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04 学校じゃ
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「ここが学校……」
魔王のマオはぽかんと口を開けた。そこには巨大な門があり、ゆっくりとその扉は開かれた。まるで城のような建物があり、広い校庭にはドレスと見紛うほど美しい制服を纏った生徒たちがいた。学校というにはいささか豪華すぎるそこを見て、魔王は素直な感想を口にした。
「なーんか地味じゃの~」
「そう言うのは魔王様ぐらいでしょうね」
乾いた笑いがサタンから漏れる。二人が門の前に立っていると、一人の女生徒がこちらに向かってくるのが見えた。
金色の巻き髪に吊り上がっている青い目をした令嬢だった。
「貴方たちが編入生ね」
目の前にやってくると尊大な素振りで小さなマオを見下した。完全に値踏みされている。隣に立っているサタンには少し頬を赤らめていたが、サタンは動じずににこりと微笑んで見せた。
「そう、魔王じゃ……ですわ」
「は?マオウ?」
名前を聞いて怪訝な表情をする令嬢に魔王が無礼だと言う前にサタンが前に出た。
「こちらのお嬢様はマオ・ウー様です。俺はお付きの騎士、サー・タンです。お見知りおきを」
胸に手を添え、優雅に挨拶するサー・タンを見習って、魔王はしぶしぶ習った人間風の挨拶をした。それに満足したのか、令嬢はまっすぐこちらを見て挨拶を返した。
「私はアイリーン・ルイスですわ。生徒会の一人なの」
「わざわざありがとうございます、ルイス嬢」
見た目は美形のサタンがそう言うとルイスは顔を赤くさせた。やはり、美醜の感性は魔物も人間も同じのようだ。
勇者育成学校生徒会、ここに到着するまでにサタンから聞いた情報の一つにあった。確か、一介の生徒よりも権力が強く、学校をまとめている存在らしい。
「王都に到着するまでに色々あったそうだけれど、学校の中にいれば安全よ。魔物除けの結界もあるし、警備も万全なの」
自信満々にこの学校の説明を聞いてもいないのにするルイスを尻目に念話でサタンに疑問を投げかける。
『この学校とやら、大丈夫か?』
『結界も警備もがばがばですねえ』
『魔物どころか魔王が入ってるのじゃが』
一人でけらけらと笑うマオ。そんなマオを気味悪そうに見て、ルイスはサタンに向き直り、目の前にある建物を指した。
「ここが寮ですわ。右が男子生徒、左が女子生徒。荷物はもう運び込まれているそうですので。……ちょっと、そこのあなた!この方を寮にご案内して!」
道を歩く男子生徒にサタンの案内役を任せると、ルイスはマオを連れて女子生徒の寮に向かった。サタンとは離れていても念話で話せるし、その気になれば一瞬で側にくることも出来るので、特に支障はなかった。
『くれぐれも、暴れたりしないでくださいね』
『わしは魔獣かなんかか』
「ここが貴女の部屋ですわ。失礼、アーニャ・イェーツ様?」
寮の一室に到着すると、ルイスはそこの扉を叩いた。扉から出てきたのは、マオに負けず劣らずの冴えない少女だった。
「は、はい。イェーツです。ひえっ、ルイス様!ご機嫌よう」
「ご機嫌よう。この方が今日から同室になるマオ・ウー様ですわ。あとはこのイェーツ様に教えてもらいなさい」
用が済んだとばかりにルイスは颯爽と去っていった。その後ろ姿を見送り、魔王はイェーツを見た。癖のある茶髪を三つ編みにしており、赤みを帯びた茶色の目で眼鏡をかけている。良くも悪くも、どこにでもいる人間の少女だ。
「よろしく、イェーツ様」
「よろしくお願いします、ウー様」
握手した瞬間、魔王の手の中で何かが弾けた。相手もそれを感じたようで、驚いている。
「すいません、静電気かしら」
「いいえ、気にしないで」
『やだ、この時期に静電気かな』
なんでもないことのように振る舞うイェーツに気づかれたかと思ったが、心を読めばそうではないようだ。人間の心を読むことなど、魔王にとっては呼吸よりも容易いことだった。
念話がサタンから飛んできた。こちらの異変を察知したようだった。
『どうかしましたか、我が主』
『ああ、同室の人間の少女が【聖女】かもしれないと思ったのじゃが』
先ほどの静電気のようなものは彼女の中の退魔の力が作用したものだった。本人は気づいていないようだが、この平凡な少女が今回の聖女適応者らしい。
『殺しますか?』
『まあ待て、青い実をもぎ取るにはまだ早いだろう。人間界に来たからにはじっくり楽しもうではないか』
