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デカス山脈
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「お、おはよう。やっぱり宿にいたのね」
不意に後ろから声を掛けられ、振り返ると見知った女がいた。
どうやら強制イベント発生のようだ。
確かスカーレットとかいうお姫様だったか。
「貴方これからどちらへ行くつもりかしら?」
スカーレットを無視して歩き出す。
「ちょっ、ちょっと待ってよ!」
引き止めるように腕を組んでくる。
胸が当たって悪い気はしないが、触らぬ神に祟りなしだ。
軽く距離を取る。
「お姫様は勇者を探してるんですよね?
俺なんかと一緒にいても見つかりませんよ?」
「勇者は……もういいの。
貴方といればいつか会える気がするし。
それに…………貴方の事もっと知りたいし」
最後なんか小声で言ったぞ?
困ったな。
マジで着いて来るつもりか?
【転移】で撒く事も可能だが。
……ふむう。
「まぁ、いいでしょう。
少しだけパーティを組んでもいいですよ。
その代わりに、この世界の事色々教えてもらいますね」
「本当!?ありがとう!
……えっと、私の事はリリィと呼んでちょうだい!
それで…………貴方のお名前は何ていうの?」
「テツオです」
「テツオかぁ、いいお名前ね。
私、自分より強い人に敬語使われるの癪だから敬語はやめてね。
じゃあ改めて、宜しくテツオ」
可愛い笑顔が朝日のせいか眩しい。
素材はいいんだよなぁ。
高貴なオーラもびんびんに感じるし。
「じゃあ、敬語は使わん。
ちょっとそこで待ってろ」
さっと宿屋に行って戻ってくる。
「おい、行くぞ!」
「いきなり言葉使い悪くなったわね。
まぁ、いいんだけど。
で、どこに行くつもり?」
俺は、西に向かって指を指した。
————————
そこは雪国だった。
完全に舐めていた。
デカス洞窟を抜けると雪山に繋がっていたようで、寒波に凍えながら何故か頂上を目指していた。
これは…………意地である。
俺に着いてくると言った以上、それ相応の覚悟を見せてもらわねばならない。
これはリリィへの試練である。
そこへいくとサーベルウルフは雑魚だった。
リリィに全て一撃で倒されてしまうという体たらく。
まぁ、レベル65の聖騎士が、レベル10程の狼にビビる道理もない。
サーベルウルフの牙をいそいそ集めていると、リリィに依頼品だと一発でバレてしまったが、
「か、金になるのかなー?これー?」
と、華麗にかわした。
デカス山脈は険しく鋭い山が連なっている。
眼下に雲海が広がる断崖絶壁の細い足場を、恐る恐る渡るリリィ。
下から吹き上げる強風で、スカートが捲れ上がるが、本人は必死で気付いていない。
眼福眼福。
「引き返すなら今のうちだぞー?」
「引き返せるわけないじゃない!これどこまで行くのよ!」
「もちろん、頂上までだ」
「えー」
上品な話し方は何処へやら。
確かに道のりは厳しい。
急勾配に加えて、殆ど雪に覆われ、道らしき道も無い。
剥き出しの岩が行く手を阻み、元より人が登る山では無いのだろう。
岩石を魔法で砕きながら道を作る。
リリィを見ると唇や足が紫がかってきていた。
彼女の活動限界は近そうだ。
しばらく登ると、両岸を急な岩壁に挟まれた谷に着いた。
ゴルジュというんだったか。
少し落ち着けそうかもと、リリィが少なからず安堵している。
上を見上げると、岩壁がどこまで続いているか分からないくらい高い。
ん?何か岩が動いた気がしたが。
【探知】
成る程な。
「おい、先へ急ぐぞ」
少し休みたいと文句を言うリリィを急かし、先に歩かせる。
不意に岩壁が突如動き出し、何本かの巨大な毛むくじゃらの足がリリィに襲いかかった。
寒さで体が悴んでるのか、それに対する反応が遅い。
残念。
太い足に吹き飛ばされ、そのまま向かい側の岩壁に叩きつけられた。
更に、予め発射された糸に絡め取られ、グルグル巻きになるというこの手際の良さは熟練の技。
もはや職人芸ともいえよう。
岩壁に擬態する3メートルはあろう巨大蜘蛛に、彼女はあっさりと捕まってしまった。
「キャー!蜘蛛苦手なのよー」
糸のミイラとなったリリィが、隙間から叫んでいる。
英雄といえどこんなもんか。
【解析】
ゴルジュスパイダー
LV:48
HP:1600
MP:130
蜘蛛もそこそこ強いが、まともにやればリリィの方が強い筈なんだがなぁ。
擬態からの蹴り、糸吐きのコンボ技が凶悪だ。
あ、噛まれた。
このままじゃ、蜘蛛の毒によりやられてしまうだろう。
助けるか。
【火球】
火の塊が周囲の雪を巻き上げながら、凄い速度で飛んでいき、蜘蛛の胴体に直撃した。
が、甲羅の様に体を纏う岩肌が、【火球】を弾き飛ばす。
あの岩は、擬態でもあり、防御でもあるのか。
などと関心している場合じゃない。
早く退治しなければ。
【土魔法:水晶剣】
案外突き詰めると、土魔法は便利だ。
選べる素材に限りはあるが、大きさや形をある程度自由に創り出す事が出来る。
空中に、計10本の光り輝く水晶の剣が浮かび上がる。
手を振り抜くと同時に、蜘蛛の胴体に10本の剣が全て突き刺さった。
岩レベルの硬度では防ぎようがない。
岩壁にへばり付いたまま、標本の如く串刺しになり、ゴルジュスパイダーは呆気なく絶命した。
落下してくる繭と化したリリィを受け止め、絡み付いた糸を剥ぎ取ってやる。
あらん?
