5 / 47
大王様の婚約者
1.黒き邪神と赤い悪魔
しおりを挟む
■
背の高い騎士たちの中でも更に頭ふたつほど背が高い。癖のある鮮やかな赤い髪は、まるで焔のよう。瞳の色も赤。見つめられると心の臓が射貫かれる気がするほど強い視線に囚われて、味方であるにもかかわらず動けなくなる者も少なくない。
長く重い両手持ちのはずの剣を右の片手で軽々と揮える膂力と数人を一撃で蹴り飛ばす脚力に恵まれる。
その男が進む先にいる数多の敵は、通った後には屍の山に。
圧倒的な武力を誇った。
そんな男が唯一の主とする存在は、この世の絶対強者だった。
まだまだ勇健で聡明な叔父たちも、たくさんの優秀な年上年下兄弟たちも、すべて押し退け大国の大王の地位へ就いた。
黒髪と黒い瞳と、この世の者とは思えない眉目秀麗な貌をした大王は、国民から圧倒的な支持を受けた。だが追い落とされた兄弟やその支持者たちからは、黒き邪神と呼ばれ恐れられていた。
黒き邪神に付き従い、すべての敵を排除し護る、赤い悪魔。いつしかそれがその男の持つ二つ名となった。
「おぉ、アレクサンドル様。おつかれさまです!」
片手で持てるはずの子供の練習用らしき木剣を両手持ちにして掲げ、満面の笑みを浮かべた美少女が明るい陽射しの中で立っていた。
足元まで流れ落ちる長さがある銀色の髪を、侍女たちの手により芸術的なまでに複雑に編み込まれ、それを更に頭に巻き付けて固定している。
艶やかな巻髪のところどころで朝陽を受けて輝いているのは、アレクサンドルの瞳とよく似た黒曜石のピンと華やかな金細工の髪留めで纏めてあるようだ。
男装の令嬢。そうひと言で済ますには、少女は可憐すぎた。
貝殻のようなピンクの爪のついたちいさな手。
舞踏会でダンスを踊るためだけに存在しているような踵の高い靴を履いているからだろうか。乗馬ズボンに包まれていても分かる長く形のいい足。
だぶついた真っ白い開襟シャツの裾をたくし込んでいても薄い腰は、抱き寄せただけで折れそうに細い。
その白いシャツから、優美なラインを描く上半身が、陽に透けて視えていた。
「ゴルド、お前はなんという恰好をしている」
アレクサンドルは呆れ、近寄ると、着ていた上着を脱いで薄い肩へと掛けた。
細すぎる肩には、アレクサンドルの上着は大きすぎた。落ちないように、前のボタンを閉めてやる。
腕までも包むように被せてしまってもボタンが留まる細い身体は、近付くと花の香りがした。
「寒くないですよ。この程度で俺が風邪など引く訳がない。大丈夫です。久しぶりに思う存分身体を動かしたので、いまは暑いくらいです」
ガハハと大きく口を開けて笑う。それは、確かにアレクサンドルのよく知る忠臣の笑い方だ。
ただし、声がまるで違う。
鈴を転がすような声をしていた。上気して赤く染まる頬も、昨日見た時よりずっと紅くなっている唇も。まるで違う。
けれどもそこに息づく命は、確かにアレクサンドルが一番信頼する存在そのものなのだ。
「だが今のお前は、神の御遣い。乙女だ」
目から入ってくる情報と、心で感じる気配との差。アレクサンドル自身に、それを言い聞かせねば叫び出してしまいそうだった。
「ん? なにか言いましたかな」
上目遣いで訊ねてくる。
視線を合わせようとして、開襟から覗く白い膨らみが目に飛び込んできて、慌てて身体を離した。
「その卑猥すぎる白シャツと踵の高い靴で騎士団の訓練へ参加したのは、我が最強の騎士団を骨抜きにするためか。それとも自身のシンパとするためか。どうやら俺の婚約者どのは奔放すぎるようだ」
「卑猥? ……あぁ、これですか。この高い踵は、訓練に最適なのです。我ら男性には本来秘密なのでしょうが、特別に教えて差し上げましょう。実は、体力のない女性向け訓練具だったのです」
つ、と乗馬ズボンの裾を持ち上げ、ゴルドが自慢げに赤い靴を見せつける。
アレクサンドルの大きすぎる上着を纏い、ほっそりとした足首を晒す煽情的な姿に、アレクサンドルは目を細めた。
「そんな訳あるか」
「いいえ、この訓練具の効果は本当に凄いのです。今すぐにでも、団の訓練に取り入れるべきです」などと頭が浮かれような言葉を続ける、今は婚約者となった忠臣に、アレクサンドルは溜め息をついた。
だが、このまま訓練を続けさせる訳にはいかない。
放っておいたら明日も明後日も、ずっとこのまま訓練をする気だろう。間違いなかった。
「そもそも、お前はいま王妃教育を受けいているはずの時間ではないのか」
ダンス、作法、この国の地理や歴史、外国語の習得など。
帝国で最も地位の高い女性、国母となるべく習得せねばならない教養はさまざまだ。
