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柳楽家のおじーちゃまとおとー様
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ルビ振りがズレてましたー
( •᷄人•᷅ )ごめんなさい!
ーーーーーーーーーーーーー
「改めまして、俺の祖父と父です」
柳楽君が二人の男性を紹介する。そして今度は、私を彼らに紹介した。
「親友の茜さんです」
「日下部です、はじめまして。突然お邪魔して申し訳ございません」
「いやいや、こんな山奥まで来ていただいて、こちらこそ申し訳ない。大学のお友達かな?」
お父様は穏やかで、いい人そうだ。嘘をつくのが心苦しいくらい。
「……まだ今日で、三回しか会ったことがありません」
「あかねさーん!」
柳楽君が焦ったように声を上げる。
だ、だって本当のことだしぃ……。
それにお爺様の方、ずっと私のことガン見してるから怖いのよ! 探りを入れてるよね?
「なるほど、蓮の……東京の……お友達か」
厳めしい顔の老人がモゴモゴと呟き、真っ白な髭を撫でながら俯いた。
それきり視線を上げてくれない。……やっぱり警戒されている気がする。
座卓の隅では、脚を組んだ許嫁女子高生サヤ子さんが、ギリギリと歯噛みしながらこちらを睨んでいた。
彼女の視線も怖い。許嫁って、このお爺様が決めた婚約者ってこと?
ということは、私って泥棒猫扱いなんじゃないの? 叩っ斬られそう。
ちゃんと誤解を解かねば、明日の朝には湖に浮いてしまいそうだわ。……今すぐ帰りたい。
そんな私をよそに、柳楽君は自分の父と祖父を見据えて言った。
「母さんに茜さんを紹介したかったんだ。前に『おまえ、キモいから友達いないんじゃないの?』って心配してたし。まだ来ない?」
「ああ、奈々枝叔母さんと滝行延長戦だよ。二人とも負けず嫌いだからね」
柳楽君のお父さんは、物腰が柔らかく、にこやかで優しげだ。
「まあまあ、お嬢さん。そんなに緊張なさらずに」
そう言ってお茶菓子を勧めてくれる。
わぁ、おやきだ。おかず系とスイーツ系、両方ある!
「妻の手作りなんですよ」
ワイフ! 彼が言うと嫌味じゃない。おしぼりを差し出す仕草も丁寧で、ナイスミドルの鏡だわ。
柳楽君と同じ切れ長の目だけど、こっちはちゃんと笑っているのが分かる。
胡散臭くないイケオジって、ほんと貴重よね……。
遠慮しすぎるのも失礼だし……とおやきを齧ると、満足そうに微笑んでいた柳楽父の口から、唐突なセリフが出た。
「さ、そろそろ君の本性を見せたまえ」
私の動作と思考がフリーズする。
「…………は?」
「クール系眼鏡女子だが、そこはかとなくエロスを感じる……ベタな女教師のふりか。だが私は騙されん。ズバリ、中身は肉食系だな? 女豹のポーズを取りたまえ」
な、何言っちゃってるのこの人!?
「父さん、違うんだ」
柳楽君が額を押さえてため息をついた。
「違う? 豹じゃない? ──だがネコ科は外してないだろう? シャムネコか? ロシアンブルーの線もあるな」
「いや、だから──」
そこへ、ずっと黙っていたお爺さんが、ドンッと座卓に湯呑みを置いた。
ビクッとする私。
「あ、あの……もうお暇します!」
孫の許嫁を差し置いて! と思っているに違いない。
「お邪魔なようですので、最寄り駅まで送っていただければ今すぐ帰りますから……」
しかし柳楽祖父は険しい顔で俯いたまま。
怖すぎる!
次の瞬間、彼が白い髭を震わせながら、唸り声を上げ始めた。ひぃっ、な、なに?
やっぱりここは、カルト教団の総本山なのだわ。だってこの威圧感、完全に教祖だもん! 私、監禁洗脳コースまっしぐらじゃん?
恐怖で固まっていた私に、彼がボソリと言った。
「うむ……なるほど。よいパイオツだ」
「…………」
なんて!?
お爺様の視線は、どうやら私の胸の位置に固定されているようだ。
「よくぞこんな、むしゃぶりつきたくなるムラムラ系を連れてきたな。でかしたぞ、蓮」
とんでもないエロじじいだった! セクハラ一家じゃん!?
「失礼だわっ! 帰らせていただきます!」
「待って、茜さん! 皆、やめてくれ! 彼女は本当に友人で──」
「だがなぁ蓮、主導権を握られておるようではまだまだだ。オッパイモンスターに振り回されて情けな──」
「だから、彼女はモンスターじゃない! 人間だっ!」
失礼な、当たり前でしょ!? と怒鳴りかけた瞬間、教祖とダンディ二人の顔色が変わった。
まるで信じられないものを目にしたように、ポカンと口を開け、私を凝視している。
「に、人間……?」
そんなに人間に見えませんか!? スッピンだから!?
数秒後、お祖父様とお父様がガバッと土下座した。サヤ子さんまでオロオロしている。なにこの展開。
「いや、あまりにオーラが綺麗だから」
「そうそう、凛とした気配で清涼感があってね」
「やっだぁ、新しい神使だと思った! すごい霊力なんだもん!」
──どうやら、霊的存在と勘違いされていたらしい。どうりでやたらヒョウだのネコだの……。
その時、襖が静かに開いた。
「ご親族の皆さまの送迎バスが、ただ今到着いたしました。奥様も奈々枝様もお戻りです。酒宴の準備をいたします」
( •᷄人•᷅ )ごめんなさい!
