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働かざる者食うべからず
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目が冷めたのはまだ外が薄暗く、早朝と呼ばれるような時間。
それでもこの世界では早朝から動き出すのが当たり前なのか、外からは生活音が聞こえてきている。
「ふぁ~・・・朝か。ねむ・・・・・・」
テーブルに突っ伏したまま木戸の隙間から明るくなりつつある空をしばらく眺めていたが、まだ寝れると再び目を閉じようとあくびを一つ頭を置く位置を確認していると、後ろからバサリと布の音が聞こえてくる。
「・・・?」
「っ・・・ほんっとうにそこで寝たの!?いや、寝たんですか?馬鹿じゃ…アホ…いや、それも…」
後ろを振り向けばリンが飛び起きた音だったようで、どうやらテーブルで寝たことにつっこみを入れたいようだが、奴隷という立場上どういった言葉を使うべきか悩んでいるようだ。
てか、昨日からキャラが落ち着かないな。
「おはよう。よく寝れたか?」
「……良すぎるぐらい寝たわ。」
椅子から立ち上がりわしゃわしゃと頭を撫ででやると、文句を言いたそうにしながらもそっぽを向いてポツリと呟く声を俺は聞き逃さない。
「それじゃぁ、今日の宿泊代稼がないとな。ギルドって何時からやってるかわかるか?」
「ここみたいに大きな街なら常に開いてる筈よ。」
「なら行くか、働かざる者食うべからずってな。」
ベッドに置かれた卵を昨日と同じように腰につけ、反対側に短剣を下げると革の胸当てを装備する。
「あー…リンは戦闘はできるのか?」
呪いのこともあるのでもし戦闘が難しいようであれば宿屋のおばちゃ…おねいさんに頼んで帰るまで待たせて貰おうなどと考えていると、リンは無い胸(失礼)を張ってドヤ顔を向けてくる。
「昨夜も言ったけどこう見えて高位の魔術師よ!そのへんの魔物ぐらい軽いわ!」
「へぇ、じゃぁその部分に呪いは関係ないのか」
「…なくは、無い……かしら。」
先程までの態度から一変、急にあからさまに動揺するリンに首をかしげ次の言葉を待つ。
「召喚のために育てられたから上位の魔法は習得させて貰えなかったの。でも!そのへんの駆け出し魔法使いにはわけないわ!」
自分は戦えるとアピールするその姿は捨てられる直前の犬のような必死さだ。
「わかったから落ち着け。じゃ、武器はこれで大丈夫か?」
アイテムボックスからロッドを取り出すと、問題ないというので受け渡す。
ざっと部屋の中を見回すが特に忘れ物もなし。とりあえず階下へと降り無事稼げた暁には戻ってきますと挨拶をし、一路ギルドへと向かう。
ギルドの中はだいぶ混雑状態となっており、うっかりすればリンともはぐれかねない状態なので文句は後で聞くとして手を取りつなぐとギルドボードへと向かう。
この世界は依頼ごとに違う紙を使えるぐらいに紙はあるらしい。だいぶ荒い紙だが。
「そういや、ギルドって多分ランクとかあるんだよな?昨日登録したばっかりだから一番下なんだろうけどどれだ?」
「カズオミ様!」
俺が受けれる依頼を受付に確認するべきだろうかと悩んでいると、聞き覚えのある声に呼ばれ後ろを振り返りその声の主に軽く会釈をする。
「昨日はありがとうござます。」
「いいえ、仕事ですから。じゃない、昨日ギルドのシステムに付いての説明のご案内が抜けてしまったので探していたのですよ。」
申し訳ございませんと頭を下げる受付のお姉さんに、そんなに謝らないでくださいと顔を上げてもらうと改めて説明をして貰う。
「まず、ギルドのランクについてですが、下から『見習い』『ブロンズ』『シルバー』『ゴールド』『3rd』『2nd』『1st』に分かれております。
ご活躍及び能力をギルドで見定め、ランクアップが見込めそうな冒険者様に個別にお声をかけさせて頂いております。」
「それで行くと俺は見習いか。」
「いえ、カズオミ様はすでにゴブリン討伐と救助をされておりますのでブロンズで登録させていただいております。
ギルドカードをお見せいただけますか?ありがとうございます。こちらの小さな石で確認していただけます。」
言われるままにギルドカードを出すと、確かにカードの右上に小さな石が嵌っていてブロンズカラーだ。
「次にギルドボードの依頼ですが入り口に近いほど高ランク依頼となっております。ブロンズだとカウンター近くですね。また、依頼によって期限や必須要件などが変わってきます。希望する依頼の紙をカウンターにお持ち頂き内容を確認し、受託確認をして依頼スタートとなります。
現在カズオミ様におすすめできるのはこのあたりですね。」
何枚か提示された依頼の中から今日中に完了できそうなものを見繕い受託する。
