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命の危機を感じた
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ほんの数分前の出来事だ。
集中治療室で寝ていた圭太は、突如現れた私を見てさすがに仰天した。
バイタルメーターがピピピピピと鳴り響き、慌ててサーヤが圭太の胸に手を置いて、心電図か、あるいは圭太の心臓のどちらかを正常にする。
危ない、ナースが駆けつけるとこだった!
圭太は酸素マスクを外すと、クスッと笑った。
「あぁ……これが噂の神使の力っちゅうやつか。すごいなぁ……もう妖怪やん」
半分呆れを含んだ声で言った彼に、サーヤが即返していたっけ……。
「いえ、神よ」
でも、意識があるし、思ったより元気そう。
「さっきまで蓮がいてな……死なない程度にちぃとだけ、生気を分けてくれたんや」
「──蓮くんが……」
名前を聞き、彼の痕跡を感じただけで、胸の奥が温かくなる
これは、もう駄目ね。……落ちたんだわ。
でもそれは、一歩踏み出せたということ。
だからこそ、私は躊躇することなく圭太に覆いかぶさっていた。
「最後よ……」
そう言って、彼の唇にキスをする。
蓮君が除霊した時、私の霊力は彼に力を与えた。
だから、こうすればいいのだと、なんとなく分かったからだ。
息を吹き込むように、私の体の奥深くにある光を、圭太の中に流し込む──そんなイメージを心に浮かべて。
圭太は目を見開いて、やっとのことで腕を持ち上げ、私の頭を引き寄せて舌を挿し入れようとした。
あ、舌のピアスはまだ残っているんだ。鼻がツンとして、目尻から涙が滑り落ちた。
でも、これは、決別の涙だ。
私は、ふっきるように顔を離していた。
もう流されない。結論はもう出ている。とっくに。
元から圭太が出した結論を、受け入れるだけでよかったのだ。
「茜っち……僕は──」
すっかり顔色の良くなった圭太は、縋りつくように私の腕を掴んだ。
でも私は首を横に振る。そうしてきっぱり言った。
「迷わないで、幸せになって」
さらに勇気を出して、喉の奥から絞り出す一言。
「さよなら」
圭太が何か言おうとしたとき、ギシギシ音が聞こえた。
振り返ると、ピンク色のフリフリの服を着た女性が立っていた。
手にはウサギさんのリンゴを載せた皿をもっている。
あ、この人……今は着物じゃないけど、神事で見かけた圭太の婚約者?
お皿が床に落ちて割れた。
彼女は眼球が飛び出すくらい目を剥き、ギシギシと歯軋りしながら、両方の手の指を鉤爪のように折り曲げて、襲い掛かって来たではないか!
「おどるぇるぁ、わだぐじのげいずけぐんになんばしちょっとぉぉおお!!!!!!」
私とサーヤがその剣幕に、恐怖の悲鳴をあげる。
「ぎゃぁあああああっごめんなさぁあああいっ!」
彼女が飛びかかってくるより早く、涙目のサーヤが動いた。バサッと大きな羽毛のようなものに全身が包まれる。
真っ白な病室が歪み、暗転したと思った次の瞬間には、湖が見えるこの公園に立っていたのだ。
集中治療室で寝ていた圭太は、突如現れた私を見てさすがに仰天した。
バイタルメーターがピピピピピと鳴り響き、慌ててサーヤが圭太の胸に手を置いて、心電図か、あるいは圭太の心臓のどちらかを正常にする。
危ない、ナースが駆けつけるとこだった!
圭太は酸素マスクを外すと、クスッと笑った。
「あぁ……これが噂の神使の力っちゅうやつか。すごいなぁ……もう妖怪やん」
半分呆れを含んだ声で言った彼に、サーヤが即返していたっけ……。
「いえ、神よ」
でも、意識があるし、思ったより元気そう。
「さっきまで蓮がいてな……死なない程度にちぃとだけ、生気を分けてくれたんや」
「──蓮くんが……」
名前を聞き、彼の痕跡を感じただけで、胸の奥が温かくなる
これは、もう駄目ね。……落ちたんだわ。
でもそれは、一歩踏み出せたということ。
だからこそ、私は躊躇することなく圭太に覆いかぶさっていた。
「最後よ……」
そう言って、彼の唇にキスをする。
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だから、こうすればいいのだと、なんとなく分かったからだ。
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あ、舌のピアスはまだ残っているんだ。鼻がツンとして、目尻から涙が滑り落ちた。
でも、これは、決別の涙だ。
私は、ふっきるように顔を離していた。
もう流されない。結論はもう出ている。とっくに。
元から圭太が出した結論を、受け入れるだけでよかったのだ。
「茜っち……僕は──」
すっかり顔色の良くなった圭太は、縋りつくように私の腕を掴んだ。
でも私は首を横に振る。そうしてきっぱり言った。
「迷わないで、幸せになって」
さらに勇気を出して、喉の奥から絞り出す一言。
「さよなら」
圭太が何か言おうとしたとき、ギシギシ音が聞こえた。
振り返ると、ピンク色のフリフリの服を着た女性が立っていた。
手にはウサギさんのリンゴを載せた皿をもっている。
あ、この人……今は着物じゃないけど、神事で見かけた圭太の婚約者?
お皿が床に落ちて割れた。
彼女は眼球が飛び出すくらい目を剥き、ギシギシと歯軋りしながら、両方の手の指を鉤爪のように折り曲げて、襲い掛かって来たではないか!
「おどるぇるぁ、わだぐじのげいずけぐんになんばしちょっとぉぉおお!!!!!!」
私とサーヤがその剣幕に、恐怖の悲鳴をあげる。
「ぎゃぁあああああっごめんなさぁあああいっ!」
彼女が飛びかかってくるより早く、涙目のサーヤが動いた。バサッと大きな羽毛のようなものに全身が包まれる。
真っ白な病室が歪み、暗転したと思った次の瞬間には、湖が見えるこの公園に立っていたのだ。
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