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第32話 ソフィアの力
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「それで、その……私の力は、どうでしたでしょうか?」
クラリスにわっしゃわっしゃとバスタオルで身体を拭かれているソフィアがアランに尋ねる。
自分で身体を拭きながら、アランは口を開く。
「想像の遥か上、と言って差し支えない」
「えと……ご期待には添えられた、という事でよろしいでしょうか?」
「期待以上の以上、そのまた上だ」
まるで、後世に語り継がれるレベルの神童を前にしたように。
その声には、興奮が宿っていた。
「昨晩、ソフィア様に水の精霊魔法をお見せいたしましたよね?」
「うん、水を入れてくれたやつよね」
「そうです。私にも平均的な精霊力を持っているのですが……それでも、一度に生じさせられる水は、あの量が限界なのです」
「……と、いうことは」
「そういう事だ」
言いながら、アランがお腹周りの水気を拭うために服を脱いだ。
綺麗に六つに割れた、鍛え抜かれた腹筋が露わになる。
突如として姿を表した逞しい男の象徴に、ソフィアの思考は明後日の方向に吹っ飛んでいき代わりに視線が釘付けになった。
「単純な量で言うと、平均的な精霊力の何千倍……いや、何万倍もの力を保有している事になる。正直俺も、君がここまで強大な精霊力を持っているとは思っていな……聞いているのか?」
「はっ、ごめんなさい! 少しぼーっとしていました」
頭を振って、ソフィアは思考を切り替える。
「……無理もない。今までフェルミでは、こういった力は使えなかっただろうから、突然……それも、桁違いのレベルの力を使えたとしても実感はないだろう」
口が裂けても腹筋に見惚れていましたなんて言えまい。
「それも、イメージの強化に必要な詠唱もなし。本来、無詠唱で力を発現させるのは非常に困難な芸当なのだ。それを、一発目で成功させるとは……」
「あ、詠唱は単純に忘れていました……」
「……驚異的、とはまさにこの事だろう」
想像の遥か上、期待以上の以上、そのまた上、驚異的。
アランの評価をすぐに受けいられるほどの実感は、ソフィアにはなかった。
今まで自分に投げつけられ続けた言葉は、それらとはまるで正反対だったから。
でも……。
「何はともあれ、お役に立てそうで……良かったです」
えへへと、ソフィアがはにかむ。
アランの反応を見れば、少なくとも自分が全くの役立たずでない事はわかる。
それが何よりも、身が震えるほど嬉しかった。
この力を使って、誰かの役に立ちたい。
アランの役に立ちたい。
ソフィアはそう、強く強く思った。
「風の精霊よ……ウォーム・ドライウィンド」
クラリスが唱えると、ぶわわわーっとソフィアを温かい風が包み込む。
タオルである程度乾いた体の水気がさーっと引いていく感覚が心地よい。
ものの数十秒ほどで、ソフィアの身体はすっかり乾いた。
「ありがとう、クラリス」
「どういたしまして」
ほっこり落ち着いたソフィアに、アランは言う。
「あとは力の制御……どの場所にどのくらいの出力で、どのくらいの量の力を発現させるのか、その辺りを重点的に練習すれば、思った通りに力を使う事ができるだろう」
「ゔっ、そうですよね……今のままじゃ、使い勝手が悪いですよね……」
今回は水の精霊魔法だったから良かった。
だがもし火とかだったら……エラい事になっていただろう。
「心配しなくても、君には才能がある。力の制御も、そう時間もかからず出来る事だろう」
才能がある。
そう言われすんなりと受け入れるほど自信があるわけじゃない。
だけど、アランに言われたら……出来る気がした。
根拠はないけど、ソフィアのアランに対する信頼感がそうさせていた。
何よりも、アランの期待に答えたい……褒められたい。
そんな思いが、ソフィアにやる気をもたらした。
「よしっ」と、胸の前で拳をぎゅっと握って意気込むソフィア。
「では、今から練習をします!」
「……今からか?」
アランが呆気に取られたように言う。
「はい! 一刻も早くアラン様のお役に立てるよう、迅速に力の制御をできるようになり……って、あら……?」
急に、視界がぐらりと傾いた。
ふっと全身から力が抜けていく感覚
「ソフィア様!?」
