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え? 糞シスト?(エクソシスト的なやつ)
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アルフレッドは、実は司祭なんかではない。
古い秘密結社から生まれた、非公式のエクソシスト協会に属している祓魔師である。
カリトック教会からも国際エクソシスト協会からも批判され「クソシスト」と陰で呼ばれているが、手ごわい悪魔憑きの場合、バカチン市国にある総本山から協力を求められることもある。
以前悪魔祓いを依頼してきた司祭のコネで、現在は教会のアルバイトをしている身の上だ。
今の彼の収入は、ミサの手伝いと、結婚式の立ち合いと、悪魔祓いだ。もちろん悪魔祓いが一番儲かる。死にかけることもあるのだから。
シャワーを浴びた後、自分のイチモツを見下ろした。とても大きくて、少し神々しい。
アルフレッドは、協会のメンバーの中でも珍しい、女性の悪魔憑きを専門に祓う、チンポシストという祓魔師であった。ちなみに、マンチョシストという女の祓魔師も居る。
……祓う方法は、ご想像にお任せしよう。
最近、アルフレッドに近づいてくる女性がいるのだが、どうも、ただ想いを寄せているだけとは思えない。
一見地味な印象を受ける女性だが、その目は飢えたように欲望でギラギラしているのだ。
どう見てもアンバランスでおかしい。チンコレーダーがそう告げてくる。
「アル」
知り合いの司祭である拓斗が、煙草をふかしながら自分の部屋から出てきた。2LDKをシェアしているので、お互い全裸は見慣れている。
「相変わらず見事な聖なる剣だなww」
wwつけるなよ、とアルフレッドは苦い顔をする。
拓斗は不良司祭で、敬虔なカリトックとは程遠い。彼女も取っ替え引っ替えだ。何せデートの時は、急に司祭役を押し付けてくるのだから。
「前に言ってた、教会によく来る色情魔に憑かれた子、どう? たんなる恋する女子だった?」
ワインの栓を抜きながら話しかけてくる。いいからパンツを履かせろ。
「分からない。夢見る乙女風に見えないこともないけど、なんか引っかかるんだよな」
「司祭を堕落させようっていう、サキュバスの類かもしれんぞ? ま、お前は司祭じゃないけどね!」
アルフレッドは、自分にもくれると思っていたワインを目の前でラッパ飲みされ、舌打ちした。そういう自分だって聖職者と名乗れるような清らかな男じゃないじゃないか、と思う。破戒僧め。
「もしそうだったとしても、俺は祓わねえぞ」
「何でだよ。可哀想じゃん、その子」
「誰が報酬くれるんだよ、教区長か? バカチンか?」
「無償だろ、依頼者がいねぇんだから」
ただ働きか! アルフレッドはうんざりした。故郷に帰りたい。あ、故郷はここだった!
日本生まれ日本育ち、この容姿で英語がぜんぜんしゃべれないとか逆に不便が多い。結婚式の立ち合いではわざとカタコトを話したり、信者の前では蕎麦をすすれないふりをしたりと、わりと気を遣う性質である。
さらにはエクソシスト協会から仕事を貰っても、祓ったのはカリトック教会の手柄にされ、金だけ渡されて、誰にも感謝されないという可哀そうな男なのである。
報酬の無い仕事なんてしてたまるか!
