アラサー失恋女子、合コンで年下御曹司(25)にロックオンされる〜タワマン25階住みでも、怪しい壺なんて買いません!〜

世界のボボブラ汁(エロル)

文字の大きさ
30 / 68

食い下がる柳楽君

しおりを挟む

「あいにく、私、明日は用事があって」
「えっ」

 柳楽君が目を丸くした。

「右京、左京、どういうことだ」

 しゅるっと顔が二つ、座卓の上に浮いた。なんか、もう慣れてしまったので、いちいち驚かない自分に驚いている。この神使とやらには、伊達眼鏡なんて効かないのね。

「彼女のスケジュールを隅々まで調べあげろって言っただろう。明日は何の予定もないって言っていたじゃないか」
「いや、本当っすよ! そのメス、嘘ついてます」

 左京黙れ! あと雌って言うな。

 すると、柳楽君が目に見えて肩を落とし、はーっと息を吐きながらぼやいた。

「そうか……俺の家族、非常識だし失礼だったし……だから」
「柳楽君、そうじゃないのよ」

 私は慌てて周囲を見渡す。こちらを凝視していた親族全員が、ばつが悪そうに視線を外した。

 ご家族の前で、私がディスってるみたいなこと言うんじゃない!

「あと柳楽君って言われても、ここにいる全員柳楽だからさ、茜さん」
「あ、うん」
「蓮って呼んでください」

 しれっと名前を呼ばせようとしている!?

 私が何も言えずに固まっていると、再びしょんぼりする柳楽君だ。

「茜さんって、もしかして俺のこと嫌いなんじゃ? そうだよね。霊能者の一家って怪しいですもんね。俺もさ、初めて親友ができてはしゃいじゃって、なんか図々しかったし……」

 絶望したような息を吐かれ、私は自分の眉毛がヒュンッと垂れるのが分かった。

「いや、そういう意味じゃなくて、柳楽く──」

 また親族全員がこちらを見た。柳楽君が咳払いする。

「蓮」
「うぅうう蓮君、ほら、私たちって友達というほどの仲ではないでしょ? 少なくとも私は、親族の大事な集まりに居ていい存在ではないわ」

 蓮君が上目遣いで私を窺う。捨てられた犬……いや、キツネ。

 こういう情けない子に弱いのよ、私……。負けないわよ。睨み返してやらなきゃ──。

「あーあー、やっぱ茜さんに嫌われちゃったかぁ。そりゃそうだよね、魔除けの施し方もキモいし、キツネに似てるし。こんな家業だから、昔から誰も近づかなかったしなぁ。友達百人作るの夢だったのに」

 ブツブツ呟いている。私は彼を必死に宥める。

「あのね、キモくもないし、嫌ってなんかないわ。ただ、許嫁のサヤ子さんは嫌な気分になると思──」
「そうよ! 私の蓮なんだから取らないでよね!」

 突然、蓮君の真後ろから、そのサヤ子さんが顔を出した。

 いたの!?

 首にしがみつかれ、苦しそうにもがく蓮君。どうにかその手をもぎ離し、彼はきっぱり言いきった。

「こいつは勝手に許嫁を名乗っているだけで、茜さんが気にすることじゃないんですってば」

 と、言ってもなぁ……。肌ピチピチだし、正直若さが眩し──

「いや気にするも何も、普通に私関係ないから!」

 もし私が本当に親友だったとしてもよ? 明らかに蓮君に気のある女子の前で、出しゃばってるように見られるのが嫌なの!

 異性の親友ポジって、ヤバいからね? 男と女の間に純粋な友情は無いと思ってる派ですから!

 しかも彼女、今にも私を刺しそうな目で睨んでくるし。

「とりあえず、飲みましょうか」

 蓮君は、話を強引に逸らした。

 さらに抗議しようとした私を遮るように、彼は目の前にドンッと瓶を置く。

「──??」
「せっかく信州に来たんです、ぜひ飲んでほしいんですよね地酒。本当は明日、酒蔵巡りもしたかったんです。好きでしょ? 日本酒。それとも焼酎の方が好きですか?」

 長野の地酒! だ、だけど……。

「……ダメって言われていて」
「え?」

 私はもじもじしてしまう。

「圭太に、飲んじゃダメって……」

 蓮君の目がすっと細まり、声が尖った。

「俺の気持ち、たぶん知ってるんでしょ? 俺、分かりやすくない?」

 分かるわよ。狙われてるのは、なんとなく分かる!

