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47.モリソン
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「モリソン様!」
「なんだ騒々しい。……その娘は、誰だ?」
賭博場のオーナー室で書類と睨めっこしていたモリソンは入室してきた部下を睨みつける。
こ、この男がモリソン。
部下の後ろについて室内に入室したユリアはゴクリと唾を飲み込む。
かなりの――イケメン。
だが鍛え上げられたムキムキの身体、頬には刃物でつけられた傷跡、睨まれたら金縛りにあいそうな鋭い眼光。非常に迫力のある近づき難い男だ。
「この娘はほら、借金を肩代わりするやつが見つかって1週間後に借金を返す予定の野郎がいたじゃないですか。そいつの娘ですよ」
「……ああ。それであいつの娘が俺に何の用だ」
「あ、いえ、用があるのはこの娘じゃなくてですね……」
何やら言いづらそうにモジモジする部下に苛立つモリソンの耳に何やら困りますやらお待ち下さいやら騒がしい声が聞こえてくる。
「なん「モリソン」」
誰をも魅了するのではないかと思うほど美しい声が彼の耳に届くと、彼の身体は硬直した。
そしてその声の主が姿を現すと――
「エリーゼ!無事か!?」
ちょうどその時サイラスが駆け込んできた。
彼は室内を見回すとポツリと呟いた。
「え、何この状況?」
自分と同じように困惑する様子の1人の可愛らしい女性とここの従業員らしい男。
余裕のある笑みを浮かべるエリーゼと大丈夫かと心配になるほど顔面蒼白になり石像かと見紛うばかりに硬直している強面の男。
普通逆では?
「あらサイラスどうしたの?」
「いや、俺にもよくわからないが公爵様が危険だと」
危険?どの辺が危険なのだろうか?
エリーゼは余裕そうだし、男がビビるというなんとも間抜けな空気というのか……危険には見えないのだが。
「こ、公爵様!?あんた公爵家の人間か!?は、早くその女を連れて出ていってくれ!?」
公爵という言葉に急に我に返ったのかサイラスの肩を掴み、必死な声で叫ぶモリソン。
「その女?」
「あ、い、いえ、エリーゼ様です。エリーゼ様!いやあ今日も本当にお美しい。目が潰れちゃいそうなのでさっさとご退席願えませんかぁぁぁぁぁぁ」
じろりと笑みのまま妙な圧で見つめられたモリソンは慌てて訂正するが本音も出てしまう。
「ふふ、久しぶりの再会だというのに冷たいわねモリソン。私たちの仲ではないの。久しぶりにやっちゃう?」
「ヒ、ヒィィィィィ……!」
やっちゃうなどと色目かしい言葉ながらモリソンは言葉をあげられないほど怯え、彼の口から出るのは喉の奥で鳴る悲鳴のみ。
「冗談よ」
吸い続けていた息をほうとやっと吐き出したモリソンは、空気というものを思い出したかのごとく忙しなく吸っては吐きを繰り返し、自分を落ち着かせる。
そもそもこの状況をまだ理解していないが、とりあえず入室してきた本音では早々にご帰宅願いたいお客様たちを椅子に腰掛けさせ、自らも腰掛ける。
「で、ででででででで、きょ、きょきょっ今日はなんのご、ごごごごごごご御用で?」
「…………そこまでビビらなくてもいいのではなくて?」
「…………………………」
この女は自分がしたことを忘れたのだろうか。
「エリーゼ、何をしたんだい?」
信じがたい目をしてエリーゼをまじまじと見るモリソンの様子に思わず口を開いていたサイラス。
「別に何もしていないわよ」
「聞いてくれますか!?」
心外だと言わんばかりのエリーゼと必死な様子のモリソンの言葉が重なった。えーと……とサイラスは困り顔である。
モリソンは考えた。なんかエリーゼとサイラスは良い感じっぽい。うん、たぶん。旦那とうまくいってないと噂で聞いたことがあるし、公爵家の使用人なのにこの美しき悪魔を呼び捨てだし。きっと愛人とかだろう。
この女の恐ろしさを聞かせて幻滅させてやる。振られてしまえ、この悪魔がペッと考えたモリソン。
「この女……ヒェッ!す、すみません!エ、エリーゼ様はうちを破滅させようとした悪女なんですよ!」
…………………………?
