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過去と今
ある日の通話記録
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「ボクがいつから男の人を意識するようになったかって?」
「うん、そうだね。千歳ちゃんとはちょっと違うかも。別に女の子が苦手ってわけじゃなかったし。むしろ友達は女の子の方が多かったんじゃないかな」
「別になんとも。女の子に限った話じゃないけどね。誰かを好きになる気持ちっていうの?よくわかってなかったのかも」
「おばあちゃんがね、よく言ってたの。愛っていうのはお返しするものなんだって」
「だからね、お父さんとお母さんには好きっていっぱい伝えたよ。お姉ちゃんと、幼馴染のお兄ちゃんにもね。後は、中学のときの担任の先生かな。年賀状とか今でも送ったりしてるよ」
「うん、実はもう一人だけ。高校のときの部活の先輩。気持ちだけね」
「これ話すの恥ずかしいんだけど。だめ?んー、しょうがないな」
「元々は帰宅部だったんだけど、その先輩がね、『自分が引退するまでの間だけでいいから』って、ボクをバスケ部のマネージャーに誘ったんだよ」
「前々から誘われてたんだけど、運動部ってなかなか気が進まなくて。中学のときに色々あってさ。最初は断ってたんだけど、上の世代が引退して自分が主将になったときにまた誘ってきてね。まあマネージャーならいいかなって」
「何度も断ってた負い目もあったしね。やってみたら意外と面白かったし。それから先輩とは仲良くやってたよ。バスケのルール教えてもらって、一緒に他所の試合も見に行ったりとか。先輩後輩っていうより、彼氏彼女みたいな距離感だったね。周りから見ると。意識しないようにしてたけど」
「別に何もされなかったよ。男同士だし。女の子の格好?するわけないじゃん。してほしかったのかな」
「そうそう、友達以上恋人未満みたいな。それがしばらく続いてたんだけど」
「先輩の引退が迫った時期ね。いきなりキスされた」
「あはは、意外と紳士だなって思ってた?たぶん、ボクが色々と気がついてなかっただけだね。このままだと会う口実が減る一方だから形振り構ってられなくなったのかな」
「でも、そのときは『忘れてくれ』って先輩は言ったの。無責任だよね。ボクもキスなんてしたの初めてだったからもやもやしちゃって」
「ファーストキスだね。この間のは、あー、二度目ですね、ハイ」
「・・・・・・話を戻すと、表面上はこれまで通りの付き合いが続いたわけ。内心ではすっかり舞い上がってたんだけど、忘れてくれって言われちゃった手前、どう『お返し』していいかわかんなくて」
「好きになってたね。もしかすると、もっと前から。自分の気持ちにボクの理解が追いついてなかっただけで」
「それからかな。ボクは男の人を好きになってしまうんだって意識するようになって。真っ先におばあちゃんに相談したいって思ったけど、その頃にはもう死んじゃってたから」
「お父さんとお母さんに相談したけど、なんだか困ってる感じだったな。尊重はするけど、本心では認めたくないって感じ」
「幼馴染のお兄ちゃんにも相談したんだけど、そしたらボクの両親を説得するって言い出してさ。だからボクには『自分に正直になれ』って」
「ボクは待つことにしたよ。たぶんだけど、先輩はボクのことを女の子として見てたんじゃないかって。でもボクは男だから。それで踏ん切りがつかなかったんじゃないかな。だからね、ボクはこれまで通り先輩のことだけを見てたよ」
「なにそれ。みんなにもそんな風に見られてたのかな。フツーに恥ずかしいんだけど」
「先輩とはね、結局何もなかったよ。ていうか彼女作ってた」
「うーん、覚悟はしてたけどね。このまま自然消滅するかなって。女の子には勝てなかったよ、やっぱり」
「ただねー、その相手にちょっと問題あってさ。彼女、ボクの同級生で。結構仲良くしてた女の子だったんだよ」
「その子が先輩と付き合ってるって知ってしばらく落ち込んでたけど、マネージャーは続けたね。流石に先輩の代の人たちと一緒に辞めたけど」
「そしたらさ、先輩の彼女になった子がボクの前でやたらカリカリするようになったなって」
「先輩とはもう疎遠になってたから、その理由を知ったのは後になってからだね」
「そうなの。先輩と上手くいってなかったみたいで」
「それでボクに八つ当たり?みたいな。昨日まで友達だったのに。すっかり取り乱しちゃってさ。その頃は学校も休みがちになっちゃって」
「お父さんとお母さんは無理して行かなくてもいいよって言ってくれたけど、卒業はしたかったからね。それから友達を作らないようにして過ごしたな」
「いやー、みじめだったね。ボク一人だけ舞い上がって。なんのためにマネージャーやってたんだろうって。いや先輩のためだったんだけどさ」
「ごめん。良い感じに話せなかった。だって辛かったんだもん。思い出しちゃった」
「千歳ちゃんは悪くないよ。むしろ誰かに話せてよかったかな。こういうのって」
「うん、好きだよ。今度はアタックしてみた方がいいのかな?」
