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フェインゼロス帝国篇
悪友たちの邂逅
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『サロンに通されたのは2回目だな』とレオニードはボンヤリしながら歩く。
前回と違うのは2人の連れをともなっていたことだ。
王妃と元王女が優雅に礼を取る中でレオとバリラがむず痒い気持ちで頭を下げた。
一応バリラは騎士の礼をとったのだがそれどころではない。
こちらをチラチラ見てくる人物が気になって仕方ないのだ。
やがて王妃が人払いをすると肩の力が少し抜ける。
促されたソファに身を沈めると、王妃に侍っていた従者が無遠慮にドカリと座った。
従者に扮装したガルディ王がレオニードへ向けてニカッと笑う。
「……お前ってヤツは、王妃から招待が来てから何かあるとは思ったが」
「こうでもしないと抜け出せないもんでな許せ」
不器用に笑いあってから互いの肩を叩き合い「久しぶり相棒」と言った。
王はピッチリ頭をガシガシと乱し、黒縁眼鏡を外す。
そこには学生時代と変わらぬ悪友が座っている、少しは変われよとレオは苦笑いした。
「「変わってねぇな」」
揃って互いの容姿に呆れていた。
「威厳もなにもねぇな」
「ウルサイ、これでも古狸たちとの攻防で胃の痛みを覚えたんだぞ、そのうち禿げそうだ」
「だったら鬘を贈ってやるよ」
無駄口に事欠かない二人に王妃が「コホン」と咳払いした。
ビクリと肩を跳ねらせる王、どちらが国の天辺かわからない。
***
「そうか、こちらのお嬢さんが帝国の王女様か」
「いいえ、元ですわ。わけあって廃嫡しましたので平民ティリルでございます」
突然に他国の王と対峙しても、ブレないところは流石王族出だとレオとバリラは感心した。
「すまないが時間がない、本題に入ろうか。”青い天使”とはなんなのか聞いて良いか?」
「はい、専門ではないので子細はご勘弁を……帝国の独特の呼び名で魔石の一種です。万能な素材として重宝されて結果掘り尽くされたと私は学びましたわ」
「魔石か、なるほど。だが天然の魔石は掘り尽くされたと聞くが?」
「ええ、その通りですわ。不純物の無い結晶体はほぼ尽きたというのが世間の認識ですわね」
魔石の一種だという以外に知識はないと答えたティリル。
「だとすれば、帝国からやってきた商人は何故クズ石をそう呼ぶのか……現時点でそれらしい鉱物は我らの国では採掘されていないぞ」
黙って聞いていたレオが口を挟む。
「ひょっとして人工的に造れるとしたら……その材料がテトラビスの土壌にあるならどうだ?」
「まさかその技術が帝国て確立されたというのか……」
ただ同然のクズ石が宝に化けるのだとしたら、帝国にとってこれほど都合の良い材質はないだろう。
「元公爵が売っていたクズ石はキロ銅貨1枚だと報告にあがっている、帝国はボロ儲けだな」
「……はぁバカ親父が」
レオも諜報にあたっていたモルティガから粗方の事情は把握していたが、改めて苛立ちを覚える。
『公爵家の恥』と罵られてきたレオは「どっちが恥なのか」と思った。
「違法に取引がされた採掘量は痛手には及ばないが国として侮られたことは許せぬ」
急に王の顔になったガルディを見て”おや?”と若干見直すレオ。
「戦になりますの?」
ジュリア王妃が青い顔になって震えた。
「帝国側の出方しだいだな……民に負担をかけたくはないが最悪な事態も視野におかねば」
「……はい」
「なぁ、レオ。お前は俺以上に情報を掴んでいそうなのだが気のせいか?」
妙に落ち着いているレオを不審に思った王は探って来た。
「……まぁね、すっごい能力持ちの諜報員が仲間になったもんで」
「ほぉ、聞き捨てならんな。王家に譲る気は?」
情報のことか、人材のほうか判別しにくい言い方をする王にレオは素直に嫌な顔を見せる。
「欲しがって簡単に手に入ると思うなよ」
「……ハハ、冗談だよ。そう怖い顔をするな」
諜報員がホイホイと気軽に主を変えるようでは役に立つまいと王は嗤う。
どこまで本気なのかレオは測りかねたが、存外為政者になってきたなと認めざるをえなかった。
「我が友にして王よ、国崩しの際には馳せ参じる忠義はあるぞ。俺を存分に巻き込めよ」
「それは心強いことだ」
ガルディ王は懐からゴソゴソと何かを出してテーブルに置いた。
「これは?」
「例の金塊の目録だ、キミの名で口座を作っておいた。遅くなってすまん」
貧乏侯爵レオニードはそそくさとそれを開いて瞠目した。
「ま、まじ?」
「オオマジだぞ、凄いだろ。国家予算にはほど遠いがな。ほら帳面と引き出すための証書だ」
記入された法外な額に眩暈と動悸がいっぺんにやってきてレオは大興奮だ。
