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フェインゼロス帝国篇
災難は突然に
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「ふん、順調に青い天使は搾取できているようだな」
「へっへ、ボタが国境を越えた瞬間に金以上の価値に変わるんだからな、笑いが止まらねぇよ」
帝国の闇商人達はテトラビスから運ばれてくるクズ石の山を満足そうに眺めて、ボロ儲けに高揚している。
荷運びの日雇い人夫たちの賃金以外は、経費がかからない丸儲けの事業に肥えた腹を揺らして笑う。
「いやぁすげぇな、1日で屋敷が建てられる金額だぞ!」
次々とトロッコで運ばれる宝の山を数えながら商人は有頂天になる。
「旦那ー!人員増やした方が良くねぇですか?運び漏れが多くて勿体ねーよ!」
手下の一人が鉱山から戻って報告してきた。
「ふぅむ、そうか?……うん、確かに零れちまった粒さえ金みたいもんだからなぁ」
ますます強欲に火が点いた商人は、目をギラギラさせて算段する。
急ごしらえだったトロッコ線路はガタガタで、時折脱線して横転していたりする。
いくら皇帝の後ろ盾があっても無限に時間があるわではない。本来の目的はテトラビス国への侵攻なのだから。
お零れに預かっている側としては儲けは大きいほうが良いに決まっていた。
「どうしやす、旦那?」
「そうだな、整備する人材を借りて運搬人も増員するか。鉱山はまだまだ掘れそうか?」
「へい、話通りテトラの警備はザルですからねぇ。四六時中掘り進めてガッポガッポでさぁ」
「ハハハッ、良し!人員をそっちにも多めに向かわせる。期限ギリギリまで食い散らかしてやれ」
「へい!承知しやした」
秘密裡に作られた大倉庫には、蟻のように働く人夫たちによってボタ山がいくつも作られていく。
一見はただのさざれ石だが、商人の目には金の山である。自然と零れる笑みは昏くて下品に歪む。
順調に進む作業中に昼を報せる鐘が鳴り水を注してきた。
商人は少し忌々しそうに唾を吐くと「2時間ほど休憩させろ」と現場班長へ怒鳴り散らす。
飯場に列を作る作業員たちを一瞥すると、小太りの商人は自分の家へ戻ることにした。
「作業が止るのは腹が立つが体力勝負だからな……」
商人は貴族並みの豪奢な屋敷へドスドスと入るとメイドを呼びつけ、食事と仮眠をとる準備をしろと命令した。
食堂へ入ると娼婦にように派手な女が彼を待っていた。
しな垂れかかって来た愛人の尻を幾度か撫でて上機嫌になる。
「ウフン。お疲れ様ですわ、あなた」
「うむ、まずはワインをくれ。それから鴨肉とクラッカーを」
山盛された皿を前にして、ご満悦の商人はろくに咀嚼もせず平らげると汚いゲップをした。
早朝から現場に立ち、動きの悪い作業員を怒鳴り散らして疲れていた。
「ふぅ、午後は買い付けにくる輩との商談か。」
商人はショボショボとしてきた目頭をグリグリと解して、大欠伸をした。
「あなた、根を詰めすぎですわ。少し休みなさいませ」
「うむ、そうだな。近頃睡眠を削り過ぎたようだ、おまえに黒真珠の大粒を買ってやりたくてな。少し早いが受け取れ」
天鵞絨貼りの箱を愛人は震えながら開いて驚嘆する。
「まぁ!あなた!とても嬉しいわ、スゴイこんな大粒はじめて見たわ」
ネックレスと指輪を受け取った愛人は彼の周囲で子供のようにはしゃいだ。
「はは、来週はおまえの誕生日だ盛大に祝うぞ」
「ああ!なんて幸せなのかしら!大好きよあなた!愛してる!」
夫婦のように寄り添い、寝室へ向かう二人は幸せいっぱいという空気を纏っていた。
数分前までは――。
寝具に腰を下ろした瞬間のことだった。
空気を歪まさせる衝撃波の次に、耳を劈くような轟音が帝都上空から襲ってきた。
帝都中央が一瞬で瓦礫と化した事件が起きた。
