アラサー失恋女子、合コンで年下御曹司(25)にロックオンされる〜タワマン25階住みでも、怪しい壺なんて買いません!〜

世界のボボブラ汁(エロル)

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命の危機を感じた

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 ほんの数分前の出来事だ。

 集中治療室で寝ていた圭太は、突如現れた私を見てさすがに仰天した。

 バイタルメーターがピピピピピと鳴り響き、慌ててサーヤが圭太の胸に手を置いて、心電図か、あるいは圭太の心臓のどちらかを正常にする。

 危ない、ナースが駆けつけるとこだった!

 圭太は酸素マスクを外すと、クスッと笑った。

「あぁ……これが噂の神使の力っちゅうやつか。すごいなぁ……もう妖怪やん」

 半分呆れを含んだ声で言った彼に、サーヤが即返していたっけ……。

「いえ、神よ」

 でも、意識があるし、思ったより元気そう。

「さっきまで蓮がいてな……死なない程度にちぃとだけ、生気を分けてくれたんや」
「──蓮くんが……」

 名前を聞き、彼の痕跡を感じただけで、胸の奥が温かくなる

 これは、もう駄目ね。……落ちたんだわ。

 でもそれは、一歩踏み出せたということ。

 だからこそ、私は躊躇することなく圭太に覆いかぶさっていた。

「最後よ……」

 そう言って、彼の唇にキスをする。

 蓮君が除霊した時、私の霊力は彼に力を与えた。

 だから、こうすればいいのだと、なんとなく分かったからだ。

 息を吹き込むように、私の体の奥深くにある光を、圭太の中に流し込む──そんなイメージを心に浮かべて。

 圭太は目を見開いて、やっとのことで腕を持ち上げ、私の頭を引き寄せて舌を挿し入れようとした。

 あ、舌のピアスはまだ残っているんだ。鼻がツンとして、目尻から涙が滑り落ちた。

 でも、これは、決別の涙だ。

 私は、ふっきるように顔を離していた。 

 もう流されない。結論はもう出ている。とっくに。

 元から圭太が出した結論を、受け入れるだけでよかったのだ。

「茜っち……僕は──」

 すっかり顔色の良くなった圭太は、縋りつくように私の腕を掴んだ。

 でも私は首を横に振る。そうしてきっぱり言った。

「迷わないで、幸せになって」

 さらに勇気を出して、喉の奥から絞り出す一言。

「さよなら」

 圭太が何か言おうとしたとき、ギシギシ音が聞こえた。

 振り返ると、ピンク色のフリフリの服を着た女性が立っていた。

 手にはウサギさんのリンゴを載せた皿をもっている。

 あ、この人……今は着物じゃないけど、神事で見かけた圭太の婚約者?

 お皿が床に落ちて割れた。

 彼女は眼球が飛び出すくらい目を剥き、ギシギシと歯軋りしながら、両方の手の指を鉤爪のように折り曲げて、襲い掛かって来たではないか!

「おどるぇるぁ、わだぐじのげいずけぐんになんばしちょっとぉぉおお!!!!!!」

 私とサーヤがその剣幕に、恐怖の悲鳴をあげる。

「ぎゃぁあああああっごめんなさぁあああいっ!」

 彼女が飛びかかってくるより早く、涙目のサーヤが動いた。バサッと大きな羽毛のようなものに全身が包まれる。

 真っ白な病室が歪み、暗転したと思った次の瞬間には、湖が見えるこの公園に立っていたのだ。
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