「うわわわわ……金銭感覚が狂うな」
レオは大事そうに懐奥へしまった。
前回と違うのは2人の連れをともなっていたことだ。
王妃と元王女が優雅に礼を取る中でレオとバリラがむず痒い気持ちで頭を下げた。
一応バリラは騎士の礼をとったのだがそれどころではない。
こちらをチラチラ見てくる人物が気になって仕方ないのだ。
やがて王妃が人払いをすると肩の力が少し抜ける。
促されたソファに身を沈めると、王妃に侍っていた従者が無遠慮にドカリと座った。
従者に扮装したガルディ王がレオニードへ向けてニカッと笑う。
「……お前ってヤツは、王妃から招待が来てから何かあるとは思ったが」
「こうでもしないと抜け出せないもんでな許せ」
不器用に笑いあってから互いの肩を叩き合い「久しぶり相棒」と言った。
王はピッチリ頭をガシガシと乱し、黒縁眼鏡を外す。
そこには学生時代と変わらぬ悪友が座っている、少しは変われよとレオは苦笑いした。
「「変わってねぇな」」
揃って互いの容姿に呆れていた。
「威厳もなにもねぇな」
「ウルサイ、これでも古狸たちとの攻防で胃の痛みを覚えたんだぞ、そのうち禿げそうだ」
「だったら鬘を贈ってやるよ」
無駄口に事欠かない二人に王妃が「コホン」と咳払いした。
ビクリと肩を跳ねらせる王、どちらが国の天辺かわからない。
***
「そうか、こちらのお嬢さんが帝国の王女様か」
「いいえ、元ですわ。わけあって廃嫡しましたので平民ティリルでございます」
突然に他国の王と対峙しても、ブレないところは流石王族出だとレオとバリラは感心した。
「すまないが時間がない、本題に入ろうか。”青い天使”とはなんなのか聞いて良いか?」
「はい、専門ではないので子細はご勘弁を……帝国の独特の呼び名で魔石の一種です。万能な素材として重宝されて結果掘り尽くされたと私は学びましたわ」
「魔石か、なるほど。だが天然の魔石は掘り尽くされたと聞くが?」
「ええ、その通りですわ。不純物の無い結晶体はほぼ尽きたというのが世間の認識ですわね」
魔石の一種だという以外に知識はないと答えたティリル。
「だとすれば、帝国からやってきた商人は何故クズ石をそう呼ぶのか……現時点でそれらしい鉱物は我らの国では採掘されていないぞ」
黙って聞いていたレオが口を挟む。
「ひょっとして人工的に造れるとしたら……その材料がテトラビスの土壌にあるならどうだ?」
「まさかその技術が帝国て確立されたというのか……」
ただ同然のクズ石が宝に化けるのだとしたら、帝国にとってこれほど都合の良い材質はないだろう。
「元公爵が売っていたクズ石はキロ銅貨1枚だと報告にあがっている、帝国はボロ儲けだな」
「……はぁバカ親父が」
レオも諜報にあたっていたモルティガから粗方の事情は把握していたが、改めて苛立ちを覚える。
『公爵家の恥』と罵られてきたレオは「どっちが恥なのか」と思った。
「違法に取引がされた採掘量は痛手には及ばないが国として侮られたことは許せぬ」
急に王の顔になったガルディを見て”おや?”と若干見直すレオ。
「戦になりますの?」
ジュリア王妃が青い顔になって震えた。
「帝国側の出方しだいだな……民に負担をかけたくはないが最悪な事態も視野におかねば」
「……はい」
「なぁ、レオ。お前は俺以上に情報を掴んでいそうなのだが気のせいか?」
妙に落ち着いているレオを不審に思った王は探って来た。
「……まぁね、すっごい能力持ちの諜報員が仲間になったもんで」
「ほぉ、聞き捨てならんな。王家に譲る気は?」
情報のことか、人材のほうか判別しにくい言い方をする王にレオは素直に嫌な顔を見せる。
「欲しがって簡単に手に入ると思うなよ」
「……ハハ、冗談だよ。そう怖い顔をするな」
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どこまで本気なのかレオは測りかねたが、存外為政者になってきたなと認めざるをえなかった。
「我が友にして王よ、国崩しの際には馳せ参じる忠義はあるぞ。俺を存分に巻き込めよ」
「それは心強いことだ」
ガルディ王は懐からゴソゴソと何かを出してテーブルに置いた。
「これは?」
「例の金塊の目録だ、キミの名で口座を作っておいた。遅くなってすまん」
貧乏侯爵レオニードはそそくさとそれを開いて瞠目した。
「ま、まじ?」
「オオマジだぞ、凄いだろ。国家予算にはほど遠いがな。ほら帳面と引き出すための証書だ」
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レオは大事そうに懐奥へしまった。
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