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ご褒美2
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アレクがようやく満足気な表情で胸から手を離した時、おれはもはや息も絶え絶えで、瀕死寸前の状態だった。
「ふふ。ココ、いやらしいえっちな色になったねぇ」
「っ……」
アレクがにんまりとした笑顔でからかうように言うのにも、最早、反論する気力もなかった。ぐったりとベッドに身体を寝転したまま、荒い息を整えるので精一杯だ。
それに、その、アレクの言うことも丸っきり間違いでもない。
長時間弄られ続けた乳首は、慎ましさをすっかりと忘れて、二つとも天井に向かってピンと尖りきっている。じんじんと真っ赤な色になって震えるそこは、自分のものとは思えなかった。
……けれど、ともかくこれで終わったのだ。本当にこれがアレクのご褒美になっているのかはよく分からないが、これでもう義務は果たした。頑張った、おれ。途中で恥ずかしさの余り憤死しなかっただけえらい。
「はぁ……アレク、どいてくれよ。おれ、少し顔洗いに行きたい……」
「ん? ご主人ちゃん、どこ行くつもりなの?」
「どこって……だってもう終わったんだろ。だから洗面所に行ってくる」
この宿屋はトイレと洗面所は共同だと、宿屋のおじさんから案内されていた。だから、顔を洗うには部屋の外にまで行かなければいけないのだ。
だが、アレクは不思議そうに首を傾げたまま、おれの身体の上からどく様子を見せない。
「まだ終わってないけど」
「………………え?」
「まだ終わってないよ。だって全然途中じゃん、こんなの。まだこっちは触らせてもらってないもん」
アレクがするりと手を伸ばして、おれの股間の中心に触れた。
「ひゃっ! ちょ、ちょっ、アレク……っ?」
「ご主人ちゃんのここだって、もっと気持ちよくなりたーいって言って泣いてるみたいだし」
アレクが触れたおれの陰茎は、いつの間にかゆるく勃ち上がっていた。
乳首への愛撫なんかで感じたということをありありと示され、顔がかあっと熱くなる。
「あっ、やだ、アレクっ。そんなところ、触ったらダメだって……んぁっ!」
「えー? だってご褒美に、俺の好きなように触らせてくれるって約束したじゃん。俺、ご主人ちゃんの身体の隅々までもっと触りたいし」
「んぅっ、ふっ、ぁ……ッ!」
「あっ! 今の声、めちゃくちゃ可愛いっ。もっと聞かせて!」
「ぁ、んっ、あァッ!」
陰茎のつけ根をつままれ、そのままゆっくり先端へ擦られて竿をしごかれる。
かと思えば、掌でカリ首を包み込まれ、マッサージ器みたいに小刻みに振動させられる。
「ぁ、やだ、アレクっ、そこっ……ひ、ぁあッ!」
かぶりを振って、アレクにすがるように手を伸ばす。
アレクは艶めいた吐息を零して、うっとりとおれを見下ろすと、陰茎を扱く手とは反対の手でおれの頭をよしよしと撫でた。
「……本当、マジで可愛いなぁ。本当ならこのまま誰の目にも触れずにしまって、俺だけのご主人ちゃんでいてほしいなぁ」
「っ……?」
「でもそのためには、やっぱり就職活動しなきゃダメかー。あーあ、神様もそこらへん、融通きかせておいてくれたらいいのにね?」
いつも通りの明るい口調で一人呟くアレクだったが、その合間にも、おれの陰茎を擦る掌は絶えず動き続けている。
先ほどまで乳首に与えられていた刺激とは違う、直接的な快楽。
陰茎からは次第に、先走りの透明な汁が先端からあふれ始めていた。部屋に響きだした水音に、羞恥心がより一層高まる。
「んっ、ぁ、アレクぅ……」
上擦った声は、自分のものじゃないみたいだ。