 自意識過剰かもとは思ったけど、この年齢でそこまでバカになれない。

「だったら、私の気持ちだって知ってるじゃない」

 そうよ、私は圭太を引きずっている。

「友達になるのは、無理よ」
「じゃあ、友達にならなくていいですよ。その先に行ければ」

 さらっと言われたけど、私はブンブン首を横に振った。セフレなんて地獄のズルズルコース、ごめんだわ!

 だいたいね、たとえ私が割り切った付き合いができる大人の女だったとしてもよ? 絶対に既婚者や彼女持ちとは、あり得ないからね!

 許嫁のいる蓮君となんて、とんでもないっ!

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】クズ男と決別した私の未来は輝いている。

カシスサワー
恋愛
五年間、幸は彼を信じ、支え続けてきた。 「会社が成功したら、祖父に紹介するつもりだ。それまで俺を支えて待っていてほしい。必ず幸と結婚するから」 そう、圭吾は約束した。 けれど――すべてが順調に進んでいるはずの今、幸が目にしたのは、圭吾の婚約の報せ。 問い詰めた幸に、圭吾は冷たく言い放つ。 「結婚相手は、それなりの家柄じゃないと祖父が納得しない。だから幸とは結婚できない。でも……愛人としてなら、そばに置いてやってもいい」 その瞬間、幸の中で、なにかがプチッと切れた。

ハメられ婚〜最低な元彼とでき婚しますか?〜

鳴宮鶉子
恋愛
久しぶりに会った元彼のアイツと一夜の過ちで赤ちゃんができてしまった。どうしよう……。

【完結】身代わりとなります

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
レイチェルは素行不良の令嬢として悪名を轟かせている。しかし、それはレイチェルが無知ゆえにいつも失態をしていたためで本人には悪意はなかった。 レイチェルは家族に顧みられず誰からも貴族のルールを教えてもらわずに育ったのだ。 そんなレイチェルに婚約者ができた。 侯爵令息のダニエルだ。 彼は誠実でレイチェルの置かれている状況を知り、マナー講師を招いたり、ドレスを作ってくれたりした。 はじめは貴族然としている婚約者に反発していたレイチェルだったがいつのまにか彼の優しさに惹かれるようになった。 彼のレイチェルへの想いが同情であっても。 彼がレイチェルではない人を愛していても。 そんな時、彼の想い人である隣国の伯爵令嬢フィオラの国で革命が起き、彼女は隣国の貴族として処刑されることが決まった。 そして、さまざまな思惑が交錯する中、レイチェルは一つの決断を下し・・・ *過去と未来が行ったり来たりしながら進行する書き方にチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんがご了承ください。

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。 絶対に離婚届に判なんて押さないからな」 既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。 まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。 紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転! 純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。 離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。 それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。 このままでは紘希の弱点になる。 わかっているけれど……。 瑞木純華 みずきすみか 28 イベントデザイン部係長 姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点 おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち 後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない 恋に関しては夢見がち × 矢崎紘希 やざきひろき 28 営業部課長 一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長 サバサバした爽やかくん 実体は押しが強くて粘着質 秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?

押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。 そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。 双子の妹、澪に縁談を押し付ける。 両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。 「はじめまして」 そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。 なんてカッコイイ人なの……。 戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。 「澪、キミを探していたんだ」 「キミ以外はいらない」

叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

花里 美佐
恋愛
冷淡財閥御曹司VS失業中の華道家 結婚に興味のない財閥御曹司は見合いを断り続けてきた。ある日、祖母の師匠である華道家の孫娘を紹介された。面と向かって彼の失礼な態度を指摘した彼女に興味を抱いた彼は、自分の財閥で花を活ける仕事を紹介する。 愛を知った財閥御曹司は彼女のために冷淡さをかなぐり捨て、甘く変貌していく。

【完結】あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた―

七転び八起き
恋愛
『借金を返済する為に働いていたラウンジに現れたのは、勤務先の副社長だった。 彼から出された取引、それは『専属』になる事だった。』 実家の借金返済のため、昼は会社員、夜はラウンジ嬢として働く優美。 ある夜、一人でグラスを傾ける謎めいた男性客に指名される。 口数は少ないけれど、なぜか心に残る人だった。 「また来る」 そう言い残して去った彼。 しかし翌日、会社に現れたのは、なんと店に来た彼で、勤務先の副社長の河内だった。 「俺専属の嬢になって欲しい」 ラウンジで働いている事を秘密にする代わりに出された取引。 突然の取引提案に戸惑う優美。 しかし借金に追われる現状では、断る選択肢はなかった。 恋愛経験ゼロの優美と、完璧に見えて不器用な副社長。 立場も境遇も違う二人が紡ぐラブストーリー。

処理中です...