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関わりたくない

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「キミはルフセンを瀕死になるほど攻撃して置いてなんだその言い草は!あり得ない!」
バルトラン・オーバンは蒼白い顔でマリエラを糾弾した、それはそうだろう無二の親友で側近の彼をズタボロにしたのだから。
「私ぃそんなつもりではなかったのですぅ」
マリエラは化けの皮を被ったままそう言い訳をする、そして、「ごめんさぁい」と乙女の涙を流した。

「ん?乙女の涙?」

するとどうだろう怒り狂っていたはずのバルトランはあっさり許したではないか。ゲーム補整どころではない。
「キミ、名前は?」
「マリエラ、マリエラ・アマールですぅ」
その時、ポポンと音がした。なんと好感度が上がった音ではないか。さすがはクソゲー、なんでもありである。

「うわぁ……とんでもないな」
関わりたくないと思ったルチアは数歩下がった、このままフェードアウトしてしまえばモブとして消えるだろうと期待した。
だが、その考えは甘かった。

「そこのキミ、良くやってくれた。彼は私の親友でね、感謝するよ」
「え」
ポポン、ポポン!と音がしたまたも好感度が上がった音だ。今度は自身の好感度らしい。どういうわけかヒロインだけではなかったのだ。
「なんで!?」

しかも好感度はルチアにしか見えないらしい、あんなにもデカデカと花丸が上がっているというのに、マリエラも王子も気が付いていないのだ。
「ありがた迷惑だ!コンチクショー!」

そこへルフセン・ミュラーまでもやってきて、あのマヌケな音を立てたのだ。しかも5連続だ。好感度は5が上限である、つまり好感度MAXを叩きだしたのだ。
「ひぃ~勘弁して!」

「ありがとうキミのお陰でたすかった!是非、名前を教えてくれないか」
「……ルチア・エメリック」
渋々の体で教えれば「あぁ、ルチア、なんて心地よい響きか」などとほざいた。頭の上にはなんともマヌケな花丸が光り輝いている。

ちなみにだがルフセンの好感度はマリエラに対してはピクリともしなかった。暴発してきて尚且つ謝りもしない彼女に好感度はあがりようがないらしい。
「ヒドイン!もっと頑張れ!」




「あああ~完全に貰い事故じゃないか!魔王が好感度上げてどうするよ!」
すると陰に入っていたガスパルが這い出てきて「面白いではないですか」と軽口を叩く。

「あ”あ”?なにが面白いのだ!言うてみい!」
「まぁまぁそう興奮せずとも」
蝙蝠の恰好をしたガスパルは悠然と構えている、手の平サイズほどの身体をパタパタさせてヒュイヒュイと回転させた。

「こちらは何があろうと無視すればよろしい、だってそうでしょう?ご主人は平和な暮らしを御所望なのですから、返って好都合!魔王を愛してしまえば諍いは生まれませんよ」
「そういうものかぁ?」
「そういうものです」
ガスパルはそう言ってケラケラと嗤った。

すると背後から声がかかる、ギョッとして振りかえればルフセン・ミュラーが立っていた。
「キミ、それはなんだい?」
「え、えっとぉ……つ、使い魔、使い魔なのですよ!」
大慌てでガスパルを掴んで彼女は言った、「ぐえ」と蝙蝠から聞こえたが今は無視だ。

「へぇ、そうだったのか。初めて見たよ、そうか使い魔か」
なにやら感心しきりでガスパルのことを見つめている、ルチアはちらりと彼の頭を見る。やはり好感度はMAXのままだ。

ゲーム内では好感度は下がる場合があった。果たしてこの世界ではどうなのだろうとルチアは思う。クソゲー「魔王グウェナエルの野望」のこの世界は未知である、この先どのようなことが起こるのかワクワクする反面に恐ろしい。

「どうだろう、ルチア殿。ともに昼食でも……ポッ」
彼の顔は恋心駄々漏れだ。

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