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03 人間界じゃ
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「ここが人間界の都か!」
眼下に広がるのは人間がひしめき合う人間界唯一の国家の王都だった。魔城よりも小ぶりだが、立派な城を中心に街が広がっていた。
魔界から超高速で空を飛ぶこと二日掛け、魔王とサタンは人間界にたどり着いた。
「魔王様、あまり近づいては人目に触れます。どこか人気のないところで降りましょう」
「そうじゃな」
郊外にある人気のない丘に二人は着地する。近くには王都へ入るための大きな門があった。
「あそこから入るのか?」
「工作はしておりますので、すぐ入れますよ」
「うむ、ご苦労」
ここからは人間らしくゆっくり徒歩で向かう。途中徒歩が遅すぎて苛々してきた魔王を落ち着かせたのはサタン特製のクッキーだった。
「うまうま」
「魔王様、お口についておりますよ」
「うむ」
やっと目的の門に到着すると、そこにいた髭を生やした門番が二人をじろりと不躾に見てきた。
「おい、止まれ」
「はい、なんでしょう?」
にこりと笑ってサタンが対応する。魔王はクッキーを食べて眠くなってきていた。
「貴族風だが、馬車や使いはどこにいるんだ?」
「それが、夜盗に襲われまして……勇者適性のあるお嬢様と剣士適性のある自分だけが助かったのです」
「ふんっ、そんな有様で勇者になんてなれるわけ……通れ」
サタンが門番に何か入っている袋を掴ませると、門番は道を開けた。大方、夜盗に襲われた人が他にもいたのだろう。すんなりと信じた。魔王はそんな門番には目もくれず、人間界の街の風景に目を奪われていた。
歩いていくたびに店が変わり、人が変わる。人の表情も今まで会った人間たちとは違い、憎むような目でこちらを見てこない。みながみな、幸せそうな表情をしていた。
「すごいな…人間で溢れている」
「唯一の王都ですから、活気づいておりますね」
目を輝かせ、ここに魔弾を撃ったら幸せそうな人間はどんな反応をするのだろうと魔王はワクワクしていた。そんな魔王を知ってか、サタンは咎めるように口を開いた。
「マオ様、ダメですからね」
「まお?」
知らぬ名で呼ばれて、魔王はきょとんとしてサタンを見た。
「貴女はマオ・ウー様で、私はサー・タンです」
「そのままじゃ……」
配下の意外なネーミングセンスに頭ががくっと下がった。
「日が暮れる前に、学校に行ってしまいましょう。私たちは編入生ですからね、少し目立つと思います」
「面倒じゃのー」
勇者育成学校へ行く前に、魔王改めマオはサーに出店の食べ物をねだった。
眼下に広がるのは人間がひしめき合う人間界唯一の国家の王都だった。魔城よりも小ぶりだが、立派な城を中心に街が広がっていた。
魔界から超高速で空を飛ぶこと二日掛け、魔王とサタンは人間界にたどり着いた。
「魔王様、あまり近づいては人目に触れます。どこか人気のないところで降りましょう」
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「あそこから入るのか?」
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「うむ、ご苦労」
ここからは人間らしくゆっくり徒歩で向かう。途中徒歩が遅すぎて苛々してきた魔王を落ち着かせたのはサタン特製のクッキーだった。
「うまうま」
「魔王様、お口についておりますよ」
「うむ」
やっと目的の門に到着すると、そこにいた髭を生やした門番が二人をじろりと不躾に見てきた。
「おい、止まれ」
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にこりと笑ってサタンが対応する。魔王はクッキーを食べて眠くなってきていた。
「貴族風だが、馬車や使いはどこにいるんだ?」
「それが、夜盗に襲われまして……勇者適性のあるお嬢様と剣士適性のある自分だけが助かったのです」
「ふんっ、そんな有様で勇者になんてなれるわけ……通れ」
サタンが門番に何か入っている袋を掴ませると、門番は道を開けた。大方、夜盗に襲われた人が他にもいたのだろう。すんなりと信じた。魔王はそんな門番には目もくれず、人間界の街の風景に目を奪われていた。
歩いていくたびに店が変わり、人が変わる。人の表情も今まで会った人間たちとは違い、憎むような目でこちらを見てこない。みながみな、幸せそうな表情をしていた。
「すごいな…人間で溢れている」
「唯一の王都ですから、活気づいておりますね」
目を輝かせ、ここに魔弾を撃ったら幸せそうな人間はどんな反応をするのだろうと魔王はワクワクしていた。そんな魔王を知ってか、サタンは咎めるように口を開いた。
「マオ様、ダメですからね」
「まお?」
知らぬ名で呼ばれて、魔王はきょとんとしてサタンを見た。
「貴女はマオ・ウー様で、私はサー・タンです」
「そのままじゃ……」
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「日が暮れる前に、学校に行ってしまいましょう。私たちは編入生ですからね、少し目立つと思います」
「面倒じゃのー」
勇者育成学校へ行く前に、魔王改めマオはサーに出店の食べ物をねだった。
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