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第3章
3-31決着、Z-Four vs Monster's Cookie
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【前回のあらすじ】
ペギーに対するディフェンスのスタイルを変えた美那。ボール奪取まであと一歩に迫る。MCは巧みなパス回しから、ゴール近くのテッドにパス。テッドがオツのディフェンスを弾き飛ばすようにダンクを決める。バランスを崩したオツは着地の際に脚を攣ってしまい、ナオとの交代を余儀無くされる。
残り時間は5分11秒で、16対16の同点。
ふくらはぎを攣ったオツはどのくらいで回復できるか。
俺たちZの勝利はそこに大きく左右される。
MCがゴールを決めて、俺たちZに攻撃権が移ったところで、オツの負傷によるゲームのストップ。ショットクロックは2秒ほど消費しているけど、俺たちの攻撃でのチェックボールで再開する。
今やっている練習試合では、俺たちが出場する大会の特別ルールに合わせて、5分を切ってから最初にプレーが止まった時点で、自動的にタイムアウトが取られる。
ただ互いにあと5点でKO勝利となる。最短なら女子の2Pシュートに1Pシュートのたった2本で勝負が決してしまう状況だ。5分過ぎの特別タイムアウトになる前に決まってしまう可能性はさほど高くないように思えるけど、3x3は展開が早いから、思いの外、あっけなく決まってしまう可能性も否定できない。
この試合にどうしても勝ちたいオツは、自分が出ていない間にゲームが終わってしまうことを恐れている。だから、美那にわざとボールを出して、チーム・タイムアウトを取ることをお願いしたのだ。
え、でもちょっと待てよ。チェックボールで再開ってことは、今の時点でタイムアウトって取れるんじゃねえの? 確か、そんなルールだったような気がしないでもないけど、オツや美那がそう判断しないってことは違うんだろうな。
ところが、俺たち3人がコートに戻ったタイミングで、なんとペギーが審判に向けて両腕でT字を作っている。これって、タイムアウトの要求だよな?
で、審判もそれを受けて、タイムアウトを宣言……。
「え?」と、美那が呟くように言う。
「いや、俺も今コートに入って気付いたんだけど、チェックボールのタイミングだからありなのかなぁー、なんて」
「そうか……ちょっとわたし、先輩が怪我してテンパってたかも。5人制だとタイムアウト申告は選手じゃなくてコーチとかだし」
「いいじゃない! ラッキーじゃない」と、駆け出しながらナオが言う。
「うん」と、美那がぎこちない笑顔を見せる。
ま、なんだかんだ言って、やっぱオツはZ—Fourの精神的な大黒柱なんだよな。美那的には、まだオツがチームを辞めるかもしれないって状況のままだから、なおさら動揺したんだろうな。
オツはオツで、脚を攣ってるし、早くゲームに戻りたいし、やっぱり5人制だし、そこまで頭が回ってなかったんだろう。
オツは控え選手のスペースで、必死に自分で左のふくらはぎを伸ばしている。
俺はすぐに足元に行って、オツの足裏を押して、回復を手伝う。
「どうっすか?」
「押されている間はいいが、戻されるとまだダメだ。イツツッ」
チーム・タイムアウトは30秒なので、あっという間に過ぎてしまう。
「連続してタイムアウトは取れないのかな?」とナオ。
「どうなんだろ。ちょっと経験がないからわからない」と美那が答える。
「じゃ、審判に訊いてくる」
ナオは美那の返事を待たずに、審判の元に駆け出す。
「リユ、先輩をお願い」と言って、美那があとを追う。
ちょっと向こうのオフィシャル席のところで、審判と美那たちが協議している。
スクリプツのメンバーがタブレットを審判に渡す。
MCの取ったタイムアウトが30秒になる前に、ペギーたちがコートに戻ろうとする。
状況を不思議に思ったらしいルーシーが俺のところに来た。
「リユ、どうかしましたか?」
「あー、えーと、俺たちも続けて、タイムアウトを取れるかどうかを審判に質問してます」
「オー、アイ、シー。ちょっと待っててください」
ルーシーはペギーのところに行って、事情を説明しているらしい。
ペギーとルーシーが審判たちのところに合流する。
「ちょっとは時間を稼げますね」と、俺。
「ああ、助かる……」と、オツが呻くように言う。
オツは脂汗を流している。マジで攣った時って、真剣に痛てえもんな。
「どうですか? 少しは良くなりました?」
俺は手を離してみる。
「そうだな、じっとしてれば大丈夫そうだが……ウッ、やっぱり動かすとまた来るな……」
俺はまた筋を伸ばしてやる。
ちらっと美那たちを見ると、審判にお辞儀をしている。
で、こっちを見る美那とナオの顔は……笑顔だ!