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「改めまして、俺の祖父と父です」
柳楽君が二人の男性を紹介する。そして今度は、私を彼らに紹介した。
「親友の茜さんです」
「日下部です、はじめまして。突然お邪魔して申し訳ございません」
「いやいや、こんな山奥まで来ていただいて、こちらこそ申し訳ない。大学のお友達かな?」
お父様は穏やかで、いい人そうだ。嘘をつくのが心苦しいくらい。
「……まだ今日で、三回しか会ったことがありません」
「あかねさーん!」
柳楽君が焦ったように声を上げる。
だ、だって本当のことだしぃ……。
それにお爺様の方、ずっと私のことガン見してるから怖いのよ! 探りを入れてるよね?
「なるほど、蓮の……東京の……お友達か」
厳めしい顔の老人がモゴモゴと呟き、真っ白な髭を撫でながら俯いた。
それきり視線を上げてくれない。……やっぱり警戒されている気がする。
座卓の隅では、脚を組んだ許嫁女子高生サヤ子さんが、ギリギリと歯噛みしながらこちらを睨んでいた。
彼女の視線も怖い。許嫁って、このお爺様が決めた婚約者ってこと?
ということは、私って泥棒猫扱いなんじゃないの? 叩っ斬られそう。
ちゃんと誤解を解かねば、明日の朝には湖に浮いてしまいそうだわ。……今すぐ帰りたい。
そんな私をよそに、柳楽君は自分の父と祖父を見据えて言った。
「母さんに茜さんを紹介したかったんだ。前に『おまえ、キモいから友達いないんじゃないの?』って心配してたし。まだ来ない?」
「ああ、奈々枝叔母さんと滝行延長戦だよ。二人とも負けず嫌いだからね」
柳楽君のお父さんは、物腰が柔らかく、にこやかで優しげだ。
「まあまあ、お嬢さん。そんなに緊張なさらずに」
そう言ってお茶菓子を勧めてくれる。
わぁ、おやきだ。おかず系とスイーツ系、両方ある!
「妻の手作りなんですよ」
ワイフ! 彼が言うと嫌味じゃない。おしぼりを差し出す仕草も丁寧で、ナイスミドルの鏡だわ。
柳楽君と同じ切れ長の目だけど、こっちはちゃんと笑っているのが分かる。
胡散臭くないイケオジって、ほんと貴重よね……。
遠慮しすぎるのも失礼だし……とおやきを齧ると、満足そうに微笑んでいた柳楽父の口から、唐突なセリフが出た。
「さ、そろそろ君の本性を見せたまえ」
私の動作と思考がフリーズする。
「…………は?」
「クール系眼鏡女子だが、そこはかとなくエロスを感じる……ベタな女教師のふりか。だが私は騙されん。ズバリ、中身は肉食系だな? 女豹のポーズを取りたまえ」
な、何言っちゃってるのこの人!?
「父さん、違うんだ」
柳楽君が額を押さえてため息をついた。
「違う? 豹じゃない? ──だがネコ科は外してないだろう? シャムネコか? ロシアンブルーの線もあるな」
「いや、だから──」
そこへ、ずっと黙っていたお爺さんが、ドンッと座卓に湯呑みを置いた。
ビクッとする私。
「あ、あの……もうお暇します!」
孫の許嫁を差し置いて! と思っているに違いない。
「お邪魔なようですので、最寄り駅まで送っていただければ今すぐ帰りますから……」
しかし柳楽祖父は険しい顔で俯いたまま。
怖すぎる!
次の瞬間、彼が白い髭を震わせながら、唸り声を上げ始めた。ひぃっ、な、なに?
やっぱりここは、カルト教団の総本山なのだわ。だってこの威圧感、完全に教祖だもん! 私、監禁洗脳コースまっしぐらじゃん?
恐怖で固まっていた私に、彼がボソリと言った。
「うむ……なるほど。よいパイオツだ」
「…………」
なんて!?
お爺様の視線は、どうやら私の胸の位置に固定されているようだ。
「よくぞこんな、むしゃぶりつきたくなるムラムラ系を連れてきたな。でかしたぞ、蓮」
とんでもないエロじじいだった! セクハラ一家じゃん!?
「失礼だわっ! 帰らせていただきます!」
「待って、茜さん! 皆、やめてくれ! 彼女は本当に友人で──」
「だがなぁ蓮、主導権を握られておるようではまだまだだ。オッパイモンスターに振り回されて情けな──」
「だから、彼女はモンスターじゃない! 人間だっ!」
失礼な、当たり前でしょ!? と怒鳴りかけた瞬間、教祖とダンディ二人の顔色が変わった。
まるで信じられないものを目にしたように、ポカンと口を開け、私を凝視している。
「に、人間……?」
そんなに人間に見えませんか!? スッピンだから!?
数秒後、お祖父様とお父様がガバッと土下座した。サヤ子さんまでオロオロしている。なにこの展開。
「いや、あまりにオーラが綺麗だから」
「そうそう、凛とした気配で清涼感があってね」
「やっだぁ、新しい神使だと思った! すごい霊力なんだもん!」
──どうやら、霊的存在と勘違いされていたらしい。どうりでやたらヒョウだのネコだの……。
その時、襖が静かに開いた。
「ご親族の皆さまの送迎バスが、ただ今到着いたしました。奥様も奈々枝様もお戻りです。酒宴の準備をいたします」
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