いや、なんか思ってた反応と違う。皆へーという感じで素っ気ない。
ま、まあうちはギャンブルを提供する場所だから仕方ないのか?
いやいやいやいや、あの恐怖をそんな反応で終わらせられてはたまったものではない。
更に口を開くモリソン――――
あれは数年前のこと
次兄が最近はまっているギャンブル場に父の命でついてきたエリーゼ御年13歳。
高貴な身の上ということでVIP室に通された。部屋にはエリーゼと兄と護衛、数人のディーラーと従業員、モリソン、その他には兄の悪友の公爵家と侯爵家の倅がいた。
カードゲームで負け続ける彼らをエリーゼは呆れるでもなくただじーっと見つめ続けた。その無垢な眼差しに彼らの心はいたたまれなかった。
ギャンブルは止めよう。
これこそが公爵がエリーゼを同行させた理由だった。彼の目論見通りに物事は進んだ。
本来ならここでちゃんちゃんだったのだが……
帰ろうとする兄やその友人をエリーゼが止める。
すっと軽く手を上げたかと思うとそこにじいやがやってきてお膝元にじゃらりと置かれる金貨。その量にごくりとモリソンとディーラーは息を呑む。
「私もやるわ」
「え!?いや、やめといた方が……」
長兄の制止の声など聞かず、よっこいしょと金貨を卓の上に乗せるエリーゼ。
「今日だけよ。お小遣いの範囲だから大丈夫よ」
えー……そういう問題なのだろうかと思いつつ、基本彼女に甘い次兄はこれも一つの社会勉強だとやらせることにした。
そして数分後、ポカーンと口を開ける次兄がそこにいた。
「待った。お兄さん、その手のひらを上に向けて開いてご覧なさい」
「待った。お姉さんそのハンドサインは頂けないわ」
「待った。お兄さんそのカードの隅に何をつけたの?」
暴かれていくイカサマの手口。
全て暴き出したのか満足そうなエリーゼと愕然とし青褪めるディーラーたち。
最初は少額から始まり、どんどん賭ける金額は大きくなっていく。負ける時は負けるのだが、少額を賭けたときのみ。
そして勝った金を全て注ぎ込んだ一勝負――
「私の勝ちね」
神に愛されし少女はニコリと微笑んだ。
「なんだ騒々しい。……その娘は、誰だ?」
賭博場のオーナー室で書類と睨めっこしていたモリソンは入室してきた部下を睨みつける。
こ、この男がモリソン。
部下の後ろについて室内に入室したユリアはゴクリと唾を飲み込む。
かなりの――イケメン。
だが鍛え上げられたムキムキの身体、頬には刃物でつけられた傷跡、睨まれたら金縛りにあいそうな鋭い眼光。非常に迫力のある近づき難い男だ。
「この娘はほら、借金を肩代わりするやつが見つかって1週間後に借金を返す予定の野郎がいたじゃないですか。そいつの娘ですよ」
「……ああ。それであいつの娘が俺に何の用だ」
「あ、いえ、用があるのはこの娘じゃなくてですね……」
何やら言いづらそうにモジモジする部下に苛立つモリソンの耳に何やら困りますやらお待ち下さいやら騒がしい声が聞こえてくる。
「なん「モリソン」」
誰をも魅了するのではないかと思うほど美しい声が彼の耳に届くと、彼の身体は硬直した。
そしてその声の主が姿を現すと――
「エリーゼ!無事か!?」
ちょうどその時サイラスが駆け込んできた。
彼は室内を見回すとポツリと呟いた。
「え、何この状況?」
自分と同じように困惑する様子の1人の可愛らしい女性とここの従業員らしい男。
余裕のある笑みを浮かべるエリーゼと大丈夫かと心配になるほど顔面蒼白になり石像かと見紛うばかりに硬直している強面の男。
普通逆では?
「あらサイラスどうしたの?」
「いや、俺にもよくわからないが公爵様が危険だと」
危険?どの辺が危険なのだろうか?
