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番外編
【番外編・2-2】ランチを召しませ
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カランコロンと、城内食堂の準備が整った事を知らせるハンドべルを打ち鳴らしながら、フットマンが執務室の前を通り過ぎていく。
耳を澄ませば、教会の正午を知らせる鐘の音も遠くから聞こえていた。
城内には、下働きの使用人まで含めると働く者は途轍もなく多い。
一時期、王城内で仕事に就けた幸運を手放さないようにする為か、任された仕事を終えるまでは食事をとらないような、放っておけば碌に何も食べないまま就業時間を向かえる、勤勉というより鬼気迫る形相をした使用人だらけになってしまい、果てには身体を壊して辞めていく者も多かった。城内で働く使用人の定着率が悪いのは治安的にも良くない。よって強制的に食事の時間を割り振り、王城で働く大勢の胃袋を格安で満たせる食堂を作ったのだ。
そうして、下働きの使用人たちに対して手厚い対応をとった結果として、上級使用人達、果ては王宮で働く官吏たちの食事に関しても時間を割り振って休み時間をとるように定めることになった。
休み時間を定めることで、フラフラと自分のペースで離席する貴族位にある官吏が減ったお陰でスムーズに仕事が運ぶなど、健康面以外にも想定外の効果があり概ね好評である。
勿論、貴族位にある官吏達は大食堂を使うことは滅多にない。
自分の席に持ってきてもらう事も多いし、隣室で順番にとるように決めている部署も多い。ここ王太子の執務室もそのひとつだ。
「昼食にしよう」
アンドリューがそう告げると、いつの間に用意がされていたのか隣の部屋へと続く扉が開いた
どうやらすでに先ほどサリが届けたバスケットの中身も含めて、昼食の準備が整えられていたようだ。
「疲れたなぁ」と肩をこきこき鳴らしながら立ち上がった王太子の側近たちの半数が立ち上がると、そちらに足を向けた。
「では、奥様。お手をどうぞ」
「ありがとう、素敵な私の旦那様」
差し出されたエスコートの大きな掌へ、小さな白い指がそっと乗せられる。
触れ合った手に、ふたりはにこにこと微笑み合う。
すぐ隣の部屋へ移動するだけだというのに、などと尤もな指摘をするのは余りにも無粋というものだろう。
なにしろ彼等はまだ新婚ホヤホヤなのだから。
だが、それを考慮したとしても、正直なところ王太子の側近チームとしてずっと一緒に働いてきた面々としては昼食時くらいは、この新婚夫婦に中てられ続けるのは勘弁して欲しかった。
久しぶりに登城してきた堅物であった筈のその夫は、仕事もせずに新妻への贈り物について悩む始末で、それを叱れば「帰る」と言い出して周囲を慌てさせ、気を利かせた妻が差し入れにきて、仕事のサポートを行ってくれて初めて、元以上に仕事を熟せるようになったのだった。
だが、結局はずぅっと横でイチャつかれ続けているようで、それはそれで疲れるものであったのだ。
言葉はなくとも、何かと視線を合わせては微笑み合うのだ。
書類を手渡しする時には指を重ね、するりと滑らせるようにしてから、離れる前に一瞬止めて、微笑み合ってから手を離す。
甘い。
一事が万事その調子で、別に睦言を交わしている訳でもないのだが、空気が甘くて傍にいるだけで調子が狂う。
このまますぐ傍で一緒に食事を摂ったとて、砂を噛むように味のしないモノになるに違いない。絶対に休息になどならない。
そうしてそれは、王太子であるアンドリューにとっても同じ気持ちである。
だから勿論、ゆっくりと味のする昼食をとれるように手は打ってあった。
カランコロンと、城内食堂の準備が整った事を知らせるハンドべルを打ち鳴らしながら、フットマンが執務室の前を通り過ぎていく。
耳を澄ませば、教会の正午を知らせる鐘の音も遠くから聞こえていた。
城内には、下働きの使用人まで含めると働く者は途轍もなく多い。
一時期、王城内で仕事に就けた幸運を手放さないようにする為か、任された仕事を終えるまでは食事をとらないような、放っておけば碌に何も食べないまま就業時間を向かえる、勤勉というより鬼気迫る形相をした使用人だらけになってしまい、果てには身体を壊して辞めていく者も多かった。城内で働く使用人の定着率が悪いのは治安的にも良くない。よって強制的に食事の時間を割り振り、王城で働く大勢の胃袋を格安で満たせる食堂を作ったのだ。
そうして、下働きの使用人たちに対して手厚い対応をとった結果として、上級使用人達、果ては王宮で働く官吏たちの食事に関しても時間を割り振って休み時間をとるように定めることになった。
休み時間を定めることで、フラフラと自分のペースで離席する貴族位にある官吏が減ったお陰でスムーズに仕事が運ぶなど、健康面以外にも想定外の効果があり概ね好評である。
勿論、貴族位にある官吏達は大食堂を使うことは滅多にない。
自分の席に持ってきてもらう事も多いし、隣室で順番にとるように決めている部署も多い。ここ王太子の執務室もそのひとつだ。
「昼食にしよう」
アンドリューがそう告げると、いつの間に用意がされていたのか隣の部屋へと続く扉が開いた
どうやらすでに先ほどサリが届けたバスケットの中身も含めて、昼食の準備が整えられていたようだ。
「疲れたなぁ」と肩をこきこき鳴らしながら立ち上がった王太子の側近たちの半数が立ち上がると、そちらに足を向けた。
「では、奥様。お手をどうぞ」
「ありがとう、素敵な私の旦那様」
差し出されたエスコートの大きな掌へ、小さな白い指がそっと乗せられる。
触れ合った手に、ふたりはにこにこと微笑み合う。
すぐ隣の部屋へ移動するだけだというのに、などと尤もな指摘をするのは余りにも無粋というものだろう。
なにしろ彼等はまだ新婚ホヤホヤなのだから。
だが、それを考慮したとしても、正直なところ王太子の側近チームとしてずっと一緒に働いてきた面々としては昼食時くらいは、この新婚夫婦に中てられ続けるのは勘弁して欲しかった。
久しぶりに登城してきた堅物であった筈のその夫は、仕事もせずに新妻への贈り物について悩む始末で、それを叱れば「帰る」と言い出して周囲を慌てさせ、気を利かせた妻が差し入れにきて、仕事のサポートを行ってくれて初めて、元以上に仕事を熟せるようになったのだった。
だが、結局はずぅっと横でイチャつかれ続けているようで、それはそれで疲れるものであったのだ。
言葉はなくとも、何かと視線を合わせては微笑み合うのだ。
書類を手渡しする時には指を重ね、するりと滑らせるようにしてから、離れる前に一瞬止めて、微笑み合ってから手を離す。
甘い。
一事が万事その調子で、別に睦言を交わしている訳でもないのだが、空気が甘くて傍にいるだけで調子が狂う。
このまますぐ傍で一緒に食事を摂ったとて、砂を噛むように味のしないモノになるに違いない。絶対に休息になどならない。
そうしてそれは、王太子であるアンドリューにとっても同じ気持ちである。
だから勿論、ゆっくりと味のする昼食をとれるように手は打ってあった。
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