逃れようとジタバタと床を転がっていて、その光景はまるで市場で駄々を捏ねる子供の様で隊員達は生温い目でフロリアを見ていた。
聖女、現人神、神々の愛し子。フロリアについて形容される言葉はこんな物だが、それ以外にも膨大な魔力と罪を赦す慈悲深い御心はまさしく神その物で、万人を魅了するその御姿を一目見た者は幸福が訪れる。そんな御利益たっぷりの作り話まであった。しかし屋敷に篭り切りで周囲の期待や理想像など知らずに育った彼女に、聖女としての自覚など芽生え様がなかった。
「そうだ、ならロアさんが見てよ」
「え?」
「私も聖魔力使える?」
「いえ、使えませんよ?」
「ん?」
「え?」
「何で?」
「聖魔力をお持ちで無い事は既に診断されてますよ?」
「フロー自分の事なのに知らなかったよ」
そう言えば、ダダフォンのおじちゃんは聖魔力を使える核はバグだって言ってた。なら私は神力が聖魔力の代わりなんかな?
「ならフローは神力であのドーンってやつやる?」
「フロリア様の場合、攻撃に特化させるよりも支援に特化なさった方が良いでしょう」
フロリアが振り返ると鬼の形相をしたハリィが居て、上着の土埃を払うとロアを下がらせた。
「フロリア様。私やラナ殿やロア殿側付き意外にお肌は見せてはなりません。これから外に出る頻度は増えるでしょう。その度に「この程度」と平民同様に過ごされては品位に欠けます。それに、パパの不安が分かりませんか?」
うっ、出た。パパさんが私に言う事聞かせる時の必殺技。泣きそうな顔で笑うやつ。やだぁこれぇ。文句言えなくなるんだよぉ!
「ごめんね、パパ」
「はぁ、娘を持つとはこんなに気苦労絶えぬ事だとは思いませんでしま」
「パパだけどパパ違うじゃん」
「……そうでした……そう、でしたね」
あぁっ、シュンってしちゃった。またしてもいらん事言っちゃったけど、でも……師団長として接しろ、そう言ったのはパパだよ?私だって本当は……。
少し気不味い雰囲気がその場にあって、カノンは頭を掻きながら支援について見せると言って第4部隊の女性を呼んだ。
「フ、フロリア様。この者は支援部隊の部隊長スノーです。彼女は隊員にバフ効果を付けたり結界を張ったり、斥候に出たりします。教会の加護が以前同様になれば、第4部隊だけで聖戦を制する事も可能な程、強力な守りを作れます」
「こんにちはスノーさん。フローだよ!わぁお姉さんなのにかっこいいね!」
ロアとは違う、細身の肉体に長い黒髪をポニーテールにした姿は凛としていて、鋭くも柔和な雰囲気があった。美人さんだと連呼するフロリアはスノーの前に駆け寄り手を差し出した。
「お褒め頂き嬉しく存じます。第4部隊隊長スノー•マリノリアにございます。フェリラーデ神の聖花に引き寄せられし我等に御身のご加護を」
膝を着き、スノーはフロリアの手の甲にキスをするとふわりと笑い、聖魔力で星の形をしたオーナメントの様な飾りを作って、小さな手の平に乗せた。
「わぁ!すごいっ、聖魔力って物質化もできるの?スノーさん、教えてっ!フローも作りたい」
「はい、お教え致しますよ。ですが、まずは支援について一緒にやってみませんか?」
「いいの?フローやるっ!パパっ、いいでしょ?」
興奮して、呼び方も先程の気まずさも忘れたフロリアは期待を込めた眼差しでハリィを見上げていた。ハリィは溜息を零しつつ、この顔には勝てないと頷いた。
それからフロリアは総評について改めて話を聞いたり、各部隊の隊員から力の使い方を習い複合魔術など、ハリィ達が教えなかった事などを彼等から教わった。昼食後には隊員達とも打ち解けて、まるで妹か我が子の様に可愛がられていた。
アルバート達が屋敷で教えたのは基礎。実践的な事を教えなかったのは魔法には使い所や出力の出しどころがあり、思い付きで使えば周囲の人間を巻き込み作戦どころでは無くなる事を、個人授業では教えられないと判断したからであった。お陰で隊員と共に練習する事で連携とはどういう物なのかをフロリアは実感する事が出来た。
「はぁぁっ!フロリア様を腕から下ろしたくありません!」
「私もっ!スノーさん大好き!」
「きゅゅゅっ!心臓がっ、痛い!」
「大丈夫?治癒魔法かける?」
「はぅっ」
