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新世界編
偽りの記憶と記憶の残滓
しおりを挟むもうどれ程、ジジはカイリの身体に精をぶつけたか分からなくなって
いた。途中、ルーナ達からの呼び掛けに何か返事をした様な気もして
いたが、それよりもカイリの求めに応える事に溺れていた。
「カイリっ!俺だけを俺だけを見てくれ」
「あっ、あっっ、もっと、こっちも、こっちもして」
ジジの問い掛けや、質問にカイリは答えない。ただどうして欲しい
とか、欲しい魔粒子の色を訴えたりするだけで到底本物のカイリには
遠く及ばない、劣化品でしか無かった。
そんな事にも気付かぬ程に、ジジはカイリの肉欲に飲み込まれ不死の
身体をひたすらその色を取り戻した華奢な身体にぶつけている。
「あぁぁっ!イクっ‼︎」
ビクビクと腰を痙攣させ、ジジは何年もの間に溜め込んだ想いを
カイリの身体に吐き出しては、カイリの身体に自身の物を埋め込んだ
まま抽送を始める。
滝のように流れる汗と、精液、愛液が二人の身体を濡らし、部屋中には
更に濃くなった魅了の香りが充満していた。
嬌声と呻き声、喘ぎが隣の部屋にも響き渡りルーナ達は耳を塞いで
いたが、次第に不安を覚え始めた。
「これ、完成に堕ちてませんか…大丈夫かな」
「ルーナ、あのジジってやつ何者なんだ」
ビクトラはじっと扉を睨んだままルーナに問い掛けた。
「彼は不老不死なんだそうです。カイリ様の死後、テュルケット神にカイリ様と永遠に引き離す為に呪いを掛けられたのだと言っていました」
「不老不死?」
「えぇ、1500歳以上だと聞いています」
「マジかよ」
隊員はその言葉に、ジジの事よりもそんな呪いを掛けたというテュル
ケットに恐怖を覚え始めていた。もし、テュルケットの神核が淀みから
復活したとして、対抗出来るのだろうかと。
「それに、フェルファイヤ側妃を知っていますよね?」
「あぁ、建国の神の側妃だろ?」
「そもそも、それが間違っていたんです」
「俺達は子供の頃から、初代皇帝はアマルマだと教わり、カイリ様は正妃と習っていますよね?けれどアマルマ神は既に淀みに堕ちていた。正妃も皇帝もカイリ様だったんです」
「……なんでそんな得にもならない虚偽が伝わっているんだ?正妃って誰の正妃だ…」
「テュルケット神の正妃ですよ。後に皇帝の座を譲っています。全部を知れば、テュルケット神なんて冒涜するだけでは飽き足らないほどの下衆野朗なんですけど、カイリ様はたった130年でこの世界の基礎を築いた人です、個人的にはテュルケット神への信仰がカイリ様へ移るのを恐れたか、後世の人間にもカイリ様を記憶させたくない程執着していたかのどちらかではないでしょうか?」
「神核を失って人となったカイリ様に、テュルケットの子供は産めなかった。だから獣との間に子をもうけて獣人を作ったんだそうです」
「その子孫の大半を産んだのが側妃フェルファイヤ様ですが、そのフェルファイヤ様の弟が…ジジさんなんですよ。」
「まっマジかよ?」
「ええ、そしてフェルファイヤ様はテュルケット神の嫉妬によって処刑されたそうです。これも史実とは違いますよね…確か、アマルマ皇帝と共に従軍し戦死した事になっていた筈。その後、ジジさんは傷心のカイリ様の侍従となったそうです。そしてカイリ様の死後、テュルケット神から呪いを受け、逃げ延び隠れ村で生きてきたそうですよ…」
「そうか…はぁ。なんだか厄介な事になってきたな」
「えぇ、このままスムーズに神体の破壊が出来る気がしないんですよね…俺」
「……そうだな。誰か、じゃなくて…全員が死ぬかもしれねぇな」
隊員達はビクトラ達の言葉に固く結んだ唇を更に固くした。
そして、誰もがグレースと都の存在無しには何も事が起こせない
そう考えていた時だった。
「ジジっ!君の力を貰うよっ!あぁ、いいっ!」
嬌声と共にカイリの叫んだ言葉にルーナが部屋へと飛び込んだ。
むせ返る程の甘い香りにルーナは吐き気を催しながら、息を止めて
ジジの首に右腕を掛け、左手で頭を前に倒して腕に力を込め、
気絶させると引きずり倒して執務室へと戻ってきた。
「ぷはぁぁぁっ!うぇっ!おっぷっ、うぇぇぇ」
涙目で倒れ込み、床に吐き出すルーナの背をビクトラ達が摩りながら
気を失ったジジをガットが抱き上げソファに寝かした。
ギィ…
ゆっくりと開いた扉には、ユラユラと魔粒子を靡かせシーツを
羽織ったカイリが立っていた。
「ジジを返して?」
「都?分かるか?俺だ、アガットだ、どうした?分からないのか?」
「誰?貴方も私を愛してくれるかい?」
「なら、行こう…楽園までもう少しなんだ」
ブワッと広がる魅了の力に皆、目を瞑り息を止めて結界を張った。
しかし、魅了の力はそんな事も物ともせずに入り込んでくる。
カイリはアガットを押し倒してアガットの上に跨り、ズボンを引き
抜くと腰をくねらせアガット物を飲み込んだ。
「フッ、フッ、ハァッ、ン、ああ…君、良いよ…凄く、気持ちが良い…そんなに私が欲しいんだね、動いてあげるから、ね?沢山出しておくれ」
「んーーー!んーーー!」
ジタバタと手足を床に叩きつけるが、びくともしないカイリの身体に
アガットは次第に飲み込まれ始め、獣体化した手で太腿を掴むと下から
ドンッ!と突き上げ激しく抱き始めた。
「だれかっ、うぇ、止めて…はやく」
ルーナは這いつくばり、アガットの足を掴もうとするが、隊員の
歩みに手を蹴られ、動けず叫ぶしか出来なかった。
誰もが魅了に当てられ始め、フラフラとカイリの身体に手を滑らせて
ゆく。
「あぁ、君はこの魂を愛しているんだね?でも駄目だよ…君も私の物だ、余所見はいけない」
首を撫でられたビクトラはカイリの腕を捻り上げると、手首に
噛みついた。そしてグッと力を込めて首を噛む。
ダラダラと流れ出す血液と共に溢れる魔粒子に比例して、魅了の力が
薄らいで行くのをリャーレは感じ、カイリの身体を蔦で縛り上げ
控部屋のベッドに括り付けた。
「あっ、あっ…あぁがふっごっ…ジジ…ジ、ジ…たい…せつ…おとうと…ジジ」
口から血を吐き、痙攣しながらジジを呼ぶカイリは次第に反応しなく
なった。ルーナはよろよろと近寄ると、魔粒子の消失量を測る。
「…うぅ、魔粒子薬を…使いましょう…体液摂取は…危険です」
ルーナは薬品棚の中の赤色の液体の入った瓶を出すと、少しづつ
匙で飲ませた。
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