受付のお姉さんにに見送られながらギルドを後にすると初仕事に向けて一歩を踏み出した。
それでもこの世界では早朝から動き出すのが当たり前なのか、外からは生活音が聞こえてきている。
「ふぁ~・・・朝か。ねむ・・・・・・」
テーブルに突っ伏したまま木戸の隙間から明るくなりつつある空をしばらく眺めていたが、まだ寝れると再び目を閉じようとあくびを一つ頭を置く位置を確認していると、後ろからバサリと布の音が聞こえてくる。
「・・・?」
「っ・・・ほんっとうにそこで寝たの!?いや、寝たんですか?馬鹿じゃ…アホ…いや、それも…」
後ろを振り向けばリンが飛び起きた音だったようで、どうやらテーブルで寝たことにつっこみを入れたいようだが、奴隷という立場上どういった言葉を使うべきか悩んでいるようだ。
てか、昨日からキャラが落ち着かないな。
「おはよう。よく寝れたか?」
「……良すぎるぐらい寝たわ。」
椅子から立ち上がりわしゃわしゃと頭を撫ででやると、文句を言いたそうにしながらもそっぽを向いてポツリと呟く声を俺は聞き逃さない。
「それじゃぁ、今日の宿泊代稼がないとな。ギルドって何時からやってるかわかるか?」
「ここみたいに大きな街なら常に開いてる筈よ。」
「なら行くか、働かざる者食うべからずってな。」
ベッドに置かれた卵を昨日と同じように腰につけ、反対側に短剣を下げると革の胸当てを装備する。
「あー…リンは戦闘はできるのか?」
呪いのこともあるのでもし戦闘が難しいようであれば宿屋のおばちゃ…おねいさんに頼んで帰るまで待たせて貰おうなどと考えていると、リンは無い胸(失礼)を張ってドヤ顔を向けてくる。
「昨夜も言ったけどこう見えて高位の魔術師よ!そのへんの魔物ぐらい軽いわ!」
「へぇ、じゃぁその部分に呪いは関係ないのか」
「…なくは、無い……かしら。」
先程までの態度から一変、急にあからさまに動揺するリンに首をかしげ次の言葉を待つ。
「召喚のために育てられたから上位の魔法は習得させて貰えなかったの。でも!そのへんの駆け出し魔法使いにはわけないわ!」
自分は戦えるとアピールするその姿は捨てられる直前の犬のような必死さだ。
「わかったから落ち着け。じゃ、武器はこれで大丈夫か?」
アイテムボックスからロッドを取り出すと、問題ないというので受け渡す。
ざっと部屋の中を見回すが特に忘れ物もなし。とりあえず階下へと降り無事稼げた暁には戻ってきますと挨拶をし、一路ギルドへと向かう。
ギルドの中はだいぶ混雑状態となっており、うっかりすればリンともはぐれかねない状態なので文句は後で聞くとして手を取りつなぐとギルドボードへと向かう。
この世界は依頼ごとに違う紙を使えるぐらいに紙はあるらしい。だいぶ荒い紙だが。
「そういや、ギルドって多分ランクとかあるんだよな?昨日登録したばっかりだから一番下なんだろうけどどれだ?」
「カズオミ様!」
俺が受けれる依頼を受付に確認するべきだろうかと悩んでいると、聞き覚えのある声に呼ばれ後ろを振り返りその声の主に軽く会釈をする。
「昨日はありがとうござます。」
「いいえ、仕事ですから。じゃない、昨日ギルドのシステムに付いての説明のご案内が抜けてしまったので探していたのですよ。」
申し訳ございませんと頭を下げる受付のお姉さんに、そんなに謝らないでくださいと顔を上げてもらうと改めて説明をして貰う。
「まず、ギルドのランクについてですが、下から『見習い』『ブロンズ』『シルバー』『ゴールド』『3rd』『2nd』『1st』に分かれております。
ご活躍及び能力をギルドで見定め、ランクアップが見込めそうな冒険者様に個別にお声をかけさせて頂いております。」
「それで行くと俺は見習いか。」
「いえ、カズオミ様はすでにゴブリン討伐と救助をされておりますのでブロンズで登録させていただいております。
ギルドカードをお見せいただけますか?ありがとうございます。こちらの小さな石で確認していただけます。」
言われるままにギルドカードを出すと、確かにカードの右上に小さな石が嵌っていてブロンズカラーだ。
「次にギルドボードの依頼ですが入り口に近いほど高ランク依頼となっております。ブロンズだとカウンター近くですね。また、依頼によって期限や必須要件などが変わってきます。希望する依頼の紙をカウンターにお持ち頂き内容を確認し、受託確認をして依頼スタートとなります。
現在カズオミ様におすすめできるのはこのあたりですね。」
何枚か提示された依頼の中から今日中に完了できそうなものを見繕い受託する。
受付のお姉さんにに見送られながらギルドを後にすると初仕事に向けて一歩を踏み出した。
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