スノーはまるで娘の様にフロリアをその腕から下ろさず、ずっと頬擦りをしながら魔力で人形を作ったり、髪や瞳の色を変える魔法を使って遊んでいて、他の隊員は早く代われとスノーをせっついた。
「フロリア様っ!私が肩車をして差し上げましょう!」
筋骨隆々、ダダフォンよりも長身の遊撃隊である第3部隊の隊長ゲオルグ•ラクシュミットがずいっとその手を差し出してフロリアを抱き上げた。スノーは「あぁっ!」と名残惜しそうにフロリアを見つめ、フロリアが肩に乗せられるのを見てハンカチを噛み締め唸った。
「あんの筋肉ゴリラめっ!天使とゴリラでは最悪の組み合わせだっ!フロリア様とて私達第4が宜しいですよね‼︎ああっ!フロリア様ぁぁぁ!」
「スノー!落ち着け、はぁ。お前が可愛い物好きな事は知っているが愛し子様だぞ。独占はできんだろ」
「カノン!良いのかあれで?ゴリラと天使だぞっ!」
「まぁまぁ、ゲオルグも娘さんと5年も離れ離れなんだ。懐かしいんだろう、良いじゃ無いか。少し位譲ってやれよ」
「きぃぃぃ!あぁっ、私の天使がっ」
カノンはやれやれと溜息を吐き、フロリアに群がる隊員を見ていた。中には気になる物の、素直になれずただじっとフロリアを見つめる隊員もいて、カノンは彼の側に行くと背を押してやった。
「部隊長、お、俺は結構です!」
「フロリア様の成長は早く、10を待たずに言祝ぎの儀が行われるかもしれん。その時所属を決められる。フロリア様が聖騎士団を選んで下さらなければ困るのだ。騎士団や黒騎士、教会を選ばれれば折角均衡が取れていた王室、教会、騎士団の三竦みが崩れ、騎士団と聖騎士団のパワーバランスも崩れてしまうからな。頼むぞ副師団長……それに、第2、第3師団に医療班。彼等とも後日お会いするそうだ。今日を逃せばお会いするのは難しくなるぞ?」
ハリィに指名され副師団長となったその少年の顔をカノンは覗き込んだ。年齢的に1番フロリアと近い彼は自意識も相まって、気にならない素振りをしたが、その目はずっとフロリアを追いかけていた。
「部隊長、俺は別に」
「フロリア様は聖女となられる御方だ。いずれ我々もお世話になるのだからご挨拶位きちんとしておいた方が良い。あの御方は身分など気になさらないどころか、無意味だと思っておられるようだぞ」
「え?……無意味?」
「貴族位なんて無ければ、愛し子でなければ今頃師団長と2人で平民として生きていられたと嘆いておられたそうだ」
「まさか」
「ヴォルフ卿とて元平民。それをフロリア様が気になさって居る様に見えたか?」
「……いえ、そんな風には」
「そろそろ気付いて良い頃だぞ。平民だと気にしているのはお前自身なんだとな。俺達聖騎士団は混成兵団だ、それでも国に必要な者達ばかりなんだ」
その言葉に、ふうっと息を吐き少年は意を決した様に前に進み出でて、ゲオルグにポンポンと投げ飛ばされながらキャッキャッと笑うフロリアの側に近付いた。
「部隊長、あのっ……フロリア様に俺も挨拶を……良いでしょうか」
「……やっと来たな?このムッツリめ」
「ムッ!ムッツリとはなんですか!」
フロリアは頬を真っ赤にさせ、汗だくなのをそのままにゲオルグに抱きついたまま顔をにゅっと少年に突き出した。
「こんにちは!私、フロリアだよ!フローって呼んでね!お兄ちゃんお名前教えて!」
気負う必要は無かった。そう思いつつも彼は緊張から何も返せずにいて、フロリアは不思議そうに少年を見るとゲオルグに耳打ちした。
「ゲオさん駄目だよ!こんな若いお兄ちゃんを危険な聖騎士団に入れちゃ!」
既にゲオルグとは「ゲオ」「フロー」と呼び合うまでに仲良くなっていて、フロリアは流石に未成年で聖騎士団は無いんじゃないかと言った。
「ぶっ!あははははは!フロー、こいつは副師団長だ!まぁ、まだまだだが俺等と同じくらい強いぞ!この年でこの強さだからな、今から副師団長として学ばせて、成人する頃には師団長にはなれるようにしてんだ!それに、司令官や師団長だって14から聖騎士団の訓練に参加してたし、討伐だって出てたんだ。これ位普通だぞ?」
は?嘘でしょ、どう見ても15歳位じゃん!しかも副師団長?え、こんな子供パパさんの下に付けて大丈夫なの?