「もうすぐハロウィンだろ。サバトの一つでも潰せば、どこかしらから報酬が貰えるかもしれないぜ?」
全部献金からだけどな、と言われてアルフレッドは肩をすくめた。
「まったく罪悪感は感じないね。じっさい居るんだからさ、日常生活に異常を来すほど取り憑かれた人間ってのは」
それから、ふと置いておいたハロウィンの招待状を手に取る。
「なんか、臭うんだよなぁ」
「なにが?」
「甘い、いい匂いがするんだ」
アルフレッドは友人に手渡そうとして拒否された。
「俺にはそういう能力無いの、分かってんだろ」
芳しい甘い香り。これをくれた教会によく来る女性は、やはりサキュバス憑きで、危険な状態なのだろうか。
アルフレッドは厳しい顔をした。
古い秘密結社から生まれた、非公式のエクソシスト協会に属している祓魔師である。
カリトック教会からも国際エクソシスト協会からも批判され「クソシスト」と陰で呼ばれているが、手ごわい悪魔憑きの場合、バカチン市国にある総本山から協力を求められることもある。
以前悪魔祓いを依頼してきた司祭のコネで、現在は教会のアルバイトをしている身の上だ。
今の彼の収入は、ミサの手伝いと、結婚式の立ち合いと、悪魔祓いだ。もちろん悪魔祓いが一番儲かる。死にかけることもあるのだから。
シャワーを浴びた後、自分のイチモツを見下ろした。とても大きくて、少し神々しい。
アルフレッドは、協会のメンバーの中でも珍しい、女性の悪魔憑きを専門に祓う、チンポシストという祓魔師であった。ちなみに、マンチョシストという女の祓魔師も居る。
……祓う方法は、ご想像にお任せしよう。
最近、アルフレッドに近づいてくる女性がいるのだが、どうも、ただ想いを寄せているだけとは思えない。
一見地味な印象を受ける女性だが、その目は飢えたように欲望でギラギラしているのだ。
どう見てもアンバランスでおかしい。チンコレーダーがそう告げてくる。
「アル」
知り合いの司祭である拓斗が、煙草をふかしながら自分の部屋から出てきた。2LDKをシェアしているので、お互い全裸は見慣れている。
「相変わらず見事な聖なる剣だなww」
wwつけるなよ、とアルフレッドは苦い顔をする。
拓斗は不良司祭で、敬虔なカリトックとは程遠い。彼女も取っ替え引っ替えだ。何せデートの時は、急に司祭役を押し付けてくるのだから。
「前に言ってた、教会によく来る色情魔に憑かれた子、どう? たんなる恋する女子だった?」
ワインの栓を抜きながら話しかけてくる。いいからパンツを履かせろ。
「分からない。夢見る乙女風に見えないこともないけど、なんか引っかかるんだよな」
「司祭を堕落させようっていう、サキュバスの類かもしれんぞ? ま、お前は司祭じゃないけどね!」
アルフレッドは、自分にもくれると思っていたワインを目の前でラッパ飲みされ、舌打ちした。そういう自分だって聖職者と名乗れるような清らかな男じゃないじゃないか、と思う。破戒僧め。
「もしそうだったとしても、俺は祓わねえぞ」
「何でだよ。可哀想じゃん、その子」
「誰が報酬くれるんだよ、教区長か? バカチンか?」
「無償だろ、依頼者がいねぇんだから」
ただ働きか! アルフレッドはうんざりした。故郷に帰りたい。あ、故郷はここだった!
日本生まれ日本育ち、この容姿で英語がぜんぜんしゃべれないとか逆に不便が多い。結婚式の立ち合いではわざとカタコトを話したり、信者の前では蕎麦をすすれないふりをしたりと、わりと気を遣う性質である。
さらにはエクソシスト協会から仕事を貰っても、祓ったのはカリトック教会の手柄にされ、金だけ渡されて、誰にも感謝されないという可哀そうな男なのである。
報酬の無い仕事なんてしてたまるか!
「もうすぐハロウィンだろ。サバトの一つでも潰せば、どこかしらから報酬が貰えるかもしれないぜ?」
全部献金からだけどな、と言われてアルフレッドは肩をすくめた。
「まったく罪悪感は感じないね。じっさい居るんだからさ、日常生活に異常を来すほど取り憑かれた人間ってのは」
それから、ふと置いておいたハロウィンの招待状を手に取る。
「なんか、臭うんだよなぁ」
「なにが?」
「甘い、いい匂いがするんだ」
アルフレッドは友人に手渡そうとして拒否された。
「俺にはそういう能力無いの、分かってんだろ」
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アルフレッドは厳しい顔をした。
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