「なんか、うまくいったみたいですよ」
「おお、そうか。なんとか、このまま試合に戻りたいな」
すぐに美那とナオが戻ってくる。
「OKだって! 審判さんたちも初めてのケースらしくて、ルールブックで確認したら、それを否定する記載はないし、ペギーたちもそれでいいと言ってくれて、あと30秒だけですけど治療できます!!」と、美那。
「航太さん、どう?」
「リユのお陰で、かなり良くなった。ただ、動かすとまだ戻ってくる」
「立ち上がって、アキレス腱伸ばしをしてみます?」と、俺は提案してみる。
「そうだな」
オツの脚に負担が掛からないように、俺とナオでゆっくりと立ち上がらせる。
休憩用の折りたたみ椅子の背もたれに手を当てて、オツは自分でアキレス腱を伸ばす。
「よし。ここまで出来るようになれば、なんとかなりそうだ」
ようやっとオツが笑顔で俺たちを見る。
結局、ナオは交代していないことになり、オツがまたコートに立つ。
16対16の残り5分11秒。
ショットクロック10秒で俺たちZの攻撃だ。
俺がチェックボールを任される。対するはルーシー。
美那が右ウイングで、ペギーがマーク。左ウイングのオツにはテッド。
オツはギリギリまで左ふくらはぎを伸ばしている。
ルーシーはトスをすると同時に間合いを詰めてくる。
くっそ、動きづれえ。
ボールを奪われないよう、右側に身体を捻って、ルーシーから遠いところでドリブルを開始。
さて、どう行くか。
美那と目が合う。
ドリブルで美那の方に動き出すと同時に、美那も走ってくる。
すれ違うようにして、美那にトス。
ここでMC側はディフェンスをスイッチせざるを得ない。
トップ方向に動いてきたオツに美那が速いパス。
俺は美那のディフェンスに回ったルーシーにスクリーンをかける。
美那が右に戻るように動く。
ペギーがそれに反応した瞬間。
ルーシーとペギーの間にできた隙間に、俺は突っ込む。
慌ててペギーが俺のディフェンスに戻ってくる。
絶妙なタイミングでオツからのバウンスパス!
後ろにペギーが迫っているのを感じながら、それをしっかりキャッチ。
右手でのシュートは厳しそうだ。
ペギーの圧力を押し返しながら、俺はステップを踏んで、ボールを守るように身体を左に捻りながら、ジャンプ!
左手でのレイアップシュートだっ。
ボールを放そうとした瞬間、微妙にペギーに押される。
一瞬堪えて、手首を微調整。
カラフルなボールが飛んでいく。
そのままペギーと絡み合うようにベースラインの外に出る。
「おっっしゃぁっーー!」
叫んだのはオツ。
振り返ると、ボールがまっすぐ下に落ちている。
うし。決まった。
「グッ、ショット」と、ペギーが目を合わせずに、呟くように言う。
そして、すぐにボールを拾いに戻る。
(Z)17対16(MC)。
残り時間、5分06秒。
ボールを拾ったペギーに、俺のディフェンスは追いつかず。
トップ付近ですばやく動き回るルーシーへのパスを通されてしまう。
そしてルーシーは、今日最高のドリブルで美那を翻弄。
ペギーのドリブルには順応し始めた美那だが、ルーシーはまた違うパターン。
美那は完全にバランスを崩され、ルーシーは2Pを選択。
きれいに描いた弧がそのままバスケットに繋がってしまう……。
「クッキィーーーーーッ!」
クッキーモンスターの雄叫びが響く。
(Z)17対20(MC)。
先に20点を取られた……でも、こっちだって美那の2P一本でKO勝ちだかんな!
