神々にもてあそばれて転生したら神様扱いされました。

咲狛洋々

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閑話

マラエカの秘密

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今日もビクトラがウザい。
執務室の卓に脚を乗せて鼻くそをほじりながら
最近抱いた男の事を言っている。
節操のない男だ。
こんな男の下で働く身になって欲しい。
俺は人との関わり方が下手だ。
事恋愛となるともう駄目だ。
言い寄る男で、良いなと思った奴がいても、
どう接したら良いのか分からず
冷たい事を言ってしまって傷つけてしまう。
申し訳なさで、そういう日は一日使い物にならない。
見た目もキツいしな。絶対零度って言われてるけど、
やっぱりこの目つきの所為だろうか。
こればかりはどうしようもない。
恋愛は諦めようと思う。

 そんな俺の密かな楽しみはリャーレとのお茶の時間だ。
彼はエルフ族でも高位の存在。
その美しさもさることながら、優しい笑顔と
手作りのお茶に俺は毎日癒されている。
いつも、美味しいお茶や昼食をご馳走してくれる。
良い人だ。
何かお礼がしたい。いつも、癒してくれるから。
何をあげたら喜ぶだろうか?
困っている事は無いだろうか?

「おぉい!リャーレ、茶!」

また、クソ隊長が副隊長を顎で使っている。
たまには自分で行けば良いのにと腹が立った。

「自分が淹れますよ。」

俺は席を立ち、給湯室へ向かった。
無性に腹が立って、隊長のお茶の中に
獣化や発情の興奮を抑える薬草をこっそり混ぜた。
これで落ち着いてくれたらリャーレも俺も仕事が楽になるだろう。

「どうぞ。」

「お、すまねぇな!ズズズ。何か今日のはウメェな!もう一杯くれや。」

「どうぞ。たんと飲め。」

「お、サンキュー。」

二杯、三杯と飲んでいく。
これは少しヤバいかもしれないと思ったが後の祭りだった。

隊長は涎を垂らして床に転がりゴロゴロと転がり出した。
徐に爪を出して壁やら床やら卓を引っ掻き出した。

「何やってんだ!馬鹿猫!やめんか!」

目は爛々とし、あたりをキョロキョロと見回したかと思うと俺を押し倒して膝の上に頭を乗せてグルグルと喉を鳴らし出した。
しかも、猫耳が出っ放しで尻尾まで出ている始末。

「マジか。。。」

顔やら髪やらを舐め倒されてビチャビチャになってしまった。
お茶の所為か。失敗した。
挙句に俺の股座をクンクン匂いを嗅いでズボンを下げようとしてきたから、思わず手刀で意識を落としてしまった。

「おい!ビクトラ!隊長!!起きろ!」

駄目だ。完全に落ちている。

目が覚めて、記憶があれば俺は殺される。
いかん、証拠隠滅せねば。
隊長を抱えてソファに寝かすと、魔道具を使って床やら壁やらを修復して、掃除をした。お茶のカスも燃やして消した。
これで、大丈夫だろう。

夕方、隊長が目を覚ました。

「あれ、俺なんでこんな所で寝てんだ?」

「あんた仕事したくないってソファに傾れ込んだでしょうが」

嘘をついた。胃が痛い。

「お、そうだったか?なんかこう人肌恋しくなったな。」

なに!!?薬草が効いていない、、だと!!

「なんだ?ムズムズして気持ち悪ぃな。今日は帰るか」

「お疲れ様です。」

未だ猫耳と尻尾が出ている事は言わないでおこう。
完全変体の獣人が獣体を出しているのは興奮している証拠。
性行為したいですアピールだ。
騎士隊でそんな姿を見せれば懲罰物だ。
黙っておこう。

秘密が増えていく。

「なんっだこりゃーーーー!!」

廊下遠くから絶叫が聞こえたが、知らぬフリをしよう。

これは俺と、薬草をくれたリャーレと二人の秘密だ。

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