それがさらに恥ずかしくて、片手で口元を抑えようとすると、その手がアレクに掴まれてしまった。
そして、先ほどまで着ていたTシャツを手繰り寄せると、おれの両手をまとめて巻きつけ、縛り付けてしまう。
「なっ、なんで縛るんだよっ……!」
「だって俺、もっとご主人ちゃんの可愛い声聞きたいし」
「か、可愛くないだろ……おれの声なんか……」
「可愛いよ! 自分で気づいてないの? さっきのとろけきった顔で俺の名前呼んできた時なんか、すっごいエロくて可愛かったよ?」
「~~~~っ!」
アレクの言い様に、恥ずかしいやらちょっと嬉しいやら、それでもやっぱり恥ずかしいやらで、何も答えることができず、おれは顔を真っ赤にして黙りこくった。
そんなおれを、アレクは瞳をすうっと細めて見つめると、顔を寄せて頬にちゅっと音を立ててキスをしてくる。
「んっ……」
「さ、じゃあもっと気持ちよくなろうねー。大丈夫だよ、ご主人ちゃんは本当に寝てるだけでいいからね。……ただ、可愛い声で鳴いててくれればいいからさ」
そう言うアレクの顔は、いつも通りの人当たりの良さそうな笑顔だった。少なくとも、表面上はそう見えた。
けれど、こちらに注がれる視線はやけにぎらついていた。錯覚だろうが、肉食獣の前で無防備に佇んでいるような悪寒さえ感じ、思わずベッドの上で身体を後ずさりさせる。
が、おれが逃げようとしたのを察知したのか、アレクの両手ががしりとおれの腰を掴んだ。そのままアレクは身体をずらすと、おれの両足を抱え上げて、今度は足の間に割り入るように体勢を変える。
「ぁ――」
おれがビクリと身体を震わせると、アレクがちらりと見て、愉しそうに微笑んだ。
そして、勃ち上がった陰茎を手で支えると、その先端にちゅっと唇を落としてから、ぱくりと咥え込んだ。
「ひっ……! ぁ、だ、め……アレクっ、……んあァっ!」
瞬間、鮮烈な快楽に喉をのけぞらせた。
おれが悲鳴に近い嬌声をあげたのをアレクも聞いていただろうに、アレクはなおも構わず、口内に迎え入れた先端に舌を這わせる。ぬるぬると湿った感触が、敏感な亀頭を包み込む。
「ぁ、やだ、そこっ……アレクッ、だめっ……ひっ、あァ!」
鈴口を舌でなぞられると、先走りの露がぷしゃりとさらに吹き出てしまう。
だというのに、アレクはそこを離してくれはしなかった。それどころか、喉をごくりと動かして、美味しそうに先走りを嚥下してしまう。
今や陰茎はすっかりと勃起しきっていて、口内に含んでいるのはアレクだって苦しいだろうに。なのに、アレクは構わず陰茎を根元まですっぽりと咥えこんでしまった。
「ぁ、あ、ぁああァっ!」
アレクは頭を激しく上下に動かし、口腔全体を使って陰茎を刺激し始めた。
口腔内は、陰茎からぷしゃぷしゃと漏れ始めた先走りと、アレクの生温い唾液で満たされており、ピストンの度にぐちゅぐちゅと水音が響く。
「ひゃっ、あッ、んぅっ……!」
陰茎が溶かされていくみたいだった。むしろ、陰茎を中心にして身体全体が快楽に溶かされていくようだった。
初めて他人から与えられる快楽は、自分の手で行うものとは段違いに凄まじく、ぼろぼろと両目から涙が溢れる。身体に力が入らなくて、今や両足はアレクに割り開かれるまでもなく、まるで蛙の解剖みたいにだらんと力なく開いていた。
「アレクっ……ァッ! あぁ、い、いやだ、それっ……!」
もうこれ以上の快楽なんてない――そう思っていたおれの考えは、アレクの舌が裏筋をねぶったことであっさりと覆された。
やわらかな舌先が、ぬるぬると裏筋をなぞっていく。その動きに加えて、唇ではむはむと竿を喰まれると、おれは背筋をびくびくとのけぞらせた。
「ふっ……ほひゅひんはん、ほう?」
「だっ、だから、咥えたまま喋らないでっ……んぅっ!」
