完結 報復を受ける覚悟の上での事でしょう?

音爽(ネソウ)

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アメンティーナとトバイアス王子の婚約は当面極秘と言う事になった。ロドリゲスの耳に入ったら非常に拙いし、何を仕掛けてくるかわからないからである。
そんな事を気にかけて学園でも特別に交流をしていない、時々コッソリとメモを渡すのだが二人にしかわからない暗合を用いる。

そんな中、ロドリゲスはチラチラとアメンティーナの様子を伺っている。彼はまだ諦めていないのである。
「法というがそんなものは先人が勝手に作ったものだろう。それに破ってこその法だと思わないか?」
メチャクチャな屁理屈だが、不敵に笑う彼は身勝手が過ぎる事を普通に考えている。それを面白いとダグリズは笑うが、エリオットは食傷気味であまり積極的には同意しない。

「なんだよ、エリオット。文句でもあるのか?俺様が王になった暁にはお前を宰相として取り上げてやろうと言うのに」
「さ、宰相?でも……いまの状況では」
彼は神経質そうに眼鏡を摘まむとゴシゴシと磨き始める、いまこの現状ではロドリゲスが王に選ばれるとは考え難いと考えている。学業の成績も普通以下で勤勉さは欠片もないのだ。身体が弱いと言われる第一王子トバイアス・アルバニアは影が薄いが、近頃は体力を付けて勢いが強くなっている。どちらかと言えばトバイアスが選ばれる可能性が高い。

「ロドリゲスは王になれると信じているのかい?とてもじゃないが……」
後ろ盾が無さ過ぎる彼を思って言うエリオットだが、そんな小心者の彼を小馬鹿にするようにロドリゲスは笑い飛ばす。
「はははっ!愚かな、俺が何も対策していないとでも?ボセンティ叔父上の事を覚えていないのか?」
「ボセンティ!?まさか……十五年前に失脚した王弟殿下のことかい!」



***

話は少し遡る――


「良く来たな、我が可愛い甥っ子よ。やはりお前は私に良く似ておる」
立派なプラチナブロンドの髭を蓄えて元王弟はロドリゲスを息子のように歓迎した、彼は失脚したおりに去勢されていて子供がいないのだ。それ故、自分に良く似た甥であるロドリゲスを非常に可愛がっていた。

失脚したとはいえ王族だ、ボセンティは別墅べっしょに住まいを構えていて、その様子は現王と変わらなず威厳を保っている。

「叔父上、どうか俺に力添えを!現王アルバニアを蹴落とせるのは貴方以外いない!」
「ほほう、私に何ができようか。話してみなさい」
ボセンティは嫋やかに笑うと傍らに置いたヴィンテージワインを甥に進める。



「うむ、なるほどな。ブロッケンめ!自分が法とは抜け抜けと……片腹痛いわ」
「そうでしょう叔父上!父は独裁者を気取っているのだ!平等を謳う我が国とは思想が全く違うんだ」
酔いが回ったロドリゲスはダンと机を叩き「間違っている」と語気荒く管を巻いた。それを肯定するように叔父はパンパンと彼の肩を叩いて次のように述べる。

「面白い、政権をひっくり返す時が来たようだな。私は貴殿を推すぞ、ロドリゲス」
「おお!なんと心強い!」
その日は遅くまで杯を交わし、国家転覆について熱く語り合う二人であった。








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