残り時間、4分59秒。
5分は切ったけど、まだプレーは切れない。
俺がボールを拾いに戻る。
ペギーがディフェンスに来る。
やや動きが鈍くなっているペギーの隙をついて、左ウイング付近のオツにパス。
オツの動きもまだ完全ではないみたいだけど、テッドもかなり疲労している。
俺は瞬発力を発揮して、トップにダッシュ。
ペギーがやや遅れている。
オツから気合の入ったパスが届く。
ペギーが必死の形相で、俺に向かってくる。
俺は十分に引きつけてから、1回だけのドリブルでふわっと横にずれる。
サスケコートでひとりで練習する時みたいに、スッと2Pシュートを放つ。
回転して色の混じったボールがリングに吸い込まれる。
「ぅっしゃあぁぁ!」
またもや俺は思わず叫んでしまう。
(Z)19対20(MC)。
残り4分53秒。
MCが若干有利なスコアだけど、ほぼ差はない。こっちだって美那の1Pでいいんだ。
ルーシーがゴール後のボールを拾いに走り、美那がそれを追う。
タイムアウト2回分が効いたのか、ルーシーのスピードが完全に戻っている。
ルーシーからテッド、そして俺のマークするペギーへとボールを回されてしまう。
どっちにしろ、MCに1本決められたら、ジ・エンドだ。
ここは行かせるわけにはいかない。
美那がしていたように距離を詰めて、ドリブルの自由度を減らす。
先手を取って、ディフェンスの俺からスティールに行くフェイントを掛けてみる。
意表を突かれたらしいペギーのドリブルが乱れる。
ボールに手が届く!
タップしたボールは右ウイングにいる美那とルーシーの方に転がる。
美那の動き出しが一瞬早かったっぽいけど、スピードはルーシーが勝る。
先にボールにタッチしたのはルーシーだけど、美那も手を出す。
ボールは再びルーズに。
今度は俺とペギーで取り合い。
俺ががっちりボールを確保。
だけど、ここはまだアークの中だ。
すぐ近くのアーク外にいる美那に一度パス。
これでZの攻撃権が確定。
すぐさま美那からリターンパスが来る。
ただ内側を守るペギーがいる。
それに俺が1Pを入れてもまだ同点だ。
どうする?
美那が動く。
左サイドにいるオツの方に走り出した美那にバウンスパス。
美那は身体を上手く使って、ルーシーのディフェンスを避けて、ボールをキャッチ。
すぐさまオツに短いパス。
その間に俺はスペースの空いた右ウイングに走る。ペギーがマークに来る。
パスが来たら、2Pを決めてやる!
美那とオツがすれ違う。
どっちがボールを持っているのか、俺の位置からはわからない。
テッドからも見えていないはずだ。
美那だ!