咥えたまま喋られると、熱い吐息や歯が陰茎にあたるのだ。しかもそれは不規則な動きのため、一際快楽を強く感じる羽目になる。
今や、おれの陰茎はこれ以上ないほど膨れ上がり、今にも性を吐き出す寸前だった。
だが、そこで何故か、アレクが口をぱっと陰茎から離してしまった。
「……え……?」
「ご主人ちゃん、俺のフェラ気持ちよかった?」
「…………っ」
なんでいきなりそんなことを聞くんだ。
おれがどんな風になっているかなんて、アレクが一番分かってるだろうに。
アレクの考えが読めなくて、困惑状態で彼を見上げる。アレクはにっこりと微笑むと、幼い子供に言い聞かせるような声音で語りかけてきた。
「ねっ、気持ちいいならちゃんと、気持ちいいって口に出して言ってみてよ。俺の手や舌で気持ちよくなってるんだって、ご主人ちゃんの口から聞きたいなー」
「なっ……」
「もう一度咥えるから、今度はちゃんと声に出してね? まぁ、言わないまま何回も寸止め繰り返すのも俺は大歓迎だけど。ご主人ちゃんの可愛い声がいっぱい聞けるしね!」
「ア、アレクっ……」
アレクは有無を言わさない口調で告げると、再びおれの股間に顔をうずめた。
鈴口を舌先でつつき、頬をすぼめて竿を扱く。
「ぁっ、んあぁ……ッ」
だが、愛撫は再びそこで止まってしまった。
おれは信じられない気持ちでアレクを見つめる。アレクは上目遣いでこちらを見ると、視線だけで「どうするの?」と尋ねてきた。
「……っ」
戸惑うおれの陰茎を、再びアレクは頭を上下させて陰茎を口腔でしごき始める。
だが、今度はひどくスローペースなゆっくりとしたピストンだった。
「……っ、気持ちいい……」
「ひょふでひまひふぁー」
アレクはよくできましたーと言ったらしい。おれの陰茎を咥えたアレクは、今度は逆に今まで以上に頭を激しく上下に動かし始めた。
ぐちゅぐちゅと激しい水音を立てながら、唾液と先走りを潤滑剤にして陰茎を摩擦する。
とどめに、鈴口を抉られるようにして舌先でほじられた瞬間、おれの視界に星が散った。
「ッ――! ぁ、んあッ、あぁァッーー!」
腰が、びくんっと大きく跳ねた。
そして、濁流のように吐き出された白濁液が、アレクの口内へと注がれる。
まるで糊みたいににどろどろとした重くて量のある白濁液が、尿道を勢いよく通過していく感覚に、おれは目を見開いて、口をはくはくと開閉させた。
「ぁ……ぁっ……」
「ン、んむっ……」
アレクは大量に吐き出された精液を吐き出すところか、ごくりごくりと喉を鳴らし、一滴残さず飲み干していく。
あらかた精液を吐き出し終えた後も陰茎から口を離すことはなく、先端に唇をつけると、尿道に残った精液を絞り出すようにずずっと音を立てて啜った。
「あ……やだぁ……アレクっ……」
もう何も考えられない。
恥ずかしさと快楽の怒涛の勢いに、おれはアレクに陰茎を啜られながら、いやいやと首を横に振った。
けれど、やっぱりアレクはそこを離してはくれなくて。
ようやく解放されたのは、尿道に残った精液すら絞り出されて、陰茎がへにゃりと萎えきった頃だった。
「はっ……は……」
「ふふっ、ご主人ちゃんが気持ちよくなってくれて嬉しい……」
「っ……」
にこにこと微笑むアレクの顔には邪気一つない。
そこには、怖いぐらいに純粋な好意しか浮かんでいなかった。
……初めは嫌がらせなのかとも考えたんだけど……この様子じゃ、やっぱりそれはないだろうなぁ。
というか、いくら嫌いだからってフェラまでしないよな。
おれはアレクの笑顔を見ると、静かにそっと瞼を閉じた。
「疲れちゃった、ご主人ちゃん?」
黙ったまま、瞳を閉じたまま頷くと、アレクはひどく優しい声で「そうだよね。俺のご褒美に頑張ってくれてありがとう」と言って、おれの頭を撫でた。
