アラサー失恋女子、合コンで年下御曹司(25)にロックオンされる〜タワマン25階住みでも、怪しい壺なんて買いません!〜

世界のボボブラ汁(エロル)

文字の大きさ
40 / 68

お誕生会

しおりを挟む

 そんなわけで、宴を辞退し帰り支度をしていると、私服に着替えた蓮君が客室までやって来た。

「出られます? もうランチの時間は過ぎてるけど、俺が言えば鶴の一声で開けてくれますよ。当初の目的──フォアグラ南蛮を、二人で食べに行きましょう。あ、もちろん具合が悪ければやめますけど」

 私は少しためらった。

「でも、蓮君。今日は大事な日なんでしょ? 駅まで送ってもらえれば、一人で帰るわ」

 蓮君はため息をつく。

「茜さんって、本当にお人好し。ここ、信州ですよ」 
「だって下手したら新幹線の方が早そうだし……お爺様、お誕生日なのよね?」 
「俺が一緒に帰りたいんです。どうせ会合が終わった後は、夜まで飲み食いするだけですから」 
「社長」

 二匹の子狐が、ポンッと姿を現した。──いやん、かわゆいっ!

「宗主がお呼びです」

 蓮君は、思い切り嫌そうな顔をする。

「右京、俺に化けて行ってくれ」 
「嫌です。バレたら封じられます。左京にやらせましょう」 
「俺が封じられたらどうすんだ!」 
「だからだよ。似たような神使が二匹も要らないだろ」 
「てめー!」

 廊下で取っ組み合いを始める子狐たち──メルヘンすぎる、かわゆーすっ!

 だけど、私自身も勝手に帰るのは気が引けた。一宿一飯の恩義もあるし。

「一応、ご当主やご両親にだけご挨拶するわ。帰り際、宴会の場に少し顔を出してもいい?」 
「もちろん」

 蓮君がクスッと笑う。

「なに?」 
「こんな目に遭ってるのに、あかねさんって本当に……お人好し通り越してバカっていうか……」 

 なにぃいい!? じゃあなんて言えばいいのよ、激おこプンプン丸!?

「律儀ですね」

 私の表情を見て、焦ったように言い直す蓮君。

「だって悪いのは蓮君で、ご家族じゃないもの」 
「う……」
「それに──」

 何よりも私は、あれが圭太だったのか確かめたかった。

 変な格好をしていたし、儀式に気を取られていたから、人違いかもしれない。

 そんなわけで、私は蓮君の後について、おそるおそる大広間へ向かった。

 まだ明るいのに、宴はすっかりたけなわだった。会合とやらはとっくに終わっていたらしい。

 昨日は親族だけだったから、座敷一部屋で事足りていたが、今日は襖を開けて三部屋ぶち抜きの状態だ。

 それでも庭にいた人数よりは、だいぶ減っている。

 蓮君のお父様が私たちに気づき、手を振ったのが見えた。

「もう大丈夫なんですか、お嬢さん」 
「はい、おかげさまで。お世話になりました。そろそろお暇いたしたく、お爺様にご挨拶をと──」

 畳の上を見れば、宗主は顔を真っ赤にしてひっくり返って寝ていた。

 もう出来上がってる!

「連日だったから疲れたんだろう。さっきまで面倒な話し合いもしてたしね」

 お父様の言葉に、転がった樽を見つけた蓮君が呆れたように言う。

「……お神酒に、また手を付けたな」
「裏庭でやった儀式の時より、人が少ないですね」

 私は圭太らしき「平安コスプレ」の人を探しながら尋ねた。

「政治家連中は、出席したことをあまり印象付けたくないんでしょう。義理だけ果たして帰ったよ。ここの市長はまだいるが、湖のことは中々結論が出なくて──」 
「湖?」 
「あ……うん……まあ、その、ちょっと問題があってね」

 蓮君が聞き返そうとしたが、お父様は私に気を遣ったのか、軽く首を振って息子を黙らせた。

「ああ、ごめんね。内輪の話だ」

 言葉を濁し、曖昧に微笑む。

 宴会場には、山伏姿のエクソシストたちはもうおらず、代わりに修験道者だという外国人のお兄さんお姉さんが、嬉しそうにお寿司や天ぷらを「ヤミー! ヤミー!」と言いながら食べていた。