にやりと魔王は笑った。今度こそ完璧に魔力を抑え込み、人間に擬態した。その邪悪な笑みに気づかず、聖女は魔王を部屋に招き入れた。
魔王のマオはぽかんと口を開けた。そこには巨大な門があり、ゆっくりとその扉は開かれた。まるで城のような建物があり、広い校庭にはドレスと見紛うほど美しい制服を纏った生徒たちがいた。学校というにはいささか豪華すぎるそこを見て、魔王は素直な感想を口にした。
「なーんか地味じゃの~」
「そう言うのは魔王様ぐらいでしょうね」
乾いた笑いがサタンから漏れる。二人が門の前に立っていると、一人の女生徒がこちらに向かってくるのが見えた。
金色の巻き髪に吊り上がっている青い目をした令嬢だった。
「貴方たちが編入生ね」
目の前にやってくると尊大な素振りで小さなマオを見下した。完全に値踏みされている。隣に立っているサタンには少し頬を赤らめていたが、サタンは動じずににこりと微笑んで見せた。
「そう、魔王じゃ……ですわ」
「は?マオウ?」
名前を聞いて怪訝な表情をする令嬢に魔王が無礼だと言う前にサタンが前に出た。
「こちらのお嬢様はマオ・ウー様です。俺はお付きの騎士、サー・タンです。お見知りおきを」
胸に手を添え、優雅に挨拶するサー・タンを見習って、魔王はしぶしぶ習った人間風の挨拶をした。それに満足したのか、令嬢はまっすぐこちらを見て挨拶を返した。
「私はアイリーン・ルイスですわ。生徒会の一人なの」
「わざわざありがとうございます、ルイス嬢」
見た目は美形のサタンがそう言うとルイスは顔を赤くさせた。やはり、美醜の感性は魔物も人間も同じのようだ。
勇者育成学校生徒会、ここに到着するまでにサタンから聞いた情報の一つにあった。確か、一介の生徒よりも権力が強く、学校をまとめている存在らしい。
「王都に到着するまでに色々あったそうだけれど、学校の中にいれば安全よ。魔物除けの結界もあるし、警備も万全なの」
自信満々にこの学校の説明を聞いてもいないのにするルイスを尻目に念話でサタンに疑問を投げかける。
『この学校とやら、大丈夫か?』
『結界も警備もがばがばですねえ』
『魔物どころか魔王が入ってるのじゃが』
一人でけらけらと笑うマオ。そんなマオを気味悪そうに見て、ルイスはサタンに向き直り、目の前にある建物を指した。
「ここが寮ですわ。右が男子生徒、左が女子生徒。荷物はもう運び込まれているそうですので。……ちょっと、そこのあなた!この方を寮にご案内して!」
道を歩く男子生徒にサタンの案内役を任せると、ルイスはマオを連れて女子生徒の寮に向かった。サタンとは離れていても念話で話せるし、その気になれば一瞬で側にくることも出来るので、特に支障はなかった。
『くれぐれも、暴れたりしないでくださいね』
『わしは魔獣かなんかか』
「ここが貴女の部屋ですわ。失礼、アーニャ・イェーツ様?」
寮の一室に到着すると、ルイスはそこの扉を叩いた。扉から出てきたのは、マオに負けず劣らずの冴えない少女だった。
「は、はい。イェーツです。ひえっ、ルイス様!ご機嫌よう」
「ご機嫌よう。この方が今日から同室になるマオ・ウー様ですわ。あとはこのイェーツ様に教えてもらいなさい」
用が済んだとばかりにルイスは颯爽と去っていった。その後ろ姿を見送り、魔王はイェーツを見た。癖のある茶髪を三つ編みにしており、赤みを帯びた茶色の目で眼鏡をかけている。良くも悪くも、どこにでもいる人間の少女だ。
「よろしく、イェーツ様」
「よろしくお願いします、ウー様」
握手した瞬間、魔王の手の中で何かが弾けた。相手もそれを感じたようで、驚いている。
「すいません、静電気かしら」
「いいえ、気にしないで」
『やだ、この時期に静電気かな』
なんでもないことのように振る舞うイェーツに気づかれたかと思ったが、心を読めばそうではないようだ。人間の心を読むことなど、魔王にとっては呼吸よりも容易いことだった。
念話がサタンから飛んできた。こちらの異変を察知したようだった。
『どうかしましたか、我が主』
『ああ、同室の人間の少女が【聖女】かもしれないと思ったのじゃが』
先ほどの静電気のようなものは彼女の中の退魔の力が作用したものだった。本人は気づいていないようだが、この平凡な少女が今回の聖女適応者らしい。
『殺しますか?』
『まあ待て、青い実をもぎ取るにはまだ早いだろう。人間界に来たからにはじっくり楽しもうではないか』
にやりと魔王は笑った。今度こそ完璧に魔力を抑え込み、人間に擬態した。その邪悪な笑みに気づかず、聖女は魔王を部屋に招き入れた。
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