救国の聖女となったゴルドに完璧を求める声は少ないだろうが、元男であるというハンディキャップを考えると、ある程度熟せるようになっていた方がゴルド自身のためだと思われた。
そう指摘すると、ゴルドのさくらんぼのような唇が嬉しそうに弧を描く。
「それがですね、神の御遣い特典と言いますか、この世界について知っておくべきことはすべて頭に入っていることがわかったんですよ」
そもそも魔族が妖術を操り人族を襲うようになるまでは、魔法という概念すらなかったこの国で、ただひとり神より、完全防護壁と全回復いう神の御業を操ることを許された聖女なのだ。
奇跡の存在となったゴルドへ、その他の知識が与えられたことなど、些末なことなのかもしれない。
「なんだと」
「いやぁ、お得ですよなぁ! がはははは。それとですね、ダンスについては……」
するりと肩に掛けられた上着を脱いだゴルドが、宙へと放り投げた。
青空に、瀟洒な刺繍の施された上着が広がって、アレクサンドルの後ろへ控えている近衛の手元へと落ちてきた。
上着に目を取られている間に姿勢を正したゴルドが、まるでダンスへ誘うように淑女の礼をとっていた。
まっすぐ背筋を伸ばしたまま、深く腰を下ろした様は堂に入っている。美しい姿勢だった。
嫋やかな指がそこにはないドレスの裾を持ち広げる様が見えるようだ。
なのに。次には木剣を構えて、誘う。
「こう見えて、運動全般には自信がございます」
「なるほど」
しゃらりと音を立て腰に佩いた剣を抜く。こちらは刃を引いてある。真剣だ。
「ふむ。我が主君におかれましては、女子供にも容赦がない」
「俺が練習相手に怪我をさせるような真似をするとでも?」
「気に入らない御兄弟のことは、かなりコテンパンにされていたと記憶しておりますぞ」
「そうだったか」
「そうです」
ふたり目を合わせて微笑み合った瞬間が、戦闘開始の合図となった。
背の高い騎士たちの中でも更に頭ふたつほど背が高い。癖のある鮮やかな赤い髪は、まるで焔のよう。瞳の色も赤。見つめられると心の臓が射貫かれる気がするほど強い視線に囚われて、味方であるにもかかわらず動けなくなる者も少なくない。
長く重い両手持ちのはずの剣を右の片手で軽々と揮える膂力と数人を一撃で蹴り飛ばす脚力に恵まれる。
その男が進む先にいる数多の敵は、通った後には屍の山に。
圧倒的な武力を誇った。
そんな男が唯一の主とする存在は、この世の絶対強者だった。
まだまだ勇健で聡明な叔父たちも、たくさんの優秀な年上年下兄弟たちも、すべて押し退け大国の大王の地位へ就いた。
黒髪と黒い瞳と、この世の者とは思えない眉目秀麗な貌をした大王は、国民から圧倒的な支持を受けた。だが追い落とされた兄弟やその支持者たちからは、黒き邪神と呼ばれ恐れられていた。
黒き邪神に付き従い、すべての敵を排除し護る、赤い悪魔。いつしかそれがその男の持つ二つ名となった。
「おぉ、アレクサンドル様。おつかれさまです!」
片手で持てるはずの子供の練習用らしき木剣を両手持ちにして掲げ、満面の笑みを浮かべた美少女が明るい陽射しの中で立っていた。
足元まで流れ落ちる長さがある銀色の髪を、侍女たちの手により芸術的なまでに複雑に編み込まれ、それを更に頭に巻き付けて固定している。
艶やかな巻髪のところどころで朝陽を受けて輝いているのは、アレクサンドルの瞳とよく似た黒曜石のピンと華やかな金細工の髪留めで纏めてあるようだ。
男装の令嬢。そうひと言で済ますには、少女は可憐すぎた。
貝殻のようなピンクの爪のついたちいさな手。
舞踏会でダンスを踊るためだけに存在しているような踵の高い靴を履いているからだろうか。乗馬ズボンに包まれていても分かる長く形のいい足。
だぶついた真っ白い開襟シャツの裾をたくし込んでいても薄い腰は、抱き寄せただけで折れそうに細い。
その白いシャツから、優美なラインを描く上半身が、陽に透けて視えていた。
「ゴルド、お前はなんという恰好をしている」
アレクサンドルは呆れ、近寄ると、着ていた上着を脱いで薄い肩へと掛けた。
細すぎる肩には、アレクサンドルの上着は大きすぎた。落ちないように、前のボタンを閉めてやる。
腕までも包むように被せてしまってもボタンが留まる細い身体は、近付くと花の香りがした。
「寒くないですよ。この程度で俺が風邪など引く訳がない。大丈夫です。久しぶりに思う存分身体を動かしたので、いまは暑いくらいです」
ガハハと大きく口を開けて笑う。それは、確かにアレクサンドルのよく知る忠臣の笑い方だ。
ただし、声がまるで違う。