ダメだ。かなり衰弱していて危機的状態だ。
仕方ないな。
特別に風呂に入れてやろう。
一瞬で透明な水晶の壁で四方を囲み、浴槽を創り出して温水を貯めた。
リリィを裸にして、一緒に浴槽に入る。
雲海を望む素晴らしいロケーションに、可愛らしい裸のお姫様。
男なら誰もが羨むシチュエーションだろう。
冷え切っていたリリィの身体は、徐々に体温を取り戻し、ほんのりと頬がピンク色となってくる。
これも偏に、俺が後ろから、丹念におっぱいをマッサージしたお陰であろう。
すると、何という事でしょう。
もたれ掛かる体勢から、顎を上げ、キスを求めてくるではありませんか。
これは流石の匠も、拒む訳にはいかなくなりました。
そのまま匠の匠を挿入する匠。
つう、とお湯に一筋の赤い線が浮かび上がってくるのは、匠だからこそ為せる技。
なんか処女多くね?
慌てて【回復】を掛け、痛みを取り除く事に成功。
ゆっくりと馴染むようにピストンを繰り返す。
堪らず身体をくねらせて逃げようとするリリィの尻をホールドして、乱暴にフィニッシュ!
ふう、ヤッてしまった。
不意に後ろから声を掛けられ、振り返ると見知った女がいた。
どうやら強制イベント発生のようだ。
確かスカーレットとかいうお姫様だったか。
「貴方これからどちらへ行くつもりかしら?」
スカーレットを無視して歩き出す。
「ちょっ、ちょっと待ってよ!」
引き止めるように腕を組んでくる。
胸が当たって悪い気はしないが、触らぬ神に祟りなしだ。
軽く距離を取る。
「お姫様は勇者を探してるんですよね?
俺なんかと一緒にいても見つかりませんよ?」
「勇者は……もういいの。
貴方といればいつか会える気がするし。
それに…………貴方の事もっと知りたいし」
最後なんか小声で言ったぞ?
困ったな。
マジで着いて来るつもりか?
【転移】で撒く事も可能だが。
……ふむう。
「まぁ、いいでしょう。
少しだけパーティを組んでもいいですよ。
その代わりに、この世界の事色々教えてもらいますね」
「本当!?ありがとう!
……えっと、私の事はリリィと呼んでちょうだい!