ボールを受け取った美那がドライブに入る。
テッドがディフェンスに回る。
オツがほぼフリー。
すると美那は、なんとノールックで後ろにバウンスパス。
オツがそれをキャッチ。
ルーシーが、オツのディフェンスに付いた。
かなりのミスマッチ対決。
オツがドライブで行けば、ルーシーが有利だろう。
2Pで行けば、少なくとも体格的にはオツが有利。
オツはルーシーに目をくれない。
ゴールを見ている。
まったく躊躇せず、オツは2Pの態勢に入る。
柔らかいフォームでオツがシュートを放つ。
ルーシーもディフェンスに飛ぶけど、まったく届かない。
ボールは美しい放物線を描いて、リングに向かって飛んでいく。
ペギーに対するディフェンスのスタイルを変えた美那。ボール奪取まであと一歩に迫る。MCは巧みなパス回しから、ゴール近くのテッドにパス。テッドがオツのディフェンスを弾き飛ばすようにダンクを決める。バランスを崩したオツは着地の際に脚を攣ってしまい、ナオとの交代を余儀無くされる。
残り時間は5分11秒で、16対16の同点。
ふくらはぎを攣ったオツはどのくらいで回復できるか。
俺たちZの勝利はそこに大きく左右される。
MCがゴールを決めて、俺たちZに攻撃権が移ったところで、オツの負傷によるゲームのストップ。ショットクロックは2秒ほど消費しているけど、俺たちの攻撃でのチェックボールで再開する。
今やっている練習試合では、俺たちが出場する大会の特別ルールに合わせて、5分を切ってから最初にプレーが止まった時点で、自動的にタイムアウトが取られる。
ただ互いにあと5点でKO勝利となる。最短なら女子の2Pシュートに1Pシュートのたった2本で勝負が決してしまう状況だ。5分過ぎの特別タイムアウトになる前に決まってしまう可能性はさほど高くないように思えるけど、3x3は展開が早いから、思いの外、あっけなく決まってしまう可能性も否定できない。
この試合にどうしても勝ちたいオツは、自分が出ていない間にゲームが終わってしまうことを恐れている。だから、美那にわざとボールを出して、チーム・タイムアウトを取ることをお願いしたのだ。
え、でもちょっと待てよ。チェックボールで再開ってことは、今の時点でタイムアウトって取れるんじゃねえの? 確か、そんなルールだったような気がしないでもないけど、オツや美那がそう判断しないってことは違うんだろうな。
ところが、俺たち3人がコートに戻ったタイミングで、なんとペギーが審判に向けて両腕でT字を作っている。これって、タイムアウトの要求だよな?
で、審判もそれを受けて、タイムアウトを宣言……。
「え?」と、美那が呟くように言う。
「いや、俺も今コートに入って気付いたんだけど、チェックボールのタイミングだからありなのかなぁー、なんて」
「そうか……ちょっとわたし、先輩が怪我してテンパってたかも。5人制だとタイムアウト申告は選手じゃなくてコーチとかだし」
「いいじゃない! ラッキーじゃない」と、駆け出しながらナオが言う。
「うん」と、美那がぎこちない笑顔を見せる。
ま、なんだかんだ言って、やっぱオツはZ—Fourの精神的な大黒柱なんだよな。美那的には、まだオツがチームを辞めるかもしれないって状況のままだから、なおさら動揺したんだろうな。
オツはオツで、脚を攣ってるし、早くゲームに戻りたいし、やっぱり5人制だし、そこまで頭が回ってなかったんだろう。
オツは控え選手のスペースで、必死に自分で左のふくらはぎを伸ばしている。
俺はすぐに足元に行って、オツの足裏を押して、回復を手伝う。
「どうっすか?」
「押されている間はいいが、戻されるとまだダメだ。イツツッ」
チーム・タイムアウトは30秒なので、あっという間に過ぎてしまう。
「連続してタイムアウトは取れないのかな?」とナオ。
「どうなんだろ。ちょっと経験がないからわからない」と美那が答える。
「じゃ、審判に訊いてくる」
ナオは美那の返事を待たずに、審判の元に駆け出す。
「リユ、先輩をお願い」と言って、美那があとを追う。
ちょっと向こうのオフィシャル席のところで、審判と美那たちが協議している。
スクリプツのメンバーがタブレットを審判に渡す。
MCの取ったタイムアウトが30秒になる前に、ペギーたちがコートに戻ろうとする。
状況を不思議に思ったらしいルーシーが俺のところに来た。
「リユ、どうかしましたか?」
「あー、えーと、俺たちも続けて、タイムアウトを取れるかどうかを審判に質問してます」
「オー、アイ、シー。ちょっと待っててください」
ルーシーはペギーのところに行って、事情を説明しているらしい。
ペギーとルーシーが審判たちのところに合流する。
「ちょっとは時間を稼げますね」と、俺。
「ああ、助かる……」と、オツが呻くように言う。
オツは脂汗を流している。マジで攣った時って、真剣に痛てえもんな。
「どうですか? 少しは良くなりました?」
俺は手を離してみる。
「そうだな、じっとしてれば大丈夫そうだが……ウッ、やっぱり動かすとまた来るな……」
俺はまた筋を伸ばしてやる。
ちらっと美那たちを見ると、審判にお辞儀をしている。
で、こっちを見る美那とナオの顔は……笑顔だ!