エリーゼは余裕そうだし、男がビビるというなんとも間抜けな空気というのか……危険には見えないのだが。
「こ、公爵様!?あんた公爵家の人間か!?は、早くその女を連れて出ていってくれ!?」
公爵という言葉に急に我に返ったのかサイラスの肩を掴み、必死な声で叫ぶモリソン。
「その女?」
「あ、い、いえ、エリーゼ様です。エリーゼ様!いやあ今日も本当にお美しい。目が潰れちゃいそうなのでさっさとご退席願えませんかぁぁぁぁぁぁ」
じろりと笑みのまま妙な圧で見つめられたモリソンは慌てて訂正するが本音も出てしまう。
「ふふ、久しぶりの再会だというのに冷たいわねモリソン。私たちの仲ではないの。久しぶりにやっちゃう?」
「ヒ、ヒィィィィィ……!」
やっちゃうなどと色目かしい言葉ながらモリソンは言葉をあげられないほど怯え、彼の口から出るのは喉の奥で鳴る悲鳴のみ。
「冗談よ」
吸い続けていた息をほうとやっと吐き出したモリソンは、空気というものを思い出したかのごとく忙しなく吸っては吐きを繰り返し、自分を落ち着かせる。
そもそもこの状況をまだ理解していないが、とりあえず入室してきた本音では早々にご帰宅願いたいお客様たちを椅子に腰掛けさせ、自らも腰掛ける。
「で、ででででででで、きょ、きょきょっ今日はなんのご、ごごごごごごご御用で?」
「…………そこまでビビらなくてもいいのではなくて?」
「…………………………」
この女は自分がしたことを忘れたのだろうか。
「エリーゼ、何をしたんだい?」
信じがたい目をしてエリーゼをまじまじと見るモリソンの様子に思わず口を開いていたサイラス。
「別に何もしていないわよ」
「聞いてくれますか!?」
心外だと言わんばかりのエリーゼと必死な様子のモリソンの言葉が重なった。えーと……とサイラスは困り顔である。
モリソンは考えた。なんかエリーゼとサイラスは良い感じっぽい。うん、たぶん。旦那とうまくいってないと噂で聞いたことがあるし、公爵家の使用人なのにこの美しき悪魔を呼び捨てだし。きっと愛人とかだろう。
この女の恐ろしさを聞かせて幻滅させてやる。振られてしまえ、この悪魔がペッと考えたモリソン。
「この女……ヒェッ!す、すみません!エ、エリーゼ様はうちを破滅させようとした悪女なんですよ!」
…………………………?
いや、なんか思ってた反応と違う。皆へーという感じで素っ気ない。
ま、まあうちはギャンブルを提供する場所だから仕方ないのか?
いやいやいやいや、あの恐怖をそんな反応で終わらせられてはたまったものではない。
更に口を開くモリソン――――
あれは数年前のこと
次兄が最近はまっているギャンブル場に父の命でついてきたエリーゼ御年13歳。
高貴な身の上ということでVIP室に通された。部屋にはエリーゼと兄と護衛、数人のディーラーと従業員、モリソン、その他には兄の悪友の公爵家と侯爵家の倅がいた。
カードゲームで負け続ける彼らをエリーゼは呆れるでもなくただじーっと見つめ続けた。その無垢な眼差しに彼らの心はいたたまれなかった。
ギャンブルは止めよう。
これこそが公爵がエリーゼを同行させた理由だった。彼の目論見通りに物事は進んだ。
本来ならここでちゃんちゃんだったのだが……
帰ろうとする兄やその友人をエリーゼが止める。
すっと軽く手を上げたかと思うとそこにじいやがやってきてお膝元にじゃらりと置かれる金貨。その量にごくりとモリソンとディーラーは息を呑む。
「私もやるわ」
「え!?いや、やめといた方が……」
長兄の制止の声など聞かず、よっこいしょと金貨を卓の上に乗せるエリーゼ。
「今日だけよ。お小遣いの範囲だから大丈夫よ」
えー……そういう問題なのだろうかと思いつつ、基本彼女に甘い次兄はこれも一つの社会勉強だとやらせることにした。
そして数分後、ポカーンと口を開ける次兄がそこにいた。
「待った。お兄さん、その手のひらを上に向けて開いてご覧なさい」
「待った。お姉さんそのハンドサインは頂けないわ」
「待った。お兄さんそのカードの隅に何をつけたの?」
暴かれていくイカサマの手口。
全て暴き出したのか満足そうなエリーゼと愕然とし青褪めるディーラーたち。
最初は少額から始まり、どんどん賭ける金額は大きくなっていく。負ける時は負けるのだが、少額を賭けたときのみ。
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