それで…………貴方のお名前は何ていうの?」
「テツオです」
「テツオかぁ、いいお名前ね。
私、自分より強い人に敬語使われるの癪だから敬語はやめてね。
じゃあ改めて、宜しくテツオ」
可愛い笑顔が朝日のせいか眩しい。
素材はいいんだよなぁ。
高貴なオーラもびんびんに感じるし。
「じゃあ、敬語は使わん。
ちょっとそこで待ってろ」
さっと宿屋に行って戻ってくる。
「おい、行くぞ!」
「いきなり言葉使い悪くなったわね。
まぁ、いいんだけど。
で、どこに行くつもり?」
俺は、西に向かって指を指した。
————————
そこは雪国だった。
完全に舐めていた。
デカス洞窟を抜けると雪山に繋がっていたようで、寒波に凍えながら何故か頂上を目指していた。
これは…………意地である。
俺に着いてくると言った以上、それ相応の覚悟を見せてもらわねばならない。
これはリリィへの試練である。
そこへいくとサーベルウルフは雑魚だった。
リリィに全て一撃で倒されてしまうという体たらく。
まぁ、レベル65の聖騎士が、レベル10程の狼にビビる道理もない。
サーベルウルフの牙をいそいそ集めていると、リリィに依頼品だと一発でバレてしまったが、
「か、金になるのかなー?これー?」
と、華麗にかわした。
デカス山脈は険しく鋭い山が連なっている。
眼下に雲海が広がる断崖絶壁の細い足場を、恐る恐る渡るリリィ。
下から吹き上げる強風で、スカートが捲れ上がるが、本人は必死で気付いていない。
眼福眼福。
「引き返すなら今のうちだぞー?」
「引き返せるわけないじゃない!これどこまで行くのよ!」
「もちろん、頂上までだ」
「えー」
上品な話し方は何処へやら。
確かに道のりは厳しい。
急勾配に加えて、殆ど雪に覆われ、道らしき道も無い。
剥き出しの岩が行く手を阻み、元より人が登る山では無いのだろう。
岩石を魔法で砕きながら道を作る。
リリィを見ると唇や足が紫がかってきていた。
彼女の活動限界は近そうだ。
しばらく登ると、両岸を急な岩壁に挟まれた谷に着いた。
ゴルジュというんだったか。
少し落ち着けそうかもと、リリィが少なからず安堵している。
上を見上げると、岩壁がどこまで続いているか分からないくらい高い。
ん?何か岩が動いた気がしたが。
【探知】
成る程な。
「おい、先へ急ぐぞ」
少し休みたいと文句を言うリリィを急かし、先に歩かせる。
不意に岩壁が突如動き出し、何本かの巨大な毛むくじゃらの足がリリィに襲いかかった。
寒さで体が悴んでるのか、それに対する反応が遅い。
残念。
太い足に吹き飛ばされ、そのまま向かい側の岩壁に叩きつけられた。
更に、予め発射された糸に絡め取られ、グルグル巻きになるというこの手際の良さは熟練の技。
もはや職人芸ともいえよう。
岩壁に擬態する3メートルはあろう巨大蜘蛛に、彼女はあっさりと捕まってしまった。
「キャー!蜘蛛苦手なのよー」
糸のミイラとなったリリィが、隙間から叫んでいる。
英雄といえどこんなもんか。
【解析】
ゴルジュスパイダー
LV:48
HP:1600
MP:130
蜘蛛もそこそこ強いが、まともにやればリリィの方が強い筈なんだがなぁ。
擬態からの蹴り、糸吐きのコンボ技が凶悪だ。
あ、噛まれた。
このままじゃ、蜘蛛の毒によりやられてしまうだろう。
助けるか。
【火球】
火の塊が周囲の雪を巻き上げながら、凄い速度で飛んでいき、蜘蛛の胴体に直撃した。
が、甲羅の様に体を纏う岩肌が、【火球】を弾き飛ばす。
あの岩は、擬態でもあり、防御でもあるのか。
などと関心している場合じゃない。
早く退治しなければ。
【土魔法:水晶剣】
案外突き詰めると、土魔法は便利だ。
選べる素材に限りはあるが、大きさや形をある程度自由に創り出す事が出来る。
空中に、計10本の光り輝く水晶の剣が浮かび上がる。
手を振り抜くと同時に、蜘蛛の胴体に10本の剣が全て突き刺さった。
岩レベルの硬度では防ぎようがない。
岩壁にへばり付いたまま、標本の如く串刺しになり、ゴルジュスパイダーは呆気なく絶命した。
落下してくる繭と化したリリィを受け止め、絡み付いた糸を剥ぎ取ってやる。
あらん?
ダメだ。かなり衰弱していて危機的状態だ。
仕方ないな。
特別に風呂に入れてやろう。
一瞬で透明な水晶の壁で四方を囲み、浴槽を創り出して温水を貯めた。
リリィを裸にして、一緒に浴槽に入る。
雲海を望む素晴らしいロケーションに、可愛らしい裸のお姫様。
男なら誰もが羨むシチュエーションだろう。
冷え切っていたリリィの身体は、徐々に体温を取り戻し、ほんのりと頬がピンク色となってくる。
これも偏に、俺が後ろから、丹念におっぱいをマッサージしたお陰であろう。
すると、何という事でしょう。
もたれ掛かる体勢から、顎を上げ、キスを求めてくるではありませんか。
これは流石の匠も、拒む訳にはいかなくなりました。
そのまま匠の匠を挿入する匠。
つう、とお湯に一筋の赤い線が浮かび上がってくるのは、匠だからこそ為せる技。
なんか処女多くね?
慌てて【回復】を掛け、痛みを取り除く事に成功。
ゆっくりと馴染むようにピストンを繰り返す。
堪らず身体をくねらせて逃げようとするリリィの尻をホールドして、乱暴にフィニッシュ!
ふう、ヤッてしまった。
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