「嘘でしょ?魔獣討伐の時に何かあったらどうするの?」
「既に参加させてるが、今は基本作戦立案を勉強中だ。あとは後方からの監視任務だな」
ほっ。ならまだ安全だね。でも、なんでパパさんは彼を副師団長にしたんだろ。
「それに、もう1人副師団長がいる。まぁ、基本そいつがメインだな」
「え?でもゆくゆくは彼が師団長なんでしょ?もう1人の人はそれでいいの?」
「スノーだよ。あいつは伯爵家の令嬢だし、25歳で未婚。既に口さが無い醜聞も出てってから。長くは勤めれねぇんだ」
「えぇ?男女差別!働く女、未婚の何が悪い?」
その言葉に多くの者が頷きつつも、国の組織統治に必要な貴族の婚姻に自身の意志など多くの場合介在しておらず、貴族間の均衡を図る事、そして家門の力を強固にする為に婚姻は成されなくてはならない、それは仕方が無い事なのだと言った。
「フロー。それが貴族だ、そんな事よりほら。副師団長の挨拶を受けてやってくれ」
視線を移すと、その漆黒の髪の隙間から見える意志の強そうな目がフロリアを見ていた。
「結びの神フェリラーデ神の導きたるこの縁に感謝致します。第1師団副師団長の任を預かりますローク•ベルザーグに御座います。以後お見知り置きを」
「ロークお兄ちゃん、私フロリアだよ!よろしくね!フローって呼んで!あのね、教えて欲しい事があるの!」
「私にわかる事でしたら何なりと」
フロリアはゲオルグの腕に抱かれたまま、ロークの耳元に顔を近付け聞いた。甘い香り、囁く声にロークは自身の聖魔力がフロリアの神力に引っ張られるのを感じた。
「お仕事中のパパ、かっこいい?」
「師団長の事ですか?それとも司令官でしょうか」
「あっ、ハリィさん!ハリィさんはかっこいい?」
「格好良い……と感じる余裕がございません」
「え?」
「一瞬でも気を抜いた仕事をしますと役職や職務の権限を奪われますし、きっとお優しいのはフロリア様の前だけかと」
やだぁーーん!嬉しい事言わないで!
むふふふふ!そっか、そっかぁ!私だけに優しいんだ!
嬉しいぞっ!くくくくっ!
「どうかなさりましたか?」
「むふふっ!ハリィさんはね、フローにはすごく優しいよ!だってフローを育ててくれたのハリィさんだもん!」
「それは、宜しかったですねと申し上げるべきか……」
曇る表情、そして罵倒され、罵声を浴びせられた過去を思い返したロークは苦虫を噛み潰した様な顔でフロリアを見上げる。そんなロークにハリィの良さを教えたいと、余計なお世話とも知らずフロリアは家に来いと誘いをかけた。
「ねぇお兄ちゃん、今度のおやすみいつ?お家に遊びに来てっ!ハリィさんとアルバートさんとトランプしよ!最近ねー豚のしっぽにハマってるんだー!フロー1番強いんだよ?」
嬉しい誘いの様でいて、組織の上層部と愛し子の屋敷に来いと言うのは、平民であるロークにはありがた迷惑この上無かった。フロリアの天真爛漫な姿を見れた事や、気軽に話しかけて貰えた事に喜びはあるが、早々にこの場から離れたい。ロークはそんな気分になっていた。
「お兄ちゃん一緒に遊ぼ!」
「え、えぇ。いつか機会がありましたら」
「うん!絶対ね!」
キャッキャッと盛り上がる面々を見て、一体何をしに来たのか?大人達と仲良くなり汗だくになって遊ぶフロリアにアルバートは頭が痛くなった。
「ったく、遊びに来たんじゃ無いぞ!」
「良いでは無いですかアルバート。フローも楽しそうですし、何よりも生きた魔力の使い方を習えたのですから。それにこれだけ仲良くなれば言祝ぎの儀を迎えても……聖騎士団をきっと選びますよ」
「……だと良いが」
アルバート、ハリィ、セゾンにダダフォン。そしてロヴィーナがこの場を設けた本当の理由を思い返しつつ、険しい顔でフロリア達を見つめていた。
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