「なんか、うまくいったみたいですよ」
「おお、そうか。なんとか、このまま試合に戻りたいな」
すぐに美那とナオが戻ってくる。
「OKだって! 審判さんたちも初めてのケースらしくて、ルールブックで確認したら、それを否定する記載はないし、ペギーたちもそれでいいと言ってくれて、あと30秒だけですけど治療できます!!」と、美那。
「航太さん、どう?」
「リユのお陰で、かなり良くなった。ただ、動かすとまだ戻ってくる」
「立ち上がって、アキレス腱伸ばしをしてみます?」と、俺は提案してみる。
「そうだな」
オツの脚に負担が掛からないように、俺とナオでゆっくりと立ち上がらせる。
休憩用の折りたたみ椅子の背もたれに手を当てて、オツは自分でアキレス腱を伸ばす。
「よし。ここまで出来るようになれば、なんとかなりそうだ」
ようやっとオツが笑顔で俺たちを見る。
結局、ナオは交代していないことになり、オツがまたコートに立つ。
16対16の残り5分11秒。
ショットクロック10秒で俺たちZの攻撃だ。
俺がチェックボールを任される。対するはルーシー。
美那が右ウイングで、ペギーがマーク。左ウイングのオツにはテッド。
オツはギリギリまで左ふくらはぎを伸ばしている。
ルーシーはトスをすると同時に間合いを詰めてくる。
くっそ、動きづれえ。
ボールを奪われないよう、右側に身体を捻って、ルーシーから遠いところでドリブルを開始。
さて、どう行くか。
美那と目が合う。
ドリブルで美那の方に動き出すと同時に、美那も走ってくる。
すれ違うようにして、美那にトス。
ここでMC側はディフェンスをスイッチせざるを得ない。
トップ方向に動いてきたオツに美那が速いパス。
俺は美那のディフェンスに回ったルーシーにスクリーンをかける。
美那が右に戻るように動く。
ペギーがそれに反応した瞬間。
ルーシーとペギーの間にできた隙間に、俺は突っ込む。
慌ててペギーが俺のディフェンスに戻ってくる。
絶妙なタイミングでオツからのバウンスパス!
後ろにペギーが迫っているのを感じながら、それをしっかりキャッチ。
右手でのシュートは厳しそうだ。
ペギーの圧力を押し返しながら、俺はステップを踏んで、ボールを守るように身体を左に捻りながら、ジャンプ!
左手でのレイアップシュートだっ。
ボールを放そうとした瞬間、微妙にペギーに押される。
一瞬堪えて、手首を微調整。
カラフルなボールが飛んでいく。
そのままペギーと絡み合うようにベースラインの外に出る。
「おっっしゃぁっーー!」
叫んだのはオツ。
振り返ると、ボールがまっすぐ下に落ちている。
うし。決まった。
「グッ、ショット」と、ペギーが目を合わせずに、呟くように言う。
そして、すぐにボールを拾いに戻る。
(Z)17対16(MC)。
残り時間、5分06秒。
ボールを拾ったペギーに、俺のディフェンスは追いつかず。
トップ付近ですばやく動き回るルーシーへのパスを通されてしまう。
そしてルーシーは、今日最高のドリブルで美那を翻弄。
ペギーのドリブルには順応し始めた美那だが、ルーシーはまた違うパターン。
美那は完全にバランスを崩され、ルーシーは2Pを選択。
きれいに描いた弧がそのままバスケットに繋がってしまう……。
「クッキィーーーーーッ!」
クッキーモンスターの雄叫びが響く。
(Z)17対20(MC)。
先に20点を取られた……でも、こっちだって美那の2P一本でKO勝ちだかんな!