鈴を転がすような声をしていた。上気して赤く染まる頬も、昨日見た時よりずっと紅くなっている唇も。まるで違う。
けれどもそこに息づく命は、確かにアレクサンドルが一番信頼する存在そのものなのだ。
「だが今のお前は、神の御遣い。乙女だ」
目から入ってくる情報と、心で感じる気配との差。アレクサンドル自身に、それを言い聞かせねば叫び出してしまいそうだった。
「ん? なにか言いましたかな」
上目遣いで訊ねてくる。
視線を合わせようとして、開襟から覗く白い膨らみが目に飛び込んできて、慌てて身体を離した。
「その卑猥すぎる白シャツと踵の高い靴で騎士団の訓練へ参加したのは、我が最強の騎士団を骨抜きにするためか。それとも自身のシンパとするためか。どうやら俺の婚約者どのは奔放すぎるようだ」
「卑猥? ……あぁ、これですか。この高い踵は、訓練に最適なのです。我ら男性には本来秘密なのでしょうが、特別に教えて差し上げましょう。実は、体力のない女性向け訓練具だったのです」
つ、と乗馬ズボンの裾を持ち上げ、ゴルドが自慢げに赤い靴を見せつける。
アレクサンドルの大きすぎる上着を纏い、ほっそりとした足首を晒す煽情的な姿に、アレクサンドルは目を細めた。
「そんな訳あるか」
「いいえ、この訓練具の効果は本当に凄いのです。今すぐにでも、団の訓練に取り入れるべきです」などと頭が浮かれような言葉を続ける、今は婚約者となった忠臣に、アレクサンドルは溜め息をついた。
だが、このまま訓練を続けさせる訳にはいかない。
放っておいたら明日も明後日も、ずっとこのまま訓練をする気だろう。間違いなかった。
「そもそも、お前はいま王妃教育を受けいているはずの時間ではないのか」
ダンス、作法、この国の地理や歴史、外国語の習得など。
帝国で最も地位の高い女性、国母となるべく習得せねばならない教養はさまざまだ。
救国の聖女となったゴルドに完璧を求める声は少ないだろうが、元男であるというハンディキャップを考えると、ある程度熟せるようになっていた方がゴルド自身のためだと思われた。
そう指摘すると、ゴルドのさくらんぼのような唇が嬉しそうに弧を描く。
「それがですね、神の御遣い特典と言いますか、この世界について知っておくべきことはすべて頭に入っていることがわかったんですよ」
そもそも魔族が妖術を操り人族を襲うようになるまでは、魔法という概念すらなかったこの国で、ただひとり神より、完全防護壁と全回復いう神の御業を操ることを許された聖女なのだ。
奇跡の存在となったゴルドへ、その他の知識が与えられたことなど、些末なことなのかもしれない。
「なんだと」
「いやぁ、お得ですよなぁ! がはははは。それとですね、ダンスについては……」
するりと肩に掛けられた上着を脱いだゴルドが、宙へと放り投げた。
青空に、瀟洒な刺繍の施された上着が広がって、アレクサンドルの後ろへ控えている近衛の手元へと落ちてきた。
上着に目を取られている間に姿勢を正したゴルドが、まるでダンスへ誘うように淑女の礼をとっていた。
まっすぐ背筋を伸ばしたまま、深く腰を下ろした様は堂に入っている。美しい姿勢だった。
嫋やかな指がそこにはないドレスの裾を持ち広げる様が見えるようだ。
なのに。次には木剣を構えて、誘う。
「こう見えて、運動全般には自信がございます」
「なるほど」
しゃらりと音を立て腰に佩いた剣を抜く。こちらは刃を引いてある。真剣だ。
「ふむ。我が主君におかれましては、女子供にも容赦がない」
「俺が練習相手に怪我をさせるような真似をするとでも?」
「気に入らない御兄弟のことは、かなりコテンパンにされていたと記憶しておりますぞ」
「そうだったか」
「そうです」
ふたり目を合わせて微笑み合った瞬間が、戦闘開始の合図となった。
11
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
ある日、私は聖女召喚で呼び出され悪魔と間違われた。〜引き取ってくれた冷血無慈悲公爵にペットとして可愛がられる〜
楠ノ木雫
恋愛
気が付いた時には見知らぬ場所にいた。周りには複数の女性達。そう、私達は《聖女》としてここに呼び出されたのだ。だけど、そこでいきなり私を悪魔だと剣を向ける者達がいて。殺されはしなかったけれど、聖女ではないと認識され、冷血公爵に押し付けられることになった。
私は断じて悪魔じゃありません! 見た目は真っ黒で丸い角もあるけれど、悪魔ではなく……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる