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憑神家の一族と食事
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「お兄ちゃんに親友? 女の? できるわけないじゃん、なんかキモいもん」
妹の葉月さんが、疑ぐり深い目で私を見てきた。
私服で小柄で中学生に見えるけど、こちらも都内の高校に通う女子高生なんだとか。それなら、許嫁のサヤ子さんと同年代ってことよね、身長、ぜんぜん違うわね……。
今までサヤ子さんがいた場所に目をやると、彼女は既にいなくなっていた。
さすがに親族一同が集まってくる場となれば、許嫁ですら居心地が悪いのだろう。
葉月さんなんて小姑になるわけだし、両方気が強そうだから大変ね。
そして許嫁が居づらいとなると、じゃあ私ってどうなのよ? って話になるわけで……。
「私は友人と申しますか……たまたまご縁がございまして……。魔除けを施していただいたのです」
勘違いされては困るので関係を説明すると、やっぱりねーと、葉月さんは笑った。
「前の祭祀の時、要兄ぃからも『兄貴、友達いないの?』って聞かれてカッカしていたもの。見栄っ張りなのよ」
「友達はいるけど、忙しくてなかなか会えないだけだって。お前たちがもっと仕事を手伝えば、俺にも余暇ができるんだぞ」
柳楽君がムスッとしている。
「要なんて、合コンばっかりしてるっていうじゃないか。神使から聞いたからな」
いまいち何を考えているのか分からない柳楽君が、弟や妹と普通に話している。
その様子は、年相応の若い男の子らしくて──人間らしさが垣間見え、少しおかしかった。
「女友達ってちょっと憧れだよね」
大学生の弟の要君とやらが、信州豚のしゃぶしゃぶを摘まみながら言う。
「帰りはぜひ送らせてください」と言うから、なんとなくお夕飯をご馳走になっているけれど──私って、なんでこう流されやすいの。
あと、夕飯っていうかご馳走っていうか。いつの間にか、鍋セットと船盛が座卓の上に並んでいた。謎すぎる。
いや、いつの間にかというより──瞬く間に、のほうが正しかった。
本当に、一瞬まばたきをしただけで、座卓の上が料理でびっしり埋め尽くされていたのだ。
た、食べて大丈夫よね?
狸か狐に化かされてるみたい……。
もしかしてここ、本当は廃寺なんじゃないの?
天然ものですよ、と小皿に盛った岩魚の唐揚げを勧められ、どきどきしながら受け取るも、実はこれ葉っぱなんじゃないかな、と思ってしまうのだ。
「例によって、神使に持ってこさせたんです。怪しくないですから。本物の食べ物ですってば」
柳楽君が胸中を読んだかのように、箸の進まない私を心配してくる。
「いえ、う、疑っているわけでは……」
「ついでに薬を盛ったりもしてないから。茜さん、我々に監禁されると思ってません?」
その可能性もあった!
まだ口がパクパクしている魚の頭が載った船盛りの前で、お爺さんが口を出す。
「女体盛りの方が良かったかいの」
うるさいぞ、ジジィ!
すかざず柳楽君のお母さんが、にこやかに言った。
「やだ、お義父さんたら。どうせなら爺盛りにしますよ。誰も食べませんけどね」
ドッとその場が沸く。
いや……アラサーにもついていけない、昭和のノリだ。
だいたいね、皆さんベロッベロに酔っているけど、明日神事なんじゃないの?
しかも祭祀って言うくらいなんだから、儀式っぽいことをする厳かな行事なんじゃないの?
肉、魚、酒をかっ食らうご家族を見ながら呆れる。
精進料理じゃなくていいんですかー?
せっかく滝で身を清めてきたみたいなのに、意味無くない?
柳楽君は、私の呆れた視線に気づいたのか、そっと耳打ちしてきた。
「うち、ファッション霊能者だから」
すると「オイ」とお爺さんの声がして、顔がぐりんとこちらを向いた。
「なんか言ったか?」
地獄耳! あと動きが怖い。
「言っておくが、わしらはこの業界では一番歴史が古いのだ、茜たん、うちは霊能者ではない、神能者だぞ。神の力を振るうのだ」
あかねたん……。
「なのに密教僧や陰陽師、あいつらフィクションで持ち上げられて有名になったからって、調子こきおって」
「明日は映画でも大人気、エクソシストも来ますからね」
柳楽君の補足に、私は耳を疑った。
「バチカンから!?」
「いや、国際エクソシスト同好会っていう秘密結社です。エセです」
エセか。びっくりしたわ。え、待って、それいいの?
「あと、前にお話しした陰陽師もどきも来ますよ」
エセとか、もどきとか……。
「見てみたくないですか? コスプレまじウケますよ。あと、女の子って占い好きでしょ? 吉凶を占ってくれます」
いや……いいかなぁ。遠慮します。
「占いに一喜一憂する年齢ではないのよ……」
「まあそう言わず。普通の祭祀より、ずっと圧巻ですよ。とにかく泊っていってくださいよ」
柳楽君たら、ご家族の前でそんなこと言って、断りにくいじゃない!
