完結 報復を受ける覚悟の上での事でしょう?

音爽(ネソウ)

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兄と弟

急にロドリゲスとの養子縁組を求めてきた弟に眉を顰める王だったが、断る理由もないと渋々了承した。もはや健康体になったトバイアスを見ていた彼はロドリゲスになんの期待もしていない。


「どういう経緯でそうなったか知らんが、これで貴様の王位継承権は無いに等しくなった。それで良いのだなロドリゲスよ」
王は婚約者を失い自暴自棄になっていたであろう息子を俯瞰で見て来た。最初の頃は悔しさに暴れていたと聞いていたが、近頃はすっかり大人しくなったロドリゲスを見直していたところだ。

「いいや、元父上。俺の野心は燃えていくばかりさ、フフッ、その輝かしい玉座がいつまでも尻の下にあると思うなよ」
「なんだと?どういう意味だ」
やはり愚かしい部分は消え去っていないのだと知りガッカリする王だ。ロドリゲスは居丈高になり踏ん反り返り言った。

「我が王は叔父上、もとい父となったボセンティ・アルバニアが相応しいのだ!貴様では王国を率いるのは無理であると判断した。首を洗って待っているが良い、フハハハハッ!」
彼はそういうとボフンと白い煙を立ててその場から消え去った。



***

「謀反でございますか?何故そのような……一体ロドリゲス様はどうなされたのか」
急遽呼び出された騎士団長は頭の上に疑問符を打ち上げまくる、その心情は良く分かるというもの。多勢に無勢も良い所だと同じく召集された大臣らも小首を傾げている。

「うむ、我が王軍は約30万、加えて友好国連合軍を合わせば50万は下らん。どうやってこの兵力差を覆すつもりなのか」
ボセンティ側の私兵は精々1万集まるかという所だ、色をつけたとしても2万に届かない。
王は左腕で頬杖を着き「頭が湧いたのか」と盛大に溜息を吐く。そして、つい先日除名を請うてきた大臣ら数名のことを思いだす。

「環境大臣と国土交通のやつらが揃って除名を嘆願してきた、なるほど……ヤツらはボセンティ派であったな」
最期までボセンティ側についていたことを思いだす、15年前に起きたブロッケン・アルバニア暗殺未遂事件にも関りがあるのでは噂された人物たちだった。辛うじて毒殺を免れた当時のブロッケン王太子はボセンティから継承権を奪い去勢処分にしただけで放免とした。そして、彼らの兵力を合わせても3万が良い所だろう。

「ふむ、当時の私は甘かったようだ……弟よ、そこまで私が憎いのか」
すると黙って聞いていた騎士団長が口を開く。
「恐れながら王よ、彼は野心家でありました。兄を退いてまで王の地位に固執したのです」
「そうか……」
王の目はどこを見ているのか壁に向かって微動だにしない。彼の目は虚しさで曇っている。そして、ややあってからカッと見開き元王弟の命を奪う事を宣言した。


「我が弟に報復を!余は王として……国父として抗おうぞ!」







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