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第二章:誰がために鐘は鳴る
14.地に堕ちて
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手当たり次第に物を投げつけられて、掴みかかられ、引っ掛かれた。
さすがにこちらが同じことをする訳にもいかなくて防戦しかできないことに焦れ、つい侍女たちを呼び入れた判断も間違いだった。
ドアが開いた途端、ピアが「私の夫は、子殺しという、最低最悪の罪を犯した罪人である! どうか、神の裁きを、彼の者に!!」と咽喉も裂けんばかりに叫びながら廊下を走りまわったのだ。
血走った眼で。薄い夜着のまま王宮の廊下を叫びながら走り回る王太子妃。
その叫ぶ内容までもがどこまでもスキャンダラスで。
どう取り繕ろおうにも無駄なほど、それを見聞きした人数も多く、その誰しもが興味津々で、事実無根の噂の真相とやらを求めた。
そうしてその噂は、あっという間に王都を駆け抜けていった。
「王太子は自分の子を殺したそうだ」
「なんでも王太子妃は不義の子を産んだそうだよ」
「いや王太子自身が犯した罪により、その子は化物として生まれたそうだ」
「王太子が浮気相手に本気になって、正妃との間の子を疎んじて殺したって聞いたぜ」
「まさか。最初の婚約者を自殺未遂に追い詰めてまで迎えた正妃様だろう?」
「だからその正妃様の不義が原因だって」
「もしかして、その自殺未遂とされている令嬢もすでに殺されていて、その呪いで」
「それは呪われるな」
「あぁ、恨み骨髄までって奴だな」
街で囁かれるだけではない。
王宮内も、この噂で持ちきりだ。
私の世話を受け持っている侍女たちの視線が冷たい。
リタを切り捨てた後も冷たく感じたものだが、その彼女を捨ててまで手に入れた女性との間にできた自分の子供を殺したかもしれないという噂は、さらに許しがたいものであったらしい。
事実ではないのに。
自分の子供を殺したりしていない。
そう何度も訴えたけれど。
よりによって、あの産婆がその罪を認めたのだという。
それも。私がそれを言い渡し、自分はそれに抗えなかったと懺悔したという。
手当たり次第に物を投げつけられて、掴みかかられ、引っ掛かれた。
さすがにこちらが同じことをする訳にもいかなくて防戦しかできないことに焦れ、つい侍女たちを呼び入れた判断も間違いだった。
ドアが開いた途端、ピアが「私の夫は、子殺しという、最低最悪の罪を犯した罪人である! どうか、神の裁きを、彼の者に!!」と咽喉も裂けんばかりに叫びながら廊下を走りまわったのだ。
血走った眼で。薄い夜着のまま王宮の廊下を叫びながら走り回る王太子妃。
その叫ぶ内容までもがどこまでもスキャンダラスで。
どう取り繕ろおうにも無駄なほど、それを見聞きした人数も多く、その誰しもが興味津々で、事実無根の噂の真相とやらを求めた。
そうしてその噂は、あっという間に王都を駆け抜けていった。
「王太子は自分の子を殺したそうだ」
「なんでも王太子妃は不義の子を産んだそうだよ」
「いや王太子自身が犯した罪により、その子は化物として生まれたそうだ」
「王太子が浮気相手に本気になって、正妃との間の子を疎んじて殺したって聞いたぜ」
「まさか。最初の婚約者を自殺未遂に追い詰めてまで迎えた正妃様だろう?」
「だからその正妃様の不義が原因だって」
「もしかして、その自殺未遂とされている令嬢もすでに殺されていて、その呪いで」
「それは呪われるな」
「あぁ、恨み骨髄までって奴だな」
街で囁かれるだけではない。
王宮内も、この噂で持ちきりだ。
私の世話を受け持っている侍女たちの視線が冷たい。
リタを切り捨てた後も冷たく感じたものだが、その彼女を捨ててまで手に入れた女性との間にできた自分の子供を殺したかもしれないという噂は、さらに許しがたいものであったらしい。
事実ではないのに。
自分の子供を殺したりしていない。
そう何度も訴えたけれど。
よりによって、あの産婆がその罪を認めたのだという。
それも。私がそれを言い渡し、自分はそれに抗えなかったと懺悔したという。
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