「やっぱ無理」
「ボクのことはもういいでしょ。今度は千歳ちゃんの番だよ」
「うん、そうだね。千歳ちゃんとはちょっと違うかも。別に女の子が苦手ってわけじゃなかったし。むしろ友達は女の子の方が多かったんじゃないかな」
「別になんとも。女の子に限った話じゃないけどね。誰かを好きになる気持ちっていうの?よくわかってなかったのかも」
「おばあちゃんがね、よく言ってたの。愛っていうのはお返しするものなんだって」
「だからね、お父さんとお母さんには好きっていっぱい伝えたよ。お姉ちゃんと、幼馴染のお兄ちゃんにもね。後は、中学のときの担任の先生かな。年賀状とか今でも送ったりしてるよ」
「うん、実はもう一人だけ。高校のときの部活の先輩。気持ちだけね」
「これ話すの恥ずかしいんだけど。だめ?んー、しょうがないな」
「元々は帰宅部だったんだけど、その先輩がね、『自分が引退するまでの間だけでいいから』って、ボクをバスケ部のマネージャーに誘ったんだよ」
「前々から誘われてたんだけど、運動部ってなかなか気が進まなくて。中学のときに色々あってさ。最初は断ってたんだけど、上の世代が引退して自分が主将になったときにまた誘ってきてね。まあマネージャーならいいかなって」
「何度も断ってた負い目もあったしね。やってみたら意外と面白かったし。それから先輩とは仲良くやってたよ。バスケのルール教えてもらって、一緒に他所の試合も見に行ったりとか。先輩後輩っていうより、彼氏彼女みたいな距離感だったね。周りから見ると。意識しないようにしてたけど」
「別に何もされなかったよ。男同士だし。女の子の格好?するわけないじゃん。してほしかったのかな」
「そうそう、友達以上恋人未満みたいな。それがしばらく続いてたんだけど」
「先輩の引退が迫った時期ね。いきなりキスされた」
「あはは、意外と紳士だなって思ってた?たぶん、ボクが色々と気がついてなかっただけだね。このままだと会う口実が減る一方だから形振り構ってられなくなったのかな」
「でも、そのときは『忘れてくれ』って先輩は言ったの。無責任だよね。ボクもキスなんてしたの初めてだったからもやもやしちゃって」
「ファーストキスだね。この間のは、あー、二度目ですね、ハイ」
「・・・・・・話を戻すと、表面上はこれまで通りの付き合いが続いたわけ。内心ではすっかり舞い上がってたんだけど、忘れてくれって言われちゃった手前、どう『お返し』していいかわかんなくて」
「好きになってたね。もしかすると、もっと前から。自分の気持ちにボクの理解が追いついてなかっただけで」
「それからかな。ボクは男の人を好きになってしまうんだって意識するようになって。真っ先におばあちゃんに相談したいって思ったけど、その頃にはもう死んじゃってたから」
「お父さんとお母さんに相談したけど、なんだか困ってる感じだったな。尊重はするけど、本心では認めたくないって感じ」
「幼馴染のお兄ちゃんにも相談したんだけど、そしたらボクの両親を説得するって言い出してさ。だからボクには『自分に正直になれ』って」
「ボクは待つことにしたよ。たぶんだけど、先輩はボクのことを女の子として見てたんじゃないかって。でもボクは男だから。それで踏ん切りがつかなかったんじゃないかな。だからね、ボクはこれまで通り先輩のことだけを見てたよ」
「なにそれ。みんなにもそんな風に見られてたのかな。フツーに恥ずかしいんだけど」
「先輩とはね、結局何もなかったよ。ていうか彼女作ってた」
「うーん、覚悟はしてたけどね。このまま自然消滅するかなって。女の子には勝てなかったよ、やっぱり」
「ただねー、その相手にちょっと問題あってさ。彼女、ボクの同級生で。結構仲良くしてた女の子だったんだよ」
「その子が先輩と付き合ってるって知ってしばらく落ち込んでたけど、マネージャーは続けたね。流石に先輩の代の人たちと一緒に辞めたけど」
「そしたらさ、先輩の彼女になった子がボクの前でやたらカリカリするようになったなって」
「先輩とはもう疎遠になってたから、その理由を知ったのは後になってからだね」
「そうなの。先輩と上手くいってなかったみたいで」
「それでボクに八つ当たり?みたいな。昨日まで友達だったのに。すっかり取り乱しちゃってさ。その頃は学校も休みがちになっちゃって」
「お父さんとお母さんは無理して行かなくてもいいよって言ってくれたけど、卒業はしたかったからね。それから友達を作らないようにして過ごしたな」
「いやー、みじめだったね。ボク一人だけ舞い上がって。なんのためにマネージャーやってたんだろうって。いや先輩のためだったんだけどさ」
「ごめん。良い感じに話せなかった。だって辛かったんだもん。思い出しちゃった」
「千歳ちゃんは悪くないよ。むしろ誰かに話せてよかったかな。こういうのって」
「うん、好きだよ。今度はアタックしてみた方がいいのかな?」
「やっぱ無理」
「ボクのことはもういいでしょ。今度は千歳ちゃんの番だよ」
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