 カオスだ。エクソシストは日本人だったから、もう訳が分からない。

 それに、お目当ての烏帽子を被った平安貴族みたいな人は、どこにもいなかった。

 降神の儀が終わって、すぐ帰ってしまったのかもしれない。

 圭太に似た人のことを、蓮君のお父様に聞こうとした、その時──

「失礼、あかね様でしょうか」

 座敷の入り口から、声がかけられた。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】クズ男と決別した私の未来は輝いている。

カシスサワー
恋愛
五年間、幸は彼を信じ、支え続けてきた。 「会社が成功したら、祖父に紹介するつもりだ。それまで俺を支えて待っていてほしい。必ず幸と結婚するから」 そう、圭吾は約束した。 けれど――すべてが順調に進んでいるはずの今、幸が目にしたのは、圭吾の婚約の報せ。 問い詰めた幸に、圭吾は冷たく言い放つ。 「結婚相手は、それなりの家柄じゃないと祖父が納得しない。だから幸とは結婚できない。でも……愛人としてなら、そばに置いてやってもいい」 その瞬間、幸の中で、なにかがプチッと切れた。

ハメられ婚〜最低な元彼とでき婚しますか?〜

鳴宮鶉子
恋愛
久しぶりに会った元彼のアイツと一夜の過ちで赤ちゃんができてしまった。どうしよう……。

【完結】身代わりとなります

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
レイチェルは素行不良の令嬢として悪名を轟かせている。しかし、それはレイチェルが無知ゆえにいつも失態をしていたためで本人には悪意はなかった。 レイチェルは家族に顧みられず誰からも貴族のルールを教えてもらわずに育ったのだ。 そんなレイチェルに婚約者ができた。 侯爵令息のダニエルだ。 彼は誠実でレイチェルの置かれている状況を知り、マナー講師を招いたり、ドレスを作ってくれたりした。 はじめは貴族然としている婚約者に反発していたレイチェルだったがいつのまにか彼の優しさに惹かれるようになった。 彼のレイチェルへの想いが同情であっても。 彼がレイチェルではない人を愛していても。 そんな時、彼の想い人である隣国の伯爵令嬢フィオラの国で革命が起き、彼女は隣国の貴族として処刑されることが決まった。 そして、さまざまな思惑が交錯する中、レイチェルは一つの決断を下し・・・ *過去と未来が行ったり来たりしながら進行する書き方にチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんがご了承ください。

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。 絶対に離婚届に判なんて押さないからな」 既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。 まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。 紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転! 純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。 離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。 それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。 このままでは紘希の弱点になる。 わかっているけれど……。 瑞木純華 みずきすみか 28 イベントデザイン部係長 姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点 おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち 後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない 恋に関しては夢見がち × 矢崎紘希 やざきひろき 28 営業部課長 一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長 サバサバした爽やかくん 実体は押しが強くて粘着質 秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?

押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。 そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。 双子の妹、澪に縁談を押し付ける。 両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。 「はじめまして」 そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。 なんてカッコイイ人なの……。 戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。 「澪、キミを探していたんだ」 「キミ以外はいらない」

叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

花里 美佐
恋愛
冷淡財閥御曹司VS失業中の華道家 結婚に興味のない財閥御曹司は見合いを断り続けてきた。ある日、祖母の師匠である華道家の孫娘を紹介された。面と向かって彼の失礼な態度を指摘した彼女に興味を抱いた彼は、自分の財閥で花を活ける仕事を紹介する。 愛を知った財閥御曹司は彼女のために冷淡さをかなぐり捨て、甘く変貌していく。

【完結】あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた―

七転び八起き
恋愛
『借金を返済する為に働いていたラウンジに現れたのは、勤務先の副社長だった。 彼から出された取引、それは『専属』になる事だった。』 実家の借金返済のため、昼は会社員、夜はラウンジ嬢として働く優美。 ある夜、一人でグラスを傾ける謎めいた男性客に指名される。 口数は少ないけれど、なぜか心に残る人だった。 「また来る」 そう言い残して去った彼。 しかし翌日、会社に現れたのは、なんと店に来た彼で、勤務先の副社長の河内だった。 「俺専属の嬢になって欲しい」 ラウンジで働いている事を秘密にする代わりに出された取引。 突然の取引提案に戸惑う優美。 しかし借金に追われる現状では、断る選択肢はなかった。 恋愛経験ゼロの優美と、完璧に見えて不器用な副社長。 立場も境遇も違う二人が紡ぐラブストーリー。

処理中です...