クラリスのかけ声虚しく、ソフィアの身体は地面へと……。
倒れる寸前、アランに優しく抱き止められた。
クラリスにわっしゃわっしゃとバスタオルで身体を拭かれているソフィアがアランに尋ねる。
自分で身体を拭きながら、アランは口を開く。
「想像の遥か上、と言って差し支えない」
「えと……ご期待には添えられた、という事でよろしいでしょうか?」
「期待以上の以上、そのまた上だ」
まるで、後世に語り継がれるレベルの神童を前にしたように。
その声には、興奮が宿っていた。
「昨晩、ソフィア様に水の精霊魔法をお見せいたしましたよね?」
「うん、水を入れてくれたやつよね」
「そうです。私にも平均的な精霊力を持っているのですが……それでも、一度に生じさせられる水は、あの量が限界なのです」
「……と、いうことは」
「そういう事だ」
言いながら、アランがお腹周りの水気を拭うために服を脱いだ。
綺麗に六つに割れた、鍛え抜かれた腹筋が露わになる。
突如として姿を表した逞しい男の象徴に、ソフィアの思考は明後日の方向に吹っ飛んでいき代わりに視線が釘付けになった。
「単純な量で言うと、平均的な精霊力の何千倍……いや、何万倍もの力を保有している事になる。正直俺も、君がここまで強大な精霊力を持っているとは思っていな……聞いているのか?」
「はっ、ごめんなさい! 少しぼーっとしていました」
頭を振って、ソフィアは思考を切り替える。
「……無理もない。今までフェルミでは、こういった力は使えなかっただろうから、突然……それも、桁違いのレベルの力を使えたとしても実感はないだろう」
口が裂けても腹筋に見惚れていましたなんて言えまい。
「それも、イメージの強化に必要な詠唱もなし。本来、無詠唱で力を発現させるのは非常に困難な芸当なのだ。それを、一発目で成功させるとは……」
「あ、詠唱は単純に忘れていました……」
「……驚異的、とはまさにこの事だろう」
想像の遥か上、期待以上の以上、そのまた上、驚異的。
アランの評価をすぐに受けいられるほどの実感は、ソフィアにはなかった。
今まで自分に投げつけられ続けた言葉は、それらとはまるで正反対だったから。
でも……。
「何はともあれ、お役に立てそうで……良かったです」
えへへと、ソフィアがはにかむ。
アランの反応を見れば、少なくとも自分が全くの役立たずでない事はわかる。
それが何よりも、身が震えるほど嬉しかった。
この力を使って、誰かの役に立ちたい。
アランの役に立ちたい。
ソフィアはそう、強く強く思った。
「風の精霊よ……ウォーム・ドライウィンド」
クラリスが唱えると、ぶわわわーっとソフィアを温かい風が包み込む。
タオルである程度乾いた体の水気がさーっと引いていく感覚が心地よい。
ものの数十秒ほどで、ソフィアの身体はすっかり乾いた。
「ありがとう、クラリス」
「どういたしまして」
ほっこり落ち着いたソフィアに、アランは言う。
「あとは力の制御……どの場所にどのくらいの出力で、どのくらいの量の力を発現させるのか、その辺りを重点的に練習すれば、思った通りに力を使う事ができるだろう」
「ゔっ、そうですよね……今のままじゃ、使い勝手が悪いですよね……」
今回は水の精霊魔法だったから良かった。
だがもし火とかだったら……エラい事になっていただろう。
「心配しなくても、君には才能がある。力の制御も、そう時間もかからず出来る事だろう」
才能がある。
そう言われすんなりと受け入れるほど自信があるわけじゃない。
だけど、アランに言われたら……出来る気がした。
根拠はないけど、ソフィアのアランに対する信頼感がそうさせていた。
何よりも、アランの期待に答えたい……褒められたい。
そんな思いが、ソフィアにやる気をもたらした。
「よしっ」と、胸の前で拳をぎゅっと握って意気込むソフィア。
「では、今から練習をします!」
「……今からか?」
アランが呆気に取られたように言う。
「はい! 一刻も早くアラン様のお役に立てるよう、迅速に力の制御をできるようになり……って、あら……?」
急に、視界がぐらりと傾いた。
ふっと全身から力が抜けていく感覚
「ソフィア様!?」
クラリスのかけ声虚しく、ソフィアの身体は地面へと……。
倒れる寸前、アランに優しく抱き止められた。
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