「後始末は俺がやっておくから、しばらく眠っていいよ。おやすみ」
遠ざかる意識の中で、なんとかアレクにもう一度頷きかえすと、おれは迫りくる睡魔に身を委ねた。
「ふふ。ココ、いやらしいえっちな色になったねぇ」
「っ……」
アレクがにんまりとした笑顔でからかうように言うのにも、最早、反論する気力もなかった。ぐったりとベッドに身体を寝転したまま、荒い息を整えるので精一杯だ。
それに、その、アレクの言うことも丸っきり間違いでもない。
長時間弄られ続けた乳首は、慎ましさをすっかりと忘れて、二つとも天井に向かってピンと尖りきっている。じんじんと真っ赤な色になって震えるそこは、自分のものとは思えなかった。
……けれど、ともかくこれで終わったのだ。本当にこれがアレクのご褒美になっているのかはよく分からないが、これでもう義務は果たした。頑張った、おれ。途中で恥ずかしさの余り憤死しなかっただけえらい。
「はぁ……アレク、どいてくれよ。おれ、少し顔洗いに行きたい……」
「ん? ご主人ちゃん、どこ行くつもりなの?」
「どこって……だってもう終わったんだろ。だから洗面所に行ってくる」
この宿屋はトイレと洗面所は共同だと、宿屋のおじさんから案内されていた。だから、顔を洗うには部屋の外にまで行かなければいけないのだ。
だが、アレクは不思議そうに首を傾げたまま、おれの身体の上からどく様子を見せない。
「まだ終わってないけど」
「………………え?」
「まだ終わってないよ。だって全然途中じゃん、こんなの。まだこっちは触らせてもらってないもん」
アレクがするりと手を伸ばして、おれの股間の中心に触れた。
「ひゃっ! ちょ、ちょっ、アレク……っ?」
「ご主人ちゃんのここだって、もっと気持ちよくなりたーいって言って泣いてるみたいだし」
アレクが触れたおれの陰茎は、いつの間にかゆるく勃ち上がっていた。
乳首への愛撫なんかで感じたということをありありと示され、顔がかあっと熱くなる。
「あっ、やだ、アレクっ。そんなところ、触ったらダメだって……んぁっ!」
「えー? だってご褒美に、俺の好きなように触らせてくれるって約束したじゃん。俺、ご主人ちゃんの身体の隅々までもっと触りたいし」
「んぅっ、ふっ、ぁ……ッ!」
「あっ! 今の声、めちゃくちゃ可愛いっ。もっと聞かせて!」
「ぁ、んっ、あァッ!」
陰茎のつけ根をつままれ、そのままゆっくり先端へ擦られて竿をしごかれる。
かと思えば、掌でカリ首を包み込まれ、マッサージ器みたいに小刻みに振動させられる。
「ぁ、やだ、アレクっ、そこっ……ひ、ぁあッ!」
かぶりを振って、アレクにすがるように手を伸ばす。
アレクは艶めいた吐息を零して、うっとりとおれを見下ろすと、陰茎を扱く手とは反対の手でおれの頭をよしよしと撫でた。
「……本当、マジで可愛いなぁ。本当ならこのまま誰の目にも触れずにしまって、俺だけのご主人ちゃんでいてほしいなぁ」
「っ……?」
「でもそのためには、やっぱり就職活動しなきゃダメかー。あーあ、神様もそこらへん、融通きかせておいてくれたらいいのにね?」
いつも通りの明るい口調で一人呟くアレクだったが、その合間にも、おれの陰茎を擦る掌は絶えず動き続けている。
先ほどまで乳首に与えられていた刺激とは違う、直接的な快楽。
陰茎からは次第に、先走りの透明な汁が先端からあふれ始めていた。部屋に響きだした水音に、羞恥心がより一層高まる。
「んっ、ぁ、アレクぅ……」
上擦った声は、自分のものじゃないみたいだ。
それがさらに恥ずかしくて、片手で口元を抑えようとすると、その手がアレクに掴まれてしまった。
そして、先ほどまで着ていたTシャツを手繰り寄せると、おれの両手をまとめて巻きつけ、縛り付けてしまう。
