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本編
エピローグ そうしてふたりは末長く幸せに暮らしました
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■
「さ、サリ・ヴォーン嬢?」
「サリと、お呼びください」
「サリ……」
「フリッツ様と、お呼びしても?」
「勿論だ。いや、様もなしでいい。ところで、これはどういう」
「おわかりになりませんか?」
「……できれば、鈍感で男女の機微に明るくない僕にも、分かり易く教えてくれると、嬉しい」
「……ずっと、ずっとお慕いしておりました。教授フリッツ・アーベル=シーラン」
「もう、教授はやめてくれ」
「“フリッツ”?」
「そうだ。“サリ”」
「愛しているわ、フリッツ。多分きっと、初めて、あなたが完璧な手さばきでクリームケーキの上に乗った苺を頬張るところを見た時から。ずっと」
「学食で?」
「学食で」
「君を嘲ったあの食堂で?」
「嘲られる前に」
「なんてことだ! これから毎朝、君と一緒に苺のクリームケーキを食べなくては! 毎日君から恋をして貰える」
サリだけを映すフリッツの瞳が、甘く蕩ける。
それが、あまりにも幸せで。嬉しすぎて。サリの瞳も、甘く蕩けていく。
フリッツは、ひと目も気にせず、サリを抱き上げてその場でグルグルと回った。
当然だが、聖なる大聖堂で行なう行為ではない。
ずっと黙って婚約者たちの遣り取りを辛抱強く見守っていた教会の司祭からはきつく叱られたし、さすがにダルも爵位が上となる義理の息子にお小言を告げ、アンドリュー王太子からは揶揄う言葉が投げかけられた。
だが、フリッツはずっとニコニコと笑ってサリをその腕から降ろそうとはしなかったし、サリもフリッツから離れようともしなかった。
あれほど夢見た、甘く蕩ける灰色の瞳に自分が映り込む幸せ。
それを、独り占めできた喜びに、お行儀よくなどしていられなかったのだ。
参列者も諦めた様子でふたりの式を見守るしかなかった。
結局、式はそのまま続けられ、サリ・ヴォーンはサリ・アーベル=シーラン伯爵夫人となった。
「さ、サリ・ヴォーン嬢?」
「サリと、お呼びください」
「サリ……」
「フリッツ様と、お呼びしても?」
「勿論だ。いや、様もなしでいい。ところで、これはどういう」
「おわかりになりませんか?」
「……できれば、鈍感で男女の機微に明るくない僕にも、分かり易く教えてくれると、嬉しい」
「……ずっと、ずっとお慕いしておりました。教授フリッツ・アーベル=シーラン」
「もう、教授はやめてくれ」
「“フリッツ”?」
「そうだ。“サリ”」
「愛しているわ、フリッツ。多分きっと、初めて、あなたが完璧な手さばきでクリームケーキの上に乗った苺を頬張るところを見た時から。ずっと」
「学食で?」
「学食で」
「君を嘲ったあの食堂で?」
「嘲られる前に」
「なんてことだ! これから毎朝、君と一緒に苺のクリームケーキを食べなくては! 毎日君から恋をして貰える」
サリだけを映すフリッツの瞳が、甘く蕩ける。
それが、あまりにも幸せで。嬉しすぎて。サリの瞳も、甘く蕩けていく。
フリッツは、ひと目も気にせず、サリを抱き上げてその場でグルグルと回った。
当然だが、聖なる大聖堂で行なう行為ではない。
ずっと黙って婚約者たちの遣り取りを辛抱強く見守っていた教会の司祭からはきつく叱られたし、さすがにダルも爵位が上となる義理の息子にお小言を告げ、アンドリュー王太子からは揶揄う言葉が投げかけられた。
だが、フリッツはずっとニコニコと笑ってサリをその腕から降ろそうとはしなかったし、サリもフリッツから離れようともしなかった。
あれほど夢見た、甘く蕩ける灰色の瞳に自分が映り込む幸せ。
それを、独り占めできた喜びに、お行儀よくなどしていられなかったのだ。
参列者も諦めた様子でふたりの式を見守るしかなかった。
結局、式はそのまま続けられ、サリ・ヴォーンはサリ・アーベル=シーラン伯爵夫人となった。
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