アラサー失恋女子、合コンで年下御曹司(25)にロックオンされる〜タワマン25階住みでも、怪しい壺なんて買いません!〜

世界のボボブラ汁(エロル)

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帰路に着く

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 ぼんやりと、外を見ていた。

 暗くなってきた高速道路。対向車のライトの眩しさに目を閉じても、瞼の裏まで光が滲んだ。

 ぐちゃぐちゃした心が、ずっと収まらない。

「寝てます? 起きてます?」

 車に乗ってからずっと押し黙ったままの私を気にして、蓮君がシートの隣から小声で確認してきた。

 私は目を開けずに答える。

「起きてるわ。……そんなにいつも、寝ているイメージ?」
「はい」

 そうね。車の振動には弱い。免許取りたての友人の助手席に乗った時「よく私の運転で寝られるわね」と驚かれたこともある。

 蓮君は、私の右手を取った。

「茜さん……手首痛めませんでした? 湿布しますか?」

 右手を矯めつ眇めつ眺めているのが、気配で分かった。

 圭太を思い切り殴ったからだろう。

 でもボクシング体験コースに行ったことがあるから、殴り方は分かっている。

「いいパンチでした。せいぜい平手打ちだと思ったのに」
「だって……愛人になれ、なんて言われると思わなかったから」
「失礼しちゃいますよね」

 蓮君の声は少し弾んでいた。今の私と正反対で、機嫌がいいらしい。

「茜さんを誤解していました。流されやすい人かなって……。あのままなし崩しに、よりを戻すのかと思っちゃいました。怒らせると怖いこと、肝に銘じておきます」

 私は目をつぶったままだった。開けると涙がこぼれそうで……。

 圭太が婚約者を見る目は、優しかった。政略結婚の相手だとしても、彼なりに愛そうとしていたはずだ。

 それなのに、あんなこと言うなんて。

「見損なったの」
「そうですね、最低野郎だ」

 相槌を打つ声。

「あなたも殴られたくなかったら、これ以上近づかないで」

 身を寄せようとしていた気配が、ピタッと止まった。

「同類よ。いいかげんな人だわ。あなただって私と付き合う気もないのに、手を出そうとしてたじゃない」

 唇に柔らかいものが押し当てられた。私は目を開けて、蓮君を思い切り押した。

「やだっ、離れて! 何でキスしてくるの」

 蓮君はパッと離れて両手を上げた。気が立っているのを察し、降参の意を示したのだ。

 私はムカムカした。そもそもそんな関係じゃないのに、どうしてこんなことするの? 完全に私を舐めてる。

「私が、フラれたばかりの寂しいアラサーに見えるからなんでしょ?」

 その通りなんだけど、腹が立った。

 傷心の女なんて簡単に食えると思っているところが、ムカついてしょうがない。

「もう隙なんて見せない、流されないもん」
「俺には見せていいんですよ。流されてください」

 ぺろりと唇を舐めながら、蓮君が笑う。

 分かっていない。蓮君は分かっていない。

 振られても、失望してもまだ圭太を引きずっている私のこと、ぜんぜん分かっていない。

「そういうの、無理だって言ったわよね? 私、重いもん」
「俺もです。だから結婚してください」

 唐突に耳に入ってきた言葉に、私は目が点になった。

「……??」

 蓮君は声を大きくしてもう一度言った。

「結婚してください」
「……???? 付き合う気はないって、言ってなかった?」

 蓮君は頷いた。

「必要ないでしょう?」
「は?」
「だって俺たちの出会いは運命じゃないですか。即結婚の一択でしょう?」
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