「なっ、なんで縛るんだよっ……!」
「だって俺、もっとご主人ちゃんの可愛い声聞きたいし」
「か、可愛くないだろ……おれの声なんか……」
「可愛いよ! 自分で気づいてないの? さっきのとろけきった顔で俺の名前呼んできた時なんか、すっごいエロくて可愛かったよ?」
「~~~~っ!」
アレクの言い様に、恥ずかしいやらちょっと嬉しいやら、それでもやっぱり恥ずかしいやらで、何も答えることができず、おれは顔を真っ赤にして黙りこくった。
そんなおれを、アレクは瞳をすうっと細めて見つめると、顔を寄せて頬にちゅっと音を立ててキスをしてくる。
「んっ……」
「さ、じゃあもっと気持ちよくなろうねー。大丈夫だよ、ご主人ちゃんは本当に寝てるだけでいいからね。……ただ、可愛い声で鳴いててくれればいいからさ」
そう言うアレクの顔は、いつも通りの人当たりの良さそうな笑顔だった。少なくとも、表面上はそう見えた。
けれど、こちらに注がれる視線はやけにぎらついていた。錯覚だろうが、肉食獣の前で無防備に佇んでいるような悪寒さえ感じ、思わずベッドの上で身体を後ずさりさせる。
が、おれが逃げようとしたのを察知したのか、アレクの両手ががしりとおれの腰を掴んだ。そのままアレクは身体をずらすと、おれの両足を抱え上げて、今度は足の間に割り入るように体勢を変える。
「ぁ――」
おれがビクリと身体を震わせると、アレクがちらりと見て、愉しそうに微笑んだ。
そして、勃ち上がった陰茎を手で支えると、その先端にちゅっと唇を落としてから、ぱくりと咥え込んだ。
「ひっ……! ぁ、だ、め……アレクっ、……んあァっ!」
瞬間、鮮烈な快楽に喉をのけぞらせた。
おれが悲鳴に近い嬌声をあげたのをアレクも聞いていただろうに、アレクはなおも構わず、口内に迎え入れた先端に舌を這わせる。ぬるぬると湿った感触が、敏感な亀頭を包み込む。
「ぁ、やだ、そこっ……アレクッ、だめっ……ひっ、あァ!」
鈴口を舌でなぞられると、先走りの露がぷしゃりとさらに吹き出てしまう。
だというのに、アレクはそこを離してくれはしなかった。それどころか、喉をごくりと動かして、美味しそうに先走りを嚥下してしまう。
今や陰茎はすっかりと勃起しきっていて、口内に含んでいるのはアレクだって苦しいだろうに。なのに、アレクは構わず陰茎を根元まですっぽりと咥えこんでしまった。
「ぁ、あ、ぁああァっ!」
アレクは頭を激しく上下に動かし、口腔全体を使って陰茎を刺激し始めた。
口腔内は、陰茎からぷしゃぷしゃと漏れ始めた先走りと、アレクの生温い唾液で満たされており、ピストンの度にぐちゅぐちゅと水音が響く。
「ひゃっ、あッ、んぅっ……!」
陰茎が溶かされていくみたいだった。むしろ、陰茎を中心にして身体全体が快楽に溶かされていくようだった。
初めて他人から与えられる快楽は、自分の手で行うものとは段違いに凄まじく、ぼろぼろと両目から涙が溢れる。身体に力が入らなくて、今や両足はアレクに割り開かれるまでもなく、まるで蛙の解剖みたいにだらんと力なく開いていた。
「アレクっ……ァッ! あぁ、い、いやだ、それっ……!」
もうこれ以上の快楽なんてない――そう思っていたおれの考えは、アレクの舌が裏筋をねぶったことであっさりと覆された。
やわらかな舌先が、ぬるぬると裏筋をなぞっていく。その動きに加えて、唇ではむはむと竿を喰まれると、おれは背筋をびくびくとのけぞらせた。
「ふっ……ほひゅひんはん、ほう?」
「だっ、だから、咥えたまま喋らないでっ……んぅっ!」
咥えたまま喋られると、熱い吐息や歯が陰茎にあたるのだ。しかもそれは不規則な動きのため、一際快楽を強く感じる羽目になる。
今や、おれの陰茎はこれ以上ないほど膨れ上がり、今にも性を吐き出す寸前だった。
