完結 浮気して、仲間を蔑ろにした恋人を捨てたら追い縋ってきた。

音爽(ネソウ)

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たった二人から始めた冒険者PT”恒久の青剣”
いまでは20人を超える大所帯になって、多勢を生かした広範囲から攻めるのを得意とする。
「順調だな、ランクもBに昇格してちょっとは名は通ったよな」
「ええ、そうね。頑張ってきた甲斐があるわ」
パーティリーダーのレアンとその恋人で右腕のミレディスはこれまでうまくやって来た。

なにもかもうまく行っている、そう思っていたのは数年だけだった。
信用と結束が揺れて来たのは最近加入したばかりのキャロンという女魔法使いのせいだ、実力もないのにリーダーが無理矢理捩じ込んだ人材なのだ。彼女が優れていたの血筋と容姿だけだった。

「あの子弱すぎて足手纏いなんだが!」
「そうだよ!後衛なのにサポートもしないで逃げ惑っているじゃないか!」
「少しくらい己の防御はして欲しいな、かすり傷程度でピーピー泣くし」
噴き出る仲間からの不満は日々増えるばかりでなにも改善されていない。だがリーダーの俺に逆らうなとレアンは聞く耳をもたない。

「いまはアレだがそのうち大化けする素質を持っているんだ!寛容な気持ちで見てくれよ」
「そうですぅ、私の祖父はプレットと言います、大賢者と言われた冒険者なんですよぉ?」
確かに30年前に大活躍した勇者の仲間にその祖父の名があったが、縁戚関係があるとは証明できなかった。
疑心暗鬼の面々は「即戦力になれないなら不要だ」と突き放した。

仲間のサポートどころか、魔法攻撃も発揮できないキャロンは誰にも相手にされなくなった。彼女は己のダメぶりを反省するどころか周囲のせいにしてリーダーに泣きつく。
「酷いんですぅ!すぐ側にミレディスおばさんがいたのにぃ~盾になってくれないから怪我しちゃったのぅ」
彼女はグスグスと泣き真似して、怪我したと主張する指先をレアンに見せた。

「おお、これは痛そうだ!ミレにはきつく注意しておくからな!おい!そこの治癒師、この子の怪我をみてやってくれ」
呼ばれた治癒師はタンク役の仲間の回復で忙しくしていて、消毒して待っていてと返事した。それが気に入らなかったレアンは怒鳴りつけて役立たずと叫ぶ。

「ちょっとレアン!いまのは酷いわ、うちは治癒師は3名いるけど重症者が優先でしょ!」
「な、なんだよ!新人のキャロンが可哀そうだと思わないのか?」
それを聞いたミレディスはワナワナと震えて怒り狂った。
「足の骨が折れた剣士や深く裂傷した者たちと、指先を擦っただけの女子どっちがたいへんなのよ!アンタにはリーダーの資格はないわ」

痛い反論を食らったレアンは口ごもったが「彼女を守れなかったミレが悪い」と言い訳する。
「見損なったわ、一体仲間のなにを見ていたの?戦況全体を見て勝利に導くのがリーダーでしょ!最近のアナタは何よ、キャロンの側に引っ付いて戦闘もおろそかで碌に指導もしやしない」
「う、だって」

副リーダーのミレディスの指摘を他の仲間達が一斉に頷いた。
レアンにはリーダーの資質に問題があると騒ぎたてる、大人しく反省すれば良いものをレアンは逆ギレしてしまう。
「この俺に意見するヤツはPTから出ていけ!」と宣った。
それを聞いた面々は「もうコイツは駄目だ」と見下して次々と去って行く。長く相棒を務めて来たミレディスは崩壊しつつあるPTをなんとか修復したいと働きかける。

だが、それは無駄だったと思い知る出来事を見てしまった。

タンク役と治癒師が脱退しそうなことをレアンと相談したくて、その日の野営地で彼の姿を探していた。
焚火を中心に仲間が散って休憩している周囲を探すが見つからない。まさかと思った彼女はちょっと離れた茂みを覗く。
するとそこには服を着崩して淫らな行為に夢中になっているレアンとキャロンの姿があった。刺激に嬌声を上げる彼女と愛を囁く彼はミレディスに見られているとは気が付いていない。

吐き気をもよおしたミレディスはその場から遠く離れて嗚咽を漏らす。
恋人の裏切りを見た彼女は心が決まった、中堅まで育った冒険者PTの恒久の青剣が分裂する大きなきっかけになった。

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