残り時間、4分59秒。
5分は切ったけど、まだプレーは切れない。
俺がボールを拾いに戻る。
ペギーがディフェンスに来る。
やや動きが鈍くなっているペギーの隙をついて、左ウイング付近のオツにパス。
オツの動きもまだ完全ではないみたいだけど、テッドもかなり疲労している。
俺は瞬発力を発揮して、トップにダッシュ。
ペギーがやや遅れている。
オツから気合の入ったパスが届く。
ペギーが必死の形相で、俺に向かってくる。
俺は十分に引きつけてから、1回だけのドリブルでふわっと横にずれる。
サスケコートでひとりで練習する時みたいに、スッと2Pシュートを放つ。
回転して色の混じったボールがリングに吸い込まれる。
「ぅっしゃあぁぁ!」
またもや俺は思わず叫んでしまう。
(Z)19対20(MC)。
残り4分53秒。
MCが若干有利なスコアだけど、ほぼ差はない。こっちだって美那の1Pでいいんだ。
ルーシーがゴール後のボールを拾いに走り、美那がそれを追う。
タイムアウト2回分が効いたのか、ルーシーのスピードが完全に戻っている。
ルーシーからテッド、そして俺のマークするペギーへとボールを回されてしまう。
どっちにしろ、MCに1本決められたら、ジ・エンドだ。
ここは行かせるわけにはいかない。
美那がしていたように距離を詰めて、ドリブルの自由度を減らす。
先手を取って、ディフェンスの俺からスティールに行くフェイントを掛けてみる。
意表を突かれたらしいペギーのドリブルが乱れる。
ボールに手が届く!
タップしたボールは右ウイングにいる美那とルーシーの方に転がる。
美那の動き出しが一瞬早かったっぽいけど、スピードはルーシーが勝る。
先にボールにタッチしたのはルーシーだけど、美那も手を出す。
ボールは再びルーズに。
今度は俺とペギーで取り合い。
俺ががっちりボールを確保。
だけど、ここはまだアークの中だ。
すぐ近くのアーク外にいる美那に一度パス。
これでZの攻撃権が確定。
すぐさま美那からリターンパスが来る。
ただ内側を守るペギーがいる。
それに俺が1Pを入れてもまだ同点だ。
どうする?
美那が動く。
左サイドにいるオツの方に走り出した美那にバウンスパス。
美那は身体を上手く使って、ルーシーのディフェンスを避けて、ボールをキャッチ。
すぐさまオツに短いパス。
その間に俺はスペースの空いた右ウイングに走る。ペギーがマークに来る。
パスが来たら、2Pを決めてやる!
美那とオツがすれ違う。
どっちがボールを持っているのか、俺の位置からはわからない。
テッドからも見えていないはずだ。
美那だ!
ボールを受け取った美那がドライブに入る。
テッドがディフェンスに回る。
オツがほぼフリー。
すると美那は、なんとノールックで後ろにバウンスパス。
オツがそれをキャッチ。
ルーシーが、オツのディフェンスに付いた。
かなりのミスマッチ対決。
オツがドライブで行けば、ルーシーが有利だろう。
2Pで行けば、少なくとも体格的にはオツが有利。
オツはルーシーに目をくれない。
ゴールを見ている。
まったく躊躇せず、オツは2Pの態勢に入る。
柔らかいフォームでオツがシュートを放つ。
ルーシーもディフェンスに飛ぶけど、まったく届かない。
ボールは美しい放物線を描いて、リングに向かって飛んでいく。
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どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
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