アラサー失恋女子、合コンで年下御曹司(25)にロックオンされる〜タワマン25階住みでも、怪しい壺なんて買いません!〜

世界のボボブラ汁(エロル)

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俺だって、付き合いたくはないです

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「ささ、乗ってください。次は茜さんの魔除けの更新だ」

 駐車券を精算した柳楽君は、いそいそと車の扉を開け、有無を言わせず私を押し込む。

 そのまま運転手に指示して、車をすぐに発進させた。

「俺、気分いいですよ茜さん! 仕事はちゃちゃっと終わったし、疲れてないし──それに今日は、茜さんが素直に車に乗ってくれたんだもん」

 顔を覗き込みながら、柳楽君はニコニコ笑う。

 素直かな……勢いに押された結果なんだけど。

「正直、終電逃してたから助かったわ。でも、さっきのは何? 原科君に誤解されるじゃない」

 私が憤慨しながら言うと、柳楽君は急に真顔になった。

「え、なに? 彼に誤解されたら困るような仲なんですか?」

 ううう、そういう意味じゃないけどさぁ。深くため息を吐く。なんだろう、柳楽君も圭太っぽい。

 ん? これって、マーキングされてるのかしら。

「魔除け、本当にしてくれるんでしょうね?」 
「もちろん」

 いくらかかるか聞こうとしたところで、眠気が急激に押し寄せてきて、目を擦る。瞼が重い。

 柳楽君の呆れ声がした。

「まったく……信じられない。酔ってなくても車で寝ちゃうんですか?」

 重たい瞼を持ち上げると、柳楽君が覗き込んでいた。

「それとも運転手がいるから安心してる?」

 彼の瞳の色が、スッと深く陰った気がした。

「だって最近寝不足だったし、今日も残業だったし──」

 言いかけたところで、フラフラと吸い寄せられるように、彼が唇を近づけてきた。

 私は一気に目が覚め、両手で柳楽君の胸を押して阻止する。

「ちょっと! どういうつもりなの?」

 除霊の時だって、勝手にキスしたでしょ!

「私、そんなに軽く見える?」

 ちぇっと舌打ちして、柳楽君は身を引いた。

「俺、さっきので寝不足が一気に解消されたから、茜さんもどうかなーって……それに──」

 彼の口調が、皮肉な響きを帯びる。

「合コンにいたってことは、男が欲しいんでしょ?」

 むっかぁあ!

「合コンなんて、軽い気持ちで誰でも行くわよ。出会いは大事なんだから!」

 そう、寂しかったのもある。圭太が薄まるように、新しい何かが……誰かが欲しかった。

 でも分かったのは──無駄だったってことだけ。

「言っとくけど、よく知らない柳楽君と、いきなり付き合いたいなんて思ってないからね!」
「俺だって、付き合いたくはない」

 即答されて、開いた口が塞がらない。

「じゃ、じゃあ何でキスしたのよ!?」

 ヤリモク確定じゃん。ていうか、そこまでハッキリ言う!?

「キスするに決まってるでしょ? 茜さん、隙だらけなんだからさ。よく知らない俺を、簡単に部屋に入れたりするし」

 ううう、それは確かに男からしたらイケる! と思うのかもしれないけど!

「あれはたまたまですっ! 普段は隙なんてないわよ。言っとくけど、職場での私のあだ名『女史』だからね?」

 ブフッと吹き出した柳楽君は、おもむろに私の顔に手を伸ばす。

 警戒して身を引くと、私の眼鏡を外して矯めつ眇めつ眺めた。

「スクエア型の銀縁かぁ……これが原因じゃないんですか?」

 何よ。圭太がこれがいいって言ったんだもん。自分がいない時もあるし、少しでもガード固くしとこうねって……。

「てかあのボロアパート、築何年ですか?」 
「仕方ないでしょ、都内は家賃が高いんだから」

 柳楽君はまた手を伸ばし、今度は耳たぶを持ち上げた。

「……きれいさっぱり消えてる」

 あの時のことを思い出して、顔が一気に熱くなる。

 耳裏のキスマーク、しばらく隠すの大変だったんだから。

 私はツンケンしながら言い返す。

「部屋に入れたくて入れたわけじゃないしっ、あの夜は飲み過ぎていただけだしっ!」

 たしかに圭太とのお付き合いは、道端でナンパに引っかかったのが始まりだった。

 他人から見たら軽率なのかもしれないけど、出会いは出会いだ。

「付き合いたくないっていうのは、別にいいのよ。私だってあなたなんて御免だし。でも、付き合ってもない人と、どうこうなる気もないからね!」

 気持ちは分からないでもない。

 アラサーと付き合うのは面倒そうだから、あわよくばセックスだけしたいんでしょうけど。

「私、柳楽君が思ってるような大人じゃないから。割り切れる都合のいい関係なんて無理。なのに、私がぼーっとしてるのいいことに、あんなふうにキスして」

 私がカッカしながら文句を言っても、柳楽君はどこ吹く風。

「報酬を前払いで頂いただけですってば」

 ハッとして、彼の顔を見る。報酬──?

 柳楽君は口の端を上げて、にっと笑った。

「危なかったですね。茜さんの部屋、どんよりしてきたでしょ? 今日やらないと手遅れだ」

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