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村の土地神様ブチと、村娘ミコ
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これは、在る村と、その村を守護る神様の物語・・・。
永禄3年(西暦1560年)、駿河の国。
山の中に、古びた、小さな社がある。
夕暮れ。
社の前に、粗末な着物を着た、しかし美しい村娘が立っている。
その名を、「ミコ」と言った。
「村が平和で、みんなが幸せでありますように」
手を合わせ、お祈りするミコに、野良仕事帰りの村人が、笑って声をかける。
「ミコ。そんなもんに手ェ合わせても、何のご利益もねぇずら。夏は日照り続き、作物は不作。そんな何にも出来ねえ神様なんぞ・・・んん?」
すると、社のある森の奥に、小さな赤い火の玉が浮かび上がる。
「ひ・・・ひいい・・・ひ、人魂ぁ・・・?うわああああっ」
慌てて逃げ去る村人。
ミコは笑みを浮かべ、人魂に話しかける。
「そんな風に脅かしたら、可哀想だ」
「・・・本当は、もっとひでえバチをあててやっても良かったんじゃが」
人魂は徐々に形を変え、悪戯っぽい笑みを浮かべ、浅黒い肌をした、少年の姿になった。
年の頃は12、3歳。
この少年が、この社に祀られている神様、「ブチ」である。
永禄3年(西暦1560年)、駿河の国。
山の中に、古びた、小さな社がある。
夕暮れ。
社の前に、粗末な着物を着た、しかし美しい村娘が立っている。
その名を、「ミコ」と言った。
「村が平和で、みんなが幸せでありますように」
手を合わせ、お祈りするミコに、野良仕事帰りの村人が、笑って声をかける。
「ミコ。そんなもんに手ェ合わせても、何のご利益もねぇずら。夏は日照り続き、作物は不作。そんな何にも出来ねえ神様なんぞ・・・んん?」
すると、社のある森の奥に、小さな赤い火の玉が浮かび上がる。
「ひ・・・ひいい・・・ひ、人魂ぁ・・・?うわああああっ」
慌てて逃げ去る村人。
ミコは笑みを浮かべ、人魂に話しかける。
「そんな風に脅かしたら、可哀想だ」
「・・・本当は、もっとひでえバチをあててやっても良かったんじゃが」
人魂は徐々に形を変え、悪戯っぽい笑みを浮かべ、浅黒い肌をした、少年の姿になった。
年の頃は12、3歳。
この少年が、この社に祀られている神様、「ブチ」である。
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