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フェインゼロス帝国篇
狂気の条件と少女
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戦争は甚大な被害を齎す。
そして、もっとも被害を被り辛い思いを課せられるのは民である。
レオニードは爪が食いこむほど拳を握り、噛んだ唇からは血が滲んで首元を汚す。
取引案をけろりとした顔で放った少女を睨みながら彼は問う。
「何を言っているのか理解してるのか!?大勢の犠牲者が出るんだぞ!ワザと戦争を起こすなんて狂気の沙汰だ」
「――ふん、私の嫌いな顔だわ。お前は正義漢顔した偽善者ね」
レオニードは怒りに任せて彼女に殴りかかろうとしたが、意外な人物が制した。
「冷静になれよレオ。こいつは元から狂った種族なんだ煽られて熱くなるな」
彼の視界に赤い揺らめきが靡いていた、バリラがレオニードの前に立ちふさがっている。
レオニードを見据えるバリラの表情は一見冷静に見えたが、瞳には怒りが籠って光っていた。
彼女こそが誰よりも怒っているのだ。
「……バリラ、すまない。」
フゥーと深い溜息を吐いてからレオニードは再びミューズこと白い少女と対峙した。
「クズ石はくれてやる、だが戦争が勃発する前に全力で阻止するからな!」
レオニードは極力感情を抑えた声で回答した。
「んふ、いいわよ。火種になってくれさえすればいいもの、テトラビス側に裏切り者がまだまだいたという事実さえあれば良いのよ、後はこっちが勝手に動くわ」
ケタケタと不快な笑い声をあげるミューズの背後で、洞窟の守番らしい男達が合わせるように笑った。
「ほら、アンタ達は元王女の監視に戻りなさい、交渉ができたらそれでいいんだからさ」
ミューズは懐から小さな革袋を取り出してそいつらに投げてやった。
背の高い方が慌てて拾いあげて中身を確認してほくそ笑んだ。
「へ、へい!それじゃ俺達は続行で監視をしやすが、延長の報酬はハネますぜ?」
「ふん、構わないわよ。仕事さえちゃんとすればね」
目の前にテトラビス王がいるとは、露ほども思っていない連中は好き勝手にほざいている。
レオニードは、チラチラと視界の端にいるガルディを盗み見たが、王たる彼は面白そうに薄ら笑いを浮かべているだけだった。
”呑気な……”と内心で突っ込み肩を竦めた。
一旦引くことにした一行だが、ずっと黙っていたフラウットが悲し気な声をあげた。
「待ってよ!何のためにここまで来たと思ってるの!?ティルに合わせてよぉ!無事を確認する権利あるでしょ!」
「フラ!」
「ねぇ!バリラだって同じ気持ちでしょ?会いたいでしょ!」
「―う、そうだけど……」
纏まりかけた所に水を注されたミューズ側があからさまに苛立ち始める。
「は?どっちが立場弱いかわかってんの?ちょっと魔法が使える程度の子狐が!」
仮にも大帝国の皇帝直属の間諜だ、規模で言えばかなり国力が劣るテトラビスの小娘が吠えたとあってミューズは不快に言い返した。
だがフラウットは怯まなかった。
「私は獣王国の狐族族長の娘!そしてティルは友人でレオの大切な仲間だもん!獅子王セレータはレオに大恩がある、喧嘩するならエルンヘルドが黙ってないからね!」
フラウットは狐族の矜持を示すかのように耳と尻尾の毛を逆立て威嚇する。
「ちっ、地這う獣ごときが……良いだろう。1分だけ会わせてやる、おいアンタ達!元姫さんを連れてきて!」
「へ、へい!」
彼女ミューズもまた獣王国出身の蝙蝠族である、獅子王がでしゃばれば面倒と考えた。
顎で命令された男達は大慌てで洞窟内へと駆けて行った。
ずいぶんと少女を恐れているのだなとレオニード達は思った。
そして、もっとも被害を被り辛い思いを課せられるのは民である。
レオニードは爪が食いこむほど拳を握り、噛んだ唇からは血が滲んで首元を汚す。
取引案をけろりとした顔で放った少女を睨みながら彼は問う。
「何を言っているのか理解してるのか!?大勢の犠牲者が出るんだぞ!ワザと戦争を起こすなんて狂気の沙汰だ」
「――ふん、私の嫌いな顔だわ。お前は正義漢顔した偽善者ね」
レオニードは怒りに任せて彼女に殴りかかろうとしたが、意外な人物が制した。
「冷静になれよレオ。こいつは元から狂った種族なんだ煽られて熱くなるな」
彼の視界に赤い揺らめきが靡いていた、バリラがレオニードの前に立ちふさがっている。
レオニードを見据えるバリラの表情は一見冷静に見えたが、瞳には怒りが籠って光っていた。
彼女こそが誰よりも怒っているのだ。
「……バリラ、すまない。」
フゥーと深い溜息を吐いてからレオニードは再びミューズこと白い少女と対峙した。
「クズ石はくれてやる、だが戦争が勃発する前に全力で阻止するからな!」
レオニードは極力感情を抑えた声で回答した。
「んふ、いいわよ。火種になってくれさえすればいいもの、テトラビス側に裏切り者がまだまだいたという事実さえあれば良いのよ、後はこっちが勝手に動くわ」
ケタケタと不快な笑い声をあげるミューズの背後で、洞窟の守番らしい男達が合わせるように笑った。
「ほら、アンタ達は元王女の監視に戻りなさい、交渉ができたらそれでいいんだからさ」
ミューズは懐から小さな革袋を取り出してそいつらに投げてやった。
背の高い方が慌てて拾いあげて中身を確認してほくそ笑んだ。
「へ、へい!それじゃ俺達は続行で監視をしやすが、延長の報酬はハネますぜ?」
「ふん、構わないわよ。仕事さえちゃんとすればね」
目の前にテトラビス王がいるとは、露ほども思っていない連中は好き勝手にほざいている。
レオニードは、チラチラと視界の端にいるガルディを盗み見たが、王たる彼は面白そうに薄ら笑いを浮かべているだけだった。
”呑気な……”と内心で突っ込み肩を竦めた。
一旦引くことにした一行だが、ずっと黙っていたフラウットが悲し気な声をあげた。
「待ってよ!何のためにここまで来たと思ってるの!?ティルに合わせてよぉ!無事を確認する権利あるでしょ!」
「フラ!」
「ねぇ!バリラだって同じ気持ちでしょ?会いたいでしょ!」
「―う、そうだけど……」
纏まりかけた所に水を注されたミューズ側があからさまに苛立ち始める。
「は?どっちが立場弱いかわかってんの?ちょっと魔法が使える程度の子狐が!」
仮にも大帝国の皇帝直属の間諜だ、規模で言えばかなり国力が劣るテトラビスの小娘が吠えたとあってミューズは不快に言い返した。
だがフラウットは怯まなかった。
「私は獣王国の狐族族長の娘!そしてティルは友人でレオの大切な仲間だもん!獅子王セレータはレオに大恩がある、喧嘩するならエルンヘルドが黙ってないからね!」
フラウットは狐族の矜持を示すかのように耳と尻尾の毛を逆立て威嚇する。
「ちっ、地這う獣ごときが……良いだろう。1分だけ会わせてやる、おいアンタ達!元姫さんを連れてきて!」
「へ、へい!」
彼女ミューズもまた獣王国出身の蝙蝠族である、獅子王がでしゃばれば面倒と考えた。
顎で命令された男達は大慌てで洞窟内へと駆けて行った。
ずいぶんと少女を恐れているのだなとレオニード達は思った。
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