妹の葉月さんが、疑ぐり深い目で私を見てきた。
私服で小柄で中学生に見えるけど、こちらも都内の高校に通う女子高生なんだとか。それなら、許嫁のサヤ子さんと同年代ってことよね、身長、ぜんぜん違うわね……。
今までサヤ子さんがいた場所に目をやると、彼女は既にいなくなっていた。
さすがに親族一同が集まってくる場となれば、許嫁ですら居心地が悪いのだろう。
葉月さんなんて小姑になるわけだし、両方気が強そうだから大変ね。
そして許嫁が居づらいとなると、じゃあ私ってどうなのよ? って話になるわけで……。
「私は友人と申しますか……たまたまご縁がございまして……。魔除けを施していただいたのです」
勘違いされては困るので関係を説明すると、やっぱりねーと、葉月さんは笑った。
「前の祭祀の時、要兄ぃからも『兄貴、友達いないの?』って聞かれてカッカしていたもの。見栄っ張りなのよ」
「友達はいるけど、忙しくてなかなか会えないだけだって。お前たちがもっと仕事を手伝えば、俺にも余暇ができるんだぞ」
柳楽君がムスッとしている。
「要なんて、合コンばっかりしてるっていうじゃないか。神使から聞いたからな」
いまいち何を考えているのか分からない柳楽君が、弟や妹と普通に話している。
その様子は、年相応の若い男の子らしくて──人間らしさが垣間見え、少しおかしかった。
「女友達ってちょっと憧れだよね」
大学生の弟の要君とやらが、信州豚のしゃぶしゃぶを摘まみながら言う。
「帰りはぜひ送らせてください」と言うから、なんとなくお夕飯をご馳走になっているけれど──私って、なんでこう流されやすいの。
あと、夕飯っていうかご馳走っていうか。いつの間にか、鍋セットと船盛が座卓の上に並んでいた。謎すぎる。
いや、いつの間にかというより──瞬く間に、のほうが正しかった。
本当に、一瞬まばたきをしただけで、座卓の上が料理でびっしり埋め尽くされていたのだ。
た、食べて大丈夫よね?
狸か狐に化かされてるみたい……。
もしかしてここ、本当は廃寺なんじゃないの?
天然ものですよ、と小皿に盛った岩魚の唐揚げを勧められ、どきどきしながら受け取るも、実はこれ葉っぱなんじゃないかな、と思ってしまうのだ。
「例によって、神使に持ってこさせたんです。怪しくないですから。本物の食べ物ですってば」
柳楽君が胸中を読んだかのように、箸の進まない私を心配してくる。
「いえ、う、疑っているわけでは……」
「ついでに薬を盛ったりもしてないから。茜さん、我々に監禁されると思ってません?」
その可能性もあった!
まだ口がパクパクしている魚の頭が載った船盛りの前で、お爺さんが口を出す。
「女体盛りの方が良かったかいの」
うるさいぞ、ジジィ!
すかざず柳楽君のお母さんが、にこやかに言った。
「やだ、お義父さんたら。どうせなら爺盛りにしますよ。誰も食べませんけどね」
ドッとその場が沸く。
いや……アラサーにもついていけない、昭和のノリだ。
だいたいね、皆さんベロッベロに酔っているけど、明日神事なんじゃないの?
しかも祭祀って言うくらいなんだから、儀式っぽいことをする厳かな行事なんじゃないの?
肉、魚、酒をかっ食らうご家族を見ながら呆れる。
精進料理じゃなくていいんですかー?
せっかく滝で身を清めてきたみたいなのに、意味無くない?
柳楽君は、私の呆れた視線に気づいたのか、そっと耳打ちしてきた。
「うち、ファッション霊能者だから」
すると「オイ」とお爺さんの声がして、顔がぐりんとこちらを向いた。
「なんか言ったか?」
地獄耳! あと動きが怖い。
「言っておくが、わしらはこの業界では一番歴史が古いのだ、茜たん、うちは霊能者ではない、神能者だぞ。神の力を振るうのだ」
あかねたん……。
「なのに密教僧や陰陽師、あいつらフィクションで持ち上げられて有名になったからって、調子こきおって」
「明日は映画でも大人気、エクソシストも来ますからね」
柳楽君の補足に、私は耳を疑った。
「バチカンから!?」
「いや、国際エクソシスト同好会っていう秘密結社です。エセです」
エセか。びっくりしたわ。え、待って、それいいの?
「あと、前にお話しした陰陽師もどきも来ますよ」
エセとか、もどきとか……。
「見てみたくないですか? コスプレまじウケますよ。あと、女の子って占い好きでしょ? 吉凶を占ってくれます」
いや……いいかなぁ。遠慮します。
「占いに一喜一憂する年齢ではないのよ……」
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