だが、そこで何故か、アレクが口をぱっと陰茎から離してしまった。
「……え……?」
「ご主人ちゃん、俺のフェラ気持ちよかった?」
「…………っ」
なんでいきなりそんなことを聞くんだ。
おれがどんな風になっているかなんて、アレクが一番分かってるだろうに。
アレクの考えが読めなくて、困惑状態で彼を見上げる。アレクはにっこりと微笑むと、幼い子供に言い聞かせるような声音で語りかけてきた。
「ねっ、気持ちいいならちゃんと、気持ちいいって口に出して言ってみてよ。俺の手や舌で気持ちよくなってるんだって、ご主人ちゃんの口から聞きたいなー」
「なっ……」
「もう一度咥えるから、今度はちゃんと声に出してね? まぁ、言わないまま何回も寸止め繰り返すのも俺は大歓迎だけど。ご主人ちゃんの可愛い声がいっぱい聞けるしね!」
「ア、アレクっ……」
アレクは有無を言わさない口調で告げると、再びおれの股間に顔をうずめた。
鈴口を舌先でつつき、頬をすぼめて竿を扱く。
「ぁっ、んあぁ……ッ」
だが、愛撫は再びそこで止まってしまった。
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「……っ」
戸惑うおれの陰茎を、再びアレクは頭を上下させて陰茎を口腔でしごき始める。
だが、今度はひどくスローペースなゆっくりとしたピストンだった。
「……っ、気持ちいい……」
「ひょふでひまひふぁー」
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ぐちゅぐちゅと激しい水音を立てながら、唾液と先走りを潤滑剤にして陰茎を摩擦する。
とどめに、鈴口を抉られるようにして舌先でほじられた瞬間、おれの視界に星が散った。
「ッ――! ぁ、んあッ、あぁァッーー!」
腰が、びくんっと大きく跳ねた。
そして、濁流のように吐き出された白濁液が、アレクの口内へと注がれる。
まるで糊みたいににどろどろとした重くて量のある白濁液が、尿道を勢いよく通過していく感覚に、おれは目を見開いて、口をはくはくと開閉させた。
「ぁ……ぁっ……」
「ン、んむっ……」
アレクは大量に吐き出された精液を吐き出すところか、ごくりごくりと喉を鳴らし、一滴残さず飲み干していく。
あらかた精液を吐き出し終えた後も陰茎から口を離すことはなく、先端に唇をつけると、尿道に残った精液を絞り出すようにずずっと音を立てて啜った。
「あ……やだぁ……アレクっ……」
もう何も考えられない。
恥ずかしさと快楽の怒涛の勢いに、おれはアレクに陰茎を啜られながら、いやいやと首を横に振った。
けれど、やっぱりアレクはそこを離してはくれなくて。
ようやく解放されたのは、尿道に残った精液すら絞り出されて、陰茎がへにゃりと萎えきった頃だった。
「はっ……は……」
「ふふっ、ご主人ちゃんが気持ちよくなってくれて嬉しい……」
「っ……」
にこにこと微笑むアレクの顔には邪気一つない。
そこには、怖いぐらいに純粋な好意しか浮かんでいなかった。
……初めは嫌がらせなのかとも考えたんだけど……この様子じゃ、やっぱりそれはないだろうなぁ。
というか、いくら嫌いだからってフェラまでしないよな。
おれはアレクの笑顔を見ると、静かにそっと瞼を閉じた。
「疲れちゃった、ご主人ちゃん?」
黙ったまま、瞳を閉じたまま頷くと、アレクはひどく優しい声で「そうだよね。俺のご褒美に頑張ってくれてありがとう」と言って、おれの頭を撫でた。
「後始末は俺がやっておくから、しばらく眠っていいよ。おやすみ」
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