衝撃で崩壊したとある廃屋に、固く手を握りあったままの一組の手首が転がる。
指には黒真珠が鈍く輝いていた。
「へっへ、ボタが国境を越えた瞬間に金以上の価値に変わるんだからな、笑いが止まらねぇよ」
帝国の闇商人達はテトラビスから運ばれてくるクズ石の山を満足そうに眺めて、ボロ儲けに高揚している。
荷運びの日雇い人夫たちの賃金以外は、経費がかからない丸儲けの事業に肥えた腹を揺らして笑う。
「いやぁすげぇな、1日で屋敷が建てられる金額だぞ!」
次々とトロッコで運ばれる宝の山を数えながら商人は有頂天になる。
「旦那ー!人員増やした方が良くねぇですか?運び漏れが多くて勿体ねーよ!」
手下の一人が鉱山から戻って報告してきた。
「ふぅむ、そうか?……うん、確かに零れちまった粒さえ金みたいもんだからなぁ」
ますます強欲に火が点いた商人は、目をギラギラさせて算段する。
急ごしらえだったトロッコ線路はガタガタで、時折脱線して横転していたりする。
いくら皇帝の後ろ盾があっても無限に時間があるわではない。本来の目的はテトラビス国への侵攻なのだから。
お零れに預かっている側としては儲けは大きいほうが良いに決まっていた。
「どうしやす、旦那?」
「そうだな、整備する人材を借りて運搬人も増員するか。鉱山はまだまだ掘れそうか?」
「へい、話通りテトラの警備はザルですからねぇ。四六時中掘り進めてガッポガッポでさぁ」
「ハハハッ、良し!人員をそっちにも多めに向かわせる。期限ギリギリまで食い散らかしてやれ」
「へい!承知しやした」
秘密裡に作られた大倉庫には、蟻のように働く人夫たちによってボタ山がいくつも作られていく。
一見はただのさざれ石だが、商人の目には金の山である。自然と零れる笑みは昏くて下品に歪む。
順調に進む作業中に昼を報せる鐘が鳴り水を注してきた。
商人は少し忌々しそうに唾を吐くと「2時間ほど休憩させろ」と現場班長へ怒鳴り散らす。
飯場に列を作る作業員たちを一瞥すると、小太りの商人は自分の家へ戻ることにした。
「作業が止るのは腹が立つが体力勝負だからな……」
商人は貴族並みの豪奢な屋敷へドスドスと入るとメイドを呼びつけ、食事と仮眠をとる準備をしろと命令した。
食堂へ入ると娼婦にように派手な女が彼を待っていた。
しな垂れかかって来た愛人の尻を幾度か撫でて上機嫌になる。
「ウフン。お疲れ様ですわ、あなた」
「うむ、まずはワインをくれ。それから鴨肉とクラッカーを」
山盛された皿を前にして、ご満悦の商人はろくに咀嚼もせず平らげると汚いゲップをした。
早朝から現場に立ち、動きの悪い作業員を怒鳴り散らして疲れていた。
「ふぅ、午後は買い付けにくる輩との商談か。」
商人はショボショボとしてきた目頭をグリグリと解して、大欠伸をした。
「あなた、根を詰めすぎですわ。少し休みなさいませ」
「うむ、そうだな。近頃睡眠を削り過ぎたようだ、おまえに黒真珠の大粒を買ってやりたくてな。少し早いが受け取れ」
天鵞絨貼りの箱を愛人は震えながら開いて驚嘆する。
「まぁ!あなた!とても嬉しいわ、スゴイこんな大粒はじめて見たわ」
ネックレスと指輪を受け取った愛人は彼の周囲で子供のようにはしゃいだ。
「はは、来週はおまえの誕生日だ盛大に祝うぞ」
「ああ!なんて幸せなのかしら!大好きよあなた!愛してる!」
夫婦のように寄り添い、寝室へ向かう二人は幸せいっぱいという空気を纏っていた。
数分前までは――。
寝具に腰を下ろした瞬間のことだった。
空気を歪まさせる衝撃波の次に、耳を劈くような轟音が帝都上空から襲ってきた。
帝都中央が一瞬で瓦礫と化した事件が起きた。
衝撃で崩壊したとある廃屋に、固く手を握りあったままの一組の手首が転がる。
